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でも、だって初めてだったから
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「あそこが落ち着くならマットでも置こうか、躰痛いでしょ」
「ゔ……?」
「本当はベッドにいてほしいけど。でもあそこが落ち着くならいいよ、そうだよね、においはあっちのがするかもね……少しでも居心地よくしようね」
「で、でも、よごっ……汚し、て」
「その為に準備したんじゃん、いんだよ、服なんて洗えば済むじゃん」
「洗っちゃやだ……」
「あー、うん、そうね、ヒート終わるまでは洗わないから。ね」
「んー……」
折角買った大きな柔らかいベッド。
発情期は殆どベッドの上で過ごすという和音の為に、和音の好みの硬さ、大きくて防水のマットにして、と色々考えて買った。
上手くはいかないものだ。
「ごめんなさい……」
「ん、いいって、すきなだけ汚して」
「それ、も、だけどお……」
「なあに」
「は、はじめて、だった、からあ」
「……ん?」
もじもじしながら視線を伏せ、鼻声で謝る和音に、なんだなんだと躰が強ばる。
俺なんかしたっけ。
「らっ、て、今までっ、ふく、服……いっぱい、なくてっ……ちゃんと、作ったこと、ない、から……っ」
わかんなかった、作り方。
……その言葉は俺に効く。自分の利を優先して、和音に巣作りが出来る程の枚数の服を渡してこなかったから。
たった一枚のシャツじゃなんも出来ない。
巣作りのことなんて、理由なんて、なんも考えてなかったから。
さみしい思いをずっとさせて、更にまだ引き摺らせるなんて。
「ごめんね、それは俺が悪い、そうだよね、作ったことないからわかんないよねえ、作れなかったもんねえ」
「ちょっとね、作ろ、としたけ、れも……う、うまく、出来なくれえ……」
「大丈夫、ちゃんと出来てたよ」
「ゔー……」
「今度一緒に勉強しよっか」
「するう……」
もう舌も回ってないし、赤ちゃんみたいにぐずぐず泣き出してしまった。
……こんなに甘えん坊だったっけ、ここまでになるのはトんでからだったと思うけど。
いやかわいい。きっと俺に気を許してくれたから。だからだ。
「ンっ……ん、う」
誘うように薄く開いた唇に舌を差し込む。
甘ったるい腔内、甘い吐息、声。
もう大分ふわふわしているようだけど、舌先はちゃんと応えるように、絡みついてくる。
どのオメガも似たようになるのかな、発情期の和音は積極的だ。
ぢゅうぢゅうと音を鳴らすように俺の舌を吸う。
その癖、まだ遠慮もほんの少し、残っているようで腕を背中に回せない。俺のシャツをぎゅうと握り締めるだけ。
かわいくて愛しくて少し、かわいそう。
馬鹿なのは俺だ、元々臆病だった子を更にこわがらせてしまった。
「うぁ、ん、っう」
「服、脱ぎたくないよね?」
「ゔん……」
悠真さんのにおいがするからやだ。
そういうのは素直に言えるんだけどなあ。
少し捲って、白くて薄い腹を出す。これでもましになった方だ。
喉を鳴らしてしまったのは自分だった。
頭がくらくらする。甘いにおいが、すぐ目の前の和音が美味しそうで。
抑制剤は、周りの為のもので、自分の為のものだ。
番になったオメガの和音は俺以外に誰にもフェロモンは通じることはなくなった。
対してアルファの俺は他にも番を持つことが出来る。そしてそれを和音を落とす為の嘘に使ってしまった。
その嘘の相手の律稀と仲良くしてくれてるのは良かった、と思う反面、やっぱりちょっと気まずい。
律稀とどうこうなる気はお互いない、全然ない。それは和音だってわかってくれてると思う。
けれど、律稀じゃなくて、それ以外の可能性を和音が感じ取ってしまったら。
それがこわくて、俺は毎日抑制剤を飲むのだ。
他のオメガのフェロモンを感じない為、他の誰かにフェロモンを浴びせない為。
これ以上和音にがっかりされたくない。
でも今日は、その和音のお願いだ。ちゃんと、抑制剤を飲まずにこの家に戻ってきた。
……いつもよりも甘ったるくて、いつもよりあつくて、いつもより苦しくて、いつもより胸が痛い。
かわいい。
食べちゃいたいくらいに。
「んぃッ……」
「あ」
和音の痛そうな声にはっとした。
和音の首筋に歯を立てていた。
慌てて頭を離し、ごめんと謝ると、当の和音は紅い目元をとろんとさせ、もっと噛んでいいよ、なんて口にする。
「……っ、あんまそういうこと、言わないで。我慢出来なくなる」
「がまん、しないで」
「和音に痛いこと、こわいこと、したくない、し……」
和音は少し考えて、こわいことはいやだけど、と小さく口を開いた。
「でもちょっとならいたくても、いいよ」
ちょっとなら、気持ちいいし。
その言葉は俺に気を遣ったのか、本心か。
和音を見ると、もう溶けきってしまっているようだから本心なのかな。
……痛いことはしたくない。
けれどどうしても首のところは気になってしまう。この痕が消えなければいいな、と思って。いちばん、においの強い場所。
くらくらする。
どうしよう、今からでも薬、飲んだ方が良いだろうか。
和音に手荒な真似、したらどうしよう。
「ゔ……?」
「本当はベッドにいてほしいけど。でもあそこが落ち着くならいいよ、そうだよね、においはあっちのがするかもね……少しでも居心地よくしようね」
「で、でも、よごっ……汚し、て」
「その為に準備したんじゃん、いんだよ、服なんて洗えば済むじゃん」
「洗っちゃやだ……」
「あー、うん、そうね、ヒート終わるまでは洗わないから。ね」
「んー……」
折角買った大きな柔らかいベッド。
発情期は殆どベッドの上で過ごすという和音の為に、和音の好みの硬さ、大きくて防水のマットにして、と色々考えて買った。
上手くはいかないものだ。
「ごめんなさい……」
「ん、いいって、すきなだけ汚して」
「それ、も、だけどお……」
「なあに」
「は、はじめて、だった、からあ」
「……ん?」
もじもじしながら視線を伏せ、鼻声で謝る和音に、なんだなんだと躰が強ばる。
俺なんかしたっけ。
「らっ、て、今までっ、ふく、服……いっぱい、なくてっ……ちゃんと、作ったこと、ない、から……っ」
わかんなかった、作り方。
……その言葉は俺に効く。自分の利を優先して、和音に巣作りが出来る程の枚数の服を渡してこなかったから。
たった一枚のシャツじゃなんも出来ない。
巣作りのことなんて、理由なんて、なんも考えてなかったから。
さみしい思いをずっとさせて、更にまだ引き摺らせるなんて。
「ごめんね、それは俺が悪い、そうだよね、作ったことないからわかんないよねえ、作れなかったもんねえ」
「ちょっとね、作ろ、としたけ、れも……う、うまく、出来なくれえ……」
「大丈夫、ちゃんと出来てたよ」
「ゔー……」
「今度一緒に勉強しよっか」
「するう……」
もう舌も回ってないし、赤ちゃんみたいにぐずぐず泣き出してしまった。
……こんなに甘えん坊だったっけ、ここまでになるのはトんでからだったと思うけど。
いやかわいい。きっと俺に気を許してくれたから。だからだ。
「ンっ……ん、う」
誘うように薄く開いた唇に舌を差し込む。
甘ったるい腔内、甘い吐息、声。
もう大分ふわふわしているようだけど、舌先はちゃんと応えるように、絡みついてくる。
どのオメガも似たようになるのかな、発情期の和音は積極的だ。
ぢゅうぢゅうと音を鳴らすように俺の舌を吸う。
その癖、まだ遠慮もほんの少し、残っているようで腕を背中に回せない。俺のシャツをぎゅうと握り締めるだけ。
かわいくて愛しくて少し、かわいそう。
馬鹿なのは俺だ、元々臆病だった子を更にこわがらせてしまった。
「うぁ、ん、っう」
「服、脱ぎたくないよね?」
「ゔん……」
悠真さんのにおいがするからやだ。
そういうのは素直に言えるんだけどなあ。
少し捲って、白くて薄い腹を出す。これでもましになった方だ。
喉を鳴らしてしまったのは自分だった。
頭がくらくらする。甘いにおいが、すぐ目の前の和音が美味しそうで。
抑制剤は、周りの為のもので、自分の為のものだ。
番になったオメガの和音は俺以外に誰にもフェロモンは通じることはなくなった。
対してアルファの俺は他にも番を持つことが出来る。そしてそれを和音を落とす為の嘘に使ってしまった。
その嘘の相手の律稀と仲良くしてくれてるのは良かった、と思う反面、やっぱりちょっと気まずい。
律稀とどうこうなる気はお互いない、全然ない。それは和音だってわかってくれてると思う。
けれど、律稀じゃなくて、それ以外の可能性を和音が感じ取ってしまったら。
それがこわくて、俺は毎日抑制剤を飲むのだ。
他のオメガのフェロモンを感じない為、他の誰かにフェロモンを浴びせない為。
これ以上和音にがっかりされたくない。
でも今日は、その和音のお願いだ。ちゃんと、抑制剤を飲まずにこの家に戻ってきた。
……いつもよりも甘ったるくて、いつもよりあつくて、いつもより苦しくて、いつもより胸が痛い。
かわいい。
食べちゃいたいくらいに。
「んぃッ……」
「あ」
和音の痛そうな声にはっとした。
和音の首筋に歯を立てていた。
慌てて頭を離し、ごめんと謝ると、当の和音は紅い目元をとろんとさせ、もっと噛んでいいよ、なんて口にする。
「……っ、あんまそういうこと、言わないで。我慢出来なくなる」
「がまん、しないで」
「和音に痛いこと、こわいこと、したくない、し……」
和音は少し考えて、こわいことはいやだけど、と小さく口を開いた。
「でもちょっとならいたくても、いいよ」
ちょっとなら、気持ちいいし。
その言葉は俺に気を遣ったのか、本心か。
和音を見ると、もう溶けきってしまっているようだから本心なのかな。
……痛いことはしたくない。
けれどどうしても首のところは気になってしまう。この痕が消えなければいいな、と思って。いちばん、においの強い場所。
くらくらする。
どうしよう、今からでも薬、飲んだ方が良いだろうか。
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