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焦らされるような時間に頭がどうにかなりそうだった。
意地悪とかじゃなくて、おれの躰を考えてくれてのことだってわかってるのに。
「んッう、うう……ん、あ、ッ」
そういえば、今日はまだちゃんとイってない。軽くしか。
だからこんなにぐるぐるしてるんだろうか。
早く出したい、すっきりしたい、もっと気持ちよくなりたい。
下半身に伸ばした手が止められ、待って、と今更頭上で縫い止められる。
えっ、と戸惑ってる間に、挿入るよ、と囁かれた。
大丈夫?と優しく訊かれ、頷く。
大丈夫、ずっと待ってた。
「……っん!あ……ッ」
ゆっくりとナカに挿入される感覚。
最初は苦しくて、次の瞬間にはもう腰が砕けそうになる。
「んあ……あ、ん……ッ」
びりびりする場所だ。
なんでそうなるのかはわからないけど。でもここ、考えられなくなるくらい、気持ちいいっていう感情にだけなっちゃう。
「あッ、まっ、や、きもちいっ……」
何度もそこを狙われ、達しそうになったところで奥に進まれる。
悔しい、イきたい、でも今イったら辛い、折角なんだからジルと一緒がいい、と唇を噛んで耐える。
「だから噛んじゃだめだって」
「らってっ……んうう、き、きもちぃ、いっ……」
「今日は下触らないでイける?」
「や、やあ、さわっ、さわりたっ……」
「ん、じゃあ俺が触ろうか?」
「っ、ん、じる、ジルがっ、触っ……んうッ」
すり、と頬を寄せる。
ジルが息を呑んで、素直なユキはやっぱりかわいいね、と呟いた。
そう、それでいいから、早く、もうちょっと……もう、早く動いて欲しい。
お願いした通り、ジルがおれのものに触れる。
びくんと躰が跳ねて、ナカがぎゅっとなったのが自分でもわかった。
それでまた気持ちよくなっちゃってるのが救われない。全部絶対気持ちいい。
「んあっ、あ、ッあ……は、ぁん、む、むり、あ、だめ、ジルぅ……」
「ん、よく我慢したね」
「……っはぁ、や、あぁッ……ん!」
奥を突かれて、ジルの優しい許可を得て、びゅく、と白いものを放出してしまう。
暫くお互いの荒い息だけを聞いていた。
躰を離すことはまだ出来ない。
ぴったりとくっついたまま、ちょっと眠いなと思いつつ、今寝ちゃうのは勿体ない、と眠気に抗う。
ふたりとも躰が熱くて、でもその熱さが心地好い。
「あ、お風呂……っ」
「大丈夫」
「や、躰べとべと……」
俺が片付けをするよ、と言うジルに首を振る。
寝てる時でもどうかと思う……というかだめなのに、起きてる状態でその許可を出す訳にはいかない。
それに今日はいつもより……その、長引かなかったから、まだ動ける。多分。
怠い体に鞭を打ち、シャワーに、と思っていると、外からばたばたばた、と走る音と、扉ががちゃん!と勢いよく開く音がして、何事、と思わずシーツにくるまってしまった。
……ジルまで一緒に。
「優希ーっ、早速寝に来っ…………えっ」
明るい声がぴたりと止まって……急に入ってきた遥陽の大きな瞳がおれたちを捉えた。
ななななんで急に!?寝に来た!?なんで!?いや良いって言ったけど、このタイミングで!?い、言い訳をしなきゃ!何で遥陽が!?急に!?いや言い訳!とぐるぐるしてる間に、ばたんと扉が閉められる。
……遥陽が出て行ってしまった。言い訳をさせて貰えぬ内に。
取り敢えずの安堵と、いやばっちり見られてしまったから、という焦りと、固まった遥陽の顔が頭から離れなくて、どうしようどうしようどうしようどうしよう、えっどうしたらいいの、と混乱する。
と、また勢いよく扉が開かれた。
「やっぱ待って、それは合意なの!?」
「へっ」
「合意だが」
「うわあああああ!」
「えええええ」
しれっと答えるジルに、遥陽が発狂し、おれはそんな簡単に答えるのかと驚いてしまう。
何この空間、地獄か。さっきまでの多幸感はどこにいった。
「まっ、待って、待って、えっ、あのさ……えっ、ふたりとも、えっ……その、えっ、えっちなこと、してたよね、それ?」
「……!」
「え、なんで、なんで?」
「理由がいるかな」
「うっ、うるさいっ、えっ、なに、なんなの、優希、これなに、え、つ、付き合ってる、の!?」
混乱したままの遥陽が声を震わせながら訊く。
もうこの場で落ち着いてるのはジルだけだった。なんか若干煽ってるようにも感じるけど、きっと気の所為だ。きっと。
「え、うそ、うそでしょ、優希が?」
「ごめん……」
「優希が謝るとこじゃないじゃん!」
「あ、あの、ふざけてるとかじゃなくて」
ばれてしまったのなら、ちゃんと遥陽にはわかってもらいたかった。
おれがちゃんとジルがすきなんだってことを。冗談とか流されてるとかじゃなくて。
「お、おれ、ジルと」
「……ッ、僕の方が絶対ぜったい優希のことだいすきなのに!」
「…………えっ」
ぼろっと大きな瞳から涙を零した遥陽の言葉に、また時がとまった。
一瞬で色々なことが頭を回り、いや、変な意味じゃなくて、幼馴染としてだ、と自分を落ち着かせる。おれだって遥陽のことがだいすきだ、一緒だ、と。
しかしそれはすぐにまた遥陽に打ち砕かれた。
「もっと大きくなってから言うつもりだったのにっ……!」
意地悪とかじゃなくて、おれの躰を考えてくれてのことだってわかってるのに。
「んッう、うう……ん、あ、ッ」
そういえば、今日はまだちゃんとイってない。軽くしか。
だからこんなにぐるぐるしてるんだろうか。
早く出したい、すっきりしたい、もっと気持ちよくなりたい。
下半身に伸ばした手が止められ、待って、と今更頭上で縫い止められる。
えっ、と戸惑ってる間に、挿入るよ、と囁かれた。
大丈夫?と優しく訊かれ、頷く。
大丈夫、ずっと待ってた。
「……っん!あ……ッ」
ゆっくりとナカに挿入される感覚。
最初は苦しくて、次の瞬間にはもう腰が砕けそうになる。
「んあ……あ、ん……ッ」
びりびりする場所だ。
なんでそうなるのかはわからないけど。でもここ、考えられなくなるくらい、気持ちいいっていう感情にだけなっちゃう。
「あッ、まっ、や、きもちいっ……」
何度もそこを狙われ、達しそうになったところで奥に進まれる。
悔しい、イきたい、でも今イったら辛い、折角なんだからジルと一緒がいい、と唇を噛んで耐える。
「だから噛んじゃだめだって」
「らってっ……んうう、き、きもちぃ、いっ……」
「今日は下触らないでイける?」
「や、やあ、さわっ、さわりたっ……」
「ん、じゃあ俺が触ろうか?」
「っ、ん、じる、ジルがっ、触っ……んうッ」
すり、と頬を寄せる。
ジルが息を呑んで、素直なユキはやっぱりかわいいね、と呟いた。
そう、それでいいから、早く、もうちょっと……もう、早く動いて欲しい。
お願いした通り、ジルがおれのものに触れる。
びくんと躰が跳ねて、ナカがぎゅっとなったのが自分でもわかった。
それでまた気持ちよくなっちゃってるのが救われない。全部絶対気持ちいい。
「んあっ、あ、ッあ……は、ぁん、む、むり、あ、だめ、ジルぅ……」
「ん、よく我慢したね」
「……っはぁ、や、あぁッ……ん!」
奥を突かれて、ジルの優しい許可を得て、びゅく、と白いものを放出してしまう。
暫くお互いの荒い息だけを聞いていた。
躰を離すことはまだ出来ない。
ぴったりとくっついたまま、ちょっと眠いなと思いつつ、今寝ちゃうのは勿体ない、と眠気に抗う。
ふたりとも躰が熱くて、でもその熱さが心地好い。
「あ、お風呂……っ」
「大丈夫」
「や、躰べとべと……」
俺が片付けをするよ、と言うジルに首を振る。
寝てる時でもどうかと思う……というかだめなのに、起きてる状態でその許可を出す訳にはいかない。
それに今日はいつもより……その、長引かなかったから、まだ動ける。多分。
怠い体に鞭を打ち、シャワーに、と思っていると、外からばたばたばた、と走る音と、扉ががちゃん!と勢いよく開く音がして、何事、と思わずシーツにくるまってしまった。
……ジルまで一緒に。
「優希ーっ、早速寝に来っ…………えっ」
明るい声がぴたりと止まって……急に入ってきた遥陽の大きな瞳がおれたちを捉えた。
ななななんで急に!?寝に来た!?なんで!?いや良いって言ったけど、このタイミングで!?い、言い訳をしなきゃ!何で遥陽が!?急に!?いや言い訳!とぐるぐるしてる間に、ばたんと扉が閉められる。
……遥陽が出て行ってしまった。言い訳をさせて貰えぬ内に。
取り敢えずの安堵と、いやばっちり見られてしまったから、という焦りと、固まった遥陽の顔が頭から離れなくて、どうしようどうしようどうしようどうしよう、えっどうしたらいいの、と混乱する。
と、また勢いよく扉が開かれた。
「やっぱ待って、それは合意なの!?」
「へっ」
「合意だが」
「うわあああああ!」
「えええええ」
しれっと答えるジルに、遥陽が発狂し、おれはそんな簡単に答えるのかと驚いてしまう。
何この空間、地獄か。さっきまでの多幸感はどこにいった。
「まっ、待って、待って、えっ、あのさ……えっ、ふたりとも、えっ……その、えっ、えっちなこと、してたよね、それ?」
「……!」
「え、なんで、なんで?」
「理由がいるかな」
「うっ、うるさいっ、えっ、なに、なんなの、優希、これなに、え、つ、付き合ってる、の!?」
混乱したままの遥陽が声を震わせながら訊く。
もうこの場で落ち着いてるのはジルだけだった。なんか若干煽ってるようにも感じるけど、きっと気の所為だ。きっと。
「え、うそ、うそでしょ、優希が?」
「ごめん……」
「優希が謝るとこじゃないじゃん!」
「あ、あの、ふざけてるとかじゃなくて」
ばれてしまったのなら、ちゃんと遥陽にはわかってもらいたかった。
おれがちゃんとジルがすきなんだってことを。冗談とか流されてるとかじゃなくて。
「お、おれ、ジルと」
「……ッ、僕の方が絶対ぜったい優希のことだいすきなのに!」
「…………えっ」
ぼろっと大きな瞳から涙を零した遥陽の言葉に、また時がとまった。
一瞬で色々なことが頭を回り、いや、変な意味じゃなくて、幼馴染としてだ、と自分を落ち着かせる。おれだって遥陽のことがだいすきだ、一緒だ、と。
しかしそれはすぐにまた遥陽に打ち砕かれた。
「もっと大きくなってから言うつもりだったのにっ……!」
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