【完結】お試しダンジョンの管理人~イケメンたちとお仕事がんばってます!~

みなづきよつば

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16.いざ、勝負!

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「では、位置について……。始めっ!」
 審判の開始の合図だ!
 「ムドー、まずは先手必勝だよ!」と叫ぶと、「心得た!」とムドーが火を吐いた。
 おおおと観客がどよめく。
「あんな大きなサラマンダーがいるのか」
「普通のサラマンダーの、二倍はあるぞ」
「ひええ、すごい熱気だ」
 しかし、ムドーの炎は、法力使いの防御魔法、ホーリー・バリアによってはばまれた。
 敵三人が、薄い鈍く光った膜でもっておおわれている。
 その間にも、法力使いは、各人の防御力を上げる魔法を唱えた。
 炎がやむと、飛び出してきたのは戦士。
 その戦士の剣に、ノームのエルノックがつるはしでもって対抗する。
 ギィンッ! ギャンッ! ギギギッ!
 目で追えないような速度で、ふたりは打ち合う。
 あの小さな体のどこにそんな力が⁉ ってくらい力の強いエルノックと互角に戦うなんて、あの戦士もそうとうな剣の使い手だ。
 その間に、マーメイドのキヨコは水の矢を全体に向かって放った。
 魔法使いと法力使いは盾でもって防御したが、エルノックと打ち合っている戦士は対応できない。
 水の矢は、戦士の兜を直撃し、戦士が少しふらついた。
 まずいと思ったのか、法力使いが、魔法で風のかたまりをエルノックにぶつけ、戦士と距離をつくる。
 エルノックは風のかたまりをもろにうけたが、くるりと体を一回転させてリングに降り立った。
 よかった、大丈夫みたい。
 次に攻撃をしかけてきたのは、魔法使いだ。
 呪文を唱えると、リング上にほとばしる光。
 雷の魔法だ!
「みんな、気をつけて!」
「大丈夫よ、エートちゃん」
 キヨコはそう言って、ウインクしてみせると、全体に水の防御膜を張った。
 だ、大丈夫って言われても……。
 するどい光が走り、水の膜に直撃!
 でも、みんなは無事だった。
 よ、よかった……。
 水の膜には、バチバチッと電気が走っている。
 そうか! 雷は直接当たっちゃうとたいへんなことになるけど、水の膜の上に電気を走らせておけば、こっちにダメージは通らないんだ。
 キヨコは雷をたくわえたままの水の膜を、水のかたまりに変え、魔法使いに、お返しだ! とばかりの勢いで投げつけた。
「ぐわっ!」
 電気をまとった水のかたまりをうけ、魔法使いはふっとんだ。
 観客がわあっと歓声を上げる。
 電気でしびれているのか、魔法使いは立ち上がれないようだ。
 よし、これで、ひとり戦闘不能!
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