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言葉にしなくても十分だった。
もうふたりの瞳が普段より色を持ってるのはわかったし、触れる手もあつい。
頬を撫でるアルベールの手と、腰を抱くレオンの手を取ると、またそれだけで空気は変わった。
自分がこれからされることを知らないとは言えない。
雑談をするような友人はいなくとも、伊吹の世界にはネットがあって、知識を得ることは簡単だった。
同性同士の行為を見たことはないけれど、大体どうするのかなんて、それくらい知っている。
実際に自身に触れたことがあるのは自分の手とアルベールだけ、だけど。
「ん、ふ……っ」
脛まである服を捲られて、膝、腿にとレオンの大きな手が触れる。
今まで布に隠されていたところへの体温に、鼻から声が漏れた。
それにアルベールがふ、と笑い、耳元でかわいい、と囁く。
低い声に背中がぞくりとした。
「指を噛んだらだめ」
「っあ……!」
「そのまま手でも握っておいてやれ」
口元を覆う指を退かされ、レオンの言うままにその指を搦め取られてしまった。
アルベールの長い指がぎゅう、と優しく、でもおれの力では離せないくらい強く握られる。
背後に感じるアルベールの体温と、すぐ前で少し意地悪く笑うレオンに、心臓が、脈が、早くなっていた。
触ってほしい、と思ったのに、もう腰が引けている。
ふたり同時に、は早まったかもしれない。
こわい、というより、恥ずかしくて。
誰も知らないおれがする経験としてはハードな気がする。
「まっ、あっ、待って、待っ、こころっ、心の準備、が……っ」
「待たない」
「ゔーっ……」
「ほら、唇噛まないの」
待った方が多分、逃げたくなる。
だから待たないと言ったレオンの方が正しいのだけど。
アルベールがおれの手を掴んだまま、器用に唇をこじ開ける。痛いでしょう、と優しく撫でるその指は今はいらなかった。
その指を噛んでしまいそう。
「邪魔だな、この服」
「脱がしましょうか」
「えっ、や、やだ」
「アルベールに捲っていてもらうか?自分で裾を持っていてもいいぞ」
「やだ……」
ワンピース型の寝巻きは、剥いでしまえばもう身を守るものはなにもなくなってしまう。
でもレオンに提案されたように、アルベールに裾を捲られるのも、自分でするのも恥ずかしい。だってそんな、スカートを捲ってるみたいなの。
首を振るおれに、寒くはないだろう、とレオンが額に唇を落とした。寒いとかの問題じゃないんだけど。
背中にはアルベールを感じ、手を掴まれて、低めの体温だけれど、それだけくっついていればあついくらい。
躰を這う大きなレオンの手は勿論、視線すらも火傷しそう。
ふたりとも、おれのことをすきだと言って頬や頭をよく触ってくるのは知ってた。
けれどここまであつくなるなんて知らなかった。
おれは安易に誘ってしまったのだろうか。
「ほら」
「っあ」
アルベールがおれの腕から袖を通す。
離れてしまった手を追いかけようとしてしまって、声が出た。
それに気付いたアルベールが、ちゃんと脱げたらまた手を繋ごうね、なんて言うものだから、首まであつくなった。そんな、手を繋いでてほしいなんて、こどもみたいな。
……だって安心したんだもの。
恥ずかしくて、自由に出来ない手がこわくて、それでもそれがアルベールの手だと思うと安心した。
大丈夫だよ、と言ってるようで。
「うう……」
「はい、イヴ、手、ちょうだい」
「違う、ちがうからね」
「うん、ほら、僕の手握ってて」
この期に及んでまだ強がるおれの手を握って、かわいい手、なんて頬にキスをしながら呟く。
エディーの小さな手と一緒にしないでほしい。ひとのこと、裸にしておいて。
レオンはおれの腹を撫で、明日はちゃんと食えよ、と言う。昼間のおれの食べっぷりを忘れたのだろうか。
ふたりの鍛えられた躰と比べたらそりゃあ貧相なものだけれど。
「っ、は……」
「お前は脱がすと更に小さくなるなあ」
「や、いっぱい触んない、でっ……」
「頭が小さいのはわかっていたが、肩も腰も尻も全部……こんなに薄かったか?」
「っう、レオンさま、おじさん、みたいっ」
「……口を塞ぐぞ」
全身を撫でながら言うレオンに、思わず憎まれ口を叩いてしまった。今のはおじさんくさかった。
アルベールよりも歳上だけれど、まだ若いのに。
「あ……っ」
「ここも」
「だっ……女のひと、じゃあ、ないからっ……あ!」
「その分敏感な様だ」
「なんでっ……んう、あ、っ」
胸元に触れた指が、突起を摘み、潰す。
女性のものと比べるまでもなく膨らみはないし、当然気持ちよくもない。
と思っていたのに、声が出てしまった。
そこを突き出すように背がしなる。今まで風呂で躰を洗った時だって何にも感じたことなんてない、ただそこにあるだけの器官だったのに、少し触れるだけでびりびりするような、そんな感じがする。
肌を滑るだけで気持ちがいいのも、この感度もアンリの力なのか。そう思いたい。
こんな変な躰じゃなかった筈だもの。
「かわいいな」
「ええ、まあイヴはいつもかわいいですけど。ねえ?」
「う、ちが、あ、やっ、摘まないでっ……ん、うう!」
頭上で話される声が落ち着いているのが腹が立つ。
間に挟まれてるおれはこんなにびくびく腰や肩が震えてるというのに。
もうふたりの瞳が普段より色を持ってるのはわかったし、触れる手もあつい。
頬を撫でるアルベールの手と、腰を抱くレオンの手を取ると、またそれだけで空気は変わった。
自分がこれからされることを知らないとは言えない。
雑談をするような友人はいなくとも、伊吹の世界にはネットがあって、知識を得ることは簡単だった。
同性同士の行為を見たことはないけれど、大体どうするのかなんて、それくらい知っている。
実際に自身に触れたことがあるのは自分の手とアルベールだけ、だけど。
「ん、ふ……っ」
脛まである服を捲られて、膝、腿にとレオンの大きな手が触れる。
今まで布に隠されていたところへの体温に、鼻から声が漏れた。
それにアルベールがふ、と笑い、耳元でかわいい、と囁く。
低い声に背中がぞくりとした。
「指を噛んだらだめ」
「っあ……!」
「そのまま手でも握っておいてやれ」
口元を覆う指を退かされ、レオンの言うままにその指を搦め取られてしまった。
アルベールの長い指がぎゅう、と優しく、でもおれの力では離せないくらい強く握られる。
背後に感じるアルベールの体温と、すぐ前で少し意地悪く笑うレオンに、心臓が、脈が、早くなっていた。
触ってほしい、と思ったのに、もう腰が引けている。
ふたり同時に、は早まったかもしれない。
こわい、というより、恥ずかしくて。
誰も知らないおれがする経験としてはハードな気がする。
「まっ、あっ、待って、待っ、こころっ、心の準備、が……っ」
「待たない」
「ゔーっ……」
「ほら、唇噛まないの」
待った方が多分、逃げたくなる。
だから待たないと言ったレオンの方が正しいのだけど。
アルベールがおれの手を掴んだまま、器用に唇をこじ開ける。痛いでしょう、と優しく撫でるその指は今はいらなかった。
その指を噛んでしまいそう。
「邪魔だな、この服」
「脱がしましょうか」
「えっ、や、やだ」
「アルベールに捲っていてもらうか?自分で裾を持っていてもいいぞ」
「やだ……」
ワンピース型の寝巻きは、剥いでしまえばもう身を守るものはなにもなくなってしまう。
でもレオンに提案されたように、アルベールに裾を捲られるのも、自分でするのも恥ずかしい。だってそんな、スカートを捲ってるみたいなの。
首を振るおれに、寒くはないだろう、とレオンが額に唇を落とした。寒いとかの問題じゃないんだけど。
背中にはアルベールを感じ、手を掴まれて、低めの体温だけれど、それだけくっついていればあついくらい。
躰を這う大きなレオンの手は勿論、視線すらも火傷しそう。
ふたりとも、おれのことをすきだと言って頬や頭をよく触ってくるのは知ってた。
けれどここまであつくなるなんて知らなかった。
おれは安易に誘ってしまったのだろうか。
「ほら」
「っあ」
アルベールがおれの腕から袖を通す。
離れてしまった手を追いかけようとしてしまって、声が出た。
それに気付いたアルベールが、ちゃんと脱げたらまた手を繋ごうね、なんて言うものだから、首まであつくなった。そんな、手を繋いでてほしいなんて、こどもみたいな。
……だって安心したんだもの。
恥ずかしくて、自由に出来ない手がこわくて、それでもそれがアルベールの手だと思うと安心した。
大丈夫だよ、と言ってるようで。
「うう……」
「はい、イヴ、手、ちょうだい」
「違う、ちがうからね」
「うん、ほら、僕の手握ってて」
この期に及んでまだ強がるおれの手を握って、かわいい手、なんて頬にキスをしながら呟く。
エディーの小さな手と一緒にしないでほしい。ひとのこと、裸にしておいて。
レオンはおれの腹を撫で、明日はちゃんと食えよ、と言う。昼間のおれの食べっぷりを忘れたのだろうか。
ふたりの鍛えられた躰と比べたらそりゃあ貧相なものだけれど。
「っ、は……」
「お前は脱がすと更に小さくなるなあ」
「や、いっぱい触んない、でっ……」
「頭が小さいのはわかっていたが、肩も腰も尻も全部……こんなに薄かったか?」
「っう、レオンさま、おじさん、みたいっ」
「……口を塞ぐぞ」
全身を撫でながら言うレオンに、思わず憎まれ口を叩いてしまった。今のはおじさんくさかった。
アルベールよりも歳上だけれど、まだ若いのに。
「あ……っ」
「ここも」
「だっ……女のひと、じゃあ、ないからっ……あ!」
「その分敏感な様だ」
「なんでっ……んう、あ、っ」
胸元に触れた指が、突起を摘み、潰す。
女性のものと比べるまでもなく膨らみはないし、当然気持ちよくもない。
と思っていたのに、声が出てしまった。
そこを突き出すように背がしなる。今まで風呂で躰を洗った時だって何にも感じたことなんてない、ただそこにあるだけの器官だったのに、少し触れるだけでびりびりするような、そんな感じがする。
肌を滑るだけで気持ちがいいのも、この感度もアンリの力なのか。そう思いたい。
こんな変な躰じゃなかった筈だもの。
「かわいいな」
「ええ、まあイヴはいつもかわいいですけど。ねえ?」
「う、ちが、あ、やっ、摘まないでっ……ん、うう!」
頭上で話される声が落ち着いているのが腹が立つ。
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