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1.ダンジョン・マンションのチラシ 

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 着いた場所は、ボロいけどそれなりに大きな建物だった。
 ドアをノックすると、「開いている」という若い男の人の声。
 ドアを開けると、そこは応接室のようだった。広いスペースに、大きな机。ソファもある。
「失礼いたします」
 静かにドアを閉めた後、一礼し、辺りを目だけで見回す。
 フロアは吹き抜けになっていて、二階に部屋が並んでいるのが見えた。
 部屋の両脇から上がれるように、大きな階段があって、二階へ続いている。
 大きな机をはさんでイスに座っていたのは、銀髪に銀の瞳の男の人だった。
 うわ、カッコイイ。すらっとしてて、背も高そう。
 ただ、目つきが非常に悪いのがちょっとコワイ……。
 お、怒ってないよね?
「あ、あの、わたし、掲示板にあったチラシを見てうかがわせていただきました。住み込み管理人募集というものなのですが……」
 言っている間にも、男の人は、わたしをじいっと品定めするように見てくる。
 もしかして、面接はすでに始まっているの? 
 この人、かなり若いよね、二十代前半くらいかな。実は偉い人?
 そんなことを思っていると……。
 ドォンッ!
「きゃあ!」
 何、爆発⁉
「……ああ、サラマンダーだ。気にしないでいい」
 男の人は、ぼそりとつぶやいた。
 えっ、サラマンダーって、あのモンスターのサラマンダー? 
 見た目は超巨大なトカゲ。でもって、体中が燃え上がっていて、炎の息を吐くっていう……、アレのこと?
 音のした方を見ると、二階のとある部屋のドアがけたたましい音を立てて開いた。
「マオ! やっぱダメだ。あのサラマンダー野郎、完全にカゼひいちまった!」
 ドアを蹴り飛ばして開けたのは、金髪の少年だった。遠目でも分かるほど、この人も美形だ。
 ただ、その顔はとてつもなく不機嫌そうにゆがめられている。
「ヴァン、今は人が来ている。静かに」
 マオと呼ばれた銀髪の男の人は、動じることなくそう注意した。
 いやいや、ヴァンさんが出てきた部屋から、黒い煙がもくもくと出てるんですけどっ!
「か、火事ですか?」
 わたしがあわててると、ヴァンさんが二階の手すりを乗り越え、こちらへむかって飛び降りてきた。
 ちょっと、かなりの高さがあるんだけど⁉
 ダンッ!
 そんな心配をよそに、ヴァンさんは華麗に着地してみせた。
 わたしがほっとしてると、ヴァンさんはわたしに向かってガンを飛ばしてきた。
「マオ、だれだ、こいつ?」
 うわー、キレイな青い目。まつ毛ながーい。鼻たかーい。
 背はわたしより、頭ひとつ分高いくらいかな。
 この人は、わたしとそう年が変わらなそう。ちょっと年上くらい?
 ……じゃなくて、うう、美形なだけに怖いってば! 
「ああ、住み込み管理人希望者だ。……ちょうどいい。きみ、面接の代わりに、ヴァンの手伝いをしてくれ。それで管理人として合格か不合格か決めよう。いわば、管理人になるためのテストだな」
「ええ⁉」
 面接じゃなくて、テスト⁉
 話が違うじゃん!
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