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ふうふうと息が漏れる。
少し息苦しいけど、悠真さんの服を汚してしまうよりずっと良い。
汚さなくたって、綺麗に保てたって、誰も褒めてなんかくれないけど。
「ンっ、ふ、う、ゔ……んう、ンん……っ」
足りないのはやっぱり足りない。
けれどそれでも幾らかはましだった。
悠真さん。
ぎゅうってしてもらいたいなあ。
いっぱいキスして、名前、呼んでもらって、お腹、あついのほしい。
「ゔ、う、ん、ふっ……う、ぅぐ、」
自分の指で届くとこは浅いとこ。そこだってちゃんと気持ちいいけど、もっと気持ちいいとこを知ってるから、足りない。
悠真さんのがほしい。
奥、赤ちゃん出来るくらいいっぱい。
だめだ、そんな理由、そんなのわかってるのに。
あの時、産まない、なんて言わなければ。こっそり避妊薬なんて飲まなければ。少しくらい変わったりしただろうか。
……そんな訳ないか、結局先に番がいるのに変わりはない、どうせおれがまたうじうじ悩むだけだ。
ひとつの命を巻き込まなかっただけ、避妊薬を飲んでいたおれを褒めてあげなきゃ。
◇◇◇
「ぅあ……」
カーテンを開けっ放しだったせいで、眩しい朝日の中、強制的に起こされた。
瞳がしぱしぱする。
躰は特にすっきりとはしてなくて、頭もぼおっとしてるし、まだ熱っぽい。
やっぱりこれは突発的なヒートじゃなくて、周期の狂った発情期なんだろう。
まだ先の予定だったから、何の準備もしていない。
辛うじて寝る前にお茶のペットボトルをベッド脇に置いていたくらい。
それももう空だ。
どうしよう、水も、ゼリー飲料のような喉を通りそうなものも用意していない。
でもどうにか昨晩千晶くんには報告出来たから。
早いねと言っていたし、多分おれのこの状態もわかってくれている筈。
多分、きっと世話を焼きに来てくれる。
何から何まで本当に申し訳ないんだけど。
「ン、ん……」
悠真さんのシャツ。
あんまり汚さずに済んだみたい。
においを吸うだけで、また奥の方がきゅんとする。……だからそこ、おれの指じゃ届かないんだってば。
ぐに、と唇に触れて、それから指先を咥える。
ちゅう、と吸うだけで腰がぞくりとした。
舌で嬲って、それから、上顎。
キスをした時に悠真さんの舌に擦られると、気持ちよくて。
そこを、指の腹で擦る。
「んぅ、ふ、ンゔぅ……っう」
あ、口ん中、気持ちよくて、涎、出ちゃう、だめ、服、汚さないように……
伸ばした袖で拭って、ついでに溢れた涙も拭った。
どうしよ、口、さみしいからって、こんな、指でも気持ちよくなっちゃうなんて。
でも悠真さんの指とは全然違う。
もっと長くて、大きくて、これが悠真さんの指なら、口の中、もっといっぱいになっちゃう。
いや、指じゃなくて、キスがいい。
口の中がいっぱい、悠真さんの舌で埋まって、甘くて、少し苦しいくらいが気持ちよかったり、して。
「ん、ぅま、さん……っう」
考えたって虚しくなるだけなのに、でもすぐ近くに悠真さんのにおいがするだけで止まらなくなってしまう。
口の中を自分の指で蹂躙しながら、下半身に触れる。
寝てしまう前まで弄っていたそこは十分柔らかい。難なく指を呑み込んで、すぐに一度達してしまった。
「んッ……ん、う……ッい、」
自分の指を噛んでしまったけれど、そこまでの痛みは感じなかった。
少しなら、痛いのも気持ちいいのかもしれない、ほんの少し、なら。
その指をがじがじと甘噛みしながら、足を開いて指を動かす。
少しでも奥に届かせたいんだけどそれは無理な話でもどかしい。
「ん、ん、ッう、ゔ~……!」
泣いたって、癇癪起こしたってどうにもならないのに、こどもが唸るような声を出してしまう。
口から指を離してしまうと、ずっと甘えたように名前を呼んでしまう気がした。
ぎゅう、と指を締め付けて、爪先がシーツを蹴る。
物足りない刺激でも、ヒート中の躰ならイけるようだ。
ふう、はあ、と息を整えていると、しんとした部屋に、がちゃんと扉が開くような音が響いた。
……千晶くん?
枕元のスマホは何も通知はなかった。
いつもなら今から向かうね、とか、何かほしいものある?とか何かしらの連絡があるんだけど。
同じマンションになったから、そんな報告もなかったのかな、と思いながら布団を被った。
寝室を開ける時はノックをしてくれるし、発情期が来たとわかってるのだから、おれの状態だって想像もついてるだろうけど……だからといってこの姿を見られて平気な訳ではないし、流石に申し訳ない。
ぎし、と廊下を歩く音にあれ、と思った。
……ふたり分、あるように聞こえる。
花音?
普段はこういう時、千晶くんしか来ない。おれに番が出来て、花音のフェロモンも関係ないとなっても、それでも。
一応、気を遣ってくれていた、花音の強いアルファ性で、弱ったおれが更に体調を崩さないように、と。
だから珍しいなと思った。
何か買ってきたものとか運んでくれたとかかな。
そのまま仕事、行くのかな。
考えてる間に足音は寝室の前で止まり、いつもの、千晶くんの優しい声がノックと共に掛けられる。
かずねくん、起きてる?大丈夫?
そんな、いつもの声と、……甘いにおい。
少し息苦しいけど、悠真さんの服を汚してしまうよりずっと良い。
汚さなくたって、綺麗に保てたって、誰も褒めてなんかくれないけど。
「ンっ、ふ、う、ゔ……んう、ンん……っ」
足りないのはやっぱり足りない。
けれどそれでも幾らかはましだった。
悠真さん。
ぎゅうってしてもらいたいなあ。
いっぱいキスして、名前、呼んでもらって、お腹、あついのほしい。
「ゔ、う、ん、ふっ……う、ぅぐ、」
自分の指で届くとこは浅いとこ。そこだってちゃんと気持ちいいけど、もっと気持ちいいとこを知ってるから、足りない。
悠真さんのがほしい。
奥、赤ちゃん出来るくらいいっぱい。
だめだ、そんな理由、そんなのわかってるのに。
あの時、産まない、なんて言わなければ。こっそり避妊薬なんて飲まなければ。少しくらい変わったりしただろうか。
……そんな訳ないか、結局先に番がいるのに変わりはない、どうせおれがまたうじうじ悩むだけだ。
ひとつの命を巻き込まなかっただけ、避妊薬を飲んでいたおれを褒めてあげなきゃ。
◇◇◇
「ぅあ……」
カーテンを開けっ放しだったせいで、眩しい朝日の中、強制的に起こされた。
瞳がしぱしぱする。
躰は特にすっきりとはしてなくて、頭もぼおっとしてるし、まだ熱っぽい。
やっぱりこれは突発的なヒートじゃなくて、周期の狂った発情期なんだろう。
まだ先の予定だったから、何の準備もしていない。
辛うじて寝る前にお茶のペットボトルをベッド脇に置いていたくらい。
それももう空だ。
どうしよう、水も、ゼリー飲料のような喉を通りそうなものも用意していない。
でもどうにか昨晩千晶くんには報告出来たから。
早いねと言っていたし、多分おれのこの状態もわかってくれている筈。
多分、きっと世話を焼きに来てくれる。
何から何まで本当に申し訳ないんだけど。
「ン、ん……」
悠真さんのシャツ。
あんまり汚さずに済んだみたい。
においを吸うだけで、また奥の方がきゅんとする。……だからそこ、おれの指じゃ届かないんだってば。
ぐに、と唇に触れて、それから指先を咥える。
ちゅう、と吸うだけで腰がぞくりとした。
舌で嬲って、それから、上顎。
キスをした時に悠真さんの舌に擦られると、気持ちよくて。
そこを、指の腹で擦る。
「んぅ、ふ、ンゔぅ……っう」
あ、口ん中、気持ちよくて、涎、出ちゃう、だめ、服、汚さないように……
伸ばした袖で拭って、ついでに溢れた涙も拭った。
どうしよ、口、さみしいからって、こんな、指でも気持ちよくなっちゃうなんて。
でも悠真さんの指とは全然違う。
もっと長くて、大きくて、これが悠真さんの指なら、口の中、もっといっぱいになっちゃう。
いや、指じゃなくて、キスがいい。
口の中がいっぱい、悠真さんの舌で埋まって、甘くて、少し苦しいくらいが気持ちよかったり、して。
「ん、ぅま、さん……っう」
考えたって虚しくなるだけなのに、でもすぐ近くに悠真さんのにおいがするだけで止まらなくなってしまう。
口の中を自分の指で蹂躙しながら、下半身に触れる。
寝てしまう前まで弄っていたそこは十分柔らかい。難なく指を呑み込んで、すぐに一度達してしまった。
「んッ……ん、う……ッい、」
自分の指を噛んでしまったけれど、そこまでの痛みは感じなかった。
少しなら、痛いのも気持ちいいのかもしれない、ほんの少し、なら。
その指をがじがじと甘噛みしながら、足を開いて指を動かす。
少しでも奥に届かせたいんだけどそれは無理な話でもどかしい。
「ん、ん、ッう、ゔ~……!」
泣いたって、癇癪起こしたってどうにもならないのに、こどもが唸るような声を出してしまう。
口から指を離してしまうと、ずっと甘えたように名前を呼んでしまう気がした。
ぎゅう、と指を締め付けて、爪先がシーツを蹴る。
物足りない刺激でも、ヒート中の躰ならイけるようだ。
ふう、はあ、と息を整えていると、しんとした部屋に、がちゃんと扉が開くような音が響いた。
……千晶くん?
枕元のスマホは何も通知はなかった。
いつもなら今から向かうね、とか、何かほしいものある?とか何かしらの連絡があるんだけど。
同じマンションになったから、そんな報告もなかったのかな、と思いながら布団を被った。
寝室を開ける時はノックをしてくれるし、発情期が来たとわかってるのだから、おれの状態だって想像もついてるだろうけど……だからといってこの姿を見られて平気な訳ではないし、流石に申し訳ない。
ぎし、と廊下を歩く音にあれ、と思った。
……ふたり分、あるように聞こえる。
花音?
普段はこういう時、千晶くんしか来ない。おれに番が出来て、花音のフェロモンも関係ないとなっても、それでも。
一応、気を遣ってくれていた、花音の強いアルファ性で、弱ったおれが更に体調を崩さないように、と。
だから珍しいなと思った。
何か買ってきたものとか運んでくれたとかかな。
そのまま仕事、行くのかな。
考えてる間に足音は寝室の前で止まり、いつもの、千晶くんの優しい声がノックと共に掛けられる。
かずねくん、起きてる?大丈夫?
そんな、いつもの声と、……甘いにおい。
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