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そのまま、もう唇を噛んだらだめだよ、痛いでしょう、とアルベールが優しく、でも少し苦しそうな声で言う。
別に歯を食いしばっても、唇をちょっと怪我しても、それくらい構わないのに。
痛いのはいやだからって、でも別にこのくらいなら、と思うけれど……アルベールはおれが痛いといやなんだって。
「んう、ふ」
「大丈夫?」
「ん、ン……」
アルベールはそうわざわざ確認を取ってから、じゃあまた動くよ、と微笑んだ。
こんなことまでおれのことを考えてくれるんだから、と胸がきゅんとした。
だいじにされるって、あったかくて心地好くてふわふわして、気持ちがいい。
「ふ、ぅ、ゔ」
ずる、と抜かれて、抜け切る手前でまた奥に挿入っていく。
おし広げられる感覚と、ナカを擦られる感覚。
背中がぞわぞわぞくぞくとなって、爪先が丸くなって震える。
浅いところを擦って、突いて、なぞっていく。
「んゔ、ゔ……ふぁ、う」
レオンの指を噛まないようにするのが大変だった。
気を抜くと噛みちぎってしまいそう。いや、そんな馬鹿力はないにしても、流血くらいさせてしまいそう。
唇を噛むよりもずっと痛いと思うのだけれど。
自分の指じゃないから余計堪えてしまう。
でも噛み締められないのって、上手くこの感覚を逃がすことが出来なくて、意識があっちにもこっちにもいってしまってもどかしい。
アルベールに集中出来ない。レオンの指のせいで。
ふうふう漏らしながら噛むのを我慢していると口の端から唾液が零れていくのを感じるけれど、それを拭う余裕もない。
アルベールは確実におれの気持ちのいいとこを抉ってくるし、おれだってそれにもう我慢出来ないのに。
なのにレオンも主張してくるみたい。そんなのしなくたって十分存在感があるというのに。
「ンっ、ん……ん、ゔ」
上手く息が出来なくて頭がぼおっとしてくる。
その頭で、アルベールは気持ちいいのかな、と思った。
だって彼の動きはおれを優先するかのような、おれの気持ちいいところばかりを狙うような、揺するような動きばかりな気がする。
気持ちいい、
レオンの指を気にしなくていいならすぐにだってイけるのに。
「ゔ」
「指?」
「んん」
「苦しかったか」
ぐい、とレオンの腕を引くと、案外あっさりと指を引き抜かれた。
頷くおれに、もう噛むなよ、とひとつキスをして、それから苦笑して袖で口周りを拭った。そんなとこまでこどもみたい。
まあ今はそんなことを気にしている余裕はなかった。
元々掴んでいたレオンの片手と同様に、もう両手掴んでやる。
今はどこも触られたり邪魔をされたくなかった。
もう、すぐイきたい、さっきからずっと、お腹のナカが変な感じなんだ。
「!」
「あ、ッ……ん、う」
でもおれだけ気持ちよくなるのは違うって、せめて今日だけはって思って。
ぐっとアルベールの腰を挟んだ足で寄せた。
貴族の子がこれははしたないのかもしれないけれど、こんなことをやっててはしたないもなにもあるものか。
出来る限りの甘ったるい声で、アル兄さまも、と声を掛ける。
アルベールがイヴの甘えに負けない筈はない。
「は、ァう、ね、アルにいさまもっ……ンっ、いっしょ、に、ね?」
「……こんなに色っぽく誘える子だったかな……っ」
「んぁ、う、……ッゔ」
溜息を吐いて、でもちょっと嬉しそうな声だった。
しっかりとお腹側の気持ちいいところを擦り上げて、でも奥の方へ進んでくれる。
その声も、眉を寄せて耐えているかおも。よかった、ちゃんと気持ちよさそう。
「ん、ふ……っ」
嬉しい、と思った瞬間に、奥の方がきゅうっとなった。
同時にそれはアルベールを締め付けて、その締め付けたことでまたお腹の奥が悦んでるみたい。
レオンの手を持ち上げて、口元に置く。それは声を殺す為と、自分の安心の為だ。
その指先にキスをして、口に含んで、軽く噛み付いて。
頬に擦って、また口元を覆って。
まるで自分の手のようにすきにして、でもその大きな手は自分のものよりずっと安心する。
止めたりはせず、そう自由にさせてくれるレオンは、仕方ないなと瞳を細めて見下ろしていた。
こういう時は意地悪なこと、しないんだ。
「はっ……ん、う、っあ、あ、」
「……もう我慢、出来なさそう?」
少し焦ったように訊くアルベールに、何度も頷く。
ずっと我慢してた。だってさっきから本当に気持ちいいとこばっかりとんとん突いてくるんだもん。
でも自分だけ気持ちよくなっちゃうのはいやで、その癖なんにも出来なくて、ただ受け入れてるだけ。
だからタイミングくらいは、アルベールに合わせたくて。
「アル兄さま、も……?」
「……うん」
「あ、う、中」
「ナカ?」
「おなか、に、ほし……」
「は」
一瞬、アルベールの動きが止まって、レオンの指先がぴくりと動いた。
あれ、間違えたかな、と思った。
前の世界で漫画とかでよく見た台詞だ。相手が悦ぶ台詞だと思っていた。
あと単純に、お腹の中がもっと、といってるようで、そうしたら満足出来るかなって、そう思っ……
……いやこれ多分とんでもないこと言ったな、と自分で気付いたのは、アルベールは頬を紅く染めてるし、レオンはこいつ、ってかおをしていたから。
別に歯を食いしばっても、唇をちょっと怪我しても、それくらい構わないのに。
痛いのはいやだからって、でも別にこのくらいなら、と思うけれど……アルベールはおれが痛いといやなんだって。
「んう、ふ」
「大丈夫?」
「ん、ン……」
アルベールはそうわざわざ確認を取ってから、じゃあまた動くよ、と微笑んだ。
こんなことまでおれのことを考えてくれるんだから、と胸がきゅんとした。
だいじにされるって、あったかくて心地好くてふわふわして、気持ちがいい。
「ふ、ぅ、ゔ」
ずる、と抜かれて、抜け切る手前でまた奥に挿入っていく。
おし広げられる感覚と、ナカを擦られる感覚。
背中がぞわぞわぞくぞくとなって、爪先が丸くなって震える。
浅いところを擦って、突いて、なぞっていく。
「んゔ、ゔ……ふぁ、う」
レオンの指を噛まないようにするのが大変だった。
気を抜くと噛みちぎってしまいそう。いや、そんな馬鹿力はないにしても、流血くらいさせてしまいそう。
唇を噛むよりもずっと痛いと思うのだけれど。
自分の指じゃないから余計堪えてしまう。
でも噛み締められないのって、上手くこの感覚を逃がすことが出来なくて、意識があっちにもこっちにもいってしまってもどかしい。
アルベールに集中出来ない。レオンの指のせいで。
ふうふう漏らしながら噛むのを我慢していると口の端から唾液が零れていくのを感じるけれど、それを拭う余裕もない。
アルベールは確実におれの気持ちのいいとこを抉ってくるし、おれだってそれにもう我慢出来ないのに。
なのにレオンも主張してくるみたい。そんなのしなくたって十分存在感があるというのに。
「ンっ、ん……ん、ゔ」
上手く息が出来なくて頭がぼおっとしてくる。
その頭で、アルベールは気持ちいいのかな、と思った。
だって彼の動きはおれを優先するかのような、おれの気持ちいいところばかりを狙うような、揺するような動きばかりな気がする。
気持ちいい、
レオンの指を気にしなくていいならすぐにだってイけるのに。
「ゔ」
「指?」
「んん」
「苦しかったか」
ぐい、とレオンの腕を引くと、案外あっさりと指を引き抜かれた。
頷くおれに、もう噛むなよ、とひとつキスをして、それから苦笑して袖で口周りを拭った。そんなとこまでこどもみたい。
まあ今はそんなことを気にしている余裕はなかった。
元々掴んでいたレオンの片手と同様に、もう両手掴んでやる。
今はどこも触られたり邪魔をされたくなかった。
もう、すぐイきたい、さっきからずっと、お腹のナカが変な感じなんだ。
「!」
「あ、ッ……ん、う」
でもおれだけ気持ちよくなるのは違うって、せめて今日だけはって思って。
ぐっとアルベールの腰を挟んだ足で寄せた。
貴族の子がこれははしたないのかもしれないけれど、こんなことをやっててはしたないもなにもあるものか。
出来る限りの甘ったるい声で、アル兄さまも、と声を掛ける。
アルベールがイヴの甘えに負けない筈はない。
「は、ァう、ね、アルにいさまもっ……ンっ、いっしょ、に、ね?」
「……こんなに色っぽく誘える子だったかな……っ」
「んぁ、う、……ッゔ」
溜息を吐いて、でもちょっと嬉しそうな声だった。
しっかりとお腹側の気持ちいいところを擦り上げて、でも奥の方へ進んでくれる。
その声も、眉を寄せて耐えているかおも。よかった、ちゃんと気持ちよさそう。
「ん、ふ……っ」
嬉しい、と思った瞬間に、奥の方がきゅうっとなった。
同時にそれはアルベールを締め付けて、その締め付けたことでまたお腹の奥が悦んでるみたい。
レオンの手を持ち上げて、口元に置く。それは声を殺す為と、自分の安心の為だ。
その指先にキスをして、口に含んで、軽く噛み付いて。
頬に擦って、また口元を覆って。
まるで自分の手のようにすきにして、でもその大きな手は自分のものよりずっと安心する。
止めたりはせず、そう自由にさせてくれるレオンは、仕方ないなと瞳を細めて見下ろしていた。
こういう時は意地悪なこと、しないんだ。
「はっ……ん、う、っあ、あ、」
「……もう我慢、出来なさそう?」
少し焦ったように訊くアルベールに、何度も頷く。
ずっと我慢してた。だってさっきから本当に気持ちいいとこばっかりとんとん突いてくるんだもん。
でも自分だけ気持ちよくなっちゃうのはいやで、その癖なんにも出来なくて、ただ受け入れてるだけ。
だからタイミングくらいは、アルベールに合わせたくて。
「アル兄さま、も……?」
「……うん」
「あ、う、中」
「ナカ?」
「おなか、に、ほし……」
「は」
一瞬、アルベールの動きが止まって、レオンの指先がぴくりと動いた。
あれ、間違えたかな、と思った。
前の世界で漫画とかでよく見た台詞だ。相手が悦ぶ台詞だと思っていた。
あと単純に、お腹の中がもっと、といってるようで、そうしたら満足出来るかなって、そう思っ……
……いやこれ多分とんでもないこと言ったな、と自分で気付いたのは、アルベールは頬を紅く染めてるし、レオンはこいつ、ってかおをしていたから。
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