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「へ……」
呼吸を荒くして、肩で息をしながら、間の抜けた声を出してしまった。
そお、と見上げると、ふたりとも驚いたかおをして、次いであはは、と笑う。
「随分我慢をしてたなあ」
「ふふ、気持ちよかったねえ」
「う……」
「大分飛んだな」
「いっ……そんなこと、い、言わない、で……くださ……」
「責めてないぞ、愛らしくてよかった」
「……!」
こんなことで褒められるとじわじわしてしまう。
意地を張っていただけで、頑張った訳ではないのに。
「でもまだ残ってますね」
「そうだなあ、一回じゃ足りなかったな」
「へあ……」
「疲れてるところ悪いがもう一度イっとくか、ほら」
「まっ、ま、待って、おれにもわかるように話して」
「理解出来るのと納得するのは別だからなあ」
「されるのはおれでしょ!おれにも納得させて!」
横になって丸まったおれの膝を再度開こうとするレオンに抵抗する。
流石に訳のわからないまま流されるのはいやだった。
だってなんだか、おれのことがすきで触りたくて仕方ない、って感じじゃないんだもの。
怒ってない。疑問でもない。多分その、拗ねてるんだ、これは。
だっておれはふたりがいいのに、触ってほしかったのに、ふたりは仕方なく触ってるのだとしたら惨めだ。
きいきい喚くおれに、そんな雰囲気ではないと察したアルベールが小さく溜息を吐いて、おいで、とおれの腕を引いた。
またアルベールに背後から抱かれる格好になり、せめてもの抵抗として膝を抱えた。
なんせ今は全裸だからな、だらんと両腕両足を投げ出す訳にもいかなかった。
「誰かから魔力を貰ったでしょう」
「えっ」
「残ってるもの、先程魔力詰まりを治してもらった筈なのにまた」
「この部屋を出た時だろう」
「まりょく……」
アンリとしか会ってない。色々なことを考慮してもやはりアンリの力としか思えない。
おれに能力を使おうとして、魔力も入れてしまったというようなことを言っていた。でもそれはジャンが治した……つまりまたアンリは能力をおれに使った。
やっぱりおれが、おれの躰がおかしいのはアンリのせいだ!
そう考えると一瞬、気が楽になった。それからはたと気付く。
「えっ、じゃあまたジャンさまに診てもらわなきゃだめってこと……」
昼間の魔力詰まりの時は良かった。
ただの体調不良で、別に羞恥なんかなかった。
アンリの言う、ジャンさまの治癒は気持ちよかったでしょう、なんて言葉もその通り受け取れた。あったかくてお風呂みたいだった~、なんて呑気な感想だった。
でも今は違う。
確かに胸はもやもやしてるし、いっぱいだけど、吐き気とかそういった体調不良ではないし、何よりおれはふたりに触れてほしいなんて考えてしまったのだ、不埒なことを考えてしまったのだ。
その上でふたりに気持ちよくさせられてしまったのだ。
その状態でジャンに会えというのなら酷いと思う。
青褪めたおれに、そんな訳ないでしょう、とアルベールがきっぱりと口にした。
昼間のものは仕方ないけれど、これくらいなら自分たちでどうにか出来ます、と。
そういえばアンリもアルベールとレオンは魔力の調整が得意でしょうと言っていた。
それは自分の魔力のみだと思っていたけれど、他人のものも少しくらいならどうにか出来るということなのだろうか。
「でもその、なんでイ……出さなきゃなんないの」
「それがいちばん楽だろう、血を出す訳にもいかないからな」
「……?」
「魔力を出すのにも能力は必要だからね。自分で出せるのならいいけど、無理ならジャンさまのような能力に頼るか、若しくは体液に混じらせて出すしかない」
「たいえき」
「血や涙、唾液、汗、精液」
「……」
「量やタイミングを考えると血か精液になるでしょう、流石に血はねえ」
……トイレに行くのはだめなのかな、と思った。
思っただけ。口にはしない。下手をこいて特殊プレイになったら困る。
普通はならないと思う。
でも今のふたりからまだ欲が消えてない。まだおれに触ることを諦めてない。
大人しく足を開くのがいちばんなんだろう。
「納得出来たか?」
「う、ん……」
「じゃあほら、もう一度だ」
レオンがおれの膝を割ろうとする。無駄とはわかっていたが抵抗をするも虚しく、簡単に開かれてしまった。
先程達して何もしてないそこは、正直感触でわかってたけれど酷い有様だった。でろでろ。
気持ち悪いだろう、と苦笑したレオンが拭いてくれる。
タオルはレオンの得意な生活魔法でほかほかの濡れタオルになっていた。ありがたいのだけれど、こんなことに魔法を使わせるなんて、と少し情けなかった。
「でも、ま、待って、下さ、おれ、まだ、イったばっか、で」
「少し時間も空いただろう」
「でもお……!」
粘ったお陰で、結構長いことそこに触れられていた。
過敏になってるのだ、快感にも、痛みにも。
過ぎた快感は苦痛にもなる。まだ少し、待ってほしかった。
「じゃあここには触れないでおこう」
「えっ」
じゃあどこに?
胸は、その、女のひとではないのに気持ちよかった。でもそこだけで達せるかというと、おれにはまだ未知の世界だ。
あと単純にそれはいやだ、と思ってしまった。
呼吸を荒くして、肩で息をしながら、間の抜けた声を出してしまった。
そお、と見上げると、ふたりとも驚いたかおをして、次いであはは、と笑う。
「随分我慢をしてたなあ」
「ふふ、気持ちよかったねえ」
「う……」
「大分飛んだな」
「いっ……そんなこと、い、言わない、で……くださ……」
「責めてないぞ、愛らしくてよかった」
「……!」
こんなことで褒められるとじわじわしてしまう。
意地を張っていただけで、頑張った訳ではないのに。
「でもまだ残ってますね」
「そうだなあ、一回じゃ足りなかったな」
「へあ……」
「疲れてるところ悪いがもう一度イっとくか、ほら」
「まっ、ま、待って、おれにもわかるように話して」
「理解出来るのと納得するのは別だからなあ」
「されるのはおれでしょ!おれにも納得させて!」
横になって丸まったおれの膝を再度開こうとするレオンに抵抗する。
流石に訳のわからないまま流されるのはいやだった。
だってなんだか、おれのことがすきで触りたくて仕方ない、って感じじゃないんだもの。
怒ってない。疑問でもない。多分その、拗ねてるんだ、これは。
だっておれはふたりがいいのに、触ってほしかったのに、ふたりは仕方なく触ってるのだとしたら惨めだ。
きいきい喚くおれに、そんな雰囲気ではないと察したアルベールが小さく溜息を吐いて、おいで、とおれの腕を引いた。
またアルベールに背後から抱かれる格好になり、せめてもの抵抗として膝を抱えた。
なんせ今は全裸だからな、だらんと両腕両足を投げ出す訳にもいかなかった。
「誰かから魔力を貰ったでしょう」
「えっ」
「残ってるもの、先程魔力詰まりを治してもらった筈なのにまた」
「この部屋を出た時だろう」
「まりょく……」
アンリとしか会ってない。色々なことを考慮してもやはりアンリの力としか思えない。
おれに能力を使おうとして、魔力も入れてしまったというようなことを言っていた。でもそれはジャンが治した……つまりまたアンリは能力をおれに使った。
やっぱりおれが、おれの躰がおかしいのはアンリのせいだ!
そう考えると一瞬、気が楽になった。それからはたと気付く。
「えっ、じゃあまたジャンさまに診てもらわなきゃだめってこと……」
昼間の魔力詰まりの時は良かった。
ただの体調不良で、別に羞恥なんかなかった。
アンリの言う、ジャンさまの治癒は気持ちよかったでしょう、なんて言葉もその通り受け取れた。あったかくてお風呂みたいだった~、なんて呑気な感想だった。
でも今は違う。
確かに胸はもやもやしてるし、いっぱいだけど、吐き気とかそういった体調不良ではないし、何よりおれはふたりに触れてほしいなんて考えてしまったのだ、不埒なことを考えてしまったのだ。
その上でふたりに気持ちよくさせられてしまったのだ。
その状態でジャンに会えというのなら酷いと思う。
青褪めたおれに、そんな訳ないでしょう、とアルベールがきっぱりと口にした。
昼間のものは仕方ないけれど、これくらいなら自分たちでどうにか出来ます、と。
そういえばアンリもアルベールとレオンは魔力の調整が得意でしょうと言っていた。
それは自分の魔力のみだと思っていたけれど、他人のものも少しくらいならどうにか出来るということなのだろうか。
「でもその、なんでイ……出さなきゃなんないの」
「それがいちばん楽だろう、血を出す訳にもいかないからな」
「……?」
「魔力を出すのにも能力は必要だからね。自分で出せるのならいいけど、無理ならジャンさまのような能力に頼るか、若しくは体液に混じらせて出すしかない」
「たいえき」
「血や涙、唾液、汗、精液」
「……」
「量やタイミングを考えると血か精液になるでしょう、流石に血はねえ」
……トイレに行くのはだめなのかな、と思った。
思っただけ。口にはしない。下手をこいて特殊プレイになったら困る。
普通はならないと思う。
でも今のふたりからまだ欲が消えてない。まだおれに触ることを諦めてない。
大人しく足を開くのがいちばんなんだろう。
「納得出来たか?」
「う、ん……」
「じゃあほら、もう一度だ」
レオンがおれの膝を割ろうとする。無駄とはわかっていたが抵抗をするも虚しく、簡単に開かれてしまった。
先程達して何もしてないそこは、正直感触でわかってたけれど酷い有様だった。でろでろ。
気持ち悪いだろう、と苦笑したレオンが拭いてくれる。
タオルはレオンの得意な生活魔法でほかほかの濡れタオルになっていた。ありがたいのだけれど、こんなことに魔法を使わせるなんて、と少し情けなかった。
「でも、ま、待って、下さ、おれ、まだ、イったばっか、で」
「少し時間も空いただろう」
「でもお……!」
粘ったお陰で、結構長いことそこに触れられていた。
過敏になってるのだ、快感にも、痛みにも。
過ぎた快感は苦痛にもなる。まだ少し、待ってほしかった。
「じゃあここには触れないでおこう」
「えっ」
じゃあどこに?
胸は、その、女のひとではないのに気持ちよかった。でもそこだけで達せるかというと、おれにはまだ未知の世界だ。
あと単純にそれはいやだ、と思ってしまった。
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