【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ

リリス

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37  sideエグモンド

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「おい起きろ」
「これは不法侵入者なのか?」
「いや王宮へ入っている時点で……それにしても臭いなってこいつ色々と漏らしているぞ」
「だからこんなにも臭いのかって、貴婦人や令嬢達の香水と相まってた、堪らん」

 誰かが、何者かが僕の身体を突いてい……る?

「起きろ!! いや取り敢えず牢屋にでも放り込んでおこうか」
「貴族専用なのか、平民用の地下牢ではなく?」
「あー本心では地下牢一択……だな。だが見てみろ。汚れてはいるが身に着けている服は貴族のものだろう」
「そうだな。しかしなんでまた今日に限ってここでぶっ倒れているわけ? 俺は元々会場内の警備の予定だったのだぞ」

 会場……?

「ヤスミーン嬢のお披露目も兼ねているからな」
「ああきっと誰よりも輝いているのだろう。ヤスミーン嬢はお嫁さんにしたい令嬢ここ数年連続1位だか――――⁉」

 そうだヤスミーン。

 僕の愛しい桃っぱいん。

 僕はここで覚醒した。

 目覚めた瞬間王宮の騎士達が僕の腕を掴みにかかろうとしていたのだが僕は咄嗟に振り払う。

「ぶ、無礼な!! 僕は侯爵家の人間だぞ。そこをどけ」

 騎士達は信じられないと言わんばかりの視線で以って僕を見つめる。

 実に不愉快極まりない。

 この高貴な生まれである僕へその様な視線を向けるとは断じて許されないぞ。

 侯爵家の生まれであり次期公爵家当主である僕への礼儀がなってはいない。


 いや今はその様な些事よりもだ。

 ヤスミーンは何処にいる。

「ヤスミーン。おい彼女は今どこにいるのだ」

 目の前の控室の扉を開けても彼女はいない。

「……既に会場へと入られましたよ」

 なんと!!

 婚約者である僕のエスコートもなしに女性一人で会場入りをするとは!!

 これは後できちんと言い聞かさなければいけない。

 勿論言い聞かせる場所は寝室……かな。

 そうこれからは僕のエスコートなしに一人で勝手な行動をしない様に、きっちりとたわわな桃っぱいんとその身体へ教え込んであげるからね。


 ぐふふ、じゅる。

 ああいけない。

 僕とした事が、これからの事を思い巡らせるだけで涎が溢れてしまうよ。

 そうそうヤスミーンと一緒に一通り挨拶を終えればメロンっぱいんなエリーゼの捜索を騎士達へ命じよう。

 勿論騎士達には場所の特定をして貰うだけで、最初にメロンっぱいんに逢うのは当然この僕だよ。

 
 それにしても挨拶を終えてから一度陛下と宰相へきっちりと王宮の管理体制について抗議しなければ。

 本当に先程はどえらい目に遭ったのだからな。

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