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六
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だからもう入らせて、と腰を揺らした。
そんなことされたら、そりゃ堪らなくなるよ。
和音は仕方ないなあ、と唇を尖らせて、俺の両肩に手を置いた。
口淫の次は上に乗る気だったのか。無理だろう、こんな砕けた腰じゃあ。
下着の中ももうべとべと。
本人もまた、すぐに挿入るよ、と甘えたように頬を寄せて言う。
慣れた手つきで汚れた下着を剥いで、やはりまだ柔らかいそこに、誘われるまま自身を捩じ込んだ。
甘い声とあつい体温。
指で慣らしてない分、少しずつ、ゆっくりと進んだ。
和音が十分に溶けてから、抽挿を繰り返す。
俺の腕を掴みながら、あ、あ、気持ちいい、と……どうしたのかな、まだ飛んでない筈なんだけど、そう素直に口にする。
頭を撫でて、目元や唇にキスをして、首元を舐めて、吸って、噛んで。
和音、と何回も名前を呼んで、かわいい、もうちょっと、良い子だねと宥める。
とろとろのどろどろ。
悠真さん、悠真さん、ゆーまさん、何度も名前を呼ばれて、キスを強請られて、零した涙を拭う。
「……ッあ、う、あっ、あ、あ……!」
ぎゅう、と俺の頭を掻き抱いて、ナカの方もぎゅうぎゅうと締め付けて、少ししてからかくん、と首から枕に倒れた。
飛ぶ前に気を失ってしまったようだ。
もしかしたら気を張っていたのかもしれない。
単純に体調がよくて調子に乗ったのかもしれない。
いつもより変に積極的だったから。
寝息が穏やかになるのを確認して、それから俺も、隣に横になった。
◆◆◆
四日目。
夕方にのそのそ起きた和音は、流石に腰の痛みは訴えるものの、すっきりとしたかおをしていた。
こんなに元気なの初めてかも、と笑い、まだひょこひょことした足取りではあったがひとりでシャワーを浴び、お腹空いた、と言える程になっていた。
食べたくない、と言っていたことを考えると、良かった、と安心してしまう。
何が食べたいか訊くと、少し考えて、生姜焼き、と答える。
別にいいけど、結構がっつりいくな、と思っていると、疲れてる時には豚肉って悠真さん、言ってたし、と呟く。よく覚えてたなあ、夏でしょ、それ言ったの。
あとねえ、プリン、と言う和音に笑ってしまった。
うん、約束したもんね。
練習は本当にちゃんとしたんだ、レシピを見て、今回はバニラだって用意したし、とろとろの柔らかいものを作る為に生クリームも。
カラメルの作り方も練習したし、オーブンでの湯煎焼きだって覚えた。
何度か味見をさせた弟妹からもお墨付きだ。
作りたての熱いプリンだったから、思ってたものとは違ったかもしれない。
でもこれはこれで美味しい、と和音が満足そうに笑うから、冷蔵庫にまだあるよ、と俺も瞳を細めてしまう。
食べ終わった食器を片付けて、どうしようかと悩む俺に、大丈夫だからと和音が背中を押す。
……泊まってってほしいと言われたらそうするつもりだったけれど。少しだけ残念。
「今度はソファを買いに行こう」
名残惜しくてそう言うと、うん、と和音は頷いた。
いいやつ買ってよね、と。
その笑顔に安心して、じゃあまた連絡するねと一度、頭を撫でて背を向ける。
掠れた声で、ありがと、と聞こえた。
車に乗り込んでから、キスのひとつもすればよかったかな、と思ってしまう。
浮かれてたんだ。
地獄だと言われたことなんてその時は忘れていた。
かわいかった、楽しかった、笑ってくれた、嬉しかった。
不安だったけれど、発情期、どうにかなるじゃないか。
和音も満足そうだった、いつもより全然いい、と機嫌が良かった。
次はいつかな、和音が望むように、三ヶ月周期に近付くだろうか。望んでいた通りに希望の仕事に就けるだろうか。
……俺は別に周期は短くても……短い方が……
でもそんなの、和音は嫌か。
俺の中ではひとつ区切りがついたような、そんな気持ちだった。
変わる。これから、もっと。
俺も、和音の生活も。
少しは和音にましになったと思われただろうか。
たった一回の発情期だ、そこまでは思われてないだろうか。
でもこれからだ、反応は悪くなかった、良い方だったと思う。
うん、和音だって嬉しそうだった。
悪くなかった、筈だ。
次はもっと、話をたくさん出来たらいいなと思った。
◆◆◆
その一ヶ月後、和音の連絡先は不通になり、慌てて行った部屋ももぬけの殻になっていた。
……なんで。
愕然とした。
メッセージも、電話も、何度もした、何も言わなかった。引っ越すとか、連絡先を変えるとか。
何も。
何も言わずに、居なくなる準備、してた?
何を考えて、あんなメッセージを最後に送った?
『番の解除をしてほしい』
なんて、そんな、送って消えてしまうくらい、嫌だった?
オメガにしか、和音にしかデメリットはないのに?
わかってんの?
俺が、和音の……番の解除をしたら、和音は俺が死ぬまでひとりで生きていくんだよ、花音にすら頼れない発情期を、ひとりで、ずっと。
俺を頼ってって言ったじゃん。
嫌だった?ごめんね、俺に頼りたくなかった?
噛まれたこと、後悔してる?
俺は今になって後悔してるよ、
ごめん、でも俺言ったでしょ、執着心が強いって。
和音だけは絶対に諦められない、まだ。だから目の前で言って。
俺のこと、要らないって。
そんなことされたら、そりゃ堪らなくなるよ。
和音は仕方ないなあ、と唇を尖らせて、俺の両肩に手を置いた。
口淫の次は上に乗る気だったのか。無理だろう、こんな砕けた腰じゃあ。
下着の中ももうべとべと。
本人もまた、すぐに挿入るよ、と甘えたように頬を寄せて言う。
慣れた手つきで汚れた下着を剥いで、やはりまだ柔らかいそこに、誘われるまま自身を捩じ込んだ。
甘い声とあつい体温。
指で慣らしてない分、少しずつ、ゆっくりと進んだ。
和音が十分に溶けてから、抽挿を繰り返す。
俺の腕を掴みながら、あ、あ、気持ちいい、と……どうしたのかな、まだ飛んでない筈なんだけど、そう素直に口にする。
頭を撫でて、目元や唇にキスをして、首元を舐めて、吸って、噛んで。
和音、と何回も名前を呼んで、かわいい、もうちょっと、良い子だねと宥める。
とろとろのどろどろ。
悠真さん、悠真さん、ゆーまさん、何度も名前を呼ばれて、キスを強請られて、零した涙を拭う。
「……ッあ、う、あっ、あ、あ……!」
ぎゅう、と俺の頭を掻き抱いて、ナカの方もぎゅうぎゅうと締め付けて、少ししてからかくん、と首から枕に倒れた。
飛ぶ前に気を失ってしまったようだ。
もしかしたら気を張っていたのかもしれない。
単純に体調がよくて調子に乗ったのかもしれない。
いつもより変に積極的だったから。
寝息が穏やかになるのを確認して、それから俺も、隣に横になった。
◆◆◆
四日目。
夕方にのそのそ起きた和音は、流石に腰の痛みは訴えるものの、すっきりとしたかおをしていた。
こんなに元気なの初めてかも、と笑い、まだひょこひょことした足取りではあったがひとりでシャワーを浴び、お腹空いた、と言える程になっていた。
食べたくない、と言っていたことを考えると、良かった、と安心してしまう。
何が食べたいか訊くと、少し考えて、生姜焼き、と答える。
別にいいけど、結構がっつりいくな、と思っていると、疲れてる時には豚肉って悠真さん、言ってたし、と呟く。よく覚えてたなあ、夏でしょ、それ言ったの。
あとねえ、プリン、と言う和音に笑ってしまった。
うん、約束したもんね。
練習は本当にちゃんとしたんだ、レシピを見て、今回はバニラだって用意したし、とろとろの柔らかいものを作る為に生クリームも。
カラメルの作り方も練習したし、オーブンでの湯煎焼きだって覚えた。
何度か味見をさせた弟妹からもお墨付きだ。
作りたての熱いプリンだったから、思ってたものとは違ったかもしれない。
でもこれはこれで美味しい、と和音が満足そうに笑うから、冷蔵庫にまだあるよ、と俺も瞳を細めてしまう。
食べ終わった食器を片付けて、どうしようかと悩む俺に、大丈夫だからと和音が背中を押す。
……泊まってってほしいと言われたらそうするつもりだったけれど。少しだけ残念。
「今度はソファを買いに行こう」
名残惜しくてそう言うと、うん、と和音は頷いた。
いいやつ買ってよね、と。
その笑顔に安心して、じゃあまた連絡するねと一度、頭を撫でて背を向ける。
掠れた声で、ありがと、と聞こえた。
車に乗り込んでから、キスのひとつもすればよかったかな、と思ってしまう。
浮かれてたんだ。
地獄だと言われたことなんてその時は忘れていた。
かわいかった、楽しかった、笑ってくれた、嬉しかった。
不安だったけれど、発情期、どうにかなるじゃないか。
和音も満足そうだった、いつもより全然いい、と機嫌が良かった。
次はいつかな、和音が望むように、三ヶ月周期に近付くだろうか。望んでいた通りに希望の仕事に就けるだろうか。
……俺は別に周期は短くても……短い方が……
でもそんなの、和音は嫌か。
俺の中ではひとつ区切りがついたような、そんな気持ちだった。
変わる。これから、もっと。
俺も、和音の生活も。
少しは和音にましになったと思われただろうか。
たった一回の発情期だ、そこまでは思われてないだろうか。
でもこれからだ、反応は悪くなかった、良い方だったと思う。
うん、和音だって嬉しそうだった。
悪くなかった、筈だ。
次はもっと、話をたくさん出来たらいいなと思った。
◆◆◆
その一ヶ月後、和音の連絡先は不通になり、慌てて行った部屋ももぬけの殻になっていた。
……なんで。
愕然とした。
メッセージも、電話も、何度もした、何も言わなかった。引っ越すとか、連絡先を変えるとか。
何も。
何も言わずに、居なくなる準備、してた?
何を考えて、あんなメッセージを最後に送った?
『番の解除をしてほしい』
なんて、そんな、送って消えてしまうくらい、嫌だった?
オメガにしか、和音にしかデメリットはないのに?
わかってんの?
俺が、和音の……番の解除をしたら、和音は俺が死ぬまでひとりで生きていくんだよ、花音にすら頼れない発情期を、ひとりで、ずっと。
俺を頼ってって言ったじゃん。
嫌だった?ごめんね、俺に頼りたくなかった?
噛まれたこと、後悔してる?
俺は今になって後悔してるよ、
ごめん、でも俺言ったでしょ、執着心が強いって。
和音だけは絶対に諦められない、まだ。だから目の前で言って。
俺のこと、要らないって。
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