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3.職業判明!
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というわけで、やってきました。ドアをくぐって、お試しダンジョン地下二階。
今度はヴァンだけじゃなくて、マオも同行している、らしい。なんでも、魔法で姿を消してるのだとか。
わたしの採用試験だものね。ヴァンにもマオにも頼れない。ドキドキだよ。
あ、いた。カゼひきサラマンダー。
ぶああっくしょーい!
と、思いっきり火を吐いている。
もしかして、悪化してない?
「も、もしもーし、そこのサラマンダーさん!」
わたしが声をかけると、サラマンダーは、こちらを向いた。
「なんじゃ? 小娘が魔物言語をしゃべるとは」
のそのそと歩み寄ってきたサラマンダーを見て、感動する。
うわー、すごい! 新鮮な感じ!
「あ、そこにいるのはヴァンの小僧! 小娘、まさかおまえもあの薬を無理矢理飲ませにきたのか!」
サラマンダーは、ヴァンを見つけると一気に機嫌を悪くした。
そりゃあ、あれだけ過激な攻撃をされたら、そうなるよね……。
「いえ、その、ヴァンは関係なくて、今日はちょっとお話をしたくてですね……」
「お話だと? 何だ? 言ってみろ。つまらなかったら、おまえをまるかじりしてやるぞ」
ひええ!
手足がガクガクふるえる。
話さなきゃ、話さなきゃ……!
「その、サラマンダーさんは、わたしたちを攻撃するほど、この薬が苦くてイヤなんですか?」
ぎゃー、何言ってんの、わたし! 超がつくほどストレートに言ってしまった!
まずは世間話でもするつもりだったのに……。
「イ、イヤというか……。わしは火の王者、サラマンダーさまじゃ! そんなものに頼らなくても、自力でカゼなんて治してみせる!」
ん? おお? 動揺してる? 目がキョロキョロと泳いでるぞ。
口ぶりからして、このサラマンダーは、プライドの高い自信家であるとみた。
じゃあ、こうすれば……。
「存じ上げております、王。わたしも幼い頃より、絵本で王のお話を何度もうかがっておりました。今、王を目の前にして、感動にふるえております」
いや、ふるえてるのはサラマンダーが怖いからなんだけどね。
でも、サラマンダーは満足そうに鼻息をふしゅーと吐いた。
よーし、この調子で……。
というわけで、やってきました。ドアをくぐって、お試しダンジョン地下二階。
今度はヴァンだけじゃなくて、マオも同行している、らしい。なんでも、魔法で姿を消してるのだとか。
わたしの採用試験だものね。ヴァンにもマオにも頼れない。ドキドキだよ。
あ、いた。カゼひきサラマンダー。
ぶああっくしょーい!
と、思いっきり火を吐いている。
もしかして、悪化してない?
「も、もしもーし、そこのサラマンダーさん!」
わたしが声をかけると、サラマンダーは、こちらを向いた。
「なんじゃ? 小娘が魔物言語をしゃべるとは」
のそのそと歩み寄ってきたサラマンダーを見て、感動する。
うわー、すごい! 新鮮な感じ!
「あ、そこにいるのはヴァンの小僧! 小娘、まさかおまえもあの薬を無理矢理飲ませにきたのか!」
サラマンダーは、ヴァンを見つけると一気に機嫌を悪くした。
そりゃあ、あれだけ過激な攻撃をされたら、そうなるよね……。
「いえ、その、ヴァンは関係なくて、今日はちょっとお話をしたくてですね……」
「お話だと? 何だ? 言ってみろ。つまらなかったら、おまえをまるかじりしてやるぞ」
ひええ!
手足がガクガクふるえる。
話さなきゃ、話さなきゃ……!
「その、サラマンダーさんは、わたしたちを攻撃するほど、この薬が苦くてイヤなんですか?」
ぎゃー、何言ってんの、わたし! 超がつくほどストレートに言ってしまった!
まずは世間話でもするつもりだったのに……。
「イ、イヤというか……。わしは火の王者、サラマンダーさまじゃ! そんなものに頼らなくても、自力でカゼなんて治してみせる!」
ん? おお? 動揺してる? 目がキョロキョロと泳いでるぞ。
口ぶりからして、このサラマンダーは、プライドの高い自信家であるとみた。
じゃあ、こうすれば……。
「存じ上げております、王。わたしも幼い頃より、絵本で王のお話を何度もうかがっておりました。今、王を目の前にして、感動にふるえております」
いや、ふるえてるのはサラマンダーが怖いからなんだけどね。
でも、サラマンダーは満足そうに鼻息をふしゅーと吐いた。
よーし、この調子で……。
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