99 / 192
7
98*
しおりを挟む
いや、でもこれならかおは隠せる、レオンにしがみついてればいい。
まさに頭隠して尻隠さず、な状態になってしまっているけれど、それも十分に恥ずかしいけれど、みっともないかおを見られて萎えさせてしまうよりは、まあ。
そう考えていたのに、あっさりとイヴ、と頭を上げさせられてしまった。
先程まではアルベールのかおがすぐそこにあった。
今はキス出来る距離にレオンのかおがある。
「さっきまではアルベールと仲良くしていただろう、次は俺と仲良くしような?」
「ふぁい……」
「はは、近くで見ると本当に蕩けてしまっているな」
「……らっ、て、」
「気持ちよかったか?次はアルベールに快くしてもらおうか」
大丈夫だ、怪我しても治してやるからな、と不穏なことを言うレオンに、怪我なんてさせませんよ、とアルベールが溜息を吐く。安心させろという割りには脅すようなことを言うんだから、と。
そのアルベールの呆れた声に、レオンは悪い、と笑った。
それからおれの瞳を見て、あまりにもかわいらしいものだからつい意地悪を言ってしまった、と自身の瞳を細める。
こんなことで胸がきゅうとなってしまうのだからおれは単純だ。
「ほら、ちゃんと掴まっておけ、……こわいか?」
「……アル兄さま、は、こわくない、けど……でも、その、やっぱり……」
「大丈夫だ、お前のことを守ってやるのがすぐここにふたりもいるだろう?」
「……そのふたりがするのに?」
「そうだよ、お前の薄い腹に俺たちが入るんだ、その為の準備だったじゃないか」
「ん……」
レオンの手が腰を撫でる。びく、と躰が揺れた。
こんな時にお腹が空いたな、と考えてしまう。
昨晩は大して食べられなかったし、思い出すと今日は朝食とアンリから貰ったクッキーしか食べてない。昼食は食いっぱぐれてしまった。
こんな時にお腹が鳴ったらどうしよう。
「あ……ッ」
何かが垂らされたみたいだ。何かがも何も、多分香油だろうけど。
アルベールを手伝うようにレオンの大きな手がおれの尻に触れた。
少しだけ我慢だ、と鼻先にキスをされる。
──来る。
まだ挿入されてないというのに先に頭が真っ白になってしまったおれは、思わずぎゅうとレオンの首元に抱き着いてしまった。
柔らかな銀髪が頬に当たる。そんなこと気にする余裕は既にない。
耳元でレオンの笑う声を感じた。
アルベールの手も腰に添えられたことで、ごくんと喉が鳴る。
こわくないと言った。
……嘘だ、正直めちゃくちゃこわい。
どれだけ大きいかなんて振り返って確認も出来ないくらい。
でも先程までレオンに弄られていた時に背中で感じていた、アルベールのものが硬くなっていたことに。
あれがおれのナカに入んの?無理じゃない?BLゲームだから有り?アンリが言うにはもっと酷い内容だったんだっけ?っていうかここはゲームの世界って訳じゃなくて前世なんだからゲームの要素は関係なくて……でも話の流れは同じようなもので……こわい、こわいこわいこわい、絶対入んない、ゲームじゃないと入んないでしょあんなの。見てないけど!
「ゔー……!」
「今になって駄々を捏ね始めたな」
「……止めようか?イヴ」
「止めないっ……!」
「まあ今止めたらイヴはずっと逃げるだろう、やれ、アルベール」
「言い方あ!」
「急に赤ん坊のようになったな」
「張り詰めていた糸が切れたのでしょう」
我慢出来ることと出来ないことがある。
ちょっと痛いくらい、我慢出来ると思っていた。
恥ずかしいことも、自分が少し恥をかくくらいなら、と。
でもおれはここにきて、相当甘やかされてきたようだ、ふたりに甘えてしまうことを知っている。
ふたりには我儘を……泣き言を、まあ多少なら言っても大丈夫なんじゃないかと思ってしまったのだ。
こわいから止めてほしいんじゃない。
優しくして、痛くしないで、おれにもっと甘くして。
「イヴ、レオンさまの瞳を見てごらん」
「う、ゔ」
「ほら、こわくないでしょう、大丈夫、レオンさまを見てて」
「ゔ、……あ、」
レオンの薄紫の瞳におれの蕩けたかおが映っていた。
酷いかおだと思う。それでもレオンは頭を撫で、かわいいなどと言う。
アルベールは優しい。弟のおれにとても甘い。
でもレオンだってそうだった。
口は悪くても、素っ気ない態度を見せても、イヴを置いていくことはなかった。
振り返ってはイヴの名を呼び、手を引き、隣に寄せた。
後ろから見守ってはイヴが転ぶ前に危ないぞと声を掛けた。
ジャンに冷たくされて落ち込むイヴの頭を撫でた。
立場上レオンはたくさん悩んだのだと思う。
ジャンとの婚約破棄はアンリが仕組んだもので、それがなければレオンはおれの近くにはもうそんなに来なかったと思う。
それはアルベールも同様で、ずっと兄でいないといけなかったのだろう。
アンリのせいで、アンリのお陰で、ふたりはおれに想いを隠す必要がなくなって、真っ直ぐにぶつけてきた。
その好意はおれだって素直になるしかなかった。
イヴは嬉しかったんだ、ずっと。
一緒にいてくれたレオンが初恋の相手だったのかもしれない。
まさに頭隠して尻隠さず、な状態になってしまっているけれど、それも十分に恥ずかしいけれど、みっともないかおを見られて萎えさせてしまうよりは、まあ。
そう考えていたのに、あっさりとイヴ、と頭を上げさせられてしまった。
先程まではアルベールのかおがすぐそこにあった。
今はキス出来る距離にレオンのかおがある。
「さっきまではアルベールと仲良くしていただろう、次は俺と仲良くしような?」
「ふぁい……」
「はは、近くで見ると本当に蕩けてしまっているな」
「……らっ、て、」
「気持ちよかったか?次はアルベールに快くしてもらおうか」
大丈夫だ、怪我しても治してやるからな、と不穏なことを言うレオンに、怪我なんてさせませんよ、とアルベールが溜息を吐く。安心させろという割りには脅すようなことを言うんだから、と。
そのアルベールの呆れた声に、レオンは悪い、と笑った。
それからおれの瞳を見て、あまりにもかわいらしいものだからつい意地悪を言ってしまった、と自身の瞳を細める。
こんなことで胸がきゅうとなってしまうのだからおれは単純だ。
「ほら、ちゃんと掴まっておけ、……こわいか?」
「……アル兄さま、は、こわくない、けど……でも、その、やっぱり……」
「大丈夫だ、お前のことを守ってやるのがすぐここにふたりもいるだろう?」
「……そのふたりがするのに?」
「そうだよ、お前の薄い腹に俺たちが入るんだ、その為の準備だったじゃないか」
「ん……」
レオンの手が腰を撫でる。びく、と躰が揺れた。
こんな時にお腹が空いたな、と考えてしまう。
昨晩は大して食べられなかったし、思い出すと今日は朝食とアンリから貰ったクッキーしか食べてない。昼食は食いっぱぐれてしまった。
こんな時にお腹が鳴ったらどうしよう。
「あ……ッ」
何かが垂らされたみたいだ。何かがも何も、多分香油だろうけど。
アルベールを手伝うようにレオンの大きな手がおれの尻に触れた。
少しだけ我慢だ、と鼻先にキスをされる。
──来る。
まだ挿入されてないというのに先に頭が真っ白になってしまったおれは、思わずぎゅうとレオンの首元に抱き着いてしまった。
柔らかな銀髪が頬に当たる。そんなこと気にする余裕は既にない。
耳元でレオンの笑う声を感じた。
アルベールの手も腰に添えられたことで、ごくんと喉が鳴る。
こわくないと言った。
……嘘だ、正直めちゃくちゃこわい。
どれだけ大きいかなんて振り返って確認も出来ないくらい。
でも先程までレオンに弄られていた時に背中で感じていた、アルベールのものが硬くなっていたことに。
あれがおれのナカに入んの?無理じゃない?BLゲームだから有り?アンリが言うにはもっと酷い内容だったんだっけ?っていうかここはゲームの世界って訳じゃなくて前世なんだからゲームの要素は関係なくて……でも話の流れは同じようなもので……こわい、こわいこわいこわい、絶対入んない、ゲームじゃないと入んないでしょあんなの。見てないけど!
「ゔー……!」
「今になって駄々を捏ね始めたな」
「……止めようか?イヴ」
「止めないっ……!」
「まあ今止めたらイヴはずっと逃げるだろう、やれ、アルベール」
「言い方あ!」
「急に赤ん坊のようになったな」
「張り詰めていた糸が切れたのでしょう」
我慢出来ることと出来ないことがある。
ちょっと痛いくらい、我慢出来ると思っていた。
恥ずかしいことも、自分が少し恥をかくくらいなら、と。
でもおれはここにきて、相当甘やかされてきたようだ、ふたりに甘えてしまうことを知っている。
ふたりには我儘を……泣き言を、まあ多少なら言っても大丈夫なんじゃないかと思ってしまったのだ。
こわいから止めてほしいんじゃない。
優しくして、痛くしないで、おれにもっと甘くして。
「イヴ、レオンさまの瞳を見てごらん」
「う、ゔ」
「ほら、こわくないでしょう、大丈夫、レオンさまを見てて」
「ゔ、……あ、」
レオンの薄紫の瞳におれの蕩けたかおが映っていた。
酷いかおだと思う。それでもレオンは頭を撫で、かわいいなどと言う。
アルベールは優しい。弟のおれにとても甘い。
でもレオンだってそうだった。
口は悪くても、素っ気ない態度を見せても、イヴを置いていくことはなかった。
振り返ってはイヴの名を呼び、手を引き、隣に寄せた。
後ろから見守ってはイヴが転ぶ前に危ないぞと声を掛けた。
ジャンに冷たくされて落ち込むイヴの頭を撫でた。
立場上レオンはたくさん悩んだのだと思う。
ジャンとの婚約破棄はアンリが仕組んだもので、それがなければレオンはおれの近くにはもうそんなに来なかったと思う。
それはアルベールも同様で、ずっと兄でいないといけなかったのだろう。
アンリのせいで、アンリのお陰で、ふたりはおれに想いを隠す必要がなくなって、真っ直ぐにぶつけてきた。
その好意はおれだって素直になるしかなかった。
イヴは嬉しかったんだ、ずっと。
一緒にいてくれたレオンが初恋の相手だったのかもしれない。
170
お気に入りに追加
3,776
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる