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大きなTシャツ一枚脱ぐだけ。
どこかに引っかかることもなく、そんなものはすぐに脱げる。
その下は何も着てない。つまりシャツを脱いでしまえばおれはもう全裸だった。
初めてのことでもないのに恥ずかしいと思うのは、それでも脱いでしまうのは、この先のことがわかっているからだ。
つい、と視線を逸らして脱いだシャツを悠真さんに渡す。それを頭から被り、あったかい、なんて言うから、耳まであつくなってしまった。
「い、いま脱いだ、ばっか、だから」
「うん、見てたし。ふふ」
「なに、笑って……」
「んーん、これ、和音のにおいがする」
「……ッ」
頬が、頭があつくなる。
自分だって悠真さんのにおいに一喜一憂しているくせに、自分のことを言われると恥ずかしくて堪らなかった。
「ぬっ、ぬい、ぬいで!」
「えー」
「きたない、からっ、汚しちゃっ……た、し」
そうだ。
直に着ていたから、汗だってかいてるし、その、何回か自分で触っちゃったし、勝手に濡れるしで、……裾とか、おれので汚しちゃってる。
そんなものを悠真さんに着せるなんて。
慌てて袖を引っ張るけれど悠真さんは脱いでくれなかった。
さっきまで……自分が着ていた時は気付かなかったけれど、腹の辺り、シャツの色が変わっているのがもう爆発してしまいそうなくらい恥ずかしい。そして申し訳ない。
「ぬいでえ……」
「俺のにおい、まだついてないでしょ」
「そうじゃないっ、う、よ、汚しちゃってんの、おれ、き、汚いから、汗とか、もっとっ、汚いからあ」
「んー、はは、ここら辺でしょ、濡れてる。いいよ、どうせまた汚れるし」
「……っでも!」
「ね、和音のにおいと俺のにおいが混じったら気持ちいいと思うよ」
「……へあ」
服からおれの手を離し、その腕を掴むとそのままベッドへ押し倒された。支えられた頭がそっと枕に置かれる。
ベッドの上、枕の上、そんなところ、少し乱暴にされても怪我なんてしないのに。
だいじにされてるようで、胸がぎゅうとなる。
でもそれはおれにだけじゃないのだろう。誰にでも……抱く相手にはそうするのがもう当たり前なんだろうな、と思うと、胸がきゅっとなる。
ふ、と笑うかおが近くて、見つめる視線も柔らかくて、大きな手が頬を撫でて、和音、と呼ぶ声が酷く優しい。
そんなの勘違いしてしまいそうになる。
わかってるのに、すぐ近くからかおる悠真さんのにおいが、おれの頭をどろどろにしてしまう。
もう一度、名前を呼んで、唇に触れる、それだけの軽いキスでおれを黙らせて、にこ、と笑みを見せる。
遅くなってごめんね、ちゃんと待てて偉かったねえ、
そんな、留守番をしていたこどもに言うような、そんな言葉なのに。
やっと褒めてもらえたみたいで、やっと息を吐けるような、そんな気持ちになった。
「ゔん……」
「頑張った?」
「うん、ん、がんばっ、たあ……」
「偉かったねえ、後は俺が触ったげるね?」
「ん、ん、さわ、って……ゆ、まさん、がいっ、い」
「もー、泣かないの、ほら、どこ触ってほしい?」
一度涙が出ると、暫くは止まらない。
悠真さんが指先で拭っても拭っても足りなくて、すぐにかおがぐしゃぐしゃになってしまう。
指で払って、手のひらで涙の跡を拭い、手の甲で頬を撫でる。
それからおれの髪をくしゃっと撫でて、また、どこがいい?と優しく声を掛けた。
どこを触って、なんて言えるような状態じゃなくて、悠真さんの手を取り、腹に持って行った。
「お腹……どっち?ナカがいいの?それともこっち?」
下腹部をひと撫でし、そのまま胸元に長い指が移動する。
先程、少し紅くなってると言ったその場所はまだ熱を持っていて、悠真さんの指先にすぐに反応した。
つん、と突かれて、きゅっと捏ねて、ぐいと潰される。
それだけのことに、あう、と声が漏れる。
「その内ここだけでイけるようになるかもね」
「っや、だあ……!ッう、ん、あっ」
「気持ちいいとこが多い方がいいでしょ」
「よくなっ……あ、んっ」
「ええ、俺は嬉しいよ、和音の気持ちいいとこたくさん知りたいし、たくさん触れたい」
「あっ、あ、そこ、でっ……話さ、な、う、あ、止めっ……んんッ」
胸元に息が掛かる。
あつい舌が舐めて、吸って、潰す。唇で食んで、軽く歯を立てられる。
背中がぞくぞくして、つい悠真さんの頭を抱えてしまった。
悠真さんは悪いかおでおれを見上げて、もう片方の突起も弄り出す。
もっと、という意味ではないことくらい、わかってくれてるだろうに、そういうところは意地が悪い。
「ンっ、う、や、そこ、ばっかりっ」
「でもここ、気持ちーんでしょ」
ほら、こっちもびしょびしょ、と足の間を撫で、その濡れた手でまた胸元に触れた。
ぬと、とした感触が気持ちが悪くて、気持ちいい。
おれの手をとると、その手を覆い、ここを触る時はこれくらいの強さだよ、と、一緒に触れさせる。
「この間、力加減教えてあげるって言ったから。優しく触んの。ここは皮膚が薄いけど、和音は特に紅くなりやすいかもね」
「っ、あ、じんじん、するっ……う、」
「指より舌の方がいい?」
答えられなかった。だってどっちも気持ちよかった。
悠真さんなら、少し痛くたって、我慢出来る、のに。
どこかに引っかかることもなく、そんなものはすぐに脱げる。
その下は何も着てない。つまりシャツを脱いでしまえばおれはもう全裸だった。
初めてのことでもないのに恥ずかしいと思うのは、それでも脱いでしまうのは、この先のことがわかっているからだ。
つい、と視線を逸らして脱いだシャツを悠真さんに渡す。それを頭から被り、あったかい、なんて言うから、耳まであつくなってしまった。
「い、いま脱いだ、ばっか、だから」
「うん、見てたし。ふふ」
「なに、笑って……」
「んーん、これ、和音のにおいがする」
「……ッ」
頬が、頭があつくなる。
自分だって悠真さんのにおいに一喜一憂しているくせに、自分のことを言われると恥ずかしくて堪らなかった。
「ぬっ、ぬい、ぬいで!」
「えー」
「きたない、からっ、汚しちゃっ……た、し」
そうだ。
直に着ていたから、汗だってかいてるし、その、何回か自分で触っちゃったし、勝手に濡れるしで、……裾とか、おれので汚しちゃってる。
そんなものを悠真さんに着せるなんて。
慌てて袖を引っ張るけれど悠真さんは脱いでくれなかった。
さっきまで……自分が着ていた時は気付かなかったけれど、腹の辺り、シャツの色が変わっているのがもう爆発してしまいそうなくらい恥ずかしい。そして申し訳ない。
「ぬいでえ……」
「俺のにおい、まだついてないでしょ」
「そうじゃないっ、う、よ、汚しちゃってんの、おれ、き、汚いから、汗とか、もっとっ、汚いからあ」
「んー、はは、ここら辺でしょ、濡れてる。いいよ、どうせまた汚れるし」
「……っでも!」
「ね、和音のにおいと俺のにおいが混じったら気持ちいいと思うよ」
「……へあ」
服からおれの手を離し、その腕を掴むとそのままベッドへ押し倒された。支えられた頭がそっと枕に置かれる。
ベッドの上、枕の上、そんなところ、少し乱暴にされても怪我なんてしないのに。
だいじにされてるようで、胸がぎゅうとなる。
でもそれはおれにだけじゃないのだろう。誰にでも……抱く相手にはそうするのがもう当たり前なんだろうな、と思うと、胸がきゅっとなる。
ふ、と笑うかおが近くて、見つめる視線も柔らかくて、大きな手が頬を撫でて、和音、と呼ぶ声が酷く優しい。
そんなの勘違いしてしまいそうになる。
わかってるのに、すぐ近くからかおる悠真さんのにおいが、おれの頭をどろどろにしてしまう。
もう一度、名前を呼んで、唇に触れる、それだけの軽いキスでおれを黙らせて、にこ、と笑みを見せる。
遅くなってごめんね、ちゃんと待てて偉かったねえ、
そんな、留守番をしていたこどもに言うような、そんな言葉なのに。
やっと褒めてもらえたみたいで、やっと息を吐けるような、そんな気持ちになった。
「ゔん……」
「頑張った?」
「うん、ん、がんばっ、たあ……」
「偉かったねえ、後は俺が触ったげるね?」
「ん、ん、さわ、って……ゆ、まさん、がいっ、い」
「もー、泣かないの、ほら、どこ触ってほしい?」
一度涙が出ると、暫くは止まらない。
悠真さんが指先で拭っても拭っても足りなくて、すぐにかおがぐしゃぐしゃになってしまう。
指で払って、手のひらで涙の跡を拭い、手の甲で頬を撫でる。
それからおれの髪をくしゃっと撫でて、また、どこがいい?と優しく声を掛けた。
どこを触って、なんて言えるような状態じゃなくて、悠真さんの手を取り、腹に持って行った。
「お腹……どっち?ナカがいいの?それともこっち?」
下腹部をひと撫でし、そのまま胸元に長い指が移動する。
先程、少し紅くなってると言ったその場所はまだ熱を持っていて、悠真さんの指先にすぐに反応した。
つん、と突かれて、きゅっと捏ねて、ぐいと潰される。
それだけのことに、あう、と声が漏れる。
「その内ここだけでイけるようになるかもね」
「っや、だあ……!ッう、ん、あっ」
「気持ちいいとこが多い方がいいでしょ」
「よくなっ……あ、んっ」
「ええ、俺は嬉しいよ、和音の気持ちいいとこたくさん知りたいし、たくさん触れたい」
「あっ、あ、そこ、でっ……話さ、な、う、あ、止めっ……んんッ」
胸元に息が掛かる。
あつい舌が舐めて、吸って、潰す。唇で食んで、軽く歯を立てられる。
背中がぞくぞくして、つい悠真さんの頭を抱えてしまった。
悠真さんは悪いかおでおれを見上げて、もう片方の突起も弄り出す。
もっと、という意味ではないことくらい、わかってくれてるだろうに、そういうところは意地が悪い。
「ンっ、う、や、そこ、ばっかりっ」
「でもここ、気持ちーんでしょ」
ほら、こっちもびしょびしょ、と足の間を撫で、その濡れた手でまた胸元に触れた。
ぬと、とした感触が気持ちが悪くて、気持ちいい。
おれの手をとると、その手を覆い、ここを触る時はこれくらいの強さだよ、と、一緒に触れさせる。
「この間、力加減教えてあげるって言ったから。優しく触んの。ここは皮膚が薄いけど、和音は特に紅くなりやすいかもね」
「っ、あ、じんじん、するっ……う、」
「指より舌の方がいい?」
答えられなかった。だってどっちも気持ちよかった。
悠真さんなら、少し痛くたって、我慢出来る、のに。
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