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第三章

洋服

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 押忍!! ガクです。洋服を買うのは女性の方が時間がかかると言いますが、好きなモノにかける情熱は男性の方が大きいような気がします。ゲームの長蛇の列とか。

  無事に洋服店に到着。
  着いたお店は何やら高級そうなお店だった。

  お店がキラキラしてる。
  なんか怖い。

  まぁ、とりあえず入店。

 「いらっしゃいませ~」

  数人の定員さんから挨拶をさてたが、それ以上の反応は無かった。

  隣を見たら既にサラの姿は無く、どこか遠い場所に冒険に出かけたようだ。
  ルアンもサラにさらわれたようだ。

  広さ的にはバスケットコートぐらいかな?
  結構な服が置いてあるな。

  その前に服カードが使えるかどうか確認するかね。

 「すいません」
 「はい。いかがしましたか?」
 「このカードってこのお店で使えますか?」
 「えっと。……こ、これは!? しょ、少々お待ちください!」
 「え? えっと」

  女性定員は俺の返事を聞くまでもなく急いでバックヤードに去ってしまった。
  どうしたんだ?

  大きな声で『店長~』って声が聞こえる。
  何がどういう事だ?

  待つ事数分。
  奥から先ほどの店員さんと店長と思しき女性が現れた。

 「すいません。カードをお持ちだとの事ですが、もう一度見せて頂けますか?」
 「え? あ、はい」

  俺は店長と思しき人に見せた。

  正確には渡そうと思ったがこの人が受け取るのを拒んだ。
  真っ青な顔で。

 「大変失礼な事を聞くのですが、盗難品ではございませんよね?」
 「違いますよ。ちゃんとした持ち主です。騎士の方に頂いた書類をお見せいたしましょうか?」
 「すいません。拝見したします」

  俺はダミーのバックをゴソゴソとかき混ぜ、【アイテム収納アプリ】から書類を出してカードはしまった。
  無くしたら怖いし。

  書類を定員さんに渡すと恐る恐る内容を見ている。
  書類の中にはカードの証明書も入っていたのでそれを見せた。

 「ほ、本物ですね。お返しいたします」
 「どうも」

  ガサゴソとバックに叩き込む。
  ように見せかけて丁寧にアプリ内にしまう。

  大事なモノだからね。

 「大変失礼いたしました。カードの使用は問題ありませんのでご安心を」
 「そうですか」

  良かった。
  使えるのか。

 「本日はどのようなご用件でしょう?」
 「服を買いに来ました。あ、そうだ。ここはオーダーメイドってやってますか?」
 「なるほど。もちろんしています」

  お!
  ならここで作ってもらおうかな?

 「ちょっと待っててもらえますか?」
 「あ、はい」

  店長さんを待たせてサラを探す。
  意外に近くにいた。

 「サラ、ちょっと良い?」
 「もっと可愛いのは無いのでしょうか? いえ、ガクさんは可愛い服よりも大人しい服の方が……」

  何かブツブツ言ってる。
  怖いな。

 「ガク~。どうしたの~?」
 「ん? ルアンの洋服を作ってもらおうかと思ってね。オーダーメイドが出来るらしいしから好きな洋服を作ってもらえるぞ」
 「えぇ~!? ほんとう!」
 「本当だ。サラは洋服に夢中だから行こうか」
 「うん! サラク、いってきま~す!」

  気が付いているのか没頭しているのか分からないけど、大丈夫かな?

 「すいません。お待たせいたしました」
 「いえ、それでオーダーメイドですが、お客様の物でよろしいですか?」
 「あ、俺よりも……この子のをお願いします」
 「ルアンだよ~」

  ルアンをテーブルに移動させた。

 「「「……」」」

  数人の店員がフリーズしている。

 「こ、この子は……?」
 「ルアンです。妖精なのでこの通り小さくて」
 「ルアン、ちいさくないもん! こがらなんだもん! ぶぅ~~!」
 「ゴメン、ゴメン」

  ルアンが小さいと言われて怒ってる。
  プンスカ怒ってるのも可愛いな~。

 「オーダーメイドと言うのは……この子。ルアンちゃんのお洋服という事でよろしいですか?」
 「はい」

  ゴクリと生唾を飲み込んだ店長さん。

 「アナタたち呆けてないでシャキっとしなさい。今日はお店を閉じます。誰か閉めて来て下さい」
 「は、はい」

  店長さんの目に炎が見える。
  メラメラとしたモノが。

 「私は昔から夢がありまして、その夢が切っ掛けで洋服の道に没頭しました」

  どうした。
  急に店長さんの過去を語り始めたぞ。

 「その夢が妖精さんの洋服を作る事だったのです」
 「ルアン。妖精さんなの~」
 「なんて可愛らしい妖精さんなのでしょう」

  感動の場面なのだろう。
  周りの定員さんが店長さんを祝福している。
  涙を流している子もいる。

  俺はこのテンションに付いて行くことが出来ない。
  マジで混乱だ。

 「ガクしゃ~ん! ルアンが~。ルアンがいなくなりっちゃいました~」

  半べそかいたサラが大声できた。
  どうしたんだ、まったく。

  俺はテーブルに座ってるルアンを指さした。

 「あ、サラク~」
 「あ、あれ? ルアン。あなたここにいたんですか?」
 「え~。サラクにいってきますいったのに~」
 「あ~。そうでしたね。忘れていました。あははは」

  嘘が下手過ぎるだろう。

 「そちらのお客様もご一緒ですか?」
 「あ、はい」

  てか、洋服を持って来てるし。
  こっちにいる事が分かってたんじゃないのか?

  そう思ってサラの顔を見たらあからさまに顔を反らされた。
  なるほど、知ってたのね。

 「さて、ルアンちゃんのご洋服は何着ほどお作りになられますか?」
 「う~ん。とりあえず二十着ほどお願いします」

  ルアンとサラ以外の全員が俺の顔を見た。
  あれ? 俺なにか間違った?

 「お、お客様。オーダーメイドの相場は一着およそ銀貨八枚から二十枚になりますが?」
 「あ、そのぐらいなんですね。ルアン。どうする? もう少し多く買っておくか?」

  思ったより安いな。

 「う~ん。そのぐらいでいい~」
 「分かった。では、お願いします」
 「あ、あの。このカードの支払先の方は支払われる事が出来る程の資金がおありでしょうか?」

  あ、そういう事か!

  二十着って事は最大で銀貨四百枚か。
  支払るのかが心配だたんだね。

 「大丈夫です。お店を経営してる人ですから」
 「な、なるほど。一応審査はさせて頂きます」
 「どうぞ」

  まぁお店も商売だから儲けが無いと大変な事になっちゃうからね。

 「えっと。そちらのご洋服はご購入でよろしいですか?」
 「は―」
 「俺が一回確認しますので」
 「ガクさん!?」

  何でもかんでも買わない。
  頬を膨らませて怒ってもダメです。

  無駄遣いはしません。

  え? ルアンの洋服ももう少し少なくて良いだろうって?
  そう思ったのなら、家のタンスの中に自分の洋服が何着あるか確認してみろ。
  おそらく二十じゃきかないぞ。

  ルアンはまだ洋服を持っていないんだ。
  二十着程度買っても少ないって。

  しかも女の子だよ?
  おめかしさせてあげたいじゃん?

  可愛い服着させてあげたいじゃん?
  だからこれは無駄使いじゃないのだ。

  可愛いは正義だからね。

 「あ、すいません。これらは返品でお願いします」
 「か、かしこまりました」

  およそ半分を返品。

 「それはガクさんの洋服ですよ! 何で返品しちゃうんですか!」
 「俺は肩にトゲトゲが付いてる世紀末ヒャッッハーな洋服は着ません」
 「カッコイイじゃないですか! ルアンもそう思いますよね?」
 「う~ん?」
 「私だけ!?」

  まさかルアンの裏切り。
  まぁ、あの感性は俺には分からん。

  他にも独特な洋服があったので下げてもらった。
  店員さんも『こんな服あったかしら?』って言ってるぞ。

  どこから持って来たんだ。
  全く。

 「全部が全部却下した訳じゃないよ。気に入ったヤツは着るから」
 「ガクしゃん!」

  なんで泣いてるんだよ。

 「では、こちらのお洋服で銀貨三十七枚になります」
 「カードで」
 「こちらにかざして下さい」

  何やら変な端末が出て来たぞ?
  あ、これって入国に使うヤツだな。

  かざすと一瞬光った。

 「ありがとうございます」

  これで終わりか。

 「では、ルアンちゃんの採寸を致しますので裏まで来て頂けますか?」
 「サラ、お願いしても良いかな?」
 「はい!」

  回復早いな~。

  サラはルアンを裏に連れて行き、俺は暇になったので洋服を見て回った。

  ズボンが良さそうなモノがあったので履いたが、足の長さが足りなかった。
  身体が小さくなっているのを忘れてた。

  時々目測を見誤るから大変だ。

  結局、洋服を十三着買ってしまった。
  かなり満足だ。

  洋服の買い物ってこんなに楽しかったのか。
  今度、サラとまた来ようかな?

  そして待つ事三十分。
  一向に戻らないので様子を伺いに行った。

 「サラ? まだかかる?」
 「あ、今はダメで―」

  開くとそこにはパンツだけ履いたサラが立っていた。

  真っ赤なサラの顔。
  仮面をしているが、赤いのは分かる。

  キレイな白い肌が首から足まで見る事が出来る。
  首筋から鎖骨にかけてのライン。
  脅威の胸囲と言うダジャレが出てしまう程の胸。
  くびれた腰に可愛いお尻。
  長く、形のいい脚。

  そうか。サラは着やせするんだね。

  それか成長したのかな?
  重力って何? 美味しいの? と言わんばかりの張ったそれは可愛らしいピンク色のモノが見え、プルンプルンと揺れて、それを俺の目が追ってしまう。
  スゴイ。
  目が離せない。

  だが、これ以上はマズい。

 「あ、メンゴ!」

  俺の意識はそこで途切れる。

  気絶する前に一言。
  ラッキースケベは最高だと! 
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