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愛を伝えるにはどうしたら?
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ぼくの良くない頭ではよくわからなくて、書類と玲司さんを何度も見比べてしまう。何か言ってくれなきゃ意味がわからない。
もう一度ソファに座らせられて、隣に腰掛けた玲司さんが、これはここの、と指をさす。
「ここ……」
「このマンション」
「……?」
「この部屋を凜の名義にします」
「……えっ?」
何か言ってくれても意味がわからなかった。
……ぼくのめいぎ?……とは、一体。
「これは株」
「かぶ」
「こっちは土地こっちは」
「え、え、あの、なに、なんのはなし」
「俺のものを凜の名義にかえるの。来年くらいに話そうかな、と思ってたんだけどこの際だ、年越す前に話しておこうと思って」
「?」
「囲い込みだよ」
よくわからない。
なんかすごいことになってるってことだけしかわからなかった。
権利書?株?土地?ぼくの名義にかえる?囲い込み?どういうこと?
「これで少しくらい、凜の不安が無くなれば……減ればいいんだけど」
「え……」
「そしたら俺も安心出来るから」
「……何が言いたいのか、わからな……ごめ、ごめんなさい、ぼく、頭良くない、から……」
怒ってる訳ではないのはわかる。
焦ってしまうのは突然のことに動揺しているから。難しいことに直面すると、頭が働かない。
「……俺の為に、名義を変更していい?」
「え、わ、わかんな、え、税金、とか?」
「そういう対策的なものではなく、ね」
「難しいことわかんないです……」
「難しい話でもなくて」
負の連鎖になっちゃうんだよね、と玲司さんが呟いた。
「え……」
「凜に不安になってほしくないんだ……母親みたいに心を病んで出て行ってほしくない、こんなことで不安はなくならないかもしんないけど、少しでも繋ぎ止めておく方法を取りたくて」
「そんな……」
「俺が安心したいんだ、俺が凜のこと、ちゃんと大切に思ってるよって伝えたら、少しでも凜が安心してくれたら、余裕があれば、出て行かないって……俺が、安心したい」
その為にしたいんだ、と真面目なかおで、どこか必死な声で言うものだから、正直過剰だと思うのだけれど頷くしかないような気がする。
そんなの貰わなくたって、ぼくは玲司さんから離れてくなんてことはしない。
玲司さんがぼくを要らないと捨てない限り、ぼくから離れたりなんかしない。
でもぼくがそうやって捨てられないようにと思ってしまうように、玲司さんもぼくが出ていかないか、裏切らないか、その不安が消えることはないのだろう。だってひとの気持ちは変わるから。
だから自分で出来ることを、そんなに心配しなくていいよ、そんなことはしないよって相手に伝えないといけない。
玲司さんから与えられてばかりじゃなくて、ぼくだってちゃんと返さなきゃ、玲司さんを不安にさせたい訳じゃないんだから。
「玲司さん……」
「うん?」
「あの、そんなにたくさん、いらないんですけど、でも」
「俺がそうしたいんだ」
「……はい、でも、ぼくにはその……土地とか株とかわからなくて、難しくて……だから、えっと、名義とか、変更はいいんですけど、でも、それをどうしたらいいかなんてわからないから……」
「……」
「……だから、玲司さんがずっと一緒にいて、教えてくれなきゃ、だめで……っう」
言い切る前にぎゅうと抱き締められた。
書類がぐしゃぐしゃになりそうで、慌てて脇の方へ除ける。
それからそっと玲司さんの背中に腕を回した。
ぼくがどんどん欲張りになっていくように、玲司さんもほしいものが増えていくのだろうか。
ぼくにどうしてほしいとか、そういうのが大きくなったりするんだろうか。
手を繋ぐのも、こうやって抱き締めることも、もっともっとと思ってしまうことも、玲司さんだって同じなんだろうか。
ぼくが、きらわれたら、と思ってしまうことも、玲司さんも躊躇ってしまったりするのだろうか。
「んん……」
「……ごめん、苦しい?」
「ッは、ん、今は大丈夫、です」
真正面から抱き締められたせいでかおが玲司さんに覆われてしまったから息が出来なかった。玲司さんが少し離れたことで角度を変えることが出来たから、今はもう大丈夫。寧ろもっとぎゅうってしててほしい。
さっきの香水のにおいと、元々の玲司さんのにおいがする。
番になったら少し落ち着くかと思ったのに、そういうことはなくて、少ししたことで玲司さんのにおいにあてられてくらくらしてしまう。ヒートこそ引き摺り出されはしないけれど、似たような状態になってしまう。
こどもが出来ると少し落ち着くらしいけれど、こどもの出来ないぼくはずっと定期的なヒートは続くんだろう。
その度に相手をしてもらうのは悪い気がするけれど、不安だけど、でも、玲司さんには一緒にいてもらいたい。
「あの……」
「……部屋行く?」
「…………はい、」
折角いい雰囲気だったのに、躰があつくなってしまった。
ちょっとぎゅっとされただけでこれ。こんなになってしまう躰にされて、離れられる訳がない。恥ずかしいけれど、玲司さんはにっこり笑って、素直でかわいい、良い子だ、と頭を撫でた。
……単純だから、それだけでもう溶けてしまいそう。
もう一度ソファに座らせられて、隣に腰掛けた玲司さんが、これはここの、と指をさす。
「ここ……」
「このマンション」
「……?」
「この部屋を凜の名義にします」
「……えっ?」
何か言ってくれても意味がわからなかった。
……ぼくのめいぎ?……とは、一体。
「これは株」
「かぶ」
「こっちは土地こっちは」
「え、え、あの、なに、なんのはなし」
「俺のものを凜の名義にかえるの。来年くらいに話そうかな、と思ってたんだけどこの際だ、年越す前に話しておこうと思って」
「?」
「囲い込みだよ」
よくわからない。
なんかすごいことになってるってことだけしかわからなかった。
権利書?株?土地?ぼくの名義にかえる?囲い込み?どういうこと?
「これで少しくらい、凜の不安が無くなれば……減ればいいんだけど」
「え……」
「そしたら俺も安心出来るから」
「……何が言いたいのか、わからな……ごめ、ごめんなさい、ぼく、頭良くない、から……」
怒ってる訳ではないのはわかる。
焦ってしまうのは突然のことに動揺しているから。難しいことに直面すると、頭が働かない。
「……俺の為に、名義を変更していい?」
「え、わ、わかんな、え、税金、とか?」
「そういう対策的なものではなく、ね」
「難しいことわかんないです……」
「難しい話でもなくて」
負の連鎖になっちゃうんだよね、と玲司さんが呟いた。
「え……」
「凜に不安になってほしくないんだ……母親みたいに心を病んで出て行ってほしくない、こんなことで不安はなくならないかもしんないけど、少しでも繋ぎ止めておく方法を取りたくて」
「そんな……」
「俺が安心したいんだ、俺が凜のこと、ちゃんと大切に思ってるよって伝えたら、少しでも凜が安心してくれたら、余裕があれば、出て行かないって……俺が、安心したい」
その為にしたいんだ、と真面目なかおで、どこか必死な声で言うものだから、正直過剰だと思うのだけれど頷くしかないような気がする。
そんなの貰わなくたって、ぼくは玲司さんから離れてくなんてことはしない。
玲司さんがぼくを要らないと捨てない限り、ぼくから離れたりなんかしない。
でもぼくがそうやって捨てられないようにと思ってしまうように、玲司さんもぼくが出ていかないか、裏切らないか、その不安が消えることはないのだろう。だってひとの気持ちは変わるから。
だから自分で出来ることを、そんなに心配しなくていいよ、そんなことはしないよって相手に伝えないといけない。
玲司さんから与えられてばかりじゃなくて、ぼくだってちゃんと返さなきゃ、玲司さんを不安にさせたい訳じゃないんだから。
「玲司さん……」
「うん?」
「あの、そんなにたくさん、いらないんですけど、でも」
「俺がそうしたいんだ」
「……はい、でも、ぼくにはその……土地とか株とかわからなくて、難しくて……だから、えっと、名義とか、変更はいいんですけど、でも、それをどうしたらいいかなんてわからないから……」
「……」
「……だから、玲司さんがずっと一緒にいて、教えてくれなきゃ、だめで……っう」
言い切る前にぎゅうと抱き締められた。
書類がぐしゃぐしゃになりそうで、慌てて脇の方へ除ける。
それからそっと玲司さんの背中に腕を回した。
ぼくがどんどん欲張りになっていくように、玲司さんもほしいものが増えていくのだろうか。
ぼくにどうしてほしいとか、そういうのが大きくなったりするんだろうか。
手を繋ぐのも、こうやって抱き締めることも、もっともっとと思ってしまうことも、玲司さんだって同じなんだろうか。
ぼくが、きらわれたら、と思ってしまうことも、玲司さんも躊躇ってしまったりするのだろうか。
「んん……」
「……ごめん、苦しい?」
「ッは、ん、今は大丈夫、です」
真正面から抱き締められたせいでかおが玲司さんに覆われてしまったから息が出来なかった。玲司さんが少し離れたことで角度を変えることが出来たから、今はもう大丈夫。寧ろもっとぎゅうってしててほしい。
さっきの香水のにおいと、元々の玲司さんのにおいがする。
番になったら少し落ち着くかと思ったのに、そういうことはなくて、少ししたことで玲司さんのにおいにあてられてくらくらしてしまう。ヒートこそ引き摺り出されはしないけれど、似たような状態になってしまう。
こどもが出来ると少し落ち着くらしいけれど、こどもの出来ないぼくはずっと定期的なヒートは続くんだろう。
その度に相手をしてもらうのは悪い気がするけれど、不安だけど、でも、玲司さんには一緒にいてもらいたい。
「あの……」
「……部屋行く?」
「…………はい、」
折角いい雰囲気だったのに、躰があつくなってしまった。
ちょっとぎゅっとされただけでこれ。こんなになってしまう躰にされて、離れられる訳がない。恥ずかしいけれど、玲司さんはにっこり笑って、素直でかわいい、良い子だ、と頭を撫でた。
……単純だから、それだけでもう溶けてしまいそう。
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