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5. ダンジョン・マンションの日常
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えー、どうしよう。だって、あのヴァンだよ?
確かに、すっごく美形だってのは認めよう。
だけど、おれ様で、口が悪くて、手も足も出るのが早くて……。
まあ、面倒見はいいけど。
なんだろう、これは、恋愛感情というよりは……。
「兄貴って感じかなぁ」
わたしがそう言うと、キヨコはぶーっと吹き出して笑った。
「あはははっ、兄貴ね。あいつ、損よねー。顔はいいのに、あんな性格でしょ? まあ、何も知らない子にはもてるんだけどね」
「だから、わたしは何とも……。どっちかっていうと、わたしは……」
マオの方が、と言いかけて、顔がかーっと熱くなる。
え? わたし、マオのことそういう目で見てたの?
待って。確かに、大人の男って感じで、落ち着いていてかっこいいなぁとは思ってたけど!
頭ぽんぽんされて、甘やかされてドキドキしちゃったりもしたけど!
まさかのマオ⁉
はっとして見ると、キヨコがにや~っと笑みを浮かべていた。
「もしかして……、エートちゃん、マオの方が好み?」
「ち、違うって! もう、キヨコ、からかわないで!」
ううう、顔が熱い。
ドンドンドン!
ノックの音。次のお客様だ。
わたしは熱くなった頬を冷まそうと、ぱたぱたと手であおぐ。
「ほら、キヨコ。苦情もお願いもないなら、もうお引き取り願います、だよ!」
「は~い、分かった、分かった。じゃーねー」
キヨコがドアを開けると、入れ替わりにヴァンが入ってきた。
あれ、なんだか難しい顔をしてる? 不機嫌、とはまた違うような……。
何か問題が発生したのかな?
わたしはキンチョーして、言葉を待つ。
ヴァンはしばらく黙ってたけど……。
「やる」
「へ?」
いきなり、ずいっとつきだされた小さな箱。
「やる」ってことは……。
「わたしに?」
「他にだれがいるんだよ」
いや、まあそうなんだけど。
箱をうけとって、「開けていい?」と聞いてみると、「ああ」とぶっきらぼうな返事。
なんだろう……?
確かに、すっごく美形だってのは認めよう。
だけど、おれ様で、口が悪くて、手も足も出るのが早くて……。
まあ、面倒見はいいけど。
なんだろう、これは、恋愛感情というよりは……。
「兄貴って感じかなぁ」
わたしがそう言うと、キヨコはぶーっと吹き出して笑った。
「あはははっ、兄貴ね。あいつ、損よねー。顔はいいのに、あんな性格でしょ? まあ、何も知らない子にはもてるんだけどね」
「だから、わたしは何とも……。どっちかっていうと、わたしは……」
マオの方が、と言いかけて、顔がかーっと熱くなる。
え? わたし、マオのことそういう目で見てたの?
待って。確かに、大人の男って感じで、落ち着いていてかっこいいなぁとは思ってたけど!
頭ぽんぽんされて、甘やかされてドキドキしちゃったりもしたけど!
まさかのマオ⁉
はっとして見ると、キヨコがにや~っと笑みを浮かべていた。
「もしかして……、エートちゃん、マオの方が好み?」
「ち、違うって! もう、キヨコ、からかわないで!」
ううう、顔が熱い。
ドンドンドン!
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わたしは熱くなった頬を冷まそうと、ぱたぱたと手であおぐ。
「ほら、キヨコ。苦情もお願いもないなら、もうお引き取り願います、だよ!」
「は~い、分かった、分かった。じゃーねー」
キヨコがドアを開けると、入れ替わりにヴァンが入ってきた。
あれ、なんだか難しい顔をしてる? 不機嫌、とはまた違うような……。
何か問題が発生したのかな?
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ヴァンはしばらく黙ってたけど……。
「やる」
「へ?」
いきなり、ずいっとつきだされた小さな箱。
「やる」ってことは……。
「わたしに?」
「他にだれがいるんだよ」
いや、まあそうなんだけど。
箱をうけとって、「開けていい?」と聞いてみると、「ああ」とぶっきらぼうな返事。
なんだろう……?
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