【完結】でも、だって運命はいちばんじゃない

ちかこ

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でも、だって初めてだったから

6*

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 和音がキスに夢中になってる間に、もう俺も我慢が出来なくなって自身を和音に押し付けた。
 ん、と鼻息が漏れて、和音もそれに意識をしたのがわかる。
 ここまで濡れていると潤滑油もいらない。
 オメガというのはそういう生き物で、かわいそうで、それでも求められることに嬉しいと思ってしまう。
 ここはもう、俺しか挿入れない場所。

「ん、ん、んう……ゔ」

 先が挿入ってしまえば後は簡単に和音のナカに潜ってしまえる。ぎゅうぎゅう締め付ける癖に、柔らかくて、もっと奥に入ってと言ってるかのよう。
 唇を離さずに息を漏らす和音の髪を撫でる。
 今更痛みも恐怖もないだろうけれど、それでもやはり負担が掛かるのは受け入れる方だ。だから濡れる。守る為に。

「は、あぅ……う、ン……」
「気持ちい?」
「ん、んう、う、きもひい……」

 俺の唇を噛むのに夢中だ。そんなことで満足するなら幾らでもすればいい。
 明日唇が腫れてしまっても、ヒート休暇だから構わない。
 動いてもいい、と訊くと、やっと離れた唇が、うん、と頷いた。

「……ッ」
「はー……まだ奥、狭いね」
「んあ……」
「ん、気持ちいいねえ。突かれるのとぐりぐりされるの、どっちがすき?」
「どっ……ぁん、う、どっちもお……っ」
「どっちもかあ、うん、どっちもしよう、ねっ」
「あッ……!」

 ひと突きするだけでびゅく、と和音のものから白いものが溢れる。
 奥の方を、ゆっくりと押すように、とんとんと動かしたり、押し付けるようにぐりぐりとすると、じわ、と漏れる。
 素直な和音のものも、もう喘ぐことしか出来ない和音の口も、どちらも愛おしい。
 でも俺、まだ一回もイってないんだよね。
 かわいい和音に散々煽られて、正直限界。

「ね、もっと奥、入ってもいい……?」
「おく……」

 もっと?と少し膨らんだ腹を擦り、和音が呟く。
 そう、もっと奥。入るもんね?

「ゆうまさんのすきに、して、いいよ……」
「和音がヤなら我慢するよ」
「やだ、しないで、がまん……きょう、薬、飲んでないんでしょ……?」
「うん」
「おれ、ヒート中、は、いたくない、から……ゆーまさん、いっぱい、すきにしていいよ」
「……んぐ」
「あ、おっきくなったあ……」

 嬉しい?と無邪気に和音が訊く。
 嬉しいというか……
 発情期の和音はえっち。もう。知らん。

「きもちいよ、悠真さんが、くれるの、ぜんぶ。いたくない、くるしくないから、もっと、きもちよく、して」

 だいすき。

 そう動いた唇に我慢が出来なかった。
 和音の腕を取って、背中に回させて。もっと密着して、腰を進める。
 和音の躰がかたくなって、指先に力が入る。短く切った爪が、それでも尚肉に食い込む。
 不思議とその痛みすら気持ちいい。

「あ、あ、奥っ……」
「ん……」
「は、ぁう、ん……ッ!」

 和音はもう、腹の上がどうなってるかなんて気付いてないんだろうな。

「ん、う、あ、ッ……あ、いっ……」

 内腿が痙攣するように震えて、ナカがぎゅうと締まって。
 それでも止められない。
 和音の奥の方に出したい。
 まだこどもはいらないと話した。避妊薬も服用してる。まだ和音だけを、和音がもう十分だと思うくらい愛していたい。
 それでも本能がそうさせてしまう。

 かわいいだろうな、和音のこども。だって和音がかわいいから。

「っあ、あ、ゆっ、あ、いく、あっ、や、まだ出ちゃ、あ、ゆうまさんっ、あ、あ、……ッあ!」
「待って、俺も出る、……かわいい、和音、口、開けて、ほら、苦しいかもしんないけど」
「ん、ン……する、して、口、いっぱい……」

 薄く開かれた口に舌を差し込む。
 甘い。甘くて、頭が痺れそう。おかしくなる。
 ふたり揃って息を荒くして、呼吸も心臓も頭もおかしくなって、ぎゅうとくっついて、溶けてひとつになってしまいそうなくらい。
 酸欠で死にそう。それでも唇を離せなかった。

「ふ、ぁ、っう、らめ、でう、出ちゃ……も、い、ゆーまさん、イきたいっ……」
「ん、いいよ……っ」
「……っ、あ、──……ッ」

 まるで和音の声を食べてしまったかのようだった。
 酷く甘い声は俺以外、誰も聞くことなんて出来ないのに。
 俺ってこんなに、独占欲酷かったんだな。


 ◆◆◆

「は……」

 眩しさに瞳を開けるともう……何時だ、うわ、十時。
 勿論朝の、いや、昼前の十時だった。
 横にはすうすうと穏やかな寝息の……たまに鼻を詰まらせたように、ず、と啜る和音が寝ていた。
 目元は紅く染まっていて、涙の跡も涎の跡も残っている。

 普段なら後始末をして、シャワーを浴びて、翌日の準備をして、綺麗なベッドで就寝、の予定だった。
 え、抑制剤飲まないのこわあ……
 ここから見えるだけで、和音の首元には紅くなった痕と噛まれた痕が見える。掛け布団を剥ぐ勇気はなかった。
 和音の発情期はまだ初日が終わったばかり。

 腕を伸ばし、自分の抑制剤を一錠、それと水。
 ちゃんと約束は果たした。一回だけ。
 俺には抑制剤を飲んでるくらいが合ってる。
 躰もシーツもでろでろに汚れてるんだろうな……
 和音が起きたら全部綺麗にしよう。和音も風呂にぶち込もう。きっとタオル程度では綺麗にならないだろうから。
 夕飯も食べてない。腹が減った。和音にも食わせなきゃ。何を作ろうか。
 ああ、約束したプリンも作らなきゃ。買ってきたプリンに頬を膨らませる和音もかわいいけれど、素人の作ったプリンに喜ぶ和音はもっとかわいい。
 あのかおが見れるなら、俺は慣れない菓子作りでもなんでもしたくなってしまう。

 ……かわいい。
 巣作りが下手くそでも、なんだっていい。
 でも次は喜ぶところも、褒められて嬉しそうにする和音も見たい。

 ふたりで住み始めて、まだ色々と始まったばかりだ。
 和音が働き始めたらきっともっと大変なことは増えると思う。
 でも大丈夫だろう、根が頑張り屋だから。
 そうだなあ、まずは自信をつけさせるために、一緒に勉強でもしてみようかな、巣作りの。
 ……だってかわいいところをもっと見たいんだ、和音の。
 今度はもっと、ちゃんといっぱい褒めさせて。

 取り敢えず今は、甘いにおいの中、もう少し、一緒に。
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感想 171

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みんなの感想(171件)

唯我
2023.11.30 唯我
ネタバレ含む
2023.11.30 ちかこ

良かったと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)

抗っても性に勝てないのはかわいそうではあるのですが、どうしようもないことの中でしあわせを見つけるのもだいじだよなあと思います
かわいいと言って頂けて嬉しいです!

悠真も皆さんにもやもやさせてしまったのですが、彼の執着も書けて良かったです、ストーカー気質あるので少し心配でした…
すれ違いものだいすきです!

こちらこそお読み頂けて嬉しいです!
完結済ではあったのですが、期間中に後日談書けて良かったです!
イヴの方も読んで頂けてて…😭
こちらも完結まで頑張りますのでお付き合い頂けたら幸いです!
ありがとう( *´꒳`*)

解除
Madame gray-01
2023.11.29 Madame gray-01

和音ちゃんが可愛いの嵐…可愛い!可愛すぎる!!!

めっちゃ好きです!

2023.11.30 ちかこ

かわいいといっぱい言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)
かわいい子を書く為に書いてます!
すきと言って頂けて嬉しい、書けて良かったです~!
ありがとうございます( *´꒳`*)

解除
はな
2023.11.29 はな
ネタバレ含む
2023.11.30 ちかこ

かわいいと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)
反省はいっぱいしないといけないですからね!
反省した上でちゃんとふたりともしあわせになってほしいです!
ひたすらかわいいかわいい言ってるだけなので心配でもありましたが、癒されて頂けて良かったです!
こちらこそお読み頂きありがとうございます( *´꒳`*)

解除

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