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律稀のオメガ性は大分弱い。
発情期も一応三ヶ月に一度来るが、大体が一週間程度続く中、律稀は三日程で終わるらしい。
ヒート中のオメガは、ベータにすらわかる程のフェロモンを出すが、律稀はそれも弱く、ベータにはわからないという。
想い人がベータだという律稀は、せめて発情期くらい強くなれば誘惑も出来るんだけど、と強がっていたこともある。
その律稀でも辛い程の発情期。
「お前普段発情期はどうしてんの」
「は」
「俺、発情期のオメガ相手にしたことなかったし、そんなの他のオメガに訊けないじゃん」
「なんで僕にはそんなデリカシーないこと訊けんの……」
「いやお前が今までそういう話結構自分で口にしてきただろ」
「……ただの下ネタ体験談と自分の発情期の話訊かれんのはちがうでしょ」
珍しく頬を紅潮させる律稀が、周りをちらちらと気にした。これ、こんなとこでする話じゃなくない、と。
でもカラオケや車の中みたいな密室でオメガとアルファがふたりきりはもっとまずいだろう、小声なら誰も聞いちゃいない。
「……つ、番いないし」
「うん」
「……発情期に適当な奴とすんのこわいし……噛まれたりとか、妊娠、とか……」
「うん」
「ひ、ひとりでするしか、ないじゃん……?」
「うん」
「何言わせんの~……」
和音の発情期は、番になってしまった俺が近くにいるからああなってしまうのか、それともひとりであっても変わらないのか。
「知らないよお、番いたことなんかないんだから。でも僕ですらめちゃくちゃひとりですんの、辛いんだよ、わかる?どんだけイっても終わんないの。普段なら二回も抜かないくらいでしょ、発情期はずーっと躰がおかしいの、どこもかしこも触り過ぎて痛くなるし、ナカはあついし、でも指じゃ届かないし」
また周りを確認して、その子、処女だった?なんて訊いてくる。
恥ずかしがりながらも、自分の知り得る情報を、俺じゃない、和音の為に教えようとしている律稀が、……本当に良い子だと思う。
「うん、初めてだった」
「じゃあその、今まではずっと……手……指だけ、だったと思うのね」
「うん?」
「それがナカをいっぱいにされる気持ち良さを知っちゃった訳でしょ、足りないの、指じゃ」
「え」
「……届かないの、奥まで。気持ち良いとこにはまあ届くよ、でも奥までほしくなっちゃうの、オメガってそうなんだよ、すきなひとのもの、お腹までほしいの、本能なんだよ」
「……」
「ましてや初日、ちゃんと抱かれてる訳でしょ、翌日にはそのあとがぽっかり残ってんだよ、指で間に合う訳ないでしょ、いちにち抱かれたからって発情期が治まる訳じゃないんだから。めちゃくちゃ苦しかったと思うよ、却って抱かれない方がましだったって思うくらい」
「……後悔、するかな」
「僕ならする」
きっぱりと言い切った律稀に、そんなに辛いのか、かわいそうだったな、と申し訳ない気持ちと、じゃあ少しは俺を独占したいっていう気持ちが芽生えたりしたかな、なんていう狡い気持ちが湧く。
先日のメッセージは、既読にはなっていたが返信はなかった。
残りの発情期、俺を想って、傍にいてほしいって、自分を慰め続けたんだろうか。
憎んだだろうか、他の奴を頼ったりしてないだろうか。
いや、番の出来たオメガは本能的に生理的に、他の奴との行為は出来なくなると聞いたけれど。
「で、律稀は指で我慢してるの?」
「いやまじデリカシー……何処に捨ててきたのさ」
「俺と律稀の仲じゃん」
「うちの会社の為ですよ」
「うん」
「……処女じゃなかったら指じゃ足んないって言ったでしょ」
さっきよりも、もう耳まで紅くした律稀はミックスジュースのストローを弄りながら、消えるような声で、おもちゃとか……と呟いた。
成程、それなら指より満足出来て、誰にも頼らずに済む。
「こんな喫茶店で自慰行為の話させられるとかどんな罰ゲームだよお……」
「ごめん、気になってたからさあ……奢るし、ここ」
「あったり前じゃん……うう、ケーキもいっこ食べたい、ゆうま先輩食べちゃったし」
「いやお前が勝手に口に突っ込んだんじゃん」
すみません、このいちごとマスカットのケーキ下さい、と頬を紅くしたまま即注文する律稀に、店員さんは少し笑っていた。
本当に律稀が素直で良い子で甘えん坊で助かる。
俺にはわからない、誰にも訊けない、そんな相談相手にぴったりだった。
その分見返りも必要だけれど、この子の場合はいやらしさがない。
お陰で俺の小狡い計画に巻き込んでいるというのに、そこに関して罪悪感はなかった。
家に帰って、早速玩具を検索してみた。自分で買ったことはなかったが、色んなものがあるようだ。
……流石に律稀にどれ使ってるの、なんてセクハラ親父のようなことまでは訊けなかったからな、レビューを見て口コミを参考に決めた。
反応が良ければまた他のを考えよう。
ついでに首輪。あれももう古くなっていたし、アプリと連携しているとはいえ、番持ちが使うものではないだろう。
首輪で噛み痕が隠れてしまうのも残念だ。周りにも見せつけたいし、何より和音にその痕を意識してもらいたい。
今は番持ちは腕時計で管理するのが主流だと聞いた、アプリと連携も出来て、指輪のように牽制にもなる。
……それが目当てで贈るのは駄目だろうか。
発情期も一応三ヶ月に一度来るが、大体が一週間程度続く中、律稀は三日程で終わるらしい。
ヒート中のオメガは、ベータにすらわかる程のフェロモンを出すが、律稀はそれも弱く、ベータにはわからないという。
想い人がベータだという律稀は、せめて発情期くらい強くなれば誘惑も出来るんだけど、と強がっていたこともある。
その律稀でも辛い程の発情期。
「お前普段発情期はどうしてんの」
「は」
「俺、発情期のオメガ相手にしたことなかったし、そんなの他のオメガに訊けないじゃん」
「なんで僕にはそんなデリカシーないこと訊けんの……」
「いやお前が今までそういう話結構自分で口にしてきただろ」
「……ただの下ネタ体験談と自分の発情期の話訊かれんのはちがうでしょ」
珍しく頬を紅潮させる律稀が、周りをちらちらと気にした。これ、こんなとこでする話じゃなくない、と。
でもカラオケや車の中みたいな密室でオメガとアルファがふたりきりはもっとまずいだろう、小声なら誰も聞いちゃいない。
「……つ、番いないし」
「うん」
「……発情期に適当な奴とすんのこわいし……噛まれたりとか、妊娠、とか……」
「うん」
「ひ、ひとりでするしか、ないじゃん……?」
「うん」
「何言わせんの~……」
和音の発情期は、番になってしまった俺が近くにいるからああなってしまうのか、それともひとりであっても変わらないのか。
「知らないよお、番いたことなんかないんだから。でも僕ですらめちゃくちゃひとりですんの、辛いんだよ、わかる?どんだけイっても終わんないの。普段なら二回も抜かないくらいでしょ、発情期はずーっと躰がおかしいの、どこもかしこも触り過ぎて痛くなるし、ナカはあついし、でも指じゃ届かないし」
また周りを確認して、その子、処女だった?なんて訊いてくる。
恥ずかしがりながらも、自分の知り得る情報を、俺じゃない、和音の為に教えようとしている律稀が、……本当に良い子だと思う。
「うん、初めてだった」
「じゃあその、今まではずっと……手……指だけ、だったと思うのね」
「うん?」
「それがナカをいっぱいにされる気持ち良さを知っちゃった訳でしょ、足りないの、指じゃ」
「え」
「……届かないの、奥まで。気持ち良いとこにはまあ届くよ、でも奥までほしくなっちゃうの、オメガってそうなんだよ、すきなひとのもの、お腹までほしいの、本能なんだよ」
「……」
「ましてや初日、ちゃんと抱かれてる訳でしょ、翌日にはそのあとがぽっかり残ってんだよ、指で間に合う訳ないでしょ、いちにち抱かれたからって発情期が治まる訳じゃないんだから。めちゃくちゃ苦しかったと思うよ、却って抱かれない方がましだったって思うくらい」
「……後悔、するかな」
「僕ならする」
きっぱりと言い切った律稀に、そんなに辛いのか、かわいそうだったな、と申し訳ない気持ちと、じゃあ少しは俺を独占したいっていう気持ちが芽生えたりしたかな、なんていう狡い気持ちが湧く。
先日のメッセージは、既読にはなっていたが返信はなかった。
残りの発情期、俺を想って、傍にいてほしいって、自分を慰め続けたんだろうか。
憎んだだろうか、他の奴を頼ったりしてないだろうか。
いや、番の出来たオメガは本能的に生理的に、他の奴との行為は出来なくなると聞いたけれど。
「で、律稀は指で我慢してるの?」
「いやまじデリカシー……何処に捨ててきたのさ」
「俺と律稀の仲じゃん」
「うちの会社の為ですよ」
「うん」
「……処女じゃなかったら指じゃ足んないって言ったでしょ」
さっきよりも、もう耳まで紅くした律稀はミックスジュースのストローを弄りながら、消えるような声で、おもちゃとか……と呟いた。
成程、それなら指より満足出来て、誰にも頼らずに済む。
「こんな喫茶店で自慰行為の話させられるとかどんな罰ゲームだよお……」
「ごめん、気になってたからさあ……奢るし、ここ」
「あったり前じゃん……うう、ケーキもいっこ食べたい、ゆうま先輩食べちゃったし」
「いやお前が勝手に口に突っ込んだんじゃん」
すみません、このいちごとマスカットのケーキ下さい、と頬を紅くしたまま即注文する律稀に、店員さんは少し笑っていた。
本当に律稀が素直で良い子で甘えん坊で助かる。
俺にはわからない、誰にも訊けない、そんな相談相手にぴったりだった。
その分見返りも必要だけれど、この子の場合はいやらしさがない。
お陰で俺の小狡い計画に巻き込んでいるというのに、そこに関して罪悪感はなかった。
家に帰って、早速玩具を検索してみた。自分で買ったことはなかったが、色んなものがあるようだ。
……流石に律稀にどれ使ってるの、なんてセクハラ親父のようなことまでは訊けなかったからな、レビューを見て口コミを参考に決めた。
反応が良ければまた他のを考えよう。
ついでに首輪。あれももう古くなっていたし、アプリと連携しているとはいえ、番持ちが使うものではないだろう。
首輪で噛み痕が隠れてしまうのも残念だ。周りにも見せつけたいし、何より和音にその痕を意識してもらいたい。
今は番持ちは腕時計で管理するのが主流だと聞いた、アプリと連携も出来て、指輪のように牽制にもなる。
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