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14巻
14-3
しおりを挟む「識さん、私達はどうなんでしょう?」
真と懇意にするツィーゲ有数の大商人レンブラントの娘であるシフが、心配そうに識に尋ねた。
父親の繋がりがあるとはいえ、妹のユーノが先の講義でライドウの意に沿わない失態を犯した――と姉妹が考えている――という減点要素もあり、姉妹は決して自身が安全牌だとは思っていなかった。
「シフとユーノは……」
ゴクリと、息を呑む音が聞こえそうな数秒の間。当然、ユーノの表情は硬い。
「お父上からもお願いされているし、ギルドの試験にも絶対に通ると言っている熱意も分かる。あまり危険な場所での勤務はさせられないだろうけど、働いてもらうのは構わないんじゃないか……と」
「っ、ユーノ!」
「お姉ちゃん!」
抱き合うレンブラント姉妹の喜びぶりは、受験に合格したかのようだ。
「ただし、二人についても給料は特別扱いできない、との事でした。これに納得できないなら……」
「お給料なんて、はじめから問題にしていません! 私、今はもっと自分の可能性を試したいんです。そのためにはライドウ先生や識さんの傍にいられる場所が一番だって思っているんです」
「お姉ちゃんの言う通りです! 私も、もっと、もっと自分を鍛えたい。いつか自力で〝荒野〟にも出てみたいし、私にとって他のどこでもできない経験がクズノハ商会にはあるんです!」
これで四人のうち三人が喜びに満ちた明るい表情になった。
残るは一人、アベリアだけだ。
「識さん。私は、私について、先生はなんて言っていましたか?」
「ん。そうですね、ジン、シフ、ユーノ。少しの間、席を外してもらえますか?」
『!』
その言葉が意味するところを、三人は一瞬で察した。
そして、アベリア自身も。
目を閉じ、少し俯いて一度大きく息を吐いたアベリアは、顔を上げた。
「識さん。そんな事しなくてもいいです。ここで、皆の前で教えてください」
「いいのですか?」
「はい」
『……』
三人の沈黙。
その顔は、自分達の結果を聞く前のように緊張していた。
突き詰めれば他人事ではあるが、アベリアが彼らのパーティメンバーであり、本当の意味で仲間の一人となっている証だ。
「アベリア。若様から見た貴女は……特筆すべき能力もなく、個人の能力も既に頭打ちに近い状態。現状のみで判断すれば総合的には優秀だが、将来的には他の生徒に追いつかれ、追い抜かれていくだけの典型的な早熟タイプ」
「――っ」
あまりに厳しい評価に、アベリアの表情が強張る。
「経験を積む事で今後も広く活躍しうる人材には間違いないが……クズノハ商会では必要ない」
「!!」
「以上です」
そんな、嘘、と周囲から言葉が漏れる。
当のアベリアも、はっきり必要ないと言われた事にショックを隠せないらしく、大きく見開いた目にうっすらと涙を浮かべている。
気丈な彼女には珍しい、本当に珍しい反応だ。
「……っ」
識から目配せされたジンが、その意図に気付いてシフとユーノを部屋から連れ出す。
静かに、扉が閉まった。
識と二人きりになり、アベリアは口を開いた。
「やっぱり、先生にはバレちゃってたんですね。私が大した事ないって」
「……」
アベリアが早熟なのも、今後大きく化ける可能性が低いというのも、真が看破したわけではない。
それを為したのは識だ。
そして、彼女に痛烈な評価を下し、商会に必要ないと断じたのも彼だ。真ではない。
しかし識は、それらを真の言葉としてアベリアに伝えた。
普段の彼なら絶対にしない行為だ。
「分かっていました。他の子に比べて、私には〝私だけの何か〟がない。かといって、なんでもできる万能タイプでもない。だから指揮能力を磨いてみたり、知識面で役に立とうとしたり。工夫はしてみたんですけどね……」
「ええ、努力していましたね」
「識さん。私も商人ギルドの資格を取れば、まだ目はありますか? 何か、これができればクズノハ商会に入れるってもの、ありませんか!? たとえば……」
「……シフとユーノみたいに、ですか」
「シフには魔術の合成に凄い才能があるし、ユーノはあの変なスーツに適性があります。でも、あの二人と同じくらいまでなら私だって、これからもっと努力して――」
「分かっているでしょう、アベリア。あの二人はレンブラント氏の娘です。若様はあの二人が貴女以下の実力しかなくても雇用しますよ」
(きちんと気にかけた上で、ね)
識はこの時、アベリアを諭すと同時に内心でこの件の本質について微かに触れた。
「それってコネってやつですよね」
「そうです」
「ずるいですよ」
「そうですね」
何かを必死に堪えるように畳み掛けるアベリアに、識は表向き淡々と応える。
「……っ、なんで、私は。私だけ」
「いいですよ、泣いても。アベリアは頑張りすぎます。上を見て努力できるのはあなたの才能の一つですが、それだけでは堪えられない時もあります。泣く事を、折れる事を学びなさい。貴女はそれを知らずに頑張りすぎていますよ」
想いを寄せる識の言葉で箍が外れたアベリアは、とうとう大声で泣きはじめた。
涙と共に己の負の感情を吐露するアベリアを、識はただ黙って迎え入れ、抱き寄せた。
ライドウを馬鹿呼ばわりしても咎めもせず、自分が責められても怒りもせず。
それが彼女の本心ではあるが、全てではない事も分かっているからだった。
尊敬していても、マイナスの感情を併せて抱いてしまう相手はいる。
後者だけが噴き出したからといって、尊敬が消えるというものではないのだから。
泣いて泣いて泣きまくったアベリアが識に体を預けたまま静かになった頃、識は静かに口を開いた。
「アベリア、聞いてください」
「……」
返事はない。ただ、体がビクリと震えた。
しかし彼は構わず続ける。
「正直に言って、私も若様の判断に同感です」
「……っ」
真としては単にアベリアへの興味が薄いだけで、もし彼女が懇願すれば雇っても構わないと言うだろう。彼にはそういうところがある。
しかし雇ったからといってアベリアを気にかけたりはしない。その他大勢と同様に仕事を割り振るだけだ。もし今の真のままなら、いつかアベリアが危険な仕事で死んだとしても、その時彼女をきちんと覚えているかすら怪しい。ただ身内に充分な補償をしておしまい。識には、それが余りにも辛い事に思えてならなかった。
だから識は、アベリアに対して自分の言葉を真の言葉に置き換えて伝えた。
「貴女は弱いです。クズノハ商会には過酷な仕事も多くあり、ジンや貴女はいつか間違いなくそこに放りこまれるでしょう」
「……」
「そこで、貴女は死にます。間違いなく。何年後とまでは断言できませんが」
「っ!」
「貴女にはもう化ける余地が少ない。残念ながらこれは事実です。けれど上を見続けるならそれでも化けるしかありません。信じ難い事実ではありますが、若様、クズノハ商会のトップは〝それでも化けた〟存在。だからこそ、逃げ道などありません。死か覚醒か。恐ろしく分が悪い賭けと言えます」
「……クズノハ商会には、安全な職場もあるって聞きました」
「ありますよ。ただ、そこにはジンも若様も……私もいませんが」
「!!」
「だから、アベリア。貴女は危険な仕事であっても〝こちら〟に来るでしょう。そして命を落とす。……それが目に見えているから、私も若様に賛成しました。ここに来なくても、貴女にとって良い職場はいくらでもあります」
「条件が良い職場なんて、どうでもいいです。私が働きたいのはここだけですから」
そう言って、アベリアは識の体を掴む。
識も、彼女の気持ちに気付いている。
そして安全な職場云々への返答で、アベリアもそれを知らされた。
「グリトニア帝国から具体的に誘われていますね? 押しも押されもせぬ大国じゃないですか」
「寒い所も、女たらしの勇者も嫌いです」
「リミア王国からもそのうち打診が来ますよ?」
「本気で言っているんですか? 私はあそこの大貴族の子を殺した張本人ですよ? ミスラもイズモもダエナも、リミア王国にだけは絶対に行きません。余程の馬鹿か、物事を天才的に良い方に解釈できる上に天運でも持っている奴なら話は別かもしれませんけど」
(もしくは、全ての妨害を無意識に無効化できるなら、でしょうね。若様のように)
アベリアからは見えないが、余程の馬鹿――のくだりで己の主を思い出し、識はその顔に苦笑を浮かべた。
「ローレルにも伝手を用意できますが?」
「それはイズモにあげてください。あの子、自分だけで抱え込んでいますけど、家の事で結構悩んでいるから」
「考えておきましょう」
「識さん、私はクズノハ商会に入りたいです。それは、外にいる三人みたいな立派な理由じゃありません。多分一番ダメな理由です」
「……」
「でも、本気なんです。覚悟も想いの強さも誰にも負けませんから。なんでもします。本当になんでも……。だから」
識は己の言葉を真の言葉に置き換えたが、これは下手をすればアベリアが真に敵意を持つかもしれないリスクを伴う。
敵意を持つ人物が真に害をなせるかどうかは別として、彼に仕える身ならば決してやるべき事ではない。
そうした理由は……識自身、彼を慕うその生徒を憎からず感じているからだ。
死なせるくらいならば遠ざけておこうと思えるほどに。
アンデッドをこじらせたからか、同じ職場で自分が彼女を守ろうというほどには意識していないが、単なる教え子や、好きだと告白してくる数多の女性に対する意識とは確実に異なる。
「なんでも、ですか」
独り言のように呟く識。
「はい」
「たとえ、人を辞めても?」
「え?」
アベリアは顔を上げて、識の表情を窺い見る。
悲しそうではあるが、真剣に決意を問うその表情を。
「……努力して努力して、これ以上ないくらい辛い思いをして。それでも及ばない分がもしあった時には、人を辞めてでも補えますか?」
もう一度、同じ顔の識が口にした。
彼の目を見たアベリアは直感する。
これは、最後のチャンスだと。
クズノハ商会にいかなければ、ずっと彼の傍にいなければ。
識は自分の事など他の女達同様いずれ忘れてしまうと、彼女は感じていた。
その有象無象の中から抜け出したい一心で、彼女はクズノハ商会に就職を望んだのだ。
告白同然の言葉を吐いても、返事はなかった。
それでも、これは想いを繋げる最後の機会だとアベリアは感じた。
「それで……貴方の傍にいられるのなら」
「……」
「私は――」
アベリアの言葉を待たず、識が口を開いた。
「確か、ライムが部下を欲しがっていました。諜報に関わる技や魔術、高い戦闘能力も必要ですから、誰を紹介するか困っていたのですが……」
「やります!!」
「紹介するまでの猶予は、そうですね……貴女が卒業するまでです。言っておきますが、これまでのパーティ戦闘など遊びになりますよ? 学園で休憩して放課後に学ぶ、そんな生活になるかもしれません」
「構いません!!」
「成績も落とさず、バイトも続けて、正式な従業員としての訓練も受けてもらいます」
「当然です!!」
「分かりました。環境は整えましょう。若様に認めてもらえるように死力を尽くしなさい、アベリア」
識は最後に優しくアベリアの名を呼び、根負けしたように微笑んだ。
(もとより、あの方はアベリアを雇う事に反対などされていない。ああは言ったものの、クズノハで雇うだけなら問題などないも同じだ。私はアベリアをどうしたいのか。最悪、人外にしてでも使うというなら、どこまで見せ、どこまで関わる? いかんな、元はヒューマンであるせいか、巴殿や澪殿のようにできぬ時がある。冷酷である自覚があったはずだというのに……。アベリアは偶然会っただけの野良猫の一匹にすぎん。時に他人をかき回すが、他愛ない存在。私はそれを手放し難く感じはじめているというのだろうか。未だ本性も見せておらぬ相手だぞ? 私は……)
内心では疑問を抱きながらも。
識はこの展開を望んでいた自分の感情に気付いて戸惑うのだった。
◇◆◇◆◇
真の従者の一人である澪が料理を勤しむ厨房に、ふらりと現れた人影があった。
「あら巴さん、どうしました? お台所に来るなんて珍しい」
同じく真の従者を務める巴だ。
「どうしました、じゃないわ。お前、なんぞ企んでおるじゃろ?」
「企むだなんて。なんの事でしょう?」
「わざわざ人払いをして、お前に尋ねておるのだ。惚けるな」
今は夕食の仕込みの最中。
普段ならもっと多くの人数でやっているはずの仕込み作業だが、今日は澪以外誰もいない。
本当はもっといたのだが、巴が少しずつ仕事を与えるなどして退場させ、今は澪だけが残っている。
「そう言われましても、見当がつきませんもの」
「若のお供の事じゃよ」
その言葉で、軽快に包丁を動かしていた澪の手が止まる。
これまで巴に目を向けず、気配だけで相手を特定して話をしていた澪が、ゆっくり振り返った。
「リミア王国に私だけがお供をする件についてですか?」
「そうじゃ。お前がリミアへ行くのは駄目とは言わん。が、あそこには面倒な勇者が一人おる。何を考えておるかは知らんが、儂も行く」
リミアの勇者、音無響は真と同郷の先輩でもある。
「お断りしますわ」
「なんの権利があってそう申すか。企みともども聞かせてほしいものじゃの」
「響など、恐るるに足りません。巴さんこそ、警戒しすぎじゃありません?」
「あの娘の戦闘能力だけを見るなら、お前の言う通りじゃ。じゃが、響の面倒なところはそこではない。あの直感と立ち回り、下手に若と関わらせるのは、ちと見過ごせぬよ」
「直感、というのが分かりませんわね。響が何かを知ったところで、それがどうだと言うんです?」
澪は巴に反論してから、消え入るような声で独り言を続ける。
「……大体、本当に鋭いなら私が出向くまでもなかったはずですのに」
「奴が知るからではない。奴が若に教えるかもしれぬのが厄介なのよ。可能性だけ見れば、ゼロとは言えぬ」
「巴さんはいつも放任のくせに、若様が何か貴女に都合の悪い事を知ろうとすると、途端に過保護になりますわね」
「お前、儂をそんな目で見ておるのか!」
いつになく挑発的な物言いをする澪に対し、巴の語気が強まる。
「だって事実じゃありませんか。貴女、若様にお話ししてない事が沢山ありますわね? 私だってロッツガルドで生き返った雑魚を殺した件、貴女に口止めされています」
「……知るに早い事、知らずとも良い事など、この世にはいくらでもあろう」
「この間知ったのですけど、若様が慕っている商人のレンブラント。あれだって若い時には随分非道な男だったようじゃありません? 記憶を読む貴女が知らないはずないのに、若様には何も教えて差し上げていない」
「お教えして……どうなる? 若が苦しまれるだけではないか。ならば受け止められるほどに成長された時にお知らせする。その程度で良いとは思えぬか」
「私、巴さんのそういう〝見守るのが一番〟って考え方には同意しかねます」
「では、どうしろと言いたいのじゃ」
「それを……リミアで見せますわ。でも、そこに貴女がいては面倒なのです。少し、休んでいてください。他にお仕事なんていくらでもあるんですから」
「レンブラントの娘に、若にお渡ししたのと同型の武具を渡したのも、お前の考え方の一つと見てよいのか? あれは若を随分と悩ませておったぞ?」
「そうです。お叱りはもう受けましたし、許しても頂きました。これまで……私は巴さんのやる事にはほとんど口を出してきませんでした。巴さんは私がやる事に口を挟むんですの? 私だと若様を傷つけると、そう思っているんですか?」
澪の目が危うい光を放つ。
痛いところを突かれたと思いながらも、巴は冷静に応じる。
「違う。お前の若への思慕も忠義も知っておる。傷つけようなど毛ほどにも思っていまい。儂が案じているのは、お前の暴走じゃ。お前は若を想うあまりに若以外を軽く見すぎる。若がその他大勢を気にかける限り、儂らもまたその意に沿うべきじゃ。それは、お前にも分かろう?」
「ええ」
「じゃから、儂も同行してお前のフォローをすると言っておる」
「だから、やるんです」
言葉が噛み合っていない。
「なんじゃと?」
「気にかけておられるのは若様の方なんです。なのに、既に勝負はついた事にも気付かない馬鹿どもが、なんで若様のお心を次々に悩ませなければいけないんでしょう」
「……」
「だから少しだけ、若様がどういう方か、響を含めた馬鹿どもに気付かせてあげるのですよ。ただそれだけ」
その言葉を聞き、巴はもはや澪の説得は不可能だと諦めた。
確かに、これまで澪も識も自分の言い分には概ね従ってくれていた――巴はそう思い返しながら、静かに問いかける。
「……巫女の能力を知った上での事なんじゃな?」
響のパーティに同行する巫女チヤは、魔術とは違う力で内なる何かを見透かす能力を持つという。巴と識は、ライムからの報告で明らかになったその力の対策を考えていたところだった。
「もちろん。存じてますわ」
「その上で、お前一人が若にご一緒すると言い張るんじゃな?」
「今回は譲れません」
澪は冗談などという気配さえ感じさせず、包丁の刃先を巴に向ける。
「……分かった」
刀に手をかけるでもなく、巴は両手を上げて降参の意を示した。
「意外と素直ですわね。もう少しゴネるかと思ってましたのに」
「いつもより仕込みに入る時間が早かったのは、〝そうなる〟のも見越しての事じゃったか」
「ええ、一戦交えても若様のお食事の時間はずらしたくありませんもの」
再び厨房に包丁がまな板を打つ音が響きはじめる。
「お前が若を傷つけたり苦しめたりするのを望まんのは分かっておる。じゃがな、それは儂も、多分、識も同じじゃ。誰もあの方が崩れ、壊れるところを見たいなどと思ってはおらん」
「ええ。そんな者は許しませんしね」
「今回は譲れんとお前は言ったが、儂もそれを使わせてもらうぞ、澪」
「……え?」
「せめてライムを連れて行け。あれはあれで役に立つ。お前の邪魔はできんし、向こうでの小間使いに丁度良いじゃろ」
「でも」
不満を漏らす澪を正面から見据え、巴は首を小さく横に振る。
「こればかりは譲れん、じゃよ、澪。若も男が一人おった方が気楽に旅を楽しめよう。お前の望み通り、儂も識も行かん。ライムだけじゃ」
「若様が……」
「頼む」
「……分かりました。ライムが一緒に来るのは認めますわ。でも、巴さんと識は〝後ろからこっそり〟も駄目ですからね」
「流石にそんな事はせんよ。それに、向こうが何をしてくるか分からん。リミアにいる間は若にも亜空との行き来は極力避けてもらうようにお願いしてある。完全にお前が好き勝手にやれるわい」
「信用しますわ」
「応」
「……若様が倒れられるほどのご無理をしてまで世界の事を気にする必要なんてないんです。あっちにもこっちにも文句を言われながら街を守ってやる必要だって。どいつもこいつも、鈍いにもほどがあります」
「……やりすぎるなよ、澪」
リミアに向かう前、巴と澪の間にこんなやり取りがあったのを真は知らない。
巴は響を――というか、響と真が長い時間を共に過ごす事で生まれるかもしれないイレギュラーを恐れ。
澪は真を取り巻く世界に憤り。
そして識は真が思っているよりも学生に入れ込んでいた。
従者の思惑に気付かぬまま。
真は澪とライムを供にしてリミア王国へ向かう。
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