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自分の出したものと皇輝の出したものとローションが混じって、それはもうすごいことになっていた。
「なんかすげええろい」
「……恥ずかしいからやめてよ」
「ん、もう終わり終わり、綺麗にして寝よ」
慣らすの終わり?と訊くと、今日はな、と返ってくる。
次はいつなんだろう、また時間を空けると元に戻ってしまうんじゃないだろうか。いつちゃんと最後まで出来るんだろうか。
もういっそ、無理にでも挿入て貰った方が……
「終わり」
「ありがと……」
「水飲む?」
「のみたい……」
「タオル片付けてくるから、ちょっと待ってて」
「うん……」
「寝ててもいいよ」
「……おきてる」
頭を撫でて、皇輝が部屋を出ていく。階段を降りる音。
開けたままの扉から廊下の明かりが入って眩しい。
階下の音が少しだけ、する。皇輝ばっかり動かせて申し訳ない。
でも僕の為に動いてくれるのが嬉しかったりもする。
だいじにされてるじゃん、って。
疲れた。
昼間はいっぱい歩いたし、魔女とも出会ってしまった。それだけで考えることが多くて悩んでしまうのに、夜まで体力を使って。
そりゃ疲れる。眠たいに決まってる。躰はまた熱くて、怠くて、皇輝の匂いがして、心地良く眠れそう。
「……寝た?」
「まだ寝てない……」
「ほら、水」
「ありがと……」
戻ってきた皇輝から水受け取り、上半身を起こして口にする。
からっからの喉に水分がしみる。おいしい。
ゆっくり飲め、と呆れたような声が降ってきた。
空になったグラスを返すと、口の端を拭われる。そんな零れたのに気付かないほど喉が渇いていたんだろうか。
「碧、相談なんだけど」
「なにー?」
詰めて、とベッドの奥に追いやられて、皇輝も横に入ってくる。
さっきまでやらしいことしておいて、それでも一緒に寝ることにどきっとしてしまう。
「俺、大学の近くに住むんだよね」
「えっ、卒業したら?」
「うん」
「こっからでも通えるのに」
流石金持ちは違う。普通は他県とか行くから仕方なくひとり暮らしするとかなのに。
そんなに遠くないのに、ここからでも。
まあ皇輝だし、ひとり暮らしのスキルはあるだろうし、色々便利なんだろうけど。
「碧も一緒に住まない?」
「えっ」
どどどど同棲ってやつでは!それ!
眠気が飛んでしまうほどびっくりした。え、いいの、いいの?考えたこともなかった。だって大学は近くの付属先だって決まってたし。
家でまで皇輝と一緒とか夢みたいじゃん。
毎日皇輝と一緒……
「あっでも親、だめかも、絶対家近いんだからここから通えって言う」
「でもどうせ碧入り浸りになるんだから一緒じゃない?」
「否定出来ない」
絶対皇輝んち泊まっちゃう。
でもそんな、やっぱり勿体ない気がする……
「まあおばさんに訊いてみてよ」
「うん……だめでも泊まりには行っていいよね?」
「当たり前じゃん」
そう笑って、軽くキスをして、僕にしっかりと布団をかけた。
どうしよう、めちゃくちゃしあわせだ。
「おやすみ」
「うん……今日、ありがと」
「今日?」
「僕と佐倉に付き合ってくれて」
「ああ」
思い出したように頷いて、自分にもいい経験になったからいいよ、と言ってくれた。
文化祭に行っただけでそれは大袈裟だから、皇輝も気を遣ってくれたんだろうな、と思う。
僕は結構楽しかった。プールも確認出来たし、文化祭ならではのチープな屋台も結構すき。
佐倉も楽しそうだったし。
佐倉がいいよと言っても、やっぱり王子様を取ってしまったことに罪悪感がある。
妙な仲間意識もあるし、単純に佐倉が良い奴なのもあって、どうにも佐倉のしあわせを願いたい。手伝えることは手伝いたい。
幸い、大学までは一緒だから、きっと何か……まあ話を聞くくらいは出来るだろう。
今日の打ち上げ、楽しんでくれたかな。あのボーカルの先輩に恋してるとかはわからないし、純粋に憧れかもしれないけど。
そこまではふわふわとした楽しい気分だった。
連鎖的に、なんで忘れてたんだとばかりに赤髪の魔女を思い出す。
佐倉は魔女に気付いてないから大丈夫だと思ってしまったけど、魔女が佐倉に気付いてないとは確証がない。
何せ魔女だ。お姫様の佐倉や、王子様の皇輝のことを知っていても、あの時気付いてもおかしくない。魔女ってそういうもんでしょ、いや知らないけど。
どうしよう、いや、でも佐倉なら、結構大丈夫かもしれない。
この物語も前世もわかってて、皇輝に恋愛感情はない、他のひとを見つけたいと言ってたくらいだから、何か揉めさせようとしても揉めないだろう、あのすっきりした性格だ、ずばっと何かひとつ言い返しくらいしそうだ。
でも魔女の性格が……現世のあのひとの性格がわからないから。
どうしよう、佐倉が傷付けられたらどうしよう。
傷付いてほしくない。自分の為に誰かが傷付けられるのはいやだ。ましてあんなに優しいひとが。
……明日、落ち着いたら佐倉に連絡を入れてみよう。
昨日?楽しかったよ~、と明るい返事が返ってくることを願おう。
今は……頭があんまり回らない。
「碧?寝た?」
寝てない。目を閉じてるだけ。もう瞼、上がらないけど。
ふわふわしてるし多分、もう半分夢の中だ。
「……ごめんな」
だからそう聞こえたのも、多分、夢か気の所為なんだと、思う。
「なんかすげええろい」
「……恥ずかしいからやめてよ」
「ん、もう終わり終わり、綺麗にして寝よ」
慣らすの終わり?と訊くと、今日はな、と返ってくる。
次はいつなんだろう、また時間を空けると元に戻ってしまうんじゃないだろうか。いつちゃんと最後まで出来るんだろうか。
もういっそ、無理にでも挿入て貰った方が……
「終わり」
「ありがと……」
「水飲む?」
「のみたい……」
「タオル片付けてくるから、ちょっと待ってて」
「うん……」
「寝ててもいいよ」
「……おきてる」
頭を撫でて、皇輝が部屋を出ていく。階段を降りる音。
開けたままの扉から廊下の明かりが入って眩しい。
階下の音が少しだけ、する。皇輝ばっかり動かせて申し訳ない。
でも僕の為に動いてくれるのが嬉しかったりもする。
だいじにされてるじゃん、って。
疲れた。
昼間はいっぱい歩いたし、魔女とも出会ってしまった。それだけで考えることが多くて悩んでしまうのに、夜まで体力を使って。
そりゃ疲れる。眠たいに決まってる。躰はまた熱くて、怠くて、皇輝の匂いがして、心地良く眠れそう。
「……寝た?」
「まだ寝てない……」
「ほら、水」
「ありがと……」
戻ってきた皇輝から水受け取り、上半身を起こして口にする。
からっからの喉に水分がしみる。おいしい。
ゆっくり飲め、と呆れたような声が降ってきた。
空になったグラスを返すと、口の端を拭われる。そんな零れたのに気付かないほど喉が渇いていたんだろうか。
「碧、相談なんだけど」
「なにー?」
詰めて、とベッドの奥に追いやられて、皇輝も横に入ってくる。
さっきまでやらしいことしておいて、それでも一緒に寝ることにどきっとしてしまう。
「俺、大学の近くに住むんだよね」
「えっ、卒業したら?」
「うん」
「こっからでも通えるのに」
流石金持ちは違う。普通は他県とか行くから仕方なくひとり暮らしするとかなのに。
そんなに遠くないのに、ここからでも。
まあ皇輝だし、ひとり暮らしのスキルはあるだろうし、色々便利なんだろうけど。
「碧も一緒に住まない?」
「えっ」
どどどど同棲ってやつでは!それ!
眠気が飛んでしまうほどびっくりした。え、いいの、いいの?考えたこともなかった。だって大学は近くの付属先だって決まってたし。
家でまで皇輝と一緒とか夢みたいじゃん。
毎日皇輝と一緒……
「あっでも親、だめかも、絶対家近いんだからここから通えって言う」
「でもどうせ碧入り浸りになるんだから一緒じゃない?」
「否定出来ない」
絶対皇輝んち泊まっちゃう。
でもそんな、やっぱり勿体ない気がする……
「まあおばさんに訊いてみてよ」
「うん……だめでも泊まりには行っていいよね?」
「当たり前じゃん」
そう笑って、軽くキスをして、僕にしっかりと布団をかけた。
どうしよう、めちゃくちゃしあわせだ。
「おやすみ」
「うん……今日、ありがと」
「今日?」
「僕と佐倉に付き合ってくれて」
「ああ」
思い出したように頷いて、自分にもいい経験になったからいいよ、と言ってくれた。
文化祭に行っただけでそれは大袈裟だから、皇輝も気を遣ってくれたんだろうな、と思う。
僕は結構楽しかった。プールも確認出来たし、文化祭ならではのチープな屋台も結構すき。
佐倉も楽しそうだったし。
佐倉がいいよと言っても、やっぱり王子様を取ってしまったことに罪悪感がある。
妙な仲間意識もあるし、単純に佐倉が良い奴なのもあって、どうにも佐倉のしあわせを願いたい。手伝えることは手伝いたい。
幸い、大学までは一緒だから、きっと何か……まあ話を聞くくらいは出来るだろう。
今日の打ち上げ、楽しんでくれたかな。あのボーカルの先輩に恋してるとかはわからないし、純粋に憧れかもしれないけど。
そこまではふわふわとした楽しい気分だった。
連鎖的に、なんで忘れてたんだとばかりに赤髪の魔女を思い出す。
佐倉は魔女に気付いてないから大丈夫だと思ってしまったけど、魔女が佐倉に気付いてないとは確証がない。
何せ魔女だ。お姫様の佐倉や、王子様の皇輝のことを知っていても、あの時気付いてもおかしくない。魔女ってそういうもんでしょ、いや知らないけど。
どうしよう、いや、でも佐倉なら、結構大丈夫かもしれない。
この物語も前世もわかってて、皇輝に恋愛感情はない、他のひとを見つけたいと言ってたくらいだから、何か揉めさせようとしても揉めないだろう、あのすっきりした性格だ、ずばっと何かひとつ言い返しくらいしそうだ。
でも魔女の性格が……現世のあのひとの性格がわからないから。
どうしよう、佐倉が傷付けられたらどうしよう。
傷付いてほしくない。自分の為に誰かが傷付けられるのはいやだ。ましてあんなに優しいひとが。
……明日、落ち着いたら佐倉に連絡を入れてみよう。
昨日?楽しかったよ~、と明るい返事が返ってくることを願おう。
今は……頭があんまり回らない。
「碧?寝た?」
寝てない。目を閉じてるだけ。もう瞼、上がらないけど。
ふわふわしてるし多分、もう半分夢の中だ。
「……ごめんな」
だからそう聞こえたのも、多分、夢か気の所為なんだと、思う。
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