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意識がなくなって気がつけば異世界で王女になっていた。
私の意識が目覚めるまでひと月程、私は眠ったままだったらしい。
現代日本で誰かに言ったら正気を疑われるようなことが現実に起きていた。
まぁ、一般人ではなく私の様な人種に言えば羨ましがられるだろうけど。
正直、私も最初は戸惑った。
最近流行りの異世界物のように、この世界は剣と魔法のファンタジー。
そして私は結構な大国の王女として転生? 憑依? したようだった。
目覚めたときには十四歳でそれまで普通に生活していたようだから……おそらく憑依なんだと思う。
自分の中に微かに別の誰かを感じることがある。
それも日々薄れていっているのも感じているので、おそらくそう遠くないうちにこの身体は完全に私だけのものになると思う。
この身体の持ち主は前世で見たこともないような美少女で王女という地位と権力までもっているうえに、とんでもない回復魔法の才能を持つ『聖女』でもあった。
なんだ、このチート……と思った。
でもそれが今は自分なんだ。
だけど……私は回復魔法が使えなかった。
なぜなのかは分からない。
なんとかバレないようにしなくては、と思った。
バレたら折角の聖女の称号が危うい。
でもバレないようにするための秘策もあった。
元々のこの身体の持ち主は持っていなかったようだが……魅了というスキルが私にはあったのだった。
これは元の王女ではなく私自身の能力なのではないか。
魅力的な私に魅了のスキルがある、なんてのは考えてみれば当然なのかも。
元の世界ではなんらかの理由でそれが表に出なかっただけなんだ。
そうでもなきゃ、この私があんなに惨めな思いをするなんてありえない。
元の世界の分までこの世界では好きに生きてやる。
そう決めた私は、ますこの世界……そしてこれまでの私のことについて調べた。
その結果、先で述べたようなことがわかったわけだけど……それ以外にも色々とわかったことがある。
まずこの世界に聖女は一人しかいない。
その代の聖女が死ぬと次の聖女が生まれる。
だから私が回復魔法が使えなくなったとバレてはいけないと思ったわけだ。
歴史上生きているのに聖女じゃなくなった人間はいないらしいけど、万が一ということがある。
今の地位は絶対に死守する。
私から何も奪わせてたまるか。
今生は奪いはしても奪われるなんてこと絶対に許さない。
これだけの美貌と地位があれば難しくないはずだ。
それに魅了もある。
今は不審に思われないよう少しずつ……国の中枢の男どもを私の虜にしている。
それと、どうやら私は貴族の婦女子が通う学園に通っていたらしい。
最近再び通うようになったのだけど、眠っていたことで記憶の混濁がある……だから前の私とは違うことがあるかもしれない、と理由をつけ誤魔化すことにした。
そして……ここで私をイライラさせることが起こった。
理由は、前の私がここに通っていたとき……いや、幼いころからの親友らしい公爵家の娘だ。
コイツは絶対に不幸にしてやると決めた。
それほど腹立たしかった。
私の意識が目覚めるまでひと月程、私は眠ったままだったらしい。
現代日本で誰かに言ったら正気を疑われるようなことが現実に起きていた。
まぁ、一般人ではなく私の様な人種に言えば羨ましがられるだろうけど。
正直、私も最初は戸惑った。
最近流行りの異世界物のように、この世界は剣と魔法のファンタジー。
そして私は結構な大国の王女として転生? 憑依? したようだった。
目覚めたときには十四歳でそれまで普通に生活していたようだから……おそらく憑依なんだと思う。
自分の中に微かに別の誰かを感じることがある。
それも日々薄れていっているのも感じているので、おそらくそう遠くないうちにこの身体は完全に私だけのものになると思う。
この身体の持ち主は前世で見たこともないような美少女で王女という地位と権力までもっているうえに、とんでもない回復魔法の才能を持つ『聖女』でもあった。
なんだ、このチート……と思った。
でもそれが今は自分なんだ。
だけど……私は回復魔法が使えなかった。
なぜなのかは分からない。
なんとかバレないようにしなくては、と思った。
バレたら折角の聖女の称号が危うい。
でもバレないようにするための秘策もあった。
元々のこの身体の持ち主は持っていなかったようだが……魅了というスキルが私にはあったのだった。
これは元の王女ではなく私自身の能力なのではないか。
魅力的な私に魅了のスキルがある、なんてのは考えてみれば当然なのかも。
元の世界ではなんらかの理由でそれが表に出なかっただけなんだ。
そうでもなきゃ、この私があんなに惨めな思いをするなんてありえない。
元の世界の分までこの世界では好きに生きてやる。
そう決めた私は、ますこの世界……そしてこれまでの私のことについて調べた。
その結果、先で述べたようなことがわかったわけだけど……それ以外にも色々とわかったことがある。
まずこの世界に聖女は一人しかいない。
その代の聖女が死ぬと次の聖女が生まれる。
だから私が回復魔法が使えなくなったとバレてはいけないと思ったわけだ。
歴史上生きているのに聖女じゃなくなった人間はいないらしいけど、万が一ということがある。
今の地位は絶対に死守する。
私から何も奪わせてたまるか。
今生は奪いはしても奪われるなんてこと絶対に許さない。
これだけの美貌と地位があれば難しくないはずだ。
それに魅了もある。
今は不審に思われないよう少しずつ……国の中枢の男どもを私の虜にしている。
それと、どうやら私は貴族の婦女子が通う学園に通っていたらしい。
最近再び通うようになったのだけど、眠っていたことで記憶の混濁がある……だから前の私とは違うことがあるかもしれない、と理由をつけ誤魔化すことにした。
そして……ここで私をイライラさせることが起こった。
理由は、前の私がここに通っていたとき……いや、幼いころからの親友らしい公爵家の娘だ。
コイツは絶対に不幸にしてやると決めた。
それほど腹立たしかった。
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