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18.あらわれたのは……
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「さーて、これで、頼みの仲間は動けなくなったぞ。どうする? アンなんとか」
ヴァンはアンダーソンの頭上で、腕組みをして笑った。
金の瞳が、爛々と輝いている。
今夜のお月様よりもずっと強くて、ぎらぎらした光。
「ひっ、き、金の瞳……! おまえ、ただのヴァンパイアじゃなくて、魔王なのか⁉」
「ふん、今頃気づいたのか」
「そ、そんな……」
アンダーソンは、へなへなとくずれおちた。そのまま、なんとか正座をし、ヴァンに向かって頭を下げる。
「ま、待ってくれ! いや、待ってください魔王様!」
アンダーソンは、なにやらヴァンに向かって話を始めた。
「エレオノーラ王女に、あなた様のような存在を召喚できるとは思いません! 金、でしょう? 金で雇われたのでしょう? だから、その金の倍、いや、三倍は出します! だから、こっちの味方になって……」
アンダーソンは頭をこすりつけたと思ったら、もみ手をしてヴァンを見上げる。
そうしつつ、話を続けていたのだが……。
ヴァンは、最初は注意深く話を聞いていたが、徐々にあきれ顔になり、ついには「はあ~」っと、大きなため息をついた。
翼をしまい、アンダーソンのすぐそばに降り立つ。
「おまえ、最低だ。……見苦しい」
ばっさりと言い切った、その瞬間。ヴァンは思いっ切りアンダーソンのみぞおち目がけて蹴りを繰り出した。
ダンッ! とものすごい音。そのまま、アンダーソンはふっとんでいった。
ごろごろとリングを転がっていき、リングの端でかろうじて止まる。
見ると、鎧が完全に割れ、ばらばらに砕け落ちていた。
「ぐっ、ううう!」
アンダーソンはうめき、ぐるんっと白目をむいて気絶してしまった。
や、やりすぎじゃないかな? ヴァン……。
「おまえみたいなやつに、エートをまかせられるか! いいか! 会場にいるやつらも、よく聞け! エートを嫁にほしかったら……、このおれを倒してみせろ!」
ヴァンは会場をぐるりと見わたしてそう宣言した。
うれしくって、胸がぎゅーっとなる。
だって、ヴァンは、めちゃくちゃ強い。ってことは、わたし、嫁にいかなくてもいいじゃん!
てか、わたしが……、ヴァンの、お、お嫁さんに、なればいいってことじゃん!
そう言ったも同然でしょ!
やばい、へらっとした顔がなおらない。
にまにまとしていると、ヴァンに「何ニヤついてんだ。試練の結果はどうなったんだ」と、頭を軽くこづかれた。
そ、そうか。
「審判さん!」
きょろきょろと見回す。あ、いた。ああ、審判てば、今までリング外に避難してたのね……。
やっと、職務を果たそうと、審判はリングの上に上がってきた。
そおっと、アンダーソンが気絶していることを確認すると……。
「しょ、勝者、エレオノーラ王女!」
ヴァンを見て、がくがくと震えながら、審判はそう宣言した。
「よって、アンダーソン公子とエレオノーラ王女の結婚は無効とします!」
うおおお! と観客席が割れんばかりの歓声に包まれた。
「やったー! やったよ、ヴァン!」
わたしはヴァンに抱きついた。ヴァンも、わたしの背中をぽんぽんとたたいてくれる。
と、そこで……、緊張の糸と魔力が切れて、わたしは意識を失ったのだった。
ヴァンはアンダーソンの頭上で、腕組みをして笑った。
金の瞳が、爛々と輝いている。
今夜のお月様よりもずっと強くて、ぎらぎらした光。
「ひっ、き、金の瞳……! おまえ、ただのヴァンパイアじゃなくて、魔王なのか⁉」
「ふん、今頃気づいたのか」
「そ、そんな……」
アンダーソンは、へなへなとくずれおちた。そのまま、なんとか正座をし、ヴァンに向かって頭を下げる。
「ま、待ってくれ! いや、待ってください魔王様!」
アンダーソンは、なにやらヴァンに向かって話を始めた。
「エレオノーラ王女に、あなた様のような存在を召喚できるとは思いません! 金、でしょう? 金で雇われたのでしょう? だから、その金の倍、いや、三倍は出します! だから、こっちの味方になって……」
アンダーソンは頭をこすりつけたと思ったら、もみ手をしてヴァンを見上げる。
そうしつつ、話を続けていたのだが……。
ヴァンは、最初は注意深く話を聞いていたが、徐々にあきれ顔になり、ついには「はあ~」っと、大きなため息をついた。
翼をしまい、アンダーソンのすぐそばに降り立つ。
「おまえ、最低だ。……見苦しい」
ばっさりと言い切った、その瞬間。ヴァンは思いっ切りアンダーソンのみぞおち目がけて蹴りを繰り出した。
ダンッ! とものすごい音。そのまま、アンダーソンはふっとんでいった。
ごろごろとリングを転がっていき、リングの端でかろうじて止まる。
見ると、鎧が完全に割れ、ばらばらに砕け落ちていた。
「ぐっ、ううう!」
アンダーソンはうめき、ぐるんっと白目をむいて気絶してしまった。
や、やりすぎじゃないかな? ヴァン……。
「おまえみたいなやつに、エートをまかせられるか! いいか! 会場にいるやつらも、よく聞け! エートを嫁にほしかったら……、このおれを倒してみせろ!」
ヴァンは会場をぐるりと見わたしてそう宣言した。
うれしくって、胸がぎゅーっとなる。
だって、ヴァンは、めちゃくちゃ強い。ってことは、わたし、嫁にいかなくてもいいじゃん!
てか、わたしが……、ヴァンの、お、お嫁さんに、なればいいってことじゃん!
そう言ったも同然でしょ!
やばい、へらっとした顔がなおらない。
にまにまとしていると、ヴァンに「何ニヤついてんだ。試練の結果はどうなったんだ」と、頭を軽くこづかれた。
そ、そうか。
「審判さん!」
きょろきょろと見回す。あ、いた。ああ、審判てば、今までリング外に避難してたのね……。
やっと、職務を果たそうと、審判はリングの上に上がってきた。
そおっと、アンダーソンが気絶していることを確認すると……。
「しょ、勝者、エレオノーラ王女!」
ヴァンを見て、がくがくと震えながら、審判はそう宣言した。
「よって、アンダーソン公子とエレオノーラ王女の結婚は無効とします!」
うおおお! と観客席が割れんばかりの歓声に包まれた。
「やったー! やったよ、ヴァン!」
わたしはヴァンに抱きついた。ヴァンも、わたしの背中をぽんぽんとたたいてくれる。
と、そこで……、緊張の糸と魔力が切れて、わたしは意識を失ったのだった。
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