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8. メロウの帽子

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「あらあら、管理人さんたち、どうしたの?」
 ふわりと空を飛んできたのは、ハーピーというモンスター。上半身が人間だけど、手は翼になっている。で、下半身は鳥なんだ。
「きゃー、ハーピーだ!」
「いやーん、羽むしられちゃう!」
 そう言って、わたしたちの近くにいたシルフたちはぱっと散って行ってしまった。
 羽、むしられるのか……。
「えっと、ハーピーさん。人間の男につれられている、メロウを見なかった?」
「見たわよ」
 あー、やっぱり成果なしかー。そう簡単にはいかない……。
 って、なんですと⁉
「見たの⁉ いつ、どこで?」
「さあ? どうだったかしら……。タダじゃしゃべりたくないな~」
 え、何? お金がいるってこと?
 わたし、まだお給料もらってないから、すっからかんなんだけど……。
「ねえ、あなたのその頭についてる髪飾り、すっごくかわいい。わたしにくれない?」
「えっ!」
 このシルフの羽の髪飾りを?
「くれたら、情報をあげるわ。わたし、そういうキラキラしたもの大好きなの」
 そんな……。
 これは、わたしが管理人になったお祝いに、ヴァンからもらったものなのに……。
「残念だけど、これはあげられなくて……」
「え~、それじゃなきゃ、嫌。教えてあげなーい」
 うう、どうしよう……。
 キヨコの人生(モンスター生?)がかかってるんだよね。
 キヨコが召使いとして、慣れない地上で生活するかと思うと、胸がズキリと痛む。
 モンスターを売買している闇市の話も、聞いたことがある。
 なんでも、マーメイドの肉は、若さを保つ薬になるのだとか……。
 キヨコが食べられちゃうなんて、絶対に嫌!
 だから、情報をもらった方がいいに決まっているんだけど。
「エート、そんくらい、おれがいつでも作ってやるから。わたしてもいいぞ」
 ヴァンに言われて、胸がぎゅっとなった。
 どうして? という思いと、嫌だ、という思いで胸がいっぱいになる。
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