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7.暴れゴーレムを止めろ!

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「な、何をやってるんじゃ、こら! 同士討ちはやめろ! さあ、散れ!」
 エルノックがあわてて言っても、無駄だった。
 超大型ゴーレムは、ゴーレムたちを殴り倒し、噛みつき、やりたい放題だ。
 ……って、こっちに向かってきたー!
「きゃあああ!」
 わたし目がけて、超大型ゴーレムの腕が振り下ろされる。
 ドガッ!
 それを蹴り上げたのは、ヴァンだった。
 す、すごいパワー。 
 腕が宙に跳ね上がったよ!
「ぼさっとしてんな! 来い!」
 わたしはヴァンに手をひかれ、ノームたちと一緒に岩影に隠れた。
「おかしいぞ……。ここにあった、ヒビ入りの核がなくなっている」
 エルノックが言うと、一匹のノームが驚きの声を上げた。
「エルノックのじいさん、それ、特別性の核じゃなかったのか⁉ ひとつだけ取ってあるから、おれはてっきり……」
 そう言って、若いノーム(ひげもじゃじゃなくて、フツーの小人さんだ)は、顔を青くした。
「何じゃと⁉ おまえ、あのヒビ入り核をいれちまったのか?」
「す、すまねえ、エルノックのじいさん……」
「それじゃあ、命令を聞かなくて当然じゃないか!」
 えっ、えっ、つまり、あの超大型ゴーレムの中に入っている核は、欠陥品ってこと⁉
「ゴーレムたちよ、あの超大型ゴーレムを止めろ!」
 エルノックが命令すると、ゴーレムたちが超大型ゴーレムにむらがった。
 それでも、ぶるん! っと超大型ゴーレムが身ぶるいするだけで、他のゴーレムたちは地面に落ちていく。
 その間に、エルノックは何か呪文を唱えた。
「だめじゃ、停止の命令もきかん。みんな、力を合わせて、いくぞ!」
 おおーと他のノームたちは声を上げ、みんなで超大型ゴーレムにむかって、手をつきだした。
 ゴババババッ!
 ひゃあ、地面がめくれ上がった!
 出てきたのは、先のとがった荒々しい岩のかたまり。
 これが、ノームの魔法⁉
 岩は、超大型ゴーレムの足につきささった。
 わー、見てるだけで痛い、痛い!
 が、超大型ゴーレムは、手でその岩をぼきりとへし折り、踏んで粉々にしてしまった。
 そっか、人形だから、痛みを感じないんだ!
「うーむ、困った……。こうなったら、管理人どの、なんとかしてくれぃ」
 よよよ、とエルノックはわたしにしなだれかかってきた。
 えっ!
 わたしたちが……?
 ヴァンの方を見ると、あちゃーって感じで、手で顔をおおっている。
 えええ、これも、管理人の仕事なの⁉
「しゃーねえ、いくぞ、エート」
 ヴァンはそう言って立ち上がり、超大型ゴーレムのところへ駆け出した。
 行動速すぎ!
 ちょっとは怖いって、考えないのかな……。
 それは、ベテラン管理人の度胸なのかもしれないけど。
「こら、エート、さぼってんな! おまえもなんとかしろ!」
 はい、ごめんなさい。
 ちょっと現実逃避してました……。
 その間に、ヴァンが蹴りを繰り出していたけれど、ゴーレムはふらつきはするものの倒れなかった。
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