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「何考えてんの?こっち集中して」
「あっ、んう!」
「和音のイイトコ探してんの。どこら辺?いつもどこが気持ちいい?」
「あっ、あ、あっう、んッわか、わかんなっ」
「いつもヒートの時は自分でしてんでしょ」
「やっ、う、きもちい、いからっ……そこ、あ、もうちょっ、と、だけ、奥……ッあ!」
「教えてくれてありがと」
くつくつ笑いながらおれが誘導したところをとんとんと刺激し、奥を拡げ、また手前に戻ってくる。
何回も何回もそうやって繰り返すものだから、それこそ何回達したかわからなくなってしまった。
息が上がりきって、苦しくてもう酸欠状態じゃないかって頃には、シーツはどろどろぐしゃぐしゃになっていた程。
指だけ。慣らすだけ、拡げるだけで、本当にもう何回達した?いい加減にしろ、死にそう。苦しい。もう我慢やだ。
悠真さんは背中側にいるから、べっしょべしょになった、おれのきったないかおも見えないんだろう。おれだって悠真さんがどんなかおで笑ってるのかも見えない。
「はっ、あ、う、もおっ……いいっ、指っ、やだあ」
「もうヤなの?」
「や、やあ、やだ、っう、も、や、いれてっ、か、噛んでえ……!」
すぐ耳の後ろ、悠真さんの喉が鳴る。
いつでも噛める距離。
冷房の効いた部屋だというのに、触れているところは勿論、触れられてないところですらじわじわあつくなる。
項に掛かる吐息があつくて甘い。
もう噛まれることしか考えられない。
噛んで、噛んで、気持ちいい、早く、噛んで、番にして、噛んで、ナカ気持ちい、噛んでよ、早く、早く、早く。
「噛んで……」
もう一度呟くと、漸くナカから悠真さんの指が出ていった。喪失感半分、来る、という期待半分で心臓がばくばくする。
ぎゅう、とシーツを握り締めるおれの手に、そっと悠真さんの大きな手が重なった。
悔しいくらい、そんなことで安心してしまう自分がいる。
「……いいの?本当に?こんな状態で駄目って言われても困るけど……番になっちゃっても」
悠真さんも息が上がっている。最後の確認。頷けば終わり。
おれがいやだと言えば止められるのだろうか。
……そんなつもりは毛頭ないけれど。
「いい、から、噛んで、早くっ……噛んで、え」
重なった悠真さんの手に額を擦り付けた。
少しでも体温を感じたかったのかもしれない。
手に触れるだけであんなに安心するなら、頭を撫でてもらったら、もっと触れてもらったら、抱き締めてもらったら、もっと、蕩けてしまうくらいの安心が貰えるんじゃないだろうか。
まだ番の契約は済んでない。それなのにこんなになっちゃって。
結構、いや実はおれたち、相性いいんじゃないかな、なんて無理矢理「おれでいい理由」を探そうとしたりして。
いやもういいでしょ、アルファなんてなんにんだって番が作れるんだから、おれひとり増えたって、別に構いはしないでしょ、だっておれ、我慢出来るし。おれをいちばんにしろなんて我儘言わないし。
たまにこうやって躰を重ねてくれれば、番としてコントロールしてくれたら。おれのオメガ性が他の誰かの迷惑にならないようにしてくれたら。
それだけでいいから。
ね、だからおれ、他のオメガよりきっと楽だよ。
生活の面倒は見てくれなくてもいいし。家族がいるからアルファが養わなくても生きていけるし。仕事だって出来るようになるだろうし。
たまに発情期に付き合ってくれたらそれでいいの。
恋人がほしい訳でも、こどもがほしい訳でもない。そんなのはもう今更夢を見てない、おれが欲しかったものはもっと早くにだめだと知ってしまった。
ただおれのオメガとしての情けない部分をどうにかしてくれたら、それでいい。
大丈夫。
おれの理想としていた関係性じゃない。
だからこそ夢を見ないで済む。
大丈夫。
大丈夫、愛はなくたって番にはなれる。
「……わかった、宜しくね、和音」
「っ、あ!」
ゆっくり、悠真さんのモノがナカに挿入っていくのがわかる。指何本分とか、そんなものじゃない、もっと質量のあるもの。
ベータなら痛かったのかもな、オメガのおれには、そんな感覚はなくて……脳内でそういう物質でも出てんのかな、痛みなんかよりも、苦しさなんかよりも、あ、やっときたあ、なんて、気持ちよさの方が強かった。
「ふ、あ、あっ、あ、あう、は、いってくるう……」
「は、実況えっろ」
「あっ、ン……う、は、っあ、あ、あつい……っ」
どうしよ、気持ちいい、思ってたよりずっと。
慰めていた自分の指なんかよりずっと。
どうしよ、こんなん、また欲しくなっちゃう。
あ、いいのか、番になるんだもんな、またくれるのか。それならいいかな、うん、いっか、あ、待って、まだ噛んでない。噛んでもらわなきゃ、噛んで、噛んでもらわなきゃ。
「あ、アッう、はぁ……っん、は、はや、くっ」
さっき教えたばかりのイイトコを擦り上げながら、それでも奥に進もうとする悠真さんに腰が砕けてしまいそうだった。
それでも目的はそこで終わりではない。
空いた手で、項に触れる。
流れる髪を分けるようにして、そこを悠真さんに見せつける。
ねえ、早く、噛んで。
「あっ、んう!」
「和音のイイトコ探してんの。どこら辺?いつもどこが気持ちいい?」
「あっ、あ、あっう、んッわか、わかんなっ」
「いつもヒートの時は自分でしてんでしょ」
「やっ、う、きもちい、いからっ……そこ、あ、もうちょっ、と、だけ、奥……ッあ!」
「教えてくれてありがと」
くつくつ笑いながらおれが誘導したところをとんとんと刺激し、奥を拡げ、また手前に戻ってくる。
何回も何回もそうやって繰り返すものだから、それこそ何回達したかわからなくなってしまった。
息が上がりきって、苦しくてもう酸欠状態じゃないかって頃には、シーツはどろどろぐしゃぐしゃになっていた程。
指だけ。慣らすだけ、拡げるだけで、本当にもう何回達した?いい加減にしろ、死にそう。苦しい。もう我慢やだ。
悠真さんは背中側にいるから、べっしょべしょになった、おれのきったないかおも見えないんだろう。おれだって悠真さんがどんなかおで笑ってるのかも見えない。
「はっ、あ、う、もおっ……いいっ、指っ、やだあ」
「もうヤなの?」
「や、やあ、やだ、っう、も、や、いれてっ、か、噛んでえ……!」
すぐ耳の後ろ、悠真さんの喉が鳴る。
いつでも噛める距離。
冷房の効いた部屋だというのに、触れているところは勿論、触れられてないところですらじわじわあつくなる。
項に掛かる吐息があつくて甘い。
もう噛まれることしか考えられない。
噛んで、噛んで、気持ちいい、早く、噛んで、番にして、噛んで、ナカ気持ちい、噛んでよ、早く、早く、早く。
「噛んで……」
もう一度呟くと、漸くナカから悠真さんの指が出ていった。喪失感半分、来る、という期待半分で心臓がばくばくする。
ぎゅう、とシーツを握り締めるおれの手に、そっと悠真さんの大きな手が重なった。
悔しいくらい、そんなことで安心してしまう自分がいる。
「……いいの?本当に?こんな状態で駄目って言われても困るけど……番になっちゃっても」
悠真さんも息が上がっている。最後の確認。頷けば終わり。
おれがいやだと言えば止められるのだろうか。
……そんなつもりは毛頭ないけれど。
「いい、から、噛んで、早くっ……噛んで、え」
重なった悠真さんの手に額を擦り付けた。
少しでも体温を感じたかったのかもしれない。
手に触れるだけであんなに安心するなら、頭を撫でてもらったら、もっと触れてもらったら、抱き締めてもらったら、もっと、蕩けてしまうくらいの安心が貰えるんじゃないだろうか。
まだ番の契約は済んでない。それなのにこんなになっちゃって。
結構、いや実はおれたち、相性いいんじゃないかな、なんて無理矢理「おれでいい理由」を探そうとしたりして。
いやもういいでしょ、アルファなんてなんにんだって番が作れるんだから、おれひとり増えたって、別に構いはしないでしょ、だっておれ、我慢出来るし。おれをいちばんにしろなんて我儘言わないし。
たまにこうやって躰を重ねてくれれば、番としてコントロールしてくれたら。おれのオメガ性が他の誰かの迷惑にならないようにしてくれたら。
それだけでいいから。
ね、だからおれ、他のオメガよりきっと楽だよ。
生活の面倒は見てくれなくてもいいし。家族がいるからアルファが養わなくても生きていけるし。仕事だって出来るようになるだろうし。
たまに発情期に付き合ってくれたらそれでいいの。
恋人がほしい訳でも、こどもがほしい訳でもない。そんなのはもう今更夢を見てない、おれが欲しかったものはもっと早くにだめだと知ってしまった。
ただおれのオメガとしての情けない部分をどうにかしてくれたら、それでいい。
大丈夫。
おれの理想としていた関係性じゃない。
だからこそ夢を見ないで済む。
大丈夫。
大丈夫、愛はなくたって番にはなれる。
「……わかった、宜しくね、和音」
「っ、あ!」
ゆっくり、悠真さんのモノがナカに挿入っていくのがわかる。指何本分とか、そんなものじゃない、もっと質量のあるもの。
ベータなら痛かったのかもな、オメガのおれには、そんな感覚はなくて……脳内でそういう物質でも出てんのかな、痛みなんかよりも、苦しさなんかよりも、あ、やっときたあ、なんて、気持ちよさの方が強かった。
「ふ、あ、あっ、あ、あう、は、いってくるう……」
「は、実況えっろ」
「あっ、ン……う、は、っあ、あ、あつい……っ」
どうしよ、気持ちいい、思ってたよりずっと。
慰めていた自分の指なんかよりずっと。
どうしよ、こんなん、また欲しくなっちゃう。
あ、いいのか、番になるんだもんな、またくれるのか。それならいいかな、うん、いっか、あ、待って、まだ噛んでない。噛んでもらわなきゃ、噛んで、噛んでもらわなきゃ。
「あ、アッう、はぁ……っん、は、はや、くっ」
さっき教えたばかりのイイトコを擦り上げながら、それでも奥に進もうとする悠真さんに腰が砕けてしまいそうだった。
それでも目的はそこで終わりではない。
空いた手で、項に触れる。
流れる髪を分けるようにして、そこを悠真さんに見せつける。
ねえ、早く、噛んで。
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