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34  〇子パイセン頑張ります!! Ⅱ

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『お姉様はゲアル伯爵家のご令嬢……ですわね。私はラングヤール公爵家が息女ヤスミーンと申します』

『ヤスミーン……様?』
『立ち入った事で申し訳御座いませんがお姉様、その方法ではお姉様は死ぬ事はお出来になれませんわよ』

 そうヤスミーン姫と最初に出会ったのは今まさに私自身自殺を図ろうとしていたのです。

 まあズバリ現場を目撃……目撃されようとしていたの方が正しいですわ。

 当時私は17歳、ヤスミーン姫は12歳のまだあどけなさの残るでもその細やかな所作や立ち居振る舞いは立派な淑女でしたわね。

 
 因みに私が自殺に選んだのは入水自殺です。

 ふふ、今更ながら本当にあの頃の私は自分自身を何処までも追い込めば、正常な判断等全く出来なかったのです。


 水属性の魔力保持者。


 水に愛されし者が入水自殺等、液体関係で死ねる訳がないと言うのにそれを12歳のヤスミーン姫が諭して下さいましたの。

 我に返った私は幼い彼女の前でわんわん泣きながら事の次第を説明したのです。

 するとヤスミーン姫は真面目なお顔でこう仰られたのです。

『全てはお姉様の御心で考えられたもの。婚約者が一言でもその様に仰られましたか? 周りはどうですか。家族は? 水の守護を受けているのですもの。髪が濡れているのは仕方のない事。そしてお姉様の肌は青白い死人ではなく、真っ白な肌に蒼いベールで包まれているみたいで私はとても素敵だと思います。ええ神秘的ですわ。御髪もそう。濡れ羽色の髪なんてそうそうない事でしてよ。艶やかで触り心地のよい髪だと私はそう思います』


 どうかもっとご自身に自信をお持ちになって。


 その言葉に私はどれ程救われた事でしょう。

 またその直ぐ後に私の遺書を見つけた婚約者が初めて本気で私へ怒りましたの。

 もう真っ赤になって最後は泣きながら抱き締めて……。


 それから私は考えを改めましたわ。

 婚約者……今では愛する夫と可愛い子供とで私はとても幸せです。

 この幸せに気付かせてくれたのは他でもないヤスミーン姫。

 ヤスミーン姫の為、それと私の〇子キャラへ再自覚をすればです。

 昨今の女性は社会へどんどん出て行かなくてはいけないと一念発起したのもあり、私は就職先を暗部に致しましたの。

 
 ええこのキャラで対象者に精神的に追い詰め、そうして自白へ、まあ多少は趣味もあるかしら。

 勿論〇子キャラははっきり言って体力勝負です。

 何と言いましてもTV画面より這い出て対象者を追いかけ回すのは匍匐前進ですものね。

 結構な体力と忍耐が要求されますわ。

 ですので出勤日もですが毎日自宅で訓練しておりますのよ。

 ふふ、最近では夫も共に頑張ってくれますの。

 その内夫婦でTV画面から這い出る日も近いかも……ですわ。


 
 話は戻りまして今回は私の大恩人であるヤスミーン姫の屑婚約者を追い詰める事。

 今回は私の出番はなかったのですけれどね。

 敬愛するヤスミーン姫の為、私は部下であるいの3番へお願いをして急遽応援と言う形で登場させて頂きましたの。

 ええ勿論無償ですわ。

 しかし無償ですがここはがっつりと手を抜く事なく対象者をじりじりと追い詰めればです。

 恐怖で失禁するくらいまではさせて頂きますわ。

 その後の仕上がりはヤスミーン姫自らだと言う事ですから言ってみればちょっとした前菜ですわね。

 さあヤスミーン姫を煩わせ多分きっちりと大ホール近くまで匍匐前進頑張りますわ。

 音響効果音等はいの3番が担当してくれます。

 なのであ私は前体力を集中させて事に当たりたいと思います。


 ふふ、お覚悟なさいませ。

 女は怖い生き物だと骨の髄近くまで理解させてあげますわ。

 そうして私はなれた動作でずるりとTV画面より這い出れば、目の前の対象者へ向かって振り乱した状態での濡れた髪の毛の合間よりにぃぃぃっと微笑んで差し上げました。
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