上 下
21 / 55
1

21*

しおりを挟む
 展開早くない?って思うけど、でもこないだ既に触られてるし、昨日キスはしたし。
 意外と段階踏んでる、順番はおかしいけど。
 ……いやそうでもないか。

「こわい?」
「……こわくないっ」
「じゃあ良かった」
「んっ」

 今度こそ、あの頭がぼーっとなるキスだった。
 皇輝の舌が熱い。ぬるぬる動いて、口の中がいっぱいで、苦しいのに、気持ちいい。

「んう、ぅ、んン……は、ぅ」

 右手で頭を撫でられて、左手で耳を弄られる。
 首から上を丸ごと愛してもらってるみたい。
 強い刺激ではないのに、頭がふわふわして、気持ちいい、気持ちいいとしか思えなくなってしまう。
 これすき、ずっとしてたい、ずっとずっとキスしてたい。苦しいけど、ずっと。

「やだ、まだ、もっと……」
「碧キスすきだよなあ」
「うん、すき、すきだからあ……もっと、いっぱいして」
「急に素直になるんだから」

 多分凄く恥ずかしいことしてるし、言ってるんだと思う。
 でもそんなのどうでもいいくらい、もっと気持ちよくして、って、そんな欲ばっかり湧いてくる。
 離れてる時間がもったいない。

「碧、舌出して」
「そんなのより、早く」
「ん、だから舌出して」
「ほう?……っン!」

 びっくりした。
 どういうことだろうと思ったら舌を吸われた。びりびりする。
 だけどこっちも頭がぼおっとなってしまう。
 あーもうやだやだやだ、気持ちいい、すき、すき。

「っう、ん、ふあ、はっ……ァ、んん」
「脱がしてくぞ」
「ん、んん、も、おわり?」
「終わりじゃないから。まだやるから」
「うん……や、あ、待って、全部はやだ」
「汚れるし」
「やだ、あ、明るいし、やだ」
「暗くしてるけど……てかまだ恥ずかしがる意識はあるんだ、キスだけでとろっとろなってるかと思ったんだけど」
「んっ」

 ズボンも下着も剥がされて、ベッドの下に投げられた。
 空気に晒された下半身がひんやりする。恥ずかしくて裾を引っ張ると、その手をどかされた。
 皇輝の大きな手が僕の腹を撫でる。薄いな、と漏らした声が聞こえた。

「ほんとはこっちも触りたいんだけど。……でもここが敏感になったら困るからなあ」
「……?」
「ていうか年中水着とかどこにも痕もつけられないじゃん」
「こうき……」

 言ってる意味がわからない、と呟くと、ぎゅっと胸を摘まれてしまった。

「いッ……」
「ここ、弄り過ぎたらやばいよなって話。おっきくなったり、勃ちやすくなったら困るでしょって」
「っあ、だめ、だめっ」
「俺のだって言いたいけど、そんな訳にもいかないからなあ……プールだめって言っても碧は言うこと聞かないし」
「やだ、手、離しっ……いたいっ」
「痛い?」
「んっ、ん!」

 頷くと、ぺらっとシャツを捲られてしまった。
 全部脱がなくていいんじゃなかったの、あ、いいとは言ってなかった、とひとりであわあわしてると、ぬるりとした感触と熱い息を感じる。

「えっ、え、なんっ、えっ、舐めっ……え、や、だめって、ねえ、や、そこやだっ」

 女子じゃないのに、そんな、胸を舐められるなんて思いもしなかった。
 さっき摘まれたのも、びっくりしただけで本当に痛かった訳ではない。だから舐められたって、治ったりなんか……

「まあ初めてだとこんなもんか」
「……?」
「はー……ほんと、碧が普段露出しなければここだけでイけるくらい開発したかったんだけど」
「ゆ、ゆってる意味、わかんな……」
「いいよ、わからんくて」

 こっち触るし、と皇輝が手を伸ばしたのは無防備な下半身だった。
 内腿に触れられて、びく、と躰が跳ねる。
 さっきよりずっと、心臓がどっどっと早くなるのがわかった。
 耳元で、勃ってるじゃん、と言われて顔が熱くなる。
 当たり前じゃん、こんなの、そうなるに決まってるじゃん、僕が特別変態とかそんなんじゃなくて……こうなるに決まってるじゃん。ならない方がおかしいじゃん。

「み、みみ」
「耳?」
「みみんとこ、で、あんま……えっちなこと、言わないでっ……」
「何で?気持ちよさそうなのに?」
「せ、せなか、せなかっ、ぞわぞわ、するう……」
「あー、気持ちいってことね」

 これ気持ちいいってことなのかな?わかんない、わかんないけど、だいすきな皇輝の声が、耳元で変なことを言うと、変な気分になってしまう。
 想像して、躰がおかしくなってしまう。
 こんなのおかしくないのかな、気持ち悪くないかな、引かれないかな。
 普通がわからなくて、皇輝に教えてもらうことしか出来ないのに。

「取り敢えず一回イっとく?」
「ぅあッ……ん、あ、やっ……」
「いいよ、いつでもイって」
「やだ、ッまっ、手、はやっ、ゆ、ゆっくりしてっ」

 自分でするより、この間触られた時より、手の動きが早い。気のせいだろうか。急き立てられているかのよう。

「手ェいや?口のがいい?」
「くっ……!?や、ゃ、だ……て、てがいい、手でいいっ」

 情報が多い。口?口でするって?えっちな漫画とか動画とかで見たやつ?
 そりゃ存在することくらい知ってる。でも自分がされるかもなんて考えたことなかった。

「いやいや言われるとやりたくなってくるな」
「やだやだやだ、だめ、やったらだめ、っきら、ぃになるっ」
「それは困るなあ、今度にしよ」
「今度もだめっ」

 今度?今度もあるの?そうか、付き合ってればあるのか。
 あれ、ちゃんと付き合ってるんだっけ?そんな話、したっけ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『番外編』イケメン彼氏は警察官!初めてのお酒に私の記憶はどこに!?

すずなり。
恋愛
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の身は持たない!?の番外編です。 ある日、美都の元に届いた『同窓会』のご案内。もう目が治ってる美都は参加することに決めた。 要「これ・・・酒が出ると思うけど飲むなよ?」 そう要に言われてたけど、渡されたグラスに口をつける美都。それが『酒』だと気づいたころにはもうだいぶ廻っていて・・・。 要「今日はやたら素直だな・・・。」 美都「早くっ・・入れて欲しいっ・・!あぁっ・・!」 いつもとは違う、乱れた夜に・・・・・。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

屋烏の愛

あこ
BL
「お前が十になった祝いだよ、何が欲しい?」 父親にそう言われた当時十歳の少年兵馬は、それから七年後人目を引く色男に成長していた。 どれだけの器量好しに秋波を送られたって一切気にかけない兵馬と、訳ありの船宿吉村のお嬢様が出会った時、兵馬は烏にさえ恋をする。 ✔︎ 攻めは色男で男色な呉服屋三男坊 ✔︎ 受けは船宿自慢の可愛いお嬢様(訳あり) ✔︎ 受けは常時女装 ✔︎ 江戸時代でお江戸風味 ✔︎ 本編は完結済み ➡︎ 番外編は時系列順に並んでいません。 ➡︎ 章『さまよう、からす』は本編以前の話になっており、本編中のネタバレ(というほどではありませんが)もありますので、本編読了後をお勧めしています。 ➡︎ 章『船宿吉村』は船宿吉村が舞台の「ゆづかや兵馬の登場しない」お話が入っています。BLもそうではないものも一緒になっていますが、BLではないものにはタイトルの前に『❢』がついています。 ➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。 ➡︎ 作品や章タイトルの頭に『!』があるものは、R指定(暴力・性表現など)描写が入ります。とても微々たるものですが、個人サイトと同じ基準で設定しております。多少でもその様な描写が苦手な方はご注意ください。 🔺ATTENTION🔺 時代背景を『江戸時代』で舞台を『江戸』としておりますが、時代考証は僅かばかりしかしておりません。 多大な捏造と都合のいい独自設定が有りますので、ご不快に思われる方はご遠慮下さい。

僕の兄は◯◯です。

山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。 兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。 「僕の弟を知らないか?」 「はい?」 これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。 文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。 ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。 ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです! ーーーーーーーー✂︎ この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。 今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

好きになれない

木原あざみ
BL
大学生×社会人。ゆっくりと進む恋の話です。 ** 好きなのに、その「好き」を認めてくれない。 それなのに、突き放してもくれない。 初めて本気で欲しいと願ったのは、年上で大人で優しくてずるい、ひどい人だった。 自堕落な大学生活を過ごしていた日和智咲は、ゼミの先輩に押し切られ、学生ボランティアとしての活動を始めることになる。 最初は面倒でしかなかった日和だったが、そこで出逢った年上の人に惹かれていく。 けれど、意を決して告げた「好き」は、受け取ってもらえなくて……。というような話です。全編攻め視点三人称です。苦手な方はご留意ください。 はじめての本気の恋に必死になるこどもと、素直に受け入れられないずるいおとなのゆっくりと進む恋の話。少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。

当たって砕けていたら彼氏ができました

ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。 学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。 教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。 諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。 寺田絋 自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子 × 三倉莉緒 クールイケメン男子と思われているただの陰キャ そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。 お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。 お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。

可愛い男の子が実はタチだった件について。

桜子あんこ
BL
イケメンで女にモテる男、裕也(ゆうや)と可愛くて男にモテる、凛(りん)が付き合い始め、裕也は自分が抱く側かと思っていた。 可愛いS攻め×快楽に弱い男前受け

君が好き過ぎてレイプした

眠りん
BL
 ぼくは大柄で力は強いけれど、かなりの小心者です。好きな人に告白なんて絶対出来ません。  放課後の教室で……ぼくの好きな湊也君が一人、席に座って眠っていました。  これはチャンスです。  目隠しをして、体を押え付ければ小柄な湊也君は抵抗出来ません。  どうせ恋人同士になんてなれません。  この先の長い人生、君の隣にいられないのなら、たった一度少しの時間でいい。君とセックスがしたいのです。  それで君への恋心は忘れます。  でも、翌日湊也君がぼくを呼び出しました。犯人がぼくだとバレてしまったのでしょうか?  不安に思いましたが、そんな事はありませんでした。 「犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」  ぼくはガタイが良いだけで弱い人間です。小心者だし、人を守るなんて出来ません。  その時、湊也君が衝撃発言をしました。 「柚月の事……本当はずっと好きだったから」  なんと告白されたのです。  ぼくと湊也君は両思いだったのです。  このままレイプ事件の事はなかった事にしたいと思います。 ※誤字脱字があったらすみません

処理中です...