【完結】お試しダンジョンの管理人~イケメンたちとお仕事がんばってます!~

みなづきよつば

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 というわけで、やってきました。ドアをくぐって、お試しダンジョン地下二階。
 今度はヴァンだけじゃなくて、マオも同行している、らしい。なんでも、魔法で姿を消してるのだとか。
 わたしの採用試験だものね。ヴァンにもマオにも頼れない。ドキドキだよ。
 あ、いた。カゼひきサラマンダー。
 ぶああっくしょーい! 
 と、思いっきり火を吐いている。
 もしかして、悪化してない?
「も、もしもーし、そこのサラマンダーさん!」
 わたしが声をかけると、サラマンダーは、こちらを向いた。
「なんじゃ? 小娘が魔物言語をしゃべるとは」
 のそのそと歩み寄ってきたサラマンダーを見て、感動する。
 うわー、すごい! 新鮮な感じ!
「あ、そこにいるのはヴァンの小僧! 小娘、まさかおまえもあの薬を無理矢理飲ませにきたのか!」
 サラマンダーは、ヴァンを見つけると一気に機嫌を悪くした。
 そりゃあ、あれだけ過激な攻撃をされたら、そうなるよね……。
「いえ、その、ヴァンは関係なくて、今日はちょっとお話をしたくてですね……」
「お話だと? 何だ? 言ってみろ。つまらなかったら、おまえをまるかじりしてやるぞ」
 ひええ!
 手足がガクガクふるえる。
 話さなきゃ、話さなきゃ……!
「その、サラマンダーさんは、わたしたちを攻撃するほど、この薬が苦くてイヤなんですか?」
 ぎゃー、何言ってんの、わたし! 超がつくほどストレートに言ってしまった!
 まずは世間話でもするつもりだったのに……。
「イ、イヤというか……。わしは火の王者、サラマンダーさまじゃ! そんなものに頼らなくても、自力でカゼなんて治してみせる!」
 ん? おお? 動揺してる? 目がキョロキョロと泳いでるぞ。
 口ぶりからして、このサラマンダーは、プライドの高い自信家であるとみた。
 じゃあ、こうすれば……。
「存じ上げております、王。わたしも幼い頃より、絵本で王のお話を何度もうかがっておりました。今、王を目の前にして、感動にふるえております」
 いや、ふるえてるのはサラマンダーが怖いからなんだけどね。
 でも、サラマンダーは満足そうに鼻息をふしゅーと吐いた。
 よーし、この調子で……。
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