【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~

みなづきよつば

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4.探せ! 借りもの返却競争

4-2

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 見ると、マナトが感心した顔で拍手していた。

「すげー。よくそんなにすらすらとウソをつけるな」

 うるせー。
 悲しくも身についちまったんだよ。

「うむ、才能豊かでよろしい」

 マナトの影からは、ノワールの声がした。
 そんなとこにいたのか……。
 って、ん? なんでマナトはこんなに余裕があるんだ?
 ま、まさか……。
 マナトはふふんっと笑った。

「ま、勝負はおれの勝ちなんだけどな」

 マジかよ⁉

「どうやったんだよ⁉」

「しーっ、そんなに大声出すなよ。いったん教室にもどろう」

 おれはしぶしぶマナトについて、結界のはってある教室にもどった。

「さて、リキくん。何か貸してもらえないかい?」

 マナトは演技がかった口調としぐさでそんなことを言った。
 おれはムカつきつつ、
 ブレザーのポケットからくしゃくしゃになったハンカチを取り出す。
 マナトはそれを片手に、もう片方の手に杖を持った。

「その身を隠し、人々の目をあざむけ。
カレード・ウィッカ・レトール」

 瞬間、ふっとハンカチの姿が消える。
 続いて、マナトはまた呪文を唱えた。

「つれさられしものよ、
風の精霊の力を借りて、あるじのもとにもどれ。
キューリオス」

 ……、もしかして。
 おれはそっとブレザーのポケットに手をやった。
 すると、中にはさっきマナトにわたしたはずの、くしゃくしゃのハンカチ。

「……はあああ⁉ 
こんなに簡単に持ち主のもとにもどるとか、アリかよ!」

「アリなんです~。
おまえ、『仲間』をなかなか見つけられなかったみたいだからな。
人探し系は苦手だと思った。
予想通り、おれの勝ちだな!」

 ぐぬぬぬと、腹が立ったけど、それと同時に……。

「ぶっ、ふふふ。ははは!」

 なんだか、笑えてきた。

「うお、なんだいきなり」

 マナトがちょっとひいてるのも、なんだかおかしい。

 だって、おれの超能力とかにはまったくひかなかったくせに、
 ただの「おれ自身の行動」にひいてるんだぜ?

「あはは。
だってさ、おれ、エスパーなのに、一般人に負けちまって……」

「はあ⁉ だれが一般人だ。おれは、魔法使いだってーの」

「いや、そうなんだけどさ。
……オマエ、すげーよ」

 二回戦で負けてから。
 いや、一回戦が終わった時からか。
 素直に思えるようになったんだ。

「杖と呪文が必要でも、オマエって、
おれに張り合えるくらいすげーってことが、よくわかった。
……バカにして、悪かったよ」

 マナトは、びっくりしたように目を大きく見開いた後、
 もごもごと「おれも、オマエがすごいって思った……」
 と小さな声で言った。

「魔法使いに勝てるなんて、すげーよ。一般人のくせに」

「一般人じゃありません~。エスパーです~」

「……そうなんだけどさ。おれも、オマエのこと軽く見て悪かった」

 似たようなやりとりを繰り返して、お互いぶふっと吹き出す。

「あはは。なんだよ、瞬間移動とか、ありえねーから!」

「オマエこそ、なんでそんな、
『もとの持ち主にもどれ~☆』みたいな、
ふわっとした感じで能力使えんだよ! 
ふははっ、抽象的すぎんだろ!」

「ははは、確かに。
でもさ、その抽象的すぎる魔法のおかげで、おれたち会えたんだぜ?」
 
 マナトの言葉に、はっとする。

「……そうだな、オマエのおかげなんだよな」

 おれは笑うのをやめ、姿勢を正してまっすぐ立つと、マナトにむかって口を開いた。

「おれが願ったのは、
『どうか、おれと同じさびしさをもつ仲間と出会えますように』。
今日実際オマエにあって、さびしさなんてふっとんじまった」

 マナトは笑い顔から、だんだんと真剣な顔になっていった。
 じっと、おれの話を聞いてくれてる。

「だから、その……。
ありがとうな。おれを見つけてくれて」

 照れくさいけど、早口にならないように気をつけて、しっかりと思いを伝える。

「別に、礼なんていい。
……おれも、さびしさとか、全部なくなったし」

 マナトはぽつりと言い、顔を赤くしてふいっとそっぽを向いた。
 マナトも、同じ気持ちだったんだ。
 なんだか心がじわりと温かくなる。

「なあ、マナト。オマエのこと、『仲間』だって思っていいか。
エスパーと魔法使いで、いといろ違うところはあるけど……。
でも、絶対バレちゃいけない『能力』をもってるもの同士、
同じさびしさをかかえてたもの同士でさ」

 マナトは驚きの表情を浮かべた。
 えっ……。もしかして……、イヤだったとか? 

「オマエ、おれの心読んだ? 
おれ、まったく同じこと、考えてたんだけど……」

 ……ああ、もう、最高だ!

「読んでねーよ! 
それだけ、おれたちは似た者同士ってことだろ!」

 「似た者同士……」と、その言葉をかみしめるように、マナトがつぶやく。

「……うん。確かに、そうかもな。ほら」

 マナトはおれに向かい、手を差し出した。

「なんだ?」

「握手。最初のは、あいさつの握手。
これは……。今後とも、よろしくの握手だ」

「わ~、マナトくんってば、イケメ~ン!」

「うるせえ! おれがイケメンなのは、当然なんだよ!」

 軽口をたたきながら。
 そして、照れで顔を赤くしながら。おれたちは再び握手をかわした。

「おれたち『ヒミツかかえたさびしんぼ同盟』だな。」

「ははっ、マヌケな響き! でも、確かにな!」 

 マナトの的確なネーミングに、ふたりで笑い合う、

「お? 勝負はもういいのか?」 

 いつの間にか姿をあらわしたノワールに、
 おれたちは「ああ」、「そうだな、もういいか」とこたえた。
 お互いのすごいところもわかった。だから、引き分け。
 それでいいんじゃないか?

「なんじゃ、次は大食い競争にしようと思ってたのに……」

 しょんぼりとつぶやいたノワールに、
 おれたちは「それ能力関係ねーだろ!」と
 同時にツッコミをいれたのだった。
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