23 / 55
1
23*
しおりを挟む
そのままこくこくと頷くと、またひやりとした感触。
どうやらローションを追加されたらしい。
ううう、僕この感触苦手みたい。
「指増やすぞ」
「……!ん、ん!」
「んー……その手離して、声聞こえないじゃん」
空いた手で僕の口を塞いだ手を剥がそうとする皇輝。
そんなことされたらまたやだって言っちゃいそう。
首を横に振ると、わかったから、と言われた。
「やだはつい言っちゃうんでしょ、わかったから。それより折角なんだから碧の声聞きたい」
「んー、んっ」
「ほーら、そんなんしたら碧のかわいい声も聞こえないし、かわいい顔も見えない」
「かわいく、なっ、ァ、い!」
「かわいいかわいい」
無理矢理剥がして、腕を纏められてしまう。力の差が憎い。
絶対変な顔してる自信しかない。声だって、その、なんかずっと、鼻にかかった変な声しか出ないんだもん。
「隠したらキス出来ないよ」
「……!」
「碧はキスしたいんでしょ」
「ん、ぅん……」
「じゃあ隠さないで。わかった?」
「ウン……」
頷いてやっと腕を解放される。
そうすると今度は意識が腕の方にいってしまって、この手をどこにやればいいかわからなくなってしまう。
枕やシーツを掴む?服を掴む?皇輝の服?それともそれとも皇輝に抱きつく?
いやいやそんなそんな、そしたら皇輝は動きにくくなるし、そもそも抱きつくには距離がある。
皇輝の腕の長さと僕の腕の長さは悲しいかな、違うのだ。
寝転んだ僕と座ってる皇輝だと、良くて皇輝の服を掴めるくらいの距離。
どうしよどうしよ、何かを掴みたい。
手持ち無沙汰だし、何か掴んでないと我慢出来ないんだよ、なんかこの、ぞわぞわするやつを逃がせないの。
考えて、片手はシーツ、もう片手で皇輝の裾を掴む。
気付いた皇輝は微笑んで、それからおでこにキスしてくれた。
……口の方が良かったけど。
でもそれが王子様みたいで胸がきゅうっとなる。
人魚姫の時の僕が満たされていくような。
これはあれだ、一粒で二倍美味いみたいなやつ。
王子様な皇輝と、ちょっと粗暴な皇輝。どっちだってかっこいい。
「何?」
「……ううん、かっこいー……なっ、て」
「余裕結構あるじゃん」
「えっ、あ、ぅア……!」
圧迫感。中に挿入っていた指が今増やされた。
最初に言った通り、時間をかけてゆっくりされてるから痛くはない、痛くはないが苦しい。
苦しい、んだけど。
「……ッあ!」
「ここか」
「まッ、あ、ぅや、あっ」
びくん!と躰が跳ねたのがわかった。
なになになに、なにこれ、ぞわぞわして、なんか、なんか気持ちいいのに、強い、強過ぎる。
「やだああぁ、やっ、これ、や、なにっ、えっう、あァっ」
「ここが碧のイイトコだって」
「やだっ、や、あ!出るっ……出ちゃっ……!」
宣言なんて間に合わなかった。
すぐに達してしまって、訳が分からないまま肩で息をする。
頭の中が「?」でいっぱいだった。
「あ、まっ、まって、ゆび、うごかさなっ、いや、今イっ、イったからあ……!」
「嫌って言わないんじゃなかった?」
「やだあ、いわない、言わないっ、からあ!今、今とまってえ!ッあ!」
「言ってるんだけどなあ」
「やあっ、だめ、またイッ……!イくっ……んん」
皇輝のシャツを掴む手に力が入る。
ぎゅっと握り締めたまま、立て続けにイかされてしまった。
辛い、辛いのに、また中に挿入ってる皇輝の指を感じてしまう。
抜いてえ、と情けない声でお願いしてしまった。
「う、うう……うっ」
「あ、ごめん、調子乗った、痛かったか?」
「いたっ、く、はぁ……なっ、けどっ……なんかっ……なんか、っこわ、こわがっだあ……!」
「ごめんごめん」
情けないのはわかってるけど、涙が出てしまう。
自分の躰が自分のものじゃないみたいでこわかった。
女子じゃないのに、あんななっちゃうんだって。
あんなになっちゃうところがあるんだって。
「ふぐ……っうう」
「ごめん、こわかったか、頑張ったな、今日はここまで、な?終わり終わり」
「でもおおお、こうぎっ、なんも、じでないぃ」
「俺?」
「ぼぐばっがりぃ……」
「……ほら鼻かんで」
「んんん」
僕を落ち着かせようとしながら、ティッシュで鼻をかませ、頭を撫で、忙しそうな皇輝。
我ながらめんどくさいやつだ。
鼻をかんだティッシュを丸めてゴミ箱に投げて、もう一度、皇輝はなんもしてない、と繰り返した。
「そこ?」
「……僕ばっかだ」
「今日は元々慣らすだけのつもりだったし」
「……でも、なんもしない訳には」
「いいって」
「やだ、プールの時は一緒だったじゃん、なんで?」
「……さっきから嫌って言わないって言いながらめちゃくちゃ言ってるけど」
「今そこじゃないぃ!」
「昨日もだけど、碧こういう時駄々っ子になるんだな、初めて知った」
そんなん僕だって初めて言われたし初めて知ったよ!
こんなこと初めてだからな!
「……挿入ないよ、今日は」
「……それは、うん、僕も今日は……うん、やめとく」
「じゃあ何、碧が気持ち良くしてくれるの?」
「……下手くそだと思うけど」
「冗談だったんだけど」
「……まじでやるからね」
服の上からでも皇輝だって勃ってるの、わかる。
自分がされる時と違う緊張だった。ごくりと息を飲んで、皇輝の服に手を伸ばした。
どうやらローションを追加されたらしい。
ううう、僕この感触苦手みたい。
「指増やすぞ」
「……!ん、ん!」
「んー……その手離して、声聞こえないじゃん」
空いた手で僕の口を塞いだ手を剥がそうとする皇輝。
そんなことされたらまたやだって言っちゃいそう。
首を横に振ると、わかったから、と言われた。
「やだはつい言っちゃうんでしょ、わかったから。それより折角なんだから碧の声聞きたい」
「んー、んっ」
「ほーら、そんなんしたら碧のかわいい声も聞こえないし、かわいい顔も見えない」
「かわいく、なっ、ァ、い!」
「かわいいかわいい」
無理矢理剥がして、腕を纏められてしまう。力の差が憎い。
絶対変な顔してる自信しかない。声だって、その、なんかずっと、鼻にかかった変な声しか出ないんだもん。
「隠したらキス出来ないよ」
「……!」
「碧はキスしたいんでしょ」
「ん、ぅん……」
「じゃあ隠さないで。わかった?」
「ウン……」
頷いてやっと腕を解放される。
そうすると今度は意識が腕の方にいってしまって、この手をどこにやればいいかわからなくなってしまう。
枕やシーツを掴む?服を掴む?皇輝の服?それともそれとも皇輝に抱きつく?
いやいやそんなそんな、そしたら皇輝は動きにくくなるし、そもそも抱きつくには距離がある。
皇輝の腕の長さと僕の腕の長さは悲しいかな、違うのだ。
寝転んだ僕と座ってる皇輝だと、良くて皇輝の服を掴めるくらいの距離。
どうしよどうしよ、何かを掴みたい。
手持ち無沙汰だし、何か掴んでないと我慢出来ないんだよ、なんかこの、ぞわぞわするやつを逃がせないの。
考えて、片手はシーツ、もう片手で皇輝の裾を掴む。
気付いた皇輝は微笑んで、それからおでこにキスしてくれた。
……口の方が良かったけど。
でもそれが王子様みたいで胸がきゅうっとなる。
人魚姫の時の僕が満たされていくような。
これはあれだ、一粒で二倍美味いみたいなやつ。
王子様な皇輝と、ちょっと粗暴な皇輝。どっちだってかっこいい。
「何?」
「……ううん、かっこいー……なっ、て」
「余裕結構あるじゃん」
「えっ、あ、ぅア……!」
圧迫感。中に挿入っていた指が今増やされた。
最初に言った通り、時間をかけてゆっくりされてるから痛くはない、痛くはないが苦しい。
苦しい、んだけど。
「……ッあ!」
「ここか」
「まッ、あ、ぅや、あっ」
びくん!と躰が跳ねたのがわかった。
なになになに、なにこれ、ぞわぞわして、なんか、なんか気持ちいいのに、強い、強過ぎる。
「やだああぁ、やっ、これ、や、なにっ、えっう、あァっ」
「ここが碧のイイトコだって」
「やだっ、や、あ!出るっ……出ちゃっ……!」
宣言なんて間に合わなかった。
すぐに達してしまって、訳が分からないまま肩で息をする。
頭の中が「?」でいっぱいだった。
「あ、まっ、まって、ゆび、うごかさなっ、いや、今イっ、イったからあ……!」
「嫌って言わないんじゃなかった?」
「やだあ、いわない、言わないっ、からあ!今、今とまってえ!ッあ!」
「言ってるんだけどなあ」
「やあっ、だめ、またイッ……!イくっ……んん」
皇輝のシャツを掴む手に力が入る。
ぎゅっと握り締めたまま、立て続けにイかされてしまった。
辛い、辛いのに、また中に挿入ってる皇輝の指を感じてしまう。
抜いてえ、と情けない声でお願いしてしまった。
「う、うう……うっ」
「あ、ごめん、調子乗った、痛かったか?」
「いたっ、く、はぁ……なっ、けどっ……なんかっ……なんか、っこわ、こわがっだあ……!」
「ごめんごめん」
情けないのはわかってるけど、涙が出てしまう。
自分の躰が自分のものじゃないみたいでこわかった。
女子じゃないのに、あんななっちゃうんだって。
あんなになっちゃうところがあるんだって。
「ふぐ……っうう」
「ごめん、こわかったか、頑張ったな、今日はここまで、な?終わり終わり」
「でもおおお、こうぎっ、なんも、じでないぃ」
「俺?」
「ぼぐばっがりぃ……」
「……ほら鼻かんで」
「んんん」
僕を落ち着かせようとしながら、ティッシュで鼻をかませ、頭を撫で、忙しそうな皇輝。
我ながらめんどくさいやつだ。
鼻をかんだティッシュを丸めてゴミ箱に投げて、もう一度、皇輝はなんもしてない、と繰り返した。
「そこ?」
「……僕ばっかだ」
「今日は元々慣らすだけのつもりだったし」
「……でも、なんもしない訳には」
「いいって」
「やだ、プールの時は一緒だったじゃん、なんで?」
「……さっきから嫌って言わないって言いながらめちゃくちゃ言ってるけど」
「今そこじゃないぃ!」
「昨日もだけど、碧こういう時駄々っ子になるんだな、初めて知った」
そんなん僕だって初めて言われたし初めて知ったよ!
こんなこと初めてだからな!
「……挿入ないよ、今日は」
「……それは、うん、僕も今日は……うん、やめとく」
「じゃあ何、碧が気持ち良くしてくれるの?」
「……下手くそだと思うけど」
「冗談だったんだけど」
「……まじでやるからね」
服の上からでも皇輝だって勃ってるの、わかる。
自分がされる時と違う緊張だった。ごくりと息を飲んで、皇輝の服に手を伸ばした。
13
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタからの贈り物
未瑠
BL
ずっと片思いをしていた冴木光流(さえきひかる)に想いを告げた橘唯人(たちばなゆいと)。でも、彼は出来るビジネスエリートで仕事第一。なかなか会うこともできない日々に、唯人は不安が募る。付き合って初めてのクリスマスも冴木は出張でいない。一人寂しくイブを過ごしていると、玄関チャイムが鳴る。
※別小説のセルフリメイクです。
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが
なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です
酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります
攻
井之上 勇気
まだまだ若手のサラリーマン
元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい
でも翌朝には完全に記憶がない
受
牧野・ハロルド・エリス
天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司
金髪ロング、勇気より背が高い
勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん
ユウキにオヨメサンにしてもらいたい
同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ボクの推しアイドルに会える方法
たっぷりチョコ
BL
アイドル好きの姉4人の影響で男性アイドル好きに成長した主人公、雨野明(あめのあきら)。(高2)
学校にバイトに毎日頑張る明が今推しているアイドルは、「ラヴ→ズ」という男性アイドルグループのメンバー、トモセ。
そんなトモセのことが好きすぎて夢の中で毎日会えるようになって・・・。
攻めアイドル×受け乙男 ラブコメファンタジー
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる