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レオンの頬にそっと自分の頬を擦り寄せると、ふ、と笑って頭をぽんぽんと撫でてくれた。
それから、アルベールにしたことと同じことをしてくれないか、と口元を指す。
キスを強請られたことに、何故か胸がぎゅううとしてしまって、ちゅうと軽く唇を重ねると、レオンは酷く優しく笑った。
レオンの、この笑い方もすきだ。きっとイヴとアルベールにしか見せないかお。
普段と違って、それでも愛しいと思ってしまう表情。
堪らなくなって、ちゅっちゅと何度も調子に乗ったようにキスを繰り返してしまった。
犬のようだと擽ったそうに笑うレオンと、背後からかわいい、とアルベールの声がする。
「成程、ふたりが戯れてるところを見ているのもいいものですね」
「そうだろう?」
「残念なのはイヴのかおがあまり見えないことかなあ……」
「んゔ!」
残念そうな声と共に降ったのはアルベールの指先だった。
背中をなぞるそれに背中が撓る。ぞわぞわとした感覚に腰が抜けてしまうかと思った。
「背中は背中でかわいいのだけれど」
「はう……あ、ッん、」
「ふふ、レオンさまに触ってもらったからどこもかしこも敏感になっちゃったかな」
「んあ、う、っや、背中っ……んゔ!」
「綺麗だよ、肌が白いから」
「っう、」
肩の辺りをぢゅう、と吸われるような、噛まれるような感覚があった。
そこを指で確かめるように触れ、紅い痕が目立って良い、とアルベールが囁く。
すぐ耳元からはレオンの含むような笑い声がして、すぐ背後からは熱を含んだアルベールの吐息が聞こえる。逃げ場なんてない。
「あっ……ンう、ゔ……!」
息を吐いて、とアルベール。
レオンはおれの目元や頬に唇を落とし、背を撫でる。
ふたりがおれをあやしているのがわかった。
それから漸く、ぐ、とアルベールのものがナカに挿入る感覚。
拡げられたとはいえ、指とは違うものに下半身に力が入った。息を吐けと言われても、力を抜くことが出来ない。
「ん、きつ……」
「挿入らないか」
「いえ、無理にするとイヴが辛いかと」
「そうだなあ」
はっ、はっ、と浅い呼吸を繰り返すおれに、そうじゃない、とレオンがかおを上げさせた。
もう一度、息を吐け、と頬を撫でて言う。そのレオンに、無理、と首を振った。
息を吐くってどうだったっけ。呼吸するだけで苦しくて、……頭が回んない。
「ゔ、うあ、ん、アル兄さ、まあ……」
「ごめんね。あと少し、我慢出来る?」
「んゔう」
そのあと少し、を何度も何度も、馬鹿みたいにじっくり時間を掛けて進んでいく。
背中に降るアルベールの唇も、宥めるように頬や腰を撫でるレオンの手も、たまに胸元や口元に触れるふたりの手も、全部おれのものだった。
暫くして、頑張ったな、とレオンが頬にキスをした。
なんのことだかわからなくて、ぼおっとしたままのおれに全部収まったようだぞ、と笑う。
全部。
アルベールのものが、全部。
「うそだあ……」
「嘘なんか吐いてどうするんだ、ほら」
「ンっ」
思わずそう口にしてしまったおれに、嘘な訳ないだろう、と腕を後ろに回された。
その先には背中にくっつくようにアルベールの躰がある。
つまりはそれだけ距離がないということ。
回らない頭で、そうか、と理解した。ぴったりとした体温が恥ずかしいのに、嬉しくなる。
「痛くない?」
「ん……」
「もう少し……待ってから動いていい?」
「待つの……?」
「うん、少し馴染んでからにしようか」
馴染むのか。他人の躰に入ったものが。
よくわからないけれど、アルベールがそういうのならそうなのだろう。
かおは見えないけれど、こんな時に嘘を吐いたりふざけたりするひとじゃないとわかってる。
レオンの方が心配なくらいだ。
「は、ん……ぅ」
「……イヴのナカ、あたたかい」
「っ、う、き、もちい……?」
「ふふ、そうだね、動かなくても十分気持ちいいかも」
「……良かった」
いや、そんなこと言っておいて、何が良かったのかなんてわからないけど。
でもおれが喋ったり息をしたり、なにかする度にお腹がきゅっとなって、それに締め付けたアルベールのものが反応するのはわかる。
少し嬉しくなってしまう。
ああ、本当におれでいいんだな、と思って。
同性でも婚約出来るような世界だ、けれどイヴの両親たちのように、異性間での結婚も普通に当たり前にあって、そんな中で男のイヴを選んでくれて、その上で尚おれを瞳に映してくれている。
今アルベールに背中を向けていることが残念だった。
かおが見たい。
それは別に無理な願いじゃない。
ほんの少しかおを傾けると、それに気付いたアルベールがにこりと笑い、薄く開いたままの口に自身も重ねてくれた。
「ンう、は、っ……ふ、」
「……イヴ、」
整った唇が名前を呼ぶ。その声も瞳ももう堪らないと言ってるようで、いいよ、と言ってしまった。
動いても。
ううん、いいよ、じゃない、おれがもう我慢出来なくなったんだ。
躰はずっとあついままだった。早くどうにかしてもらいたいという欲に負けたのだ、アルベールに気持ちよくしてもらいたい、この熱をどうにかしてもらいたい。
それから、アルベールにしたことと同じことをしてくれないか、と口元を指す。
キスを強請られたことに、何故か胸がぎゅううとしてしまって、ちゅうと軽く唇を重ねると、レオンは酷く優しく笑った。
レオンの、この笑い方もすきだ。きっとイヴとアルベールにしか見せないかお。
普段と違って、それでも愛しいと思ってしまう表情。
堪らなくなって、ちゅっちゅと何度も調子に乗ったようにキスを繰り返してしまった。
犬のようだと擽ったそうに笑うレオンと、背後からかわいい、とアルベールの声がする。
「成程、ふたりが戯れてるところを見ているのもいいものですね」
「そうだろう?」
「残念なのはイヴのかおがあまり見えないことかなあ……」
「んゔ!」
残念そうな声と共に降ったのはアルベールの指先だった。
背中をなぞるそれに背中が撓る。ぞわぞわとした感覚に腰が抜けてしまうかと思った。
「背中は背中でかわいいのだけれど」
「はう……あ、ッん、」
「ふふ、レオンさまに触ってもらったからどこもかしこも敏感になっちゃったかな」
「んあ、う、っや、背中っ……んゔ!」
「綺麗だよ、肌が白いから」
「っう、」
肩の辺りをぢゅう、と吸われるような、噛まれるような感覚があった。
そこを指で確かめるように触れ、紅い痕が目立って良い、とアルベールが囁く。
すぐ耳元からはレオンの含むような笑い声がして、すぐ背後からは熱を含んだアルベールの吐息が聞こえる。逃げ場なんてない。
「あっ……ンう、ゔ……!」
息を吐いて、とアルベール。
レオンはおれの目元や頬に唇を落とし、背を撫でる。
ふたりがおれをあやしているのがわかった。
それから漸く、ぐ、とアルベールのものがナカに挿入る感覚。
拡げられたとはいえ、指とは違うものに下半身に力が入った。息を吐けと言われても、力を抜くことが出来ない。
「ん、きつ……」
「挿入らないか」
「いえ、無理にするとイヴが辛いかと」
「そうだなあ」
はっ、はっ、と浅い呼吸を繰り返すおれに、そうじゃない、とレオンがかおを上げさせた。
もう一度、息を吐け、と頬を撫でて言う。そのレオンに、無理、と首を振った。
息を吐くってどうだったっけ。呼吸するだけで苦しくて、……頭が回んない。
「ゔ、うあ、ん、アル兄さ、まあ……」
「ごめんね。あと少し、我慢出来る?」
「んゔう」
そのあと少し、を何度も何度も、馬鹿みたいにじっくり時間を掛けて進んでいく。
背中に降るアルベールの唇も、宥めるように頬や腰を撫でるレオンの手も、たまに胸元や口元に触れるふたりの手も、全部おれのものだった。
暫くして、頑張ったな、とレオンが頬にキスをした。
なんのことだかわからなくて、ぼおっとしたままのおれに全部収まったようだぞ、と笑う。
全部。
アルベールのものが、全部。
「うそだあ……」
「嘘なんか吐いてどうするんだ、ほら」
「ンっ」
思わずそう口にしてしまったおれに、嘘な訳ないだろう、と腕を後ろに回された。
その先には背中にくっつくようにアルベールの躰がある。
つまりはそれだけ距離がないということ。
回らない頭で、そうか、と理解した。ぴったりとした体温が恥ずかしいのに、嬉しくなる。
「痛くない?」
「ん……」
「もう少し……待ってから動いていい?」
「待つの……?」
「うん、少し馴染んでからにしようか」
馴染むのか。他人の躰に入ったものが。
よくわからないけれど、アルベールがそういうのならそうなのだろう。
かおは見えないけれど、こんな時に嘘を吐いたりふざけたりするひとじゃないとわかってる。
レオンの方が心配なくらいだ。
「は、ん……ぅ」
「……イヴのナカ、あたたかい」
「っ、う、き、もちい……?」
「ふふ、そうだね、動かなくても十分気持ちいいかも」
「……良かった」
いや、そんなこと言っておいて、何が良かったのかなんてわからないけど。
でもおれが喋ったり息をしたり、なにかする度にお腹がきゅっとなって、それに締め付けたアルベールのものが反応するのはわかる。
少し嬉しくなってしまう。
ああ、本当におれでいいんだな、と思って。
同性でも婚約出来るような世界だ、けれどイヴの両親たちのように、異性間での結婚も普通に当たり前にあって、そんな中で男のイヴを選んでくれて、その上で尚おれを瞳に映してくれている。
今アルベールに背中を向けていることが残念だった。
かおが見たい。
それは別に無理な願いじゃない。
ほんの少しかおを傾けると、それに気付いたアルベールがにこりと笑い、薄く開いたままの口に自身も重ねてくれた。
「ンう、は、っ……ふ、」
「……イヴ、」
整った唇が名前を呼ぶ。その声も瞳ももう堪らないと言ってるようで、いいよ、と言ってしまった。
動いても。
ううん、いいよ、じゃない、おれがもう我慢出来なくなったんだ。
躰はずっとあついままだった。早くどうにかしてもらいたいという欲に負けたのだ、アルベールに気持ちよくしてもらいたい、この熱をどうにかしてもらいたい。
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