114 / 124
7
114*
しおりを挟む
悠真さんの瞳におれが映ってるのがわかる。
少し緊張しているようで、でもやっぱり安心させるかのように笑顔は崩さなかった。
ぐっと悠真さんのものが押し当てられて、ゆっくりおれのナカに沈んでいく。
圧迫感と、その大きいものがナカを擦りながら入っていく感覚が声にならないくらい気持ちよくて、奥歯を噛み締めて挿入りきるのを待った。
少しして、全部が挿入っても、悠真さんはすぐには動かない。
馴染むのを待ってから。
ナカが十分に濡れていても、悠真さんは慎重だった。それは全て、おれが痛くないよう、傷つかないようにしてるから。
おれが少しくらい、と言っても、譲らないところだ。
ただ優しいだけかと思ってた。皆にそうなんだって。
でもそうじゃない、こんなことするのは、噛んだのは、おれだけ。
……おれだけなんだって。
「ッ、」
悠真さんが息を呑んだ。おれのお腹がきゅう、となってしまって、悠真さんを締め付けてしまったからだと思う。
その締め付けのせいで、おれだって気持ちいい。
「ゆぅ、まさん」
「うん……?」
「……手ェ、えっと、ぎゅって……したい」
腕を伸ばすと、少し考えたように悠真さんは上半身を近付けてくれた。
その首に腕を回す。成程、こうやっておれは悠真さんの背中に傷を残したのか。
……ちゃんと爪、切ろう、明日、明後日、発情期が終わって動けるようになったら。今日は気を付ける、少なくとも意識がある内は。
「んァ、う、」
ゆる、と悠真さんの腰が動いた。
背中が逸れて、悠真さんと躰が重なる。それをいいことに、更に腕の力を込めてぎゅう、と抱き着いた。
やっぱりおれ、くっついてる方がすきかも。かおが見れるのもいいけど、においでちゃんと悠真さんだって、わかるし。安心する。
「っあ、う、すっ、すぐイっちゃ、いそ、っ」
「いいよ、すきなだけ」
「あ、ンぅ、う、っは、あ、やら、くち、して、くちもっ……んゔ」
強請ると何でもしてくれるのではないか。
それくらい悠真さんはおれの言葉を聞いてくれた。無茶なお願い以外は。
何回も啄むようなキスを繰り返すのは、おれの息が荒いから。苦しくないように、軽いものを何度か繰り返した。
「は、う……んっ、あ、ゆうまさっ、あ、ゆーまさんっ……」
「ん、なあに」
「あ、は、ッあ、ぅ、なんかっ……あ、おなかっ、やば、やばい、かもっ……」
「やばい?痛い?止める?」
「いやっ、やめ、ん、止めない、でっあ、ちが、んッ、きもちい……!」
「どこら辺?こことか?」
「んゔ~……!」
下腹部が撫でられて、薄い腹の少し膨らんだところを軽く押される。
頭が、奥の方がちかちかして、爪先がシーツを蹴った。
「ん、あ、あ、う……?あ、ぅあ……」
「お腹が気持ち良かった?」
「ンっ、ゔ、う、ん……?」
「奥の方でイくの上手になったねえ」
「あっ、あ、や、おなかっ……あ、や、またっ……まだ、っきもちい……っ」
うん、俺も、と悠真さんが切羽詰まったように声を漏らす。
奥の方がぎゅうぎゅうしてるのもわかるし、それが気持ちいいのを終わらせない原因で、ぎゅう、とする度に悠真さんを締め付けて自分も気持ちよくなって。
その度に悠真さんが吐く息が甘くて、今度は胸がきゅう、となる。
「ゆうまさんっ……あ、お、奥ッう、おく、」
「うん……和音の気持ちいいとこね」
「んっ、ん、う、奥、ゆーまさんの、ほし、いっ」
「……もうちょっとだけ、和音のナカ、入るね」
「ん……っ」
頭がどろどろする、もうおれ、多分限界だと思う。何も考えられなくなると思う。
だからその前に、ちゃんと言わなきゃって。
今まで悠真さんには口にしちゃいけないと思ってたこと。
これは絶対に、言わなきゃ。この気持ちはヒートに呑まれてるからじゃないんだって。
「あっ、あ、す、すき……!」
悠真さんの肩がびく、として、止まった。
あ、言えた、と思ったら、ほんの少しの間が空いて、……奥が?なんて言ってくる。それは間違えてないけど。
再度始まる抽挿に、もっとはっきり、ちゃんと言わなきゃ、伝わるまで何回でも、そう思ったそばから口にしていた。
「ゆっ、ゆうまさん、がっ、す、きっ、あう、あ、すき、すき、しゅっ、あ、ん、すき、っ」
ぎゅうと、抱きついてるお陰で悠真さんのかおは見えない。
けれど悠真さんの躰が、においが、反応している。
そお、と頭だけ動かして、ぎょっとした。
……泣いてる。
「うぇ、え……泣かっ……え、なんでえ」
「え、あ、ごめん、あ……っこれ、思ってたより、苦しい、かも……」
「や、やだった……?」
悠真さんの頬に触れる。
それを拭って、どうしていいかわかんなくて、おろおろするおれに、悠真さんは笑った。
「嬉しい、今いちばんしあわせかも」
それから、もう何度目かのごめん、も吐き出される。
「すきって言われるのがこんなに嬉しいなら、やっぱり俺、大分遠回りしてたよね……ごめん、ごめんね、いっぱい不安にさせて、さみしくさせて、我慢ばっかりさせて」
「悠真さ……」
「でもごめん、俺、良かったとも思ってるんだ、こんなことして、でも、和音がやっと手に入ったって、……逃げられないようにしようって」
狡いことばっかりしてごめん。
そう悠真さんは強くおれを抱き締めてまた少し泣いた。
おれだって、いっぱい狡いこと、考えたのに。
でも同じ、おれもさっき、嬉しくてしあわせだった。
少し緊張しているようで、でもやっぱり安心させるかのように笑顔は崩さなかった。
ぐっと悠真さんのものが押し当てられて、ゆっくりおれのナカに沈んでいく。
圧迫感と、その大きいものがナカを擦りながら入っていく感覚が声にならないくらい気持ちよくて、奥歯を噛み締めて挿入りきるのを待った。
少しして、全部が挿入っても、悠真さんはすぐには動かない。
馴染むのを待ってから。
ナカが十分に濡れていても、悠真さんは慎重だった。それは全て、おれが痛くないよう、傷つかないようにしてるから。
おれが少しくらい、と言っても、譲らないところだ。
ただ優しいだけかと思ってた。皆にそうなんだって。
でもそうじゃない、こんなことするのは、噛んだのは、おれだけ。
……おれだけなんだって。
「ッ、」
悠真さんが息を呑んだ。おれのお腹がきゅう、となってしまって、悠真さんを締め付けてしまったからだと思う。
その締め付けのせいで、おれだって気持ちいい。
「ゆぅ、まさん」
「うん……?」
「……手ェ、えっと、ぎゅって……したい」
腕を伸ばすと、少し考えたように悠真さんは上半身を近付けてくれた。
その首に腕を回す。成程、こうやっておれは悠真さんの背中に傷を残したのか。
……ちゃんと爪、切ろう、明日、明後日、発情期が終わって動けるようになったら。今日は気を付ける、少なくとも意識がある内は。
「んァ、う、」
ゆる、と悠真さんの腰が動いた。
背中が逸れて、悠真さんと躰が重なる。それをいいことに、更に腕の力を込めてぎゅう、と抱き着いた。
やっぱりおれ、くっついてる方がすきかも。かおが見れるのもいいけど、においでちゃんと悠真さんだって、わかるし。安心する。
「っあ、う、すっ、すぐイっちゃ、いそ、っ」
「いいよ、すきなだけ」
「あ、ンぅ、う、っは、あ、やら、くち、して、くちもっ……んゔ」
強請ると何でもしてくれるのではないか。
それくらい悠真さんはおれの言葉を聞いてくれた。無茶なお願い以外は。
何回も啄むようなキスを繰り返すのは、おれの息が荒いから。苦しくないように、軽いものを何度か繰り返した。
「は、う……んっ、あ、ゆうまさっ、あ、ゆーまさんっ……」
「ん、なあに」
「あ、は、ッあ、ぅ、なんかっ……あ、おなかっ、やば、やばい、かもっ……」
「やばい?痛い?止める?」
「いやっ、やめ、ん、止めない、でっあ、ちが、んッ、きもちい……!」
「どこら辺?こことか?」
「んゔ~……!」
下腹部が撫でられて、薄い腹の少し膨らんだところを軽く押される。
頭が、奥の方がちかちかして、爪先がシーツを蹴った。
「ん、あ、あ、う……?あ、ぅあ……」
「お腹が気持ち良かった?」
「ンっ、ゔ、う、ん……?」
「奥の方でイくの上手になったねえ」
「あっ、あ、や、おなかっ……あ、や、またっ……まだ、っきもちい……っ」
うん、俺も、と悠真さんが切羽詰まったように声を漏らす。
奥の方がぎゅうぎゅうしてるのもわかるし、それが気持ちいいのを終わらせない原因で、ぎゅう、とする度に悠真さんを締め付けて自分も気持ちよくなって。
その度に悠真さんが吐く息が甘くて、今度は胸がきゅう、となる。
「ゆうまさんっ……あ、お、奥ッう、おく、」
「うん……和音の気持ちいいとこね」
「んっ、ん、う、奥、ゆーまさんの、ほし、いっ」
「……もうちょっとだけ、和音のナカ、入るね」
「ん……っ」
頭がどろどろする、もうおれ、多分限界だと思う。何も考えられなくなると思う。
だからその前に、ちゃんと言わなきゃって。
今まで悠真さんには口にしちゃいけないと思ってたこと。
これは絶対に、言わなきゃ。この気持ちはヒートに呑まれてるからじゃないんだって。
「あっ、あ、す、すき……!」
悠真さんの肩がびく、として、止まった。
あ、言えた、と思ったら、ほんの少しの間が空いて、……奥が?なんて言ってくる。それは間違えてないけど。
再度始まる抽挿に、もっとはっきり、ちゃんと言わなきゃ、伝わるまで何回でも、そう思ったそばから口にしていた。
「ゆっ、ゆうまさん、がっ、す、きっ、あう、あ、すき、すき、しゅっ、あ、ん、すき、っ」
ぎゅうと、抱きついてるお陰で悠真さんのかおは見えない。
けれど悠真さんの躰が、においが、反応している。
そお、と頭だけ動かして、ぎょっとした。
……泣いてる。
「うぇ、え……泣かっ……え、なんでえ」
「え、あ、ごめん、あ……っこれ、思ってたより、苦しい、かも……」
「や、やだった……?」
悠真さんの頬に触れる。
それを拭って、どうしていいかわかんなくて、おろおろするおれに、悠真さんは笑った。
「嬉しい、今いちばんしあわせかも」
それから、もう何度目かのごめん、も吐き出される。
「すきって言われるのがこんなに嬉しいなら、やっぱり俺、大分遠回りしてたよね……ごめん、ごめんね、いっぱい不安にさせて、さみしくさせて、我慢ばっかりさせて」
「悠真さ……」
「でもごめん、俺、良かったとも思ってるんだ、こんなことして、でも、和音がやっと手に入ったって、……逃げられないようにしようって」
狡いことばっかりしてごめん。
そう悠真さんは強くおれを抱き締めてまた少し泣いた。
おれだって、いっぱい狡いこと、考えたのに。
でも同じ、おれもさっき、嬉しくてしあわせだった。
115
お気に入りに追加
3,085
あなたにおすすめの小説

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

からかわれていると思ってたら本気だった?!
雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生
《あらすじ》
ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。
ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。
葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。
弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。
葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる