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変な自信をつけてしまう。
嬉しい、悠真さんが気持ちよさそうにしてるの。
手や口の中で大きくなるのも楽しい。びくびくするのも愛おしい。
「和音、もういい」
「んや、まらやる」
「……かわいいけどさ」
「ん、う、なれれて」
もごもご喋ったことが伝わったのか、悠真さんはそのままおれの頭を撫で続ける。
本当はこれを呑み込むくらいの方が……喉奥を使うと見たけれど、そこまでは出来そうにない。
少し咥えるだけで精一杯。それも苦しくて、すぐに口から出してしまう。
「はー……猫ちゃん」
「う、ンん、うるひゃい……」
「かわい、ぺろぺろしちゃって。甘いでしょ、番のは」
「んー……」
「ん、上手」
「へへ……」
悠真さんのフェロモンがまわってきた。
頭がどんどんぼおっとしていく。
悠真さんの、舐めてるだけ、なのに、気持ちい……
「ね、もういいよ、和音のナカ、入らせて」
「らめ、いっへ」
「……和音」
褒めてほしいから、止めない。
悠真さんがイくまでやんの。絶対。
だってもう、こんなの最後だし。
「……ッ」
ぢゅう、と吸うと、悠真さんの肩が跳ねる。
あ、これ、気持ちいんだ、と何回か吸うと、和音、と甘い声を出して、悠真さんが果てた。
「ん、あま……」
悠真さんが吐きな、とティッシュを渡す前に嚥下した。
喉に引っかかる感じはするけど、その甘さにうっとりしてしまう。
「あー、飲んじゃったの」
「ん、あまかっ、た」
「AVみたいなこと言わんでいいから」
んもう、とおれを抱えて、自分の膝の上に乗せる。
口元を拭い、首筋を、背中を撫でて、別にこんなことしなくてもいいから、と言う悠真さんに少しむっとして、なんで、と文句を言う。
「……発情期でしょ、和音の方がつら、」
「悠真さんもきもちくなってほしかったから……」
「……気持ちいーよ、和音んナカ」
だからもう入らせて、と腰を揺らされた。
……仕方ないなあ。
「じゃあ、おれ、がっ……ゔ、」
「もしかして乗ってくれようと思ってた?ごめんね、それはまた今度」
正にその通りだった。
目論見通りにはいかず、ぐるんとベッドに倒され、あっという間の形勢逆転。
今度は俺が和音を気持ちよくする番、そんなことを耳元で言われるだけで、腰が抜けて、期待してしまうような、そんな弱っちい躰なのだ。
「……ッう」
「俺の舐めながら興奮しちゃった?」
「んぅ」
「下着ん中もうべとべと。すぐ挿入りそう」
「……ん、っ、うん、挿入る、よ、」
「そうだよね、発情期の間、ずっとやってるもんね、もう慣れちゃってるよねえ」
「ンあ、」
悠真さんこそ、慣れた手つきで下着ごと剥がしていく。
濡れたそこは、空気に当たるとひんやりと感じて、また腰が揺れてしまった。
言葉通り、もう慣らしはしない。
だってそこはもう、数時間前にも悠真さんを呑み込んでいた場所だ。
「……っ、あ、ッ!」
「ん、あつ……」
「ぅあ、はっ……ん、うゔ……」
最初は熱と圧迫感。それから慣らすように少し待って、暫くしてからゆるゆると動いて、おれの口が開きっぱなしになる頃には激しい抽挿になっている。
悠真さんと比べるとこどものような貧相な躰は簡単に揺さぶられてしまう。
少し乱暴かもしれないけれど、それでも発情期の、何でも快感に繋げてしまう躰はそれでも気持ちよくて気持ちよくて、何回も気を飛ばしそうになりながら悠真さんの腕を掴んだ。
頭を撫でて、目元や唇にキスをして、首元を舐めて、吸って、噛んで。
和音、と何回も名前を呼んで、かわいい、もうちょっと、良い子だねと宥められる。
頭がふわふわして、口走りそうになるのを何度も堪えた。
悠真さん、悠真さん、どうしよう、あんたが優しくするから、楽しく話をしてくれるから、おれの瞳を見るから。
そんなつもり、なかったのに、おれ、悠真さんのこと、すきになっちゃったかもしんない。
なにも、知らないから。
悠真さんしか、知らないから。
悠真さんには、悠真さんは、他にもいるのに。
いちばんにはなれない、なりたくない。
悠真さんのいちばんには、おれ、なりたくない。
「……ッあ、う、あっ、あ、あ……!」
ぎゅう、と悠真さんの頭を抱き締めて、深い奥のところで、そのまま達してしまい、また多分、そこで気を失ったんだと、思う。
それでよかった、変なことを口走ることなく済んで。
◇◇◇
四日目。
目覚めた時にはまた……もう夕方で、流石に寝過ぎかな、とは思うものの、ものすごく……それはもう、頭も躰もすっきりしていた。
悠真さんは良かったと安堵したように笑い、それから夕食は何がいい、と訊き、リクエスト通りの生姜焼きとプリンを作ってくれた。
食べさせてもらう程弱ってはなかったので、自分で美味しく頂く。
疲れてる時には豚肉って悠真さん、言ってたし、なんだか無性に生姜焼き食べたくなったんだ。
それは考える必要もなく、ただ最初に作ってもらった、言わば思い出の味だというだけ。数える程しかない思い出だけど。
プリンも前回作ってもらったのとは全く違う、確かにとろとろした、本格的なものだった。美味しい、と言うと悠真さんは練習したからね、と嬉しそうに瞳を細めて、冷蔵庫にまだあるよ、と笑った。
夜になって、おれがもう大丈夫だからと背中を押すと、今度はソファを買いに行こう、と少し名残惜しそうに言って、悠真さんはおれの家を出て行く。
その背にもう一度、ありがと、と掠れてしまった喉で声をかけた。
その一ヶ月後に、おれは連絡先を変え、その部屋を引っ越した。
嬉しい、悠真さんが気持ちよさそうにしてるの。
手や口の中で大きくなるのも楽しい。びくびくするのも愛おしい。
「和音、もういい」
「んや、まらやる」
「……かわいいけどさ」
「ん、う、なれれて」
もごもご喋ったことが伝わったのか、悠真さんはそのままおれの頭を撫で続ける。
本当はこれを呑み込むくらいの方が……喉奥を使うと見たけれど、そこまでは出来そうにない。
少し咥えるだけで精一杯。それも苦しくて、すぐに口から出してしまう。
「はー……猫ちゃん」
「う、ンん、うるひゃい……」
「かわい、ぺろぺろしちゃって。甘いでしょ、番のは」
「んー……」
「ん、上手」
「へへ……」
悠真さんのフェロモンがまわってきた。
頭がどんどんぼおっとしていく。
悠真さんの、舐めてるだけ、なのに、気持ちい……
「ね、もういいよ、和音のナカ、入らせて」
「らめ、いっへ」
「……和音」
褒めてほしいから、止めない。
悠真さんがイくまでやんの。絶対。
だってもう、こんなの最後だし。
「……ッ」
ぢゅう、と吸うと、悠真さんの肩が跳ねる。
あ、これ、気持ちいんだ、と何回か吸うと、和音、と甘い声を出して、悠真さんが果てた。
「ん、あま……」
悠真さんが吐きな、とティッシュを渡す前に嚥下した。
喉に引っかかる感じはするけど、その甘さにうっとりしてしまう。
「あー、飲んじゃったの」
「ん、あまかっ、た」
「AVみたいなこと言わんでいいから」
んもう、とおれを抱えて、自分の膝の上に乗せる。
口元を拭い、首筋を、背中を撫でて、別にこんなことしなくてもいいから、と言う悠真さんに少しむっとして、なんで、と文句を言う。
「……発情期でしょ、和音の方がつら、」
「悠真さんもきもちくなってほしかったから……」
「……気持ちいーよ、和音んナカ」
だからもう入らせて、と腰を揺らされた。
……仕方ないなあ。
「じゃあ、おれ、がっ……ゔ、」
「もしかして乗ってくれようと思ってた?ごめんね、それはまた今度」
正にその通りだった。
目論見通りにはいかず、ぐるんとベッドに倒され、あっという間の形勢逆転。
今度は俺が和音を気持ちよくする番、そんなことを耳元で言われるだけで、腰が抜けて、期待してしまうような、そんな弱っちい躰なのだ。
「……ッう」
「俺の舐めながら興奮しちゃった?」
「んぅ」
「下着ん中もうべとべと。すぐ挿入りそう」
「……ん、っ、うん、挿入る、よ、」
「そうだよね、発情期の間、ずっとやってるもんね、もう慣れちゃってるよねえ」
「ンあ、」
悠真さんこそ、慣れた手つきで下着ごと剥がしていく。
濡れたそこは、空気に当たるとひんやりと感じて、また腰が揺れてしまった。
言葉通り、もう慣らしはしない。
だってそこはもう、数時間前にも悠真さんを呑み込んでいた場所だ。
「……っ、あ、ッ!」
「ん、あつ……」
「ぅあ、はっ……ん、うゔ……」
最初は熱と圧迫感。それから慣らすように少し待って、暫くしてからゆるゆると動いて、おれの口が開きっぱなしになる頃には激しい抽挿になっている。
悠真さんと比べるとこどものような貧相な躰は簡単に揺さぶられてしまう。
少し乱暴かもしれないけれど、それでも発情期の、何でも快感に繋げてしまう躰はそれでも気持ちよくて気持ちよくて、何回も気を飛ばしそうになりながら悠真さんの腕を掴んだ。
頭を撫でて、目元や唇にキスをして、首元を舐めて、吸って、噛んで。
和音、と何回も名前を呼んで、かわいい、もうちょっと、良い子だねと宥められる。
頭がふわふわして、口走りそうになるのを何度も堪えた。
悠真さん、悠真さん、どうしよう、あんたが優しくするから、楽しく話をしてくれるから、おれの瞳を見るから。
そんなつもり、なかったのに、おれ、悠真さんのこと、すきになっちゃったかもしんない。
なにも、知らないから。
悠真さんしか、知らないから。
悠真さんには、悠真さんは、他にもいるのに。
いちばんにはなれない、なりたくない。
悠真さんのいちばんには、おれ、なりたくない。
「……ッあ、う、あっ、あ、あ……!」
ぎゅう、と悠真さんの頭を抱き締めて、深い奥のところで、そのまま達してしまい、また多分、そこで気を失ったんだと、思う。
それでよかった、変なことを口走ることなく済んで。
◇◇◇
四日目。
目覚めた時にはまた……もう夕方で、流石に寝過ぎかな、とは思うものの、ものすごく……それはもう、頭も躰もすっきりしていた。
悠真さんは良かったと安堵したように笑い、それから夕食は何がいい、と訊き、リクエスト通りの生姜焼きとプリンを作ってくれた。
食べさせてもらう程弱ってはなかったので、自分で美味しく頂く。
疲れてる時には豚肉って悠真さん、言ってたし、なんだか無性に生姜焼き食べたくなったんだ。
それは考える必要もなく、ただ最初に作ってもらった、言わば思い出の味だというだけ。数える程しかない思い出だけど。
プリンも前回作ってもらったのとは全く違う、確かにとろとろした、本格的なものだった。美味しい、と言うと悠真さんは練習したからね、と嬉しそうに瞳を細めて、冷蔵庫にまだあるよ、と笑った。
夜になって、おれがもう大丈夫だからと背中を押すと、今度はソファを買いに行こう、と少し名残惜しそうに言って、悠真さんはおれの家を出て行く。
その背にもう一度、ありがと、と掠れてしまった喉で声をかけた。
その一ヶ月後に、おれは連絡先を変え、その部屋を引っ越した。
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