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21 sideカミル
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「では宜しく頼む」
「うふ、お願いしますねぇ~。じゃあエグモン華麗に変身してくるわね」
「ああ、ぼくはこちらで待っているよエリーゼ」
オレンジ色の瞳に緑色の髪をした華奢な感じな美しい令嬢。
然も綺麗で可愛いだけではない。
あの胸は本物なのか⁉
まさか詰め物――――何て入れてないよな?
それにしても立派なメロンなおっぱいだな羨ま……ひぃ⁉
「――――鼻の下が床まで伸びておられましてよ旦那様?」
「ひ、ゆ、ユリー⁉」
こ、怖い。
冗談抜きで怖過ぎる。
俺達はこれでも二ヶ月前に結婚式を挙げたばかりの新婚の筈。
今朝まで……いやエグモンたちが来るまではか?
いや違う。
エグモン達がくる事を知った瞬間から妻のユリアーナの様子が変わってしまった。
俺が一体何をしたと言うのだ。
俺はただ昔馴染みであるエグモンの頼みでとある令嬢の身支度を整えて欲しいと、ドレスや宝飾品は持参で支度を整える為のメイドを二、三人と場所を提供して欲しいと頼まれただけだ。
ただそれだけの事だ。
付き合いも長いのもあるが結婚を機に爵位を継いだりと色々多忙だったからな。
疎遠だったのもある。
だからそのくらいの希望を叶える事等何でもないと安請け合いしたのがいけなかったのか?
「私がどちらのご令嬢と懇意にさせて頂いているのかを御存じないのですね」
「い、いやその……」
「然もですわ。侯爵家の子息様がいらっしゃる30分前になるまで教えて頂かなくて有難う御座いますわ」
「ゆ、ユリー?」
一体何でこんなに彼女が怒ると言うのだ。
先程まで物凄く甘い空気の中で俺は幸せに包まれていたのだぞ!!
それがどうし……ユリアーナは確か今度女公爵となられるご令嬢の派閥に属し――――⁉
俺は全てを一瞬にして悟ってしまった。
確かに俺自身社交は苦手である。
爵位を継承するにあたってつい最近まで領地に引っ込んでおり、王都へ戻ってきたのは三日前の事。
その三日間で社交界の動向等苦手意識の強い俺に出来よう筈もなく、ついつい妻のユリーへ頼り切っていた。
そうだ。
二ヶ月前の結婚式で彼の令嬢の婚約者でありパートナーとして出席していたのが……今俺の屋敷で別の令嬢のドレスアップを頼み込んできたエグモン……だった。
ああもしかしなくとも俺はやらかしてしまったのか?
「なあユリアーナ俺はやらかしてしまったのだろうか⁉」
俺は未だ怒りを鎮めてはいない愛妻へ縋りついた。
嘘だろ、まだ爵位を継承して二ヶ月。
そうたった二ヶ月でこの国一の公爵家のご令嬢の怒りを買ってしまったと言うのだろうか。
怒りを買ってしまったとすればこれより先我が伯爵家の未来は、いやこんな事をやらかした俺へ妻は三下り半をって新婚二ヶ月目で離婚は嫌だああああああああ。
「な、なあユリーお願いだから俺を見捨てないでくれ!!」
「旦那様……」
何時もはカルって呼んでくれるのにどうしてこんな時は旦那様なの⁉
「お願いだからそんな余所余所しい呼び方をしないで!! 俺が心から愛しているのはユリー貴女だけなんだ。だ、だから俺を見捨てないでくれええええええええええええ」
俺は恥も外聞も何もかも捨てた。
本当ならば使用人達の見ている前で絶対にこんな事なんてしたくはない。
でも俺にはユリーしか見えていなかったのだ。
後に使用人達の間で語り草になろうともだ。
妻に捨てられるのだけは何としても阻止してみせる。
それにしてもだ。
俺がこんなにも追い詰められた状況でいるのにエグモンの奴、きっと応接間でのんびりとお茶を飲んでいるかと思えば一層腹立たしい。
でも文句を言う前に今はユリーの怒りを何としても鎮めなければいけない。
「うふ、お願いしますねぇ~。じゃあエグモン華麗に変身してくるわね」
「ああ、ぼくはこちらで待っているよエリーゼ」
オレンジ色の瞳に緑色の髪をした華奢な感じな美しい令嬢。
然も綺麗で可愛いだけではない。
あの胸は本物なのか⁉
まさか詰め物――――何て入れてないよな?
それにしても立派なメロンなおっぱいだな羨ま……ひぃ⁉
「――――鼻の下が床まで伸びておられましてよ旦那様?」
「ひ、ゆ、ユリー⁉」
こ、怖い。
冗談抜きで怖過ぎる。
俺達はこれでも二ヶ月前に結婚式を挙げたばかりの新婚の筈。
今朝まで……いやエグモンたちが来るまではか?
いや違う。
エグモン達がくる事を知った瞬間から妻のユリアーナの様子が変わってしまった。
俺が一体何をしたと言うのだ。
俺はただ昔馴染みであるエグモンの頼みでとある令嬢の身支度を整えて欲しいと、ドレスや宝飾品は持参で支度を整える為のメイドを二、三人と場所を提供して欲しいと頼まれただけだ。
ただそれだけの事だ。
付き合いも長いのもあるが結婚を機に爵位を継いだりと色々多忙だったからな。
疎遠だったのもある。
だからそのくらいの希望を叶える事等何でもないと安請け合いしたのがいけなかったのか?
「私がどちらのご令嬢と懇意にさせて頂いているのかを御存じないのですね」
「い、いやその……」
「然もですわ。侯爵家の子息様がいらっしゃる30分前になるまで教えて頂かなくて有難う御座いますわ」
「ゆ、ユリー?」
一体何でこんなに彼女が怒ると言うのだ。
先程まで物凄く甘い空気の中で俺は幸せに包まれていたのだぞ!!
それがどうし……ユリアーナは確か今度女公爵となられるご令嬢の派閥に属し――――⁉
俺は全てを一瞬にして悟ってしまった。
確かに俺自身社交は苦手である。
爵位を継承するにあたってつい最近まで領地に引っ込んでおり、王都へ戻ってきたのは三日前の事。
その三日間で社交界の動向等苦手意識の強い俺に出来よう筈もなく、ついつい妻のユリーへ頼り切っていた。
そうだ。
二ヶ月前の結婚式で彼の令嬢の婚約者でありパートナーとして出席していたのが……今俺の屋敷で別の令嬢のドレスアップを頼み込んできたエグモン……だった。
ああもしかしなくとも俺はやらかしてしまったのか?
「なあユリアーナ俺はやらかしてしまったのだろうか⁉」
俺は未だ怒りを鎮めてはいない愛妻へ縋りついた。
嘘だろ、まだ爵位を継承して二ヶ月。
そうたった二ヶ月でこの国一の公爵家のご令嬢の怒りを買ってしまったと言うのだろうか。
怒りを買ってしまったとすればこれより先我が伯爵家の未来は、いやこんな事をやらかした俺へ妻は三下り半をって新婚二ヶ月目で離婚は嫌だああああああああ。
「な、なあユリーお願いだから俺を見捨てないでくれ!!」
「旦那様……」
何時もはカルって呼んでくれるのにどうしてこんな時は旦那様なの⁉
「お願いだからそんな余所余所しい呼び方をしないで!! 俺が心から愛しているのはユリー貴女だけなんだ。だ、だから俺を見捨てないでくれええええええええええええ」
俺は恥も外聞も何もかも捨てた。
本当ならば使用人達の見ている前で絶対にこんな事なんてしたくはない。
でも俺にはユリーしか見えていなかったのだ。
後に使用人達の間で語り草になろうともだ。
妻に捨てられるのだけは何としても阻止してみせる。
それにしてもだ。
俺がこんなにも追い詰められた状況でいるのにエグモンの奴、きっと応接間でのんびりとお茶を飲んでいるかと思えば一層腹立たしい。
でも文句を言う前に今はユリーの怒りを何としても鎮めなければいけない。
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