【完結】でも、だって運命はいちばんじゃない

ちかこ

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「は、ァう、ん……っ」

 答えるかわりに甘い声が出る。悠真さんはそれでも満足そうに笑い、どっちも気持ちいいね、と耳元で囁いた。

「ンぅ……ん……っ」

 そんな優しい低い声、耳元で出されたら堪らない。
 そんなことで達してしまいそうになる、今はそんなとこすら敏感になっている。

「ほら、自分でもやってみて。いつもどんな風に触るの?強さはこれくらいって覚えられた?」
「や、あっ……」
「ヤじゃないの、覚えなきゃ、自分で自分が気持ちよくなる方法」
「やだ、やっ、ゆうまさんがさわってえ……っ」
「……今じゃなければ百点満点の台詞だったな、それ」

 だって今は悠真さんがいるのに。
 いる時くらい、悠真さんが触ってくれなきゃいやだ。
 自分で自分を慰めるなんて、今までだってしてきたし、明日からだってしないといけないのに。

「やだ……」

 まだ泣き止まないおれの額に唇を落として、ごめんね、加減を教えなきゃ、また和音が辛いと思って、と瞳を覗き込んでくる。
 親子のような、あやすような、そんな柔らかい触れ方に、泣いてるおれが悪いのはわかるけれど、なんだかちょっと、複雑だった。
 今のおれがほしいのはごめんじゃなくて、そうじゃなくて、もっと甘ったるくて、優しいけれど、やらしい悠真さんの声と手なのに。

「さ、さわって、ほし……」
「うん、そうだよね、辛いよね、大丈夫、ちゃんと気持ちくしたげるから」

 お腹の中がいい?と先程おれが導いた腹の辺りを撫でて、甘い声で、ここ、いっぱいにしたい?なんて訊くから。
 うん、と素直に頷いてしまった。
 そこ、いっぱいにしてほしい。
 想像をするだけで奥がきゅんとしてしまう。期待してしまう。そこの気持ちよさを知ってしまった。悠真さんの形を知ってしまった。
 もうそこは悠真さんじゃないと満足出来ない。

「和音」
「んっ……」
「足開いて、そう、自分で開いてられる?」

 悠真さんの前でなんて格好。
 恥ずかしくて頭があつくなるけど、それでも触ってほしいという欲に勝てない。
 恥ずかしいのを我慢したら、気持ちよくなる。いっぱい。悠真さんが、気持ちよくしてくれる。
 そう期待して、自分で足を抱える。

「んっ……あ、あっ」

 自分で散々弄ったそこは難なく悠真さんの指を呑み込んで、貪欲にその指を締めつける。
 奥の方、自分の指じゃ届かないところ。嬉しい、ときゅうきゅうしてるみたい。

「ん、ン……っ」

 我慢するような声が、気持ちいいというような息が漏れて、甘えるように鼻を鳴らしてしまう。
 強い快感に、つい手を離しそうになってしまうけど、褒めてもらいたいからぐっと力を入れて耐えた。
 的確にイイトコに擦られて、焦らすようにずらされて、奥を拡げるように指が動く。
 ぐちゅぐちゅ鳴るやらしい水音すら気持ちいい。

「は、ぁう、んっ、あ、……っゆ、まさんっ……う」
「うん?もう我慢出来ない?」
「んッ、ん、うん、奥、っ、奥がいいっ……」
「和音は奥の方すきだねえ」
「……あッ、う!」

 躰の中から指を引き抜かれて、もうちょっと足開いて、と頬を撫でられて頷く。
 躰は硬い方ではない。出来るだけ悠真さんを受け入れやすくする為に、限界まで開いた。
 先程までのじい、と見られていた時より、その足の間に悠真さんが入ることで、少しだけ羞恥心が軽くなる。恥ずかしいことは恥ずかしいんだけど。

 挿入れるよ、という声に喉を鳴らして息を呑んでしまった。
 二ヶ月ぶりの悠真さん。あ……早く、ほしい。
 そんなにもの欲しそうなかおをしなくてもあげるよ、と少し笑って、やっと先端が押しつけられる。
 期待したそこが、悠真さんを呑み込む。指よりももっと太くて質量のあるもの。

「あっ……ん、う、は……っあ、あー……ッ」

 苦しいことも痛いこともない。
 ただゆっくり挿入されて、ゆっくりナカを擦っていくのが気持ちいい。ぞわぞわする。
 それだけで達してしまった。

「あっ、は、う、んゔう……」
「気持ちよかったねえ、でもまだ挿入れただけだよ」
「んッう、わかっ、てっ……る、けどっ……ゆぅまさ、きもち……ッい、ん、あっ」
「足、閉じちゃってる、ほら、持ってて」

 少し閉じてしまった太腿をぺち、と軽く叩かれて、腕を連れていかれる。
 開いてなきゃって思うのに、褒められたいのに、でも前に触れたいとも思う。
 触りたい、もっと気持ちよくなりたい、全然熱が治まらない、もっと、もっとたくさんイかなきゃ、いやだけど、たくさんイくのは苦しいけど、でももっと気持ちいいのがほしい。

「奥がいいんだっけ?」
「ん、ンっ……」
「入るかな……」
「ゔ……ッ!?」

 一度奥まで入ったと思ったのに、え、うそ、まだ奥、入るの?
 えっ、奥って言ったのおれだけど、え、え、もっと奥、あるの?
 いつもの、とんとんされるような、ぐりぐりされるような感覚と違い、ぶわ、と汗が出た気がした。
 奥、奥だめ、だめだ、そこはだめ、あ、あ、だめ、そこ、されたらおかしくなる、あ、だめ、入る、だめ。

 そうわかっているのに止められない。
 悠真さんがもっと奥まで入る、その事実で頭がいっぱいになって、心のどこかが期待して、こわいのと綯い交ぜになって。

「あ、あ、あう、あッ──……」

 そこから先の、過ぎた快楽は覚えてない。
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