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かおを上げたレオンの喉が動いた。
それを確認してしまうと、もうだめだった。
「うっ……」
「イヴ?」
「うえっ……ひ、ッう、」
「……泣いたな」
「泣いちゃいましたねえ……でも気持ちよかったでしょう?」
「きもちいっ、から、やめれっれ、ゆっ、たぁ……!」
「そんなに嫌だったの」
「らっ、てえっ、くちにっ……」
構わないから離さなかったんだぞ、とレオンが言うけれど、それはこっちの感覚の問題であって。
口の中でイくのは本当にいやだった。レオンがそのつもりだったとしても、おれにはそんな心構えなかったし、恥ずかしいし、戸惑っちゃうんだよ。
レオンに触られるのがいやとか、そんなんじゃなくて。
「アルベール」
「はい」
「こっち」
「……?」
レオンがアルベールを呼ぶ。
おれのすぐ頭の上で内緒話も何も、と思ったけれど、ふたりがしたものは会話ではなかった。
「え」
「ん……、」
生々しい水音を立てて、ふたりが目の前で唇を重ねる。
何度見ても他人のキスには慣れなかった。
ふたりともおれにも同じようにキスをしたけれど、こんな風に見せつけるようなものではなかった、と思う。
濡れた舌が絡んで、音と吐息が響く。ごくんと自分の喉が鳴ったのがわかる。
アルベールはちゃんとレオンのこともすきだと言うし、レオンはふたり纏めて愛してると言う。
ふたりが仲良くしているのを見るのがすき。
別にキスをしても、おれの方がもっとすごいことをされてるし、嫌悪感と疎外感だとか、そんな不満を抱くことはない。
寧ろふたりとも綺麗だから見蕩れてしまう。
おれにもして、とは思っちゃうけど。……いや、今はしなくていいな。
「……はあ、」
「アルベールも共犯だな」
「……!」
にやりと笑ったレオンに首を傾げて、それからすぐにその意図に気付いてレオンの肩をまた叩いた。
おれのものを舐めて、飲んで、その口でアルベールとキスをしたことを言っている。
この王子、デリカシーってものがない。
「もうやだ!レオンさまいや!」
「嫌かあ」
「アル兄さまがいいっ」
「ふふ、こども返りしたみたい」
「お前、何でもアルベールに頼ればいいと思ってるだろ」
「レオンさまが意地悪ばかりするからですよ」
ねえ、と微笑んだアルベールに頷く。
レオンは苦笑しながら、かわいがってるだけなんだがなあ、と呟いた。
「じゃあ次はアルベールにかわいがってもらうか」
「っう……!」
交代だ、とレオンがおれの躰を持ち上げ、今度はアルベールの方へ向かされた。
ぐ、と両足を固定されて、その力に驚く。
アルベールはおれの頬を撫でて、優しくするからね、なんて言うからまた息を呑んでしまった。
美人が色気を出してきた時の破壊力といったら。
「このままじゃ辛いから……少し待ってね」
そう言ってアルベールはベッドから降りて、またすぐに戻ってきた。
その手の小瓶を見て、香油か、とレオンが呟く。
「ええ」
「お前も油断ならないな」
「そりゃあ折角近くにいる訳ですしチャンスを逃す気はないですよ……まあご覧の通りイヴとこの家でそんなことはしてませんが」
イヴは痛いの嫌だもんね、と優しく言うから三回くらい頷いた。痛いのもこわいのもごめんだ。
アルベールが小瓶の蓋を開くと、ほんのり甘い香りが広がる。
触るよ、と事前に申告されて、きゅっと躰を固くしてしまった。
レオンにがっちり押さえられた足は少しも閉じることが出来ない。
ただでさえ体温の低いアルベールの指先がそのオイルのせいで余計にひんやりする。
後孔に触れた瞬間に情けない声が漏れた。慌てて口元を押さえる。
「口閉じないの。かわいい声聴かせて」
そのアルベールの声を合図のように、レオンがおれの両手首を一纏めにした。まただ。
おれの声なんて聞いて何が楽しいのかもわからないのに。かわいいなんて言うのは多分気の所為か盲目かいじわるなのに。
もう既に散々声は出てるし、前回だってそうなんだけれど、どうぞ聴いてください、と言える程の諦めはまだなかった。
どうせ無理矢理こじ開けられるとはわかっていても。
「……ッ」
触れていただけの場所に、アルベールの綺麗な指先が沈んだ。
肩が揺れる。
「……痛くない?」
「ン……ま、まだ、」
「まだ、かあ」
苦笑いを零しながらアルベールは指を進める。
そこは初めてじゃないから、大丈夫だろうと思っていた。
どうやらそれは間違いだったみたいで、その狭い場所をゆっくりとアルベールが拓いていく。
「……本当にレオンさま、何もしなかったんですか」
驚いたように声を上げると、イヴがお前が帰ってきてからと言うからな、と当然のようにレオンが言うものだから、アルベールは少し困ったようなかおをした。
……だめだったのだろうか。
レオンとふたりでしてた方が良かった?
アルベールは遠征先で頑張ってる訳で、そんな時に仲間外れはどうかなって思ったんだけど。
二週間も何もしなかったから?折角柔らかくなった場所をまた拓かないといけないから面倒くさい?
「そんなに不安そうなかお、しないで。驚いただけだよ」
「……なんで、」
「イヴがかわいらしくて感動しちゃった」
そうだね、皆で気持ちよくなろうね、とおでこにキスを落としたアルベールはにっこりと笑ってみせた。
それを確認してしまうと、もうだめだった。
「うっ……」
「イヴ?」
「うえっ……ひ、ッう、」
「……泣いたな」
「泣いちゃいましたねえ……でも気持ちよかったでしょう?」
「きもちいっ、から、やめれっれ、ゆっ、たぁ……!」
「そんなに嫌だったの」
「らっ、てえっ、くちにっ……」
構わないから離さなかったんだぞ、とレオンが言うけれど、それはこっちの感覚の問題であって。
口の中でイくのは本当にいやだった。レオンがそのつもりだったとしても、おれにはそんな心構えなかったし、恥ずかしいし、戸惑っちゃうんだよ。
レオンに触られるのがいやとか、そんなんじゃなくて。
「アルベール」
「はい」
「こっち」
「……?」
レオンがアルベールを呼ぶ。
おれのすぐ頭の上で内緒話も何も、と思ったけれど、ふたりがしたものは会話ではなかった。
「え」
「ん……、」
生々しい水音を立てて、ふたりが目の前で唇を重ねる。
何度見ても他人のキスには慣れなかった。
ふたりともおれにも同じようにキスをしたけれど、こんな風に見せつけるようなものではなかった、と思う。
濡れた舌が絡んで、音と吐息が響く。ごくんと自分の喉が鳴ったのがわかる。
アルベールはちゃんとレオンのこともすきだと言うし、レオンはふたり纏めて愛してると言う。
ふたりが仲良くしているのを見るのがすき。
別にキスをしても、おれの方がもっとすごいことをされてるし、嫌悪感と疎外感だとか、そんな不満を抱くことはない。
寧ろふたりとも綺麗だから見蕩れてしまう。
おれにもして、とは思っちゃうけど。……いや、今はしなくていいな。
「……はあ、」
「アルベールも共犯だな」
「……!」
にやりと笑ったレオンに首を傾げて、それからすぐにその意図に気付いてレオンの肩をまた叩いた。
おれのものを舐めて、飲んで、その口でアルベールとキスをしたことを言っている。
この王子、デリカシーってものがない。
「もうやだ!レオンさまいや!」
「嫌かあ」
「アル兄さまがいいっ」
「ふふ、こども返りしたみたい」
「お前、何でもアルベールに頼ればいいと思ってるだろ」
「レオンさまが意地悪ばかりするからですよ」
ねえ、と微笑んだアルベールに頷く。
レオンは苦笑しながら、かわいがってるだけなんだがなあ、と呟いた。
「じゃあ次はアルベールにかわいがってもらうか」
「っう……!」
交代だ、とレオンがおれの躰を持ち上げ、今度はアルベールの方へ向かされた。
ぐ、と両足を固定されて、その力に驚く。
アルベールはおれの頬を撫でて、優しくするからね、なんて言うからまた息を呑んでしまった。
美人が色気を出してきた時の破壊力といったら。
「このままじゃ辛いから……少し待ってね」
そう言ってアルベールはベッドから降りて、またすぐに戻ってきた。
その手の小瓶を見て、香油か、とレオンが呟く。
「ええ」
「お前も油断ならないな」
「そりゃあ折角近くにいる訳ですしチャンスを逃す気はないですよ……まあご覧の通りイヴとこの家でそんなことはしてませんが」
イヴは痛いの嫌だもんね、と優しく言うから三回くらい頷いた。痛いのもこわいのもごめんだ。
アルベールが小瓶の蓋を開くと、ほんのり甘い香りが広がる。
触るよ、と事前に申告されて、きゅっと躰を固くしてしまった。
レオンにがっちり押さえられた足は少しも閉じることが出来ない。
ただでさえ体温の低いアルベールの指先がそのオイルのせいで余計にひんやりする。
後孔に触れた瞬間に情けない声が漏れた。慌てて口元を押さえる。
「口閉じないの。かわいい声聴かせて」
そのアルベールの声を合図のように、レオンがおれの両手首を一纏めにした。まただ。
おれの声なんて聞いて何が楽しいのかもわからないのに。かわいいなんて言うのは多分気の所為か盲目かいじわるなのに。
もう既に散々声は出てるし、前回だってそうなんだけれど、どうぞ聴いてください、と言える程の諦めはまだなかった。
どうせ無理矢理こじ開けられるとはわかっていても。
「……ッ」
触れていただけの場所に、アルベールの綺麗な指先が沈んだ。
肩が揺れる。
「……痛くない?」
「ン……ま、まだ、」
「まだ、かあ」
苦笑いを零しながらアルベールは指を進める。
そこは初めてじゃないから、大丈夫だろうと思っていた。
どうやらそれは間違いだったみたいで、その狭い場所をゆっくりとアルベールが拓いていく。
「……本当にレオンさま、何もしなかったんですか」
驚いたように声を上げると、イヴがお前が帰ってきてからと言うからな、と当然のようにレオンが言うものだから、アルベールは少し困ったようなかおをした。
……だめだったのだろうか。
レオンとふたりでしてた方が良かった?
アルベールは遠征先で頑張ってる訳で、そんな時に仲間外れはどうかなって思ったんだけど。
二週間も何もしなかったから?折角柔らかくなった場所をまた拓かないといけないから面倒くさい?
「そんなに不安そうなかお、しないで。驚いただけだよ」
「……なんで、」
「イヴがかわいらしくて感動しちゃった」
そうだね、皆で気持ちよくなろうね、とおでこにキスを落としたアルベールはにっこりと笑ってみせた。
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