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でも、だって初めてだったから
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「ソファは洗い換え出来るカバーつけるやつがいい、絶対!」
和音のいちばんの主張はそれだった。
俺としては、家だとか指輪だとかの要望をもっときいてあげたかったのだけど。
壊したり汚したりすれば買えばいい、そう返した俺に、頻繁に買い換えたら花音たちにばれてしまう、と耳まで紅くして反論する。
……何を考えてるんだか。
そこでなにをするかをわかってるんだなあと思うと、にやけてしまった。
いや、反省してる。和音の躰のことも考えたいし、ベッドでするのがいちばんだとわかってる。
それはそれとして、ソファひとつに一々赤面する彼がかわいいだけ。
和音がうちに来て……同棲状態になって一ヶ月。
その間、和音の両親に挨拶にいって、うちの両親にも挨拶にいって。
新居を決めて、家具を決めて、指輪を決めて。
俺には楽しい時間だったのだけど、和音は倒れる程忙しく感じたらしい。
微熱程度だったけど、二日寝込んだ。
ごめんおれ仕事以外でこんなに外に出たの学生時代振り、なんて言う和音に、自宅で使える運動機器でも買うか、と思った。
引越しはもうちょっと先でもいいよ、と言ったけれど、和音の発情期はあと半月からひと月できてしまう確率が高い。
その前に済ませてしまいたいという和音の希望に合わせて日程を組み、仕事を休んで引越しを完了させた。
発情期前には新居に馴染んでしまいたい。
その意味が俺のにおいをつけろということだと気付いた時には心臓が破れてしまうかと思った。かわいい。
インテリアにはさほど興味がないという和音に、俺も特に煩い訳ではないんだけど、と思いながら家具も揃えた。
特に寝室は拘った、恐らく和音がいちばん過ごす時間が長くなる部屋だから。
和音がこれがいい、と瞳を輝かせたのはウォークインクローゼット。
服道楽でもないのに、と思ったのだけれど、これでいっぱい服を保管出来るねえ、とふわふわしたように呟いた和音の意図はすぐにわかってしまった。
保管って。早くも発情期の準備をしてるな。
馬鹿みたいに服を買って、毎日毎日着ては洗うなと保管されてしまうのだ。
せっせせっせと溜め込む姿がりすみたいだな、と思った。うーん、それはそれでかわいい。
流石にインナーだけは許してもらった。いちばんにおいがつくものだといえ、いたたまれなくなってしまう。
……それにしても巣作りってそんなのだっけ、と調べてみたら、まあ個人差はあるけれど、パートナーのにおいは強い方がいいと洗濯前の服を好むことが多いらしい。
洗濯済のものを使うことも勿論多いらしいけど。
それを和音に言うと、いやだ、着たやつがいい、と譲らなかった。においがついたやつがいい、洗剤で消えるのいやだ、と。
かわいい番のそんなお願いを断れるやつがいるのだろうか。
頬を膨らませたそのかおがかわいいとわかっていてやってるのだろうか。やっぱりりすかな。かわいいと素直に口に出来ることが嬉しい。
今まで散々我慢させてきた自覚も負い目もある。
確実に和音を手に入れる為に、和音にさみしい、辛い思いをさせるという訳のわからないことをしたとわかっている。
だから出来る範囲で彼の希望は叶えていきたい……とは思ってる。
和音は和音で、俺が働いてる間に家にいることに負い目があるようで……いいのに、そんなこと気にしないでも。
家に戻って和音がいるだけで、それだけで十分なのに。いや言い過ぎた、ちゃんと話したり触ったりしたいけど。
慣れないながらに、簡単なものだけど、と料理や家事をしたり、資格の勉強にと頑張っている。
元々家に篭もりがちだった和音は資格を幾つか持っていた。
実家の会社で、発情期が不安定な内は取り敢えずはバイトで、と様子を見ながら働くことが決まり、それも発情期後からと話もついた。それまでには間に合わないが、また幾つかめぼしい資格を探すことにしたらしい。
本当は悠真さんの会社で働く方がいいのかな、なんて言われたけれど、それは気にしてない。
和音がうちで働きたいなら話は別だが、和音が働きたいところで働いてくれたらそれでいいんだ。
本音としてはやっぱりうちにいてほしいとも思うのだけれど、そんな、閉じ込めたいだなんて考えは宜しくない。
和音には安心して、もっと色々見てもらいたい、今までが閉じこもり過ぎたんだ。
猫も和音の生活が落ち着いてからにしようか、と言うと、本当に飼うとは思ってなかったらしく、いいの、と瞳を輝かせた。
指輪より破顔したのではないだろうか。
「だってどう考えたって悠真さんに負担掛けちゃうでしょ……おれの世話だってさせてしまうのに、発情期なんておれと猫と家のことしてたら寝る暇なくなっちゃうよ」
申し訳なさそうに言う和音に笑ってしまった。
和音の世話だなんて、そんなものは苦痛ではない。
猫だってトイレと餌との最低限の世話を気を付けてれば大丈夫、構い過ぎも良くない。犬とは違い、散歩の必要もない。
家のことなんてもっと放っておいていい。掃除なんてしなくたって死なない。
和音だけは綺麗にしてあげる。
そう返したら少し引かれてしまった。なんでだよ。
和音のいちばんの主張はそれだった。
俺としては、家だとか指輪だとかの要望をもっときいてあげたかったのだけど。
壊したり汚したりすれば買えばいい、そう返した俺に、頻繁に買い換えたら花音たちにばれてしまう、と耳まで紅くして反論する。
……何を考えてるんだか。
そこでなにをするかをわかってるんだなあと思うと、にやけてしまった。
いや、反省してる。和音の躰のことも考えたいし、ベッドでするのがいちばんだとわかってる。
それはそれとして、ソファひとつに一々赤面する彼がかわいいだけ。
和音がうちに来て……同棲状態になって一ヶ月。
その間、和音の両親に挨拶にいって、うちの両親にも挨拶にいって。
新居を決めて、家具を決めて、指輪を決めて。
俺には楽しい時間だったのだけど、和音は倒れる程忙しく感じたらしい。
微熱程度だったけど、二日寝込んだ。
ごめんおれ仕事以外でこんなに外に出たの学生時代振り、なんて言う和音に、自宅で使える運動機器でも買うか、と思った。
引越しはもうちょっと先でもいいよ、と言ったけれど、和音の発情期はあと半月からひと月できてしまう確率が高い。
その前に済ませてしまいたいという和音の希望に合わせて日程を組み、仕事を休んで引越しを完了させた。
発情期前には新居に馴染んでしまいたい。
その意味が俺のにおいをつけろということだと気付いた時には心臓が破れてしまうかと思った。かわいい。
インテリアにはさほど興味がないという和音に、俺も特に煩い訳ではないんだけど、と思いながら家具も揃えた。
特に寝室は拘った、恐らく和音がいちばん過ごす時間が長くなる部屋だから。
和音がこれがいい、と瞳を輝かせたのはウォークインクローゼット。
服道楽でもないのに、と思ったのだけれど、これでいっぱい服を保管出来るねえ、とふわふわしたように呟いた和音の意図はすぐにわかってしまった。
保管って。早くも発情期の準備をしてるな。
馬鹿みたいに服を買って、毎日毎日着ては洗うなと保管されてしまうのだ。
せっせせっせと溜め込む姿がりすみたいだな、と思った。うーん、それはそれでかわいい。
流石にインナーだけは許してもらった。いちばんにおいがつくものだといえ、いたたまれなくなってしまう。
……それにしても巣作りってそんなのだっけ、と調べてみたら、まあ個人差はあるけれど、パートナーのにおいは強い方がいいと洗濯前の服を好むことが多いらしい。
洗濯済のものを使うことも勿論多いらしいけど。
それを和音に言うと、いやだ、着たやつがいい、と譲らなかった。においがついたやつがいい、洗剤で消えるのいやだ、と。
かわいい番のそんなお願いを断れるやつがいるのだろうか。
頬を膨らませたそのかおがかわいいとわかっていてやってるのだろうか。やっぱりりすかな。かわいいと素直に口に出来ることが嬉しい。
今まで散々我慢させてきた自覚も負い目もある。
確実に和音を手に入れる為に、和音にさみしい、辛い思いをさせるという訳のわからないことをしたとわかっている。
だから出来る範囲で彼の希望は叶えていきたい……とは思ってる。
和音は和音で、俺が働いてる間に家にいることに負い目があるようで……いいのに、そんなこと気にしないでも。
家に戻って和音がいるだけで、それだけで十分なのに。いや言い過ぎた、ちゃんと話したり触ったりしたいけど。
慣れないながらに、簡単なものだけど、と料理や家事をしたり、資格の勉強にと頑張っている。
元々家に篭もりがちだった和音は資格を幾つか持っていた。
実家の会社で、発情期が不安定な内は取り敢えずはバイトで、と様子を見ながら働くことが決まり、それも発情期後からと話もついた。それまでには間に合わないが、また幾つかめぼしい資格を探すことにしたらしい。
本当は悠真さんの会社で働く方がいいのかな、なんて言われたけれど、それは気にしてない。
和音がうちで働きたいなら話は別だが、和音が働きたいところで働いてくれたらそれでいいんだ。
本音としてはやっぱりうちにいてほしいとも思うのだけれど、そんな、閉じ込めたいだなんて考えは宜しくない。
和音には安心して、もっと色々見てもらいたい、今までが閉じこもり過ぎたんだ。
猫も和音の生活が落ち着いてからにしようか、と言うと、本当に飼うとは思ってなかったらしく、いいの、と瞳を輝かせた。
指輪より破顔したのではないだろうか。
「だってどう考えたって悠真さんに負担掛けちゃうでしょ……おれの世話だってさせてしまうのに、発情期なんておれと猫と家のことしてたら寝る暇なくなっちゃうよ」
申し訳なさそうに言う和音に笑ってしまった。
和音の世話だなんて、そんなものは苦痛ではない。
猫だってトイレと餌との最低限の世話を気を付けてれば大丈夫、構い過ぎも良くない。犬とは違い、散歩の必要もない。
家のことなんてもっと放っておいていい。掃除なんてしなくたって死なない。
和音だけは綺麗にしてあげる。
そう返したら少し引かれてしまった。なんでだよ。
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