【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ

リリス

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49  sideヤスミーン

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 はっきり申し上げさせて貰えばもうエンドでいいのではと私は思います。

 確かにハッピー……ある意味エグモンド様と結婚しなくて済んだので私にしてはハッピーエンドでいいと思います。

 それに愛が成就するだけがハッピーでもないのです。

 現実はそれ程単純ではないのですからね。



 そしてこれより事後報告になりますわ。

 陛下により断罪されたノイナー夫妻と後に裁判で同じ判決を言い渡された元侯爵の愛人は既に北の炭鉱へ昼間は汗水垂らして他の鉱夫同様に働けばです。

 日が落ちれば二人の女性は男性鉱達の許へと強制的に送られます。

 元侯爵はその日によって女鉱若しくは男を好む鉱夫の許へと送られるのです。

 そうして彼らの溜まった慾の捌け口とされております。


 次にエグモンド様は薬で眠らせられたまま医療塔へと送られ……た後の詳細は分かりません。

 多分最初は身体に優しいお薬から試されるとは思うのですが、こればかりは研究医師のみぞ知る……ですものね。


 そしてエグモンド様の異父兄弟のお二人は平民堕ちとは言えです。

 腐る事なく日々邁進され長兄は奥方の実家である伯爵家の持つ男爵位を継ぎ、王都よりかなり離れはしますが小さな領地で家族共に頑張っておられるようです。

 また次兄の方も流石宰相補佐として頑張っただけはあります。

 もう少しすれば宰相閣下のお嬢さんと結婚し、最初の予定通り次期宰相となられる予定です。

 
 同じ土壌で育ちはしても芽を出し真っ直ぐに逞しく育つものがあれば、芽を出しても育ちが悪く栄養の与え過ぎで逆に枯れるものもありますのね。


 そして私はシュターミッツ女公爵として現在屋敷を建て替え中ですの。

 暗く家族の情なんて欠片もなかった寂しいだけの特に思い入れすらない箱の庭。

 エグモンド様とエリーゼ嬢の件もあり、爵位を継いだ事で心機一転し私らしい落ち着いた感じの屋敷を建築中ですわ。

 その間は王都内のホテルで過ごそうと思っていましたらね。

 何故か王都中の名のあるホテルは既に予約で一杯?と言う珍事が発生したのです。

 まあ犯人は見当がついておりますわ。


 そうして何だかんだとただ今王宮の、何故か王女宮で過ごしております。

 使用人の多くは纏まった休暇を、当然有給休暇ですわよ。

 何故なら私の都合で屋敷を立て替えているのですもの。

 
 残って貰っているのは私に近しい者だけ。

 それも交代制で休暇を取って貰っています。


 女公爵として毎日執務で忙しいのですがどうしてなのでしょうね。

 王女宮は何時も賑やかなのです。


「ミーン、そろそろ休憩になさいな。その様に根を詰めては身体を壊してしまいますよ」
「はい、お祖母様にアレクサお祖母様」

 アレクサお祖母様は私の曾お祖母様。

 曽お祖母様と呼べば『一気に老け込んでしまうからやめておくれ』と幼少時にはっきりと言い渡されましたの。

 だからお名前呼びですわ。

「まあお義母様、いらっしゃらないと思えばこちらでしたか」

 そうして次に入ってこられたのは王妃様と大叔母様。

 女官達は慣れた様子でサッとテーブルセッティングをしていきます。

「ほら早くいらっしゃいミーン」

 今日のお茶の時間もどうやら延長しそうですわね。

 でも幸せなのでこれくらい許されるでしょう。



                        終わり



「――――待ったあああああああああ!! 俺の回を飛ばしてどうするよ。俺は初めて恐怖と言うものを味わったんだぞ!! それをほんわかムードでなかった事にするなあああああああああ」

 あら忘れておりましたわ。

 通りで最近静かだと思っておりましたのに……ね。

 では次はカルステンの末路で「じゃないだろおおおおおお」はないらしいので、あの後の事。

 エリーゼ嬢の件についてお話をしましょうか。

 
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