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2.カゼひきサラマンダー

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「いいか、さっきまでいたマンションは、こういう風に、ドアでお試しダンジョンとつながってる。おれたちが管理するのは、このダンジョンだ。で、管理人の仕事には、ダンジョンに住むモンスターの管理も含まれてるってワケだ」
 か、管理人って、ダンジョンの管理人ってことだったの⁉
 ダンジョンにつながってるマンションだから、「ダンジョン・マンション」ってワケ⁉
 そんなの、聞いてないよおおお!
 混乱しているわたしをよそに、ヴァンはきょろきょろと辺りを見回し、ある一点で目を止めた。
「いた。カゼひきサラマンダーだ」
「え」
 わたしは、さびついたからくり人形が動くように、ゆっくりとそちらの方へ首を動かした。
 そこにいたのは、びっくりするほど巨大なトカゲだった。ウワサに聞く、ドラゴンくらいあるんじゃないの、これ……。
 大トカゲは、体に火をまとっていた。うわあ、初めて見た。これが、本物のサラマンダーなのか……。
 ぶえっくしゅーん!
 と、サラマンダーがくしゃみ(?)をした瞬間、ボウッ! と口から炎が出た。
 また辺りの気温がむっと上昇する。
 こ、このサラマンダーを捕まえるってこと?
 無理無理無理! あんなのをどうしろと?
 頭が真っ白になっているわたしをよそに、ヴァンは足の屈伸をしたり、ぐっと伸びをしたりして、準備運動らしきものを始めた。
「ドア閉めろ。あっちに被害が行くと困る」
 わたしはあわててドアを閉めた。すると、すうっとドアが消えてなくなってしまった。
 あああ、逃げ道が消えてしまった!
「いいか、おれがおまえの方に追い込むから、おまえはサラマンダーを捕獲しろ」
「へぁっ⁉ わたしが?」
「何、変な声出してんだ。いいな、いくぞ」
 言うと同時に、ヴァンはサラマンダーに向かって駆け出していた。
 ヴァンに気づいたサラマンダーは、その太い尾をヴァンに向けて振りまわした。
 それをヴァンは飛んで避けると、そのままサラマンダーの胴体に思い切り蹴りを放った。
 ドガッ!
 にぶい音がして、サラマンダーがぐらつく。
 ひええ、熱そう! ヴァンの足は大丈夫なの⁉
 そんな心配をよそに、ヴァンはサラマンダーの体の火が燃え移る前に飛んでは離れ、尾を避けてはまた蹴りを入れ……。次々と攻撃を繰り出していく。
 場違いだけれど、それはまるで熟練した演者の舞のように感じられた。
「ぼさっとしてんな、エート! つかまえろ!」
 ……はっ、しまった、みとれていた。
 というか、サラマンダーがこっちに向かってきてるじゃん! 
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