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食事を終わらせて、片付けて。
さて風呂、となったところで皇輝が爆弾を落とした。
風呂、一緒に入るか、と。嫌です。
「何で」
むっとした顔をする皇輝。当たり前じゃないか、馬鹿なの。
こないだだって電気点ける点けないで揉めたのに、なんで明るいお風呂に一緒に入らないといけないんだよ馬鹿なの。
恥ずかし過ぎてしぬ。
電気点けないとしても、ない。だめ。
「どうしても?」
「どうしても!」
「えー」
「えーじゃない!」
「折角誰もいないのに」
「……」
「あ、怒った」
「怒ってない、もうなんなの、入って来そうでこわいから先入って」
「先に入るのはいいけど別に碧の時に乱入するのも出来んだけどな」
「……」
「やっぱり怒ってんじゃん」
皇輝の背中を叩いて、そのまま押す。その口を閉じて早くひとりで入ってきて欲しい。
すぐに足を止めた皇輝が、碧、と呼んできたものだから、何、と顔を上げると、ちゅっと軽く唇が触れるだけのキスをして、その顔もかわいいけど、と言って風呂場へ向かっていった。
きっ……キザなやつ~!
そんな、そんなのありなんだ、と唇に触れながらリビングに戻る。
心臓が持たない。
ずっと、ふたりがお風呂を上がってからだ、とか、流れを考えてしまってたから、皇輝がちょこちょこ挟んでくるちょっとしたスキンシップに動揺してしまう。
そんな恋人みたいな、とそわそわと考えて、いや恋人だし、とすとんと落ちる。
この挙動不審になっちゃうの、その内落ち着くものなのだろうか。
この先もずっと、こんななのかな、慣れる気がしないんだけど。
テレビをつけたって全く頭に入ってこない。
まだシャワーの音がするな、佐倉は打ち上げ楽しめたかな、今日もドライヤーしたげた方がいいかな、佐倉ちゃんと帰れたかな……
棚に並べられたDVDや雑誌を意味もなく眺めて、どうせ観ないのにどんなのがあるかなって探してみたり。
頭の中はこの間のことでいっぱいなのに。
今日、今日は最後までするんだろうか。
今日も慣らすだけ?初めては痛いって聞いたけど、男も痛いのかな?痛いに決まってる、でもゆっくり慣らしたら?
この間、頭がおかしくなるようなところがあった。皇輝は碧のイイトコ、って言ってたけど、実は検索した。わからないからこわいのもあるのかなって。
難しい単語も多かったし、全部が理解出来た訳ではない、というよりわからないことの方が多かった。
わかったのは男でも気持ち良くなるということ、女のひとより大変だということ。あと、されるがままもだめだってこと。あとちょっとえっちなまんがも読んだ。すごかった。
まだ僕に積極的に出来そうとは思えない。今でさえパニック気味なんだから。
でもいつか、余裕が出来たら頑張りたいとは思う、だって呆れられたり飽きられたりしたくないし。ここがゴールではないし。
でも積極的なえっちってなんだよ……
「なんか観たいDVDでもあった?」
「ふぁっ」
「……なにそのかわいい驚き方」
「あ、上がったの気付かなかった……」
ちゃんと見たら髪も乾いてる。ドライヤーの音にも気付かない程、僕はなんちゅーことを考えてたんだ。
慌ててDVDを棚に戻して、次お風呂入ってくるね!と皇輝の言葉を待たずに走ってリビングを出た。
恥ずかしい。こんなんでここまで恥ずかしいなら、積極的になんて出来る訳ないじゃないか、身の程を弁えろ。
経験値が足りなさ過ぎる、未来のことじゃなく、取り敢えず今を乗り切るのが先だ。
「ふー……」
息を吐いて落ち着かせる。大丈夫、きっと皇輝だってまだそこまで僕に期待してない。
前回と同じく皇輝と同じシャンプーで髪を洗い、念入りに躰を洗い、バスタブにじっと沈む。
……皇輝は来ない。
言葉通り乱入するかもしれないと疑ってたけど、そんなことはなかったようだ。
やっぱり僕が考え過ぎ……というか、皇輝とあんなことになる前まで、どちらかというとこういうことには疎い方だと思ってたんだけど、もしかして僕の方がすけべなのでは。
だって皇輝、キスひとつとってもさらっとしてくる。対して僕はそのひとつひとつに馬鹿みたいに妄想を膨らませて。
……どうしよう、そんなの、そんなの引かれたりしないかな。
「碧」
「ひゃい!」
「……またそんなびっくりして。さっき渡してなかったから。着替えここ置いとくからなー」
「あっあ、ありがと……」
脱衣場から声を掛けられてびっくりする。
だめだもう、変なこと考え過ぎて今度は脱衣場に入ってきたのも気付かなかった。
「俺が入ってくると思ってた?」
「わっ馬鹿入ってくるな!」
一瞬だけ扉から顔を出して引っ込んだ皇輝に思わず躰を隠してしまった。女子か。
扉の向こうで皇輝が笑いながら、ごゆっくり、というものだから、もう上がる!と返してしまった。
なんだかゆっくり入ってたら意識してるのかなって思われそうで。意識してるんですけど。
「髪を乾かしてあげよっか?」
「……」
「いらない?」
「……いる」
また笑う。だってこないだやってもらったの、気持ち良かったんだもん。
取り敢えず着替えるから出てって、と言うと、素直にわかったと脱衣場を出て行く音がした。
お風呂に入っても頭が冷えず、寧ろ頭がお花畑になってしまってるようだ。
さて風呂、となったところで皇輝が爆弾を落とした。
風呂、一緒に入るか、と。嫌です。
「何で」
むっとした顔をする皇輝。当たり前じゃないか、馬鹿なの。
こないだだって電気点ける点けないで揉めたのに、なんで明るいお風呂に一緒に入らないといけないんだよ馬鹿なの。
恥ずかし過ぎてしぬ。
電気点けないとしても、ない。だめ。
「どうしても?」
「どうしても!」
「えー」
「えーじゃない!」
「折角誰もいないのに」
「……」
「あ、怒った」
「怒ってない、もうなんなの、入って来そうでこわいから先入って」
「先に入るのはいいけど別に碧の時に乱入するのも出来んだけどな」
「……」
「やっぱり怒ってんじゃん」
皇輝の背中を叩いて、そのまま押す。その口を閉じて早くひとりで入ってきて欲しい。
すぐに足を止めた皇輝が、碧、と呼んできたものだから、何、と顔を上げると、ちゅっと軽く唇が触れるだけのキスをして、その顔もかわいいけど、と言って風呂場へ向かっていった。
きっ……キザなやつ~!
そんな、そんなのありなんだ、と唇に触れながらリビングに戻る。
心臓が持たない。
ずっと、ふたりがお風呂を上がってからだ、とか、流れを考えてしまってたから、皇輝がちょこちょこ挟んでくるちょっとしたスキンシップに動揺してしまう。
そんな恋人みたいな、とそわそわと考えて、いや恋人だし、とすとんと落ちる。
この挙動不審になっちゃうの、その内落ち着くものなのだろうか。
この先もずっと、こんななのかな、慣れる気がしないんだけど。
テレビをつけたって全く頭に入ってこない。
まだシャワーの音がするな、佐倉は打ち上げ楽しめたかな、今日もドライヤーしたげた方がいいかな、佐倉ちゃんと帰れたかな……
棚に並べられたDVDや雑誌を意味もなく眺めて、どうせ観ないのにどんなのがあるかなって探してみたり。
頭の中はこの間のことでいっぱいなのに。
今日、今日は最後までするんだろうか。
今日も慣らすだけ?初めては痛いって聞いたけど、男も痛いのかな?痛いに決まってる、でもゆっくり慣らしたら?
この間、頭がおかしくなるようなところがあった。皇輝は碧のイイトコ、って言ってたけど、実は検索した。わからないからこわいのもあるのかなって。
難しい単語も多かったし、全部が理解出来た訳ではない、というよりわからないことの方が多かった。
わかったのは男でも気持ち良くなるということ、女のひとより大変だということ。あと、されるがままもだめだってこと。あとちょっとえっちなまんがも読んだ。すごかった。
まだ僕に積極的に出来そうとは思えない。今でさえパニック気味なんだから。
でもいつか、余裕が出来たら頑張りたいとは思う、だって呆れられたり飽きられたりしたくないし。ここがゴールではないし。
でも積極的なえっちってなんだよ……
「なんか観たいDVDでもあった?」
「ふぁっ」
「……なにそのかわいい驚き方」
「あ、上がったの気付かなかった……」
ちゃんと見たら髪も乾いてる。ドライヤーの音にも気付かない程、僕はなんちゅーことを考えてたんだ。
慌ててDVDを棚に戻して、次お風呂入ってくるね!と皇輝の言葉を待たずに走ってリビングを出た。
恥ずかしい。こんなんでここまで恥ずかしいなら、積極的になんて出来る訳ないじゃないか、身の程を弁えろ。
経験値が足りなさ過ぎる、未来のことじゃなく、取り敢えず今を乗り切るのが先だ。
「ふー……」
息を吐いて落ち着かせる。大丈夫、きっと皇輝だってまだそこまで僕に期待してない。
前回と同じく皇輝と同じシャンプーで髪を洗い、念入りに躰を洗い、バスタブにじっと沈む。
……皇輝は来ない。
言葉通り乱入するかもしれないと疑ってたけど、そんなことはなかったようだ。
やっぱり僕が考え過ぎ……というか、皇輝とあんなことになる前まで、どちらかというとこういうことには疎い方だと思ってたんだけど、もしかして僕の方がすけべなのでは。
だって皇輝、キスひとつとってもさらっとしてくる。対して僕はそのひとつひとつに馬鹿みたいに妄想を膨らませて。
……どうしよう、そんなの、そんなの引かれたりしないかな。
「碧」
「ひゃい!」
「……またそんなびっくりして。さっき渡してなかったから。着替えここ置いとくからなー」
「あっあ、ありがと……」
脱衣場から声を掛けられてびっくりする。
だめだもう、変なこと考え過ぎて今度は脱衣場に入ってきたのも気付かなかった。
「俺が入ってくると思ってた?」
「わっ馬鹿入ってくるな!」
一瞬だけ扉から顔を出して引っ込んだ皇輝に思わず躰を隠してしまった。女子か。
扉の向こうで皇輝が笑いながら、ごゆっくり、というものだから、もう上がる!と返してしまった。
なんだかゆっくり入ってたら意識してるのかなって思われそうで。意識してるんですけど。
「髪を乾かしてあげよっか?」
「……」
「いらない?」
「……いる」
また笑う。だってこないだやってもらったの、気持ち良かったんだもん。
取り敢えず着替えるから出てって、と言うと、素直にわかったと脱衣場を出て行く音がした。
お風呂に入っても頭が冷えず、寧ろ頭がお花畑になってしまってるようだ。
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