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23 sideユリアーナ
しおりを挟む「ユリぃぃぃぃぃ、俺をずでな゛い゛でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉」
はあ、カイルを放置したまま私は私室へと戻りました。
扉を閉める直前とその後も地を這う様な、それでいて怒りではなく何とも情けない雄叫びにやや呆れつつもです。
今はカミルに構っている時間は――――ない。
「あのぅ奥方様……?」
「ああ、ごめんなさい。少しでいいから席を外して下さいな」
「はい、ではお茶の準備をしてまいりますわ」
「有り難うアンナ」
我が家の使用人は皆礼儀が正しい。
ちゃんと主人の意を汲んでくれるのは褒められるべき事ですわね。
そう今夜は私達夫婦も王家主催の舞踏会へ参加します。
伯爵家ですからね。
それに今夜はヤスミーン様の女公爵継承のお披露目でもありますもの。
凛々しくもお美しいヤスミーン様の記念日に参加をしない貴婦人や令嬢はいませんわね。
それにしてもカミルの話ではそのヤスミーン様の記念となる夜にとんでもない事をあの屑男は仕込みやがるようです。
先ず屋敷へ訪れたあの令嬢……カミルからの情報では男爵家の令嬢だとか。
通りで見た事がないと思いましたわ。
おまけにあろう事かここ暫くの間ヤスミーン様の屋敷へ二人して転がり……まあこれについては知っておりましたの。
ふふ、ヤスミーン様とは懇意にさせて頂いておりますもの。
きっとカミルは友人と称して馬鹿の屑友エグモンド様が突然身元の不明な女性を我が家へ突然連れ込めば、侍女達を使って美々しく着飾らせている事について私が怒っているとでも思っているのでしょうね。
残念でした。
私はとっくの昔に彼女の存在を知っておりましてよ。
ただどの様な容姿を知らなかっただけですわ。
それからあの、同性と致しましてもややう、羨ましいと申しましょうか大き過ぎると言いましょうか肩凝りの心配?
いいえ肩凝りではなくカミル、貴方出迎えた際に彼女の大き過ぎるメロンの様なお胸を凝視なさっていたでしょう。
腹立たしくそして敢えて怒っているとすればそれだけですわ。
確かに私の胸は小振りです。
しかし形は良い方だと思いますのよ。
それにあの様に大きなお胸はお年を重ねれば重ねる程に垂れるのですからね!!
決して羨ましくて申し上げているのではありませんわ。
ただ少しばかり……悔しいだけです。
馬鹿、カミルの馬鹿!!
お仕置きですわ。
事が済むまで口を利きません。
さて、ヤスミーン様へ連絡をしましょう。
きっとヤスミーン様の事です。
この状況を愉しまれるでしょうね。
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