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最終話
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その日は突然やってきた。
国を手中に収めて一年。
周辺諸国もいくつかは手に入れて……あとはたいして大きくもない国がいくつか残るのみ。
これなら、もうすぐに世界が私の物になる。
これだけの早さでここまでのことが出来たのは偏に私が優秀だから。
世界が私に味方していると言っても過言ではないほどの躍進。
私を阻むものは何もない。
私の中のもう一つの存在。
それももう消えかかっている。
恐らく、今日にでも完全に消えて私だけの身体になる、と思う。
そしたら遂に……男たちを寝室に呼び込める。
今から楽しみだ。
だけど不安要素もあった。
それは結局あの女が見つからなかったことだ。
死んでいる……とは思う。
だけど、どうにも……モヤモヤする。
何か重大なミスをしているのではないか、見落としがあったのではないか、と。
考えてもどうしようもなかった。
なので私に出来ることをしようと思って行動した結果が今の状況。
仮に生きていたとして、今の私には近づくことも出来ないはずだ。
厳重な警備、その人員も優秀な者しかいない。
ここを突破できる人間なんていないだろう。
いくら神童なんて呼ばれていたあの女だって無理だ。
私の魅了は完璧だ。
全員命を懸けて私を守る。
なんの心配もいらないはずなのに……何なの、この胸騒ぎは。
「本当に……イライラしてくるわね」
あの女、いつまで私を苦しめるつもりなのかしら。
私が直々になぶり殺してあげた方がよかったんじゃないの。
親友で敬愛するお姫様に殺されるならアイツも本望だったんじゃないのだろうか。
イラつく心を落ち着かせるために双子の奴隷に紅茶をいれさせることにした。
本当は女なんかそばに置きたくないんだけど、それ以上にこの奴隷は優秀だった。
これだけ早くここまで計画が進んだのは間違いなくこの双子が使えたからだった。
だから腹立たしくても手放せなかった。
「…………どうぞ」
姉の方が入れた紅茶をテーブルに置く。
戦闘や荒事に関しては妹、こういった生活に関することと隠密に関しては姉が得意だ。
「…………フンっ!」
私は奴隷を見ることもなく紅茶を口にした。
○ ○ ○
「…………な、なにが」
動かなくなった身体。
「なんなのよ! これはっ!?」
私は奴隷に怒鳴りつける。
奴隷は二人並んで感情の読めない瞳で私を見下ろしていた。
「当然の報い。私たちの人生を狂わせた」
妹の方が敵意をあらわにして言う。
「もう……あなたの思い通りにはなりません!」
姉が意志の籠った瞳に涙を溜めながら叫んだ。
「お、お前たち……奴隷の、奴隷の契約はどうしたぁ!?」
なぜ私に逆らえる!?
ありえないでしょ、そんなこと!
だけど、このままではマズイ。
「だ、誰か! 誰か来なさいっ!!」
部屋の前には騎士が控えているはずだ。
動かない身体を必死に動かして扉へ向かって這い進む。
私が……この私がこんなに惨めな行動をさせられるなんて……。
「無駄です」
「あなたはもう、おしまいです」
背後から双子の声が聞こえる。
「な、なにを……私はまだ終わらない! 終わってたまるか!」
叫びながら振り返る。
「な、なんなのよ……それは」
双子が手に持っている『道具』。
直感で分かった。
あれは良くない物だ。
私にとって絶対に良くない物だと。
「は、早く! 早く誰か来なさい!!」
その時――扉が開いた。
「お、お前は! なぜ……お前が」
現れた人物を見て我が目を疑う。
「お久しぶりですね」
あの女が、そこにいた。
追放したはずのその女がそこに立っていた。
「姫さま……いいえ、姫様にとりついた卑しき者よ」
…………。
何と言った?
今、この女は何と言った?
「あの時、追放される前に見抜けなかったことが悔しい。でも今からでも姫さまはお救いする。……その為にこれまでやってきた」
何を言っている。
姫は私だ。
「間に合ってよかった。姫の魂が燃え尽きる前に」
「――――っ!?」
この女!?
コイツは全てわかっている!?
私がこの身体の本来の持ち主じゃなかったことに!
「本当は私がやりたかったけどアリーシャに頼まれたから今回は譲ることにしました」
「な、何を言っているの……ア、アリーシャって誰よ!?」
目の前の女に問う。
返事が来たのは背後からだった。
「やはり『あなた』は私の名前も知らなかったのですね」
双子の姉だった。
「『本当の姫さま』は私の名を呼んでくださいました」
手に持った道具を掲げる。
見た目はふざけているとしか言いようがないソレ。
だけど、見た目とは関係なくそれは私に危機感を抱かせた。
「なんなのよ……なんなのよ、その道具はぁ!?」
あれはマズイ。
致命的な何かを私に与える物だ!
「私が作りました。姫さまを救うために」
「お、おまえが……」
「国を追われてから……私は死の森で『全能』と出会いました」
「――ぜ、全能ですって!?」
『全能』。
それはこの世界の誰もが知る有名人。
というか、昔から伝えられるおとぎ話に出てくる人物だ。
「そ……そんなもの……存在するはずが……」
「居ます。そして私は彼女に師事し、これまで己を鍛えてきました」
それが事実なら……本当にあの道具は駄目だ。
『全能』の錬金術師。
おとぎ話に出てくるソレはあらゆる道具を創り出し使いこなす。
「ぜ、全能がいたとして……お前に創り出せるものなんて……」
言いかけて思い出す。
『全能』は勿論、ただの『錬金術師』だって伝説だ。
それは何故か。
錬金術を使えるのは『全属性』の適性を持った者でなければならない。
そして……そんな人間はこの国の歴史上存在しな――いはずだった。
「私は全属性の適性を持っています。だから不可能じゃない」
そうだった。
この女は全属性の適性を持ち『神童』と言われていたのだった。
ならば。
ならばならばっ!
「な、何を創った!? それで私をどうするつもりだ!!」
「勿論。姫さまの身体から出ていってもらいます」
な、なんですって!?
ふ、ふざけるな!
私のこれまでの苦労はどうなるっていうの!
「や、やめなさい! ど、奴隷から解放してあげる! だからっ!!」
私は奴隷の女に懇願する。
「やめません。あなたのような醜い心の持ち主に姫さまの身体は相応しくない!」
そして、手に持った道具で私の頭を殴りつけた。
――そして室内が光に包まれた。
○ ○ ○
一瞬の静寂。
光が収まり目を開ける。
「――――っ!?」
目の前に倒れた美少女がいた。
見慣れた外見のその美少女は静かに寝息を立てていた。
すぐにあの女が駆け寄り身体を抱える。
「姫さまっ!!」
そう、それは『私』だった。
見慣れたこの世界の私だった。
じゃあ……今の私は?
自分の身体を見る。
…………見慣れた身体だった。
だらしなく贅肉の溢れた腹。
肉まんの様な拳に、ボンレスハムのような脚。
顔を触る。
この世界ではありえなかった、不摂生な生活でできたいくつもの吹き出物の感触。
そして触るとベタベタする脂まみれの肌。
そのどれもがいらない物。
捨てたはずの物だった。
「醜い心を表すかのような醜い見た目」
双子の妹が私を見て言う。
「こ、こんなものが姫様に憑りついていた……のか?」
いつの間にか部屋に来ていた騎士が嫌悪の表情で私を見ていた。
「わ、私を助けなさい!」
騎士に命令する。
コイツは私に魅了されている。
「馬鹿を言うな! 姫様に憑りつく悪しき者よ!」
なっ……魅了が解けている!?
「人を操るその力。どうやら姫さまに憑りついていたおかげだったらしいわね」
あの女も私が王女の身体から引き離されると同時に丁寧な話し方まで変えやがった!
私を見下している!
「今頃、他の人も正気に戻っているわ。あなたはもう終わりよ!」
こ、この女!!
私がどれだけ苦労してここまできたと思ってる!
「お、お前が……お前さえ死んでいれば!」
「でも私は死ななかった。こうしてここに立っている」
こ、こんな終わり方認めない!
私は幸せになるはずなのに……そのためにこの世界に転生したのに。神にすら愛されているから転生できたはず。
だったら、ここも乗り切れるはずだ!
「もう……終わりにしましょう」
女が武器を取り出す。
それは禍々しさを放つ剣だった。
「これは、ある悪霊を退治するために創った物。これで魂も残さず消え去りなさい!」
私に向かって剣を振り下ろす女。
――それが、私が最後に見た光景だった。
国を手中に収めて一年。
周辺諸国もいくつかは手に入れて……あとはたいして大きくもない国がいくつか残るのみ。
これなら、もうすぐに世界が私の物になる。
これだけの早さでここまでのことが出来たのは偏に私が優秀だから。
世界が私に味方していると言っても過言ではないほどの躍進。
私を阻むものは何もない。
私の中のもう一つの存在。
それももう消えかかっている。
恐らく、今日にでも完全に消えて私だけの身体になる、と思う。
そしたら遂に……男たちを寝室に呼び込める。
今から楽しみだ。
だけど不安要素もあった。
それは結局あの女が見つからなかったことだ。
死んでいる……とは思う。
だけど、どうにも……モヤモヤする。
何か重大なミスをしているのではないか、見落としがあったのではないか、と。
考えてもどうしようもなかった。
なので私に出来ることをしようと思って行動した結果が今の状況。
仮に生きていたとして、今の私には近づくことも出来ないはずだ。
厳重な警備、その人員も優秀な者しかいない。
ここを突破できる人間なんていないだろう。
いくら神童なんて呼ばれていたあの女だって無理だ。
私の魅了は完璧だ。
全員命を懸けて私を守る。
なんの心配もいらないはずなのに……何なの、この胸騒ぎは。
「本当に……イライラしてくるわね」
あの女、いつまで私を苦しめるつもりなのかしら。
私が直々になぶり殺してあげた方がよかったんじゃないの。
親友で敬愛するお姫様に殺されるならアイツも本望だったんじゃないのだろうか。
イラつく心を落ち着かせるために双子の奴隷に紅茶をいれさせることにした。
本当は女なんかそばに置きたくないんだけど、それ以上にこの奴隷は優秀だった。
これだけ早くここまで計画が進んだのは間違いなくこの双子が使えたからだった。
だから腹立たしくても手放せなかった。
「…………どうぞ」
姉の方が入れた紅茶をテーブルに置く。
戦闘や荒事に関しては妹、こういった生活に関することと隠密に関しては姉が得意だ。
「…………フンっ!」
私は奴隷を見ることもなく紅茶を口にした。
○ ○ ○
「…………な、なにが」
動かなくなった身体。
「なんなのよ! これはっ!?」
私は奴隷に怒鳴りつける。
奴隷は二人並んで感情の読めない瞳で私を見下ろしていた。
「当然の報い。私たちの人生を狂わせた」
妹の方が敵意をあらわにして言う。
「もう……あなたの思い通りにはなりません!」
姉が意志の籠った瞳に涙を溜めながら叫んだ。
「お、お前たち……奴隷の、奴隷の契約はどうしたぁ!?」
なぜ私に逆らえる!?
ありえないでしょ、そんなこと!
だけど、このままではマズイ。
「だ、誰か! 誰か来なさいっ!!」
部屋の前には騎士が控えているはずだ。
動かない身体を必死に動かして扉へ向かって這い進む。
私が……この私がこんなに惨めな行動をさせられるなんて……。
「無駄です」
「あなたはもう、おしまいです」
背後から双子の声が聞こえる。
「な、なにを……私はまだ終わらない! 終わってたまるか!」
叫びながら振り返る。
「な、なんなのよ……それは」
双子が手に持っている『道具』。
直感で分かった。
あれは良くない物だ。
私にとって絶対に良くない物だと。
「は、早く! 早く誰か来なさい!!」
その時――扉が開いた。
「お、お前は! なぜ……お前が」
現れた人物を見て我が目を疑う。
「お久しぶりですね」
あの女が、そこにいた。
追放したはずのその女がそこに立っていた。
「姫さま……いいえ、姫様にとりついた卑しき者よ」
…………。
何と言った?
今、この女は何と言った?
「あの時、追放される前に見抜けなかったことが悔しい。でも今からでも姫さまはお救いする。……その為にこれまでやってきた」
何を言っている。
姫は私だ。
「間に合ってよかった。姫の魂が燃え尽きる前に」
「――――っ!?」
この女!?
コイツは全てわかっている!?
私がこの身体の本来の持ち主じゃなかったことに!
「本当は私がやりたかったけどアリーシャに頼まれたから今回は譲ることにしました」
「な、何を言っているの……ア、アリーシャって誰よ!?」
目の前の女に問う。
返事が来たのは背後からだった。
「やはり『あなた』は私の名前も知らなかったのですね」
双子の姉だった。
「『本当の姫さま』は私の名を呼んでくださいました」
手に持った道具を掲げる。
見た目はふざけているとしか言いようがないソレ。
だけど、見た目とは関係なくそれは私に危機感を抱かせた。
「なんなのよ……なんなのよ、その道具はぁ!?」
あれはマズイ。
致命的な何かを私に与える物だ!
「私が作りました。姫さまを救うために」
「お、おまえが……」
「国を追われてから……私は死の森で『全能』と出会いました」
「――ぜ、全能ですって!?」
『全能』。
それはこの世界の誰もが知る有名人。
というか、昔から伝えられるおとぎ話に出てくる人物だ。
「そ……そんなもの……存在するはずが……」
「居ます。そして私は彼女に師事し、これまで己を鍛えてきました」
それが事実なら……本当にあの道具は駄目だ。
『全能』の錬金術師。
おとぎ話に出てくるソレはあらゆる道具を創り出し使いこなす。
「ぜ、全能がいたとして……お前に創り出せるものなんて……」
言いかけて思い出す。
『全能』は勿論、ただの『錬金術師』だって伝説だ。
それは何故か。
錬金術を使えるのは『全属性』の適性を持った者でなければならない。
そして……そんな人間はこの国の歴史上存在しな――いはずだった。
「私は全属性の適性を持っています。だから不可能じゃない」
そうだった。
この女は全属性の適性を持ち『神童』と言われていたのだった。
ならば。
ならばならばっ!
「な、何を創った!? それで私をどうするつもりだ!!」
「勿論。姫さまの身体から出ていってもらいます」
な、なんですって!?
ふ、ふざけるな!
私のこれまでの苦労はどうなるっていうの!
「や、やめなさい! ど、奴隷から解放してあげる! だからっ!!」
私は奴隷の女に懇願する。
「やめません。あなたのような醜い心の持ち主に姫さまの身体は相応しくない!」
そして、手に持った道具で私の頭を殴りつけた。
――そして室内が光に包まれた。
○ ○ ○
一瞬の静寂。
光が収まり目を開ける。
「――――っ!?」
目の前に倒れた美少女がいた。
見慣れた外見のその美少女は静かに寝息を立てていた。
すぐにあの女が駆け寄り身体を抱える。
「姫さまっ!!」
そう、それは『私』だった。
見慣れたこの世界の私だった。
じゃあ……今の私は?
自分の身体を見る。
…………見慣れた身体だった。
だらしなく贅肉の溢れた腹。
肉まんの様な拳に、ボンレスハムのような脚。
顔を触る。
この世界ではありえなかった、不摂生な生活でできたいくつもの吹き出物の感触。
そして触るとベタベタする脂まみれの肌。
そのどれもがいらない物。
捨てたはずの物だった。
「醜い心を表すかのような醜い見た目」
双子の妹が私を見て言う。
「こ、こんなものが姫様に憑りついていた……のか?」
いつの間にか部屋に来ていた騎士が嫌悪の表情で私を見ていた。
「わ、私を助けなさい!」
騎士に命令する。
コイツは私に魅了されている。
「馬鹿を言うな! 姫様に憑りつく悪しき者よ!」
なっ……魅了が解けている!?
「人を操るその力。どうやら姫さまに憑りついていたおかげだったらしいわね」
あの女も私が王女の身体から引き離されると同時に丁寧な話し方まで変えやがった!
私を見下している!
「今頃、他の人も正気に戻っているわ。あなたはもう終わりよ!」
こ、この女!!
私がどれだけ苦労してここまできたと思ってる!
「お、お前が……お前さえ死んでいれば!」
「でも私は死ななかった。こうしてここに立っている」
こ、こんな終わり方認めない!
私は幸せになるはずなのに……そのためにこの世界に転生したのに。神にすら愛されているから転生できたはず。
だったら、ここも乗り切れるはずだ!
「もう……終わりにしましょう」
女が武器を取り出す。
それは禍々しさを放つ剣だった。
「これは、ある悪霊を退治するために創った物。これで魂も残さず消え去りなさい!」
私に向かって剣を振り下ろす女。
――それが、私が最後に見た光景だった。
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