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第16章 勇者と憤怒決着編
第183話 土下座マスター
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「そんな……グアァァァ! いやだ、いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
魂の絶叫が草原の風に乗って辺りに響き渡る。足元に水溜りを作りながら、痛みにのたうち回る憤怒……足元にはエルビスによって切り離された自分の左足が転がっていた。
「縺ァ縺阪k縺縺鷹聞縺上∵怙鬮倥�闍ヲ逞帙r謖√▲縺ヲ谿コ」
(できるだけ長く、最高の苦痛を持って殺してやる)
エルビスが再び漆黒のオーラを手にまとうと、腰だめから斜め上へ切り上げると、今度は憤怒の腹から胸が切り裂かれていた。
「グウゥゥ、やめてくれ……」
「繝√Ε繝ウ繧ケ縺ッ荳弱∴縺溘ゅ◎繧後r謇区叛縺励◆縺ョ縺」
(チャンスは与えた。それを手放したのは……お前だ!)
あまりの痛みに許しを乞う憤怒に、エルビスが冷酷な言葉を口にすると、ゴミを見る目で憤怒を見下ろしていた。
「どうして……お前の魔眼は視界に相手を捉えていなければ未来は視えないはずなのに、なぜ我が攻撃すると……⁈」
(お前の考えなんてお見通しだ! って言いたいが、実際はヒロのおかげだな。しかしよく憤怒の坊や不意打ちをしてくるって分かったな?)
(ああ、憤怒の土下座を見て、心から謝罪していないと感じたんだ。土下座については、僕にも一家言があるからな)
土下座する憤怒を見た時、ヒロはその姿に違和感を感じエルビスに注意を促していた。
ヒロが感じた違和感……それはあまりにも綺麗すぎる憤怒の土下座にあった。謝罪の声を上げながらも震えひとつない声と、恐怖に駆られての謝罪なのに微動だにしない土下座……なによりも、まったく魂が込められていない形ばかりの土下座に、ヒロは怒りすら覚えていた。
それは幾多の謝罪と土下座の果てに辿り着いた、土下座マスターであるヒロにしか分からない違和感だった。
土下座とは、本来は目上の人や神様を極度に敬う『畏敬(いけい)』の表現する最高度の敬意を表す礼法としてヒロの元いた世界で使われていた。
土下座の歴史は古く、日本と呼ばれた国では中国の歴史書『三国志』魏志倭人伝の中で、邪馬台国の風習として平民が貴人に道端で出会うと平伏し柏手を打ち敬意を表していたと記載がある。
相手に最高度の敬意を示す礼法が、『謝罪』や『お願い(許しを請う)』の表現として一般大衆に広まったのは、第一次世界大戦と呼ばれる大きな戦争が終わった頃といわれている。
昭和と呼ばれる初期の時代に随筆で確認され、その後、小説や時代劇などの大衆娯楽を通じて、土下座は『畏敬の念』から、『謝罪』や『お願い(許しを請う)』の意味を表す言葉に変わったといわれ、一説には大人気テレビドラマ『水戸黒門』の影響により、一気に土下座が浸透したともいわれている。
土下座とは自らが犯した罪を認め、誠意を持って謝罪やお願いをする行為であり、ある種の色が見えるものだが憤怒の土下座はあまりにも透明過ぎた。
(あれだけ怯えた土下座なのに、憤怒の土下座には色がなさすぎて何か企んでいるのがバレバレだった)
(色?)
(ああ、色というか……魂かな? 心からの謝罪なら必ず込められているはずの魂が僕には全く感じられなかった。普通なら分からないだろうが……命賭けの土下座で幾度となく窮地を脱してきた僕を相手に、偽りの土下座なんか通用しない!)
(命賭けの土下座って……どんだけ謝ってきたんだよ?)
自信満々に言い放つヒロに、エルビスが呆れていた。
(まあ、おかげで憤怒の坊やの真意を暴き出せたから良しとするか……おっと、逃がすか)
左足の膝から下をなくした憤怒が、四つん這いになりながら逃げようと背中を見せた瞬間、エルビスが再び手刀を振るいオーラを飛ばす。
憤怒にオーラが撃ち込まれると激痛がその背に走り、そのまま地べたをのたうち回る。
「グアァァァッ! な、なぜだ! なぜ我の【絶対防御】が⁈」
(絶対防御? 神が作った理がある限り、この世に絶対なんて存在する訳がないのに……馬鹿だな~)
(神が作った理?)
(そそ、このガイヤの世界では、心の強さが現実に反映されるのさ。こうありたい、こうしたいと心に描いたイメージが世界に認められれば、それが現実になるってわけ)
(イメージが現実に……そんな事が誰にでもできるのか?)
(いいや、普通の奴には無理だぞ。誰にでも出来たりしたら、世界がメチャクチャになっちまう。最低限として、S領域にアクセスできる者か……もしくは果てしなく純真なバカな奴かだな)
そう語るエルビスの声は心なしか寂しげだった。
(エルビス?)
(まあ、ようはこのガイヤではイメージを具現化できる程の強い意志と、その思いを信じて疑わない強固なイメージがオーラとなって世界に作用すると思えばいい。いくら憤怒の坊やが絶対防御とかいって無敵を気取っても、オレがガキの考えた幼稚な技と思い描きながら坊やの思いを上回った結果……世界の理が上書きされて、絶対でなくなったわけだ)
(理の上書き……)
(【絶対防御】スキルなんて、ビビりの坊やらしいスキルだろ? オーラが使えない格下相手になら、たしかに無敵だろう……だが、オレには意味はないぞ!)
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ! 止めてくれぇぇ!」
エルビスが次々と手刀を振るう度に、体を形作る触手が切り削られボロボロにされていく憤怒……止まらない攻撃とその痛みから、半狂乱になり叫び出していた。
(ちょっと待て、エルビスやり過ぎだ。憤怒の中には依り代にされたオークがいるんだ)
(わかってるって……S領域でヒロの記憶を見た時に大体の事情は把握している。ヒロが坊やを倒したあとにやろうとしていることも全部な……だから依り代にされたアリアってオークの体にも傷ひとつ付けてないぞ)
(そうなのか……助かる)
(な~に、これから憤怒の坊やが驚愕して悔しがる姿が見られると思えばお安い御用さ。そらそら! まずは触手を丸刈りにしてやる)
止まらないエルビスの攻撃を憤怒はなす術もなく受け続け、体を覆う触手が次々と削り飛ばされていく。
「止め……てくれ……」
攻撃の度に走る激痛に、憤怒はついに声すら上げる事が出来なくなり無言で触手を削られ続ける……ついに体を形作る触手が全て消滅すると、その下からオークヒーローの妻、アリアの姿が現れた。
「……」
(こんなもんかな? 触手はあらかた削り飛ばした。再生できないようにしたから、もう手も足も出せないはずだ。さて、じゃあ仕上げといこうか……さぞ、坊やは悔しがることだろうよ。クックックックッ)
そう、エルビスが愉快そうに笑っていた時だった。
【システムを再起動しました。対象者、本上 英雄……ブレイブシステムからのデータ書き換え中のエラーを確認。これにより現在ステータスバグが発生中……最終バックアップからの復元を実行します。……復元終了までの時間、残り30秒……】
(え? ……システムが再起動? ステータスバグの復元を開始?)
(マズイ!)
突如、ヒロの頭の中に無機質なシステムの音声が響き渡ると……。
【システムより警告、対象者 本上 英雄のステータスバグ修復中に異なる魂の存在を確認……現状確認のため、ステータススキャン並びにソウルスキャンを実行】
名榊燕縲?譛ャ神翫??雄ア
性別・縲?逕キ
蟷エ鮨「縲?6才シ?4謇搾シ
職業?プロー繝ゥ繝槭?
レャ繝吶Ν縲???3
?ィPー??80/400??220?
Mュ?ー??00/350??220?
筋力??06 ??220?
菴灘鴨??26 ??220?
謨乗差??06 ??220?
知幢シ?26 ??220?
器用?16 ??220?
蟷ク運シ?91 ??220?
蝗コ有スュ繝ォ デ?ヰッ?け LV 2
縲?縲言?縲 LV 2
B縲?す繝・ LV 5
縲?段?繧ク繝プウ繝 LV 4
縲?縲?縲?撃 LV 5
オート繝医?繝ピン繧ー LV 2
繝イブ、繝 LV 1
繧ウ繝ウ繝医ローラー LV 2
不死魑のョ鬲
ラプラスの魔眼 LV 1
ハイパースレッディング LV 1
デコイ LV 1 New
所ュスキ縲 螂ウ逾の絆 LV2
女神の?逾晉ヲ 縲呪い縺??銑V 10
霄ォ菴操作 LV 5
剣」陦 LV 4
投擲憧陦 LV 3
豌鈴?察知 LV 3
空間髢?捺 LV 3
隕句?り LV 3
回樣∩ LV 3
【個体識別コード『絶望』のロストスキル【魔眼ラプラス】と未知のスキルを確認……警告、一個体の中に二つの異なる魂の存在を確認。消去許可をメインシステムに申請……】
(ヤバい! ヒロの中にオレがいるのがシステムにバレた⁈)
(それって、何か問題があるのか?)
(このガイヤでは、ひとつの肉体にはひとつの魂が原則なんだ。ソウルスキャンなんて滅多にされないから、大丈夫だとタカを括っていたけど……マズイ! このままだとオレの魂が消去される)
エルビスの切迫した声に、ヒロはかなりマズイ状況にあると感じていた。
(消去をやり過ごす手はないのか⁈)
(ん~、無いこともないが……)
(手があるのか?)
(ああ、一時的にオレの魂をS領域に退避させて、システムの消去をやり過ごせれば……)
(なら、急いで魂を退避しろよ)
(だけどそれをしたら、ヒロ……お前は一人で憤怒と戦う事になるんだぞ? オーラで無理やり体を支えて、やっと立ち上がっている状態なのに……オレがいなくなったら、どうやって憤怒と戦うんだ?)
【メインシステムより、消去許可を確認。消去を実行します。実行まで開始まで、10、9……】
(僕に構うな、憤怒はこっちでなんとかする、行けエルビス!)
(……マーカーをヒロの魂に打ち込んでおく。これで次にS領域に来れば、すぐに出会えるようになる。ヒロ生き延びてくれよ。お前が死んじまったら、また俺様はS領域で一人ぼっちになっちまうからさ、だから死ぬなよ)
(ああ、僕は死ぬつもりなんかない)
(その意気だ。じゃあまた会おう。コマンド実行『シフト』!)
エルビスの声が頭の中に大きく響くと……次の瞬間、心の中にポッカリと穴が空いたような消失感を覚えると、体を覆っていたエルビスのオーラもまた消え去っていた。
急に体の支えを失い、その場に片膝をつくと動けなくなってしまうヒロ……エルビスのオーラにより、傷付いた体は幾分か回復はしていたが、まだ満足に戦えるまでに回復はしていなかった。
【……消去終了。再度ソウルスキャンを実行……対象者 本上 英雄以外の魂の存在は認められません。ステータスの復元が完了しました。ステータスチェック……】
名前 本上 英雄
性別 男
年齢 6才(24才)
職業 プログラマー
レベル :23
HP: 90/400(+220)
MP:100/350(+220)
筋力:306 (+220)
体力:326 (+220)
敏捷:306 (+220)
知力:326 (+220)
器用:316 (+220)
幸運:291 (+220)
固有スキル デバック LV 2
言語習得 LV 2
Bダッシュ LV 5
2段ジャンプ LV 4
溜め攻撃 LV 5
オートマッピング LV 2
ブレイブ LV 1
コントローラー LV 2
不死鳥の魂
ラプラスの魔眼
ハイパースレッディング LV 1
デコイ LV 1 New
所持スキル 女神の絆 LV 2
女神の祝福 【呪い】LV 10
災厄の縁 ★ New
身体操作 LV 5
剣術 LV 4
投擲術 LV 3
気配察知 LV 3
空間把握 LV 3
見切り LV 3
回避 LV 3
【……ステータスに問題なし。通常モードに移行します】
システム音声が、問題なくステータスの書き換えが終了したことを告げる。
ヒロが傷付いた体をすぐにでも立たせようとするが……力が思うように入らない。
「クソ! やはりまだ体がまともに動かない。この状態で戦えるのか⁈」
体に鞭打ち、無理やりにでも体を立たそうとするヒロだったが……。
「フッハッハッハッハッ! 消えた……エルビスのオーラが消えた! なぜかわからんが奴の気配も……ならば、もうお前なぞ恐れる必要はない。お前の仲間と同様にあの世に送ってやる!」
憤怒の声にヒロが顔を上げると……いつの間にか小柄な体のオークが目の前に立ち、勝ち誇った表情を浮かべてヒロを見下ろしていた。
〈希望が潰えた時、ヒロの命もまた……潰えようとしていた!〉
魂の絶叫が草原の風に乗って辺りに響き渡る。足元に水溜りを作りながら、痛みにのたうち回る憤怒……足元にはエルビスによって切り離された自分の左足が転がっていた。
「縺ァ縺阪k縺縺鷹聞縺上∵怙鬮倥�闍ヲ逞帙r謖√▲縺ヲ谿コ」
(できるだけ長く、最高の苦痛を持って殺してやる)
エルビスが再び漆黒のオーラを手にまとうと、腰だめから斜め上へ切り上げると、今度は憤怒の腹から胸が切り裂かれていた。
「グウゥゥ、やめてくれ……」
「繝√Ε繝ウ繧ケ縺ッ荳弱∴縺溘ゅ◎繧後r謇区叛縺励◆縺ョ縺」
(チャンスは与えた。それを手放したのは……お前だ!)
あまりの痛みに許しを乞う憤怒に、エルビスが冷酷な言葉を口にすると、ゴミを見る目で憤怒を見下ろしていた。
「どうして……お前の魔眼は視界に相手を捉えていなければ未来は視えないはずなのに、なぜ我が攻撃すると……⁈」
(お前の考えなんてお見通しだ! って言いたいが、実際はヒロのおかげだな。しかしよく憤怒の坊や不意打ちをしてくるって分かったな?)
(ああ、憤怒の土下座を見て、心から謝罪していないと感じたんだ。土下座については、僕にも一家言があるからな)
土下座する憤怒を見た時、ヒロはその姿に違和感を感じエルビスに注意を促していた。
ヒロが感じた違和感……それはあまりにも綺麗すぎる憤怒の土下座にあった。謝罪の声を上げながらも震えひとつない声と、恐怖に駆られての謝罪なのに微動だにしない土下座……なによりも、まったく魂が込められていない形ばかりの土下座に、ヒロは怒りすら覚えていた。
それは幾多の謝罪と土下座の果てに辿り着いた、土下座マスターであるヒロにしか分からない違和感だった。
土下座とは、本来は目上の人や神様を極度に敬う『畏敬(いけい)』の表現する最高度の敬意を表す礼法としてヒロの元いた世界で使われていた。
土下座の歴史は古く、日本と呼ばれた国では中国の歴史書『三国志』魏志倭人伝の中で、邪馬台国の風習として平民が貴人に道端で出会うと平伏し柏手を打ち敬意を表していたと記載がある。
相手に最高度の敬意を示す礼法が、『謝罪』や『お願い(許しを請う)』の表現として一般大衆に広まったのは、第一次世界大戦と呼ばれる大きな戦争が終わった頃といわれている。
昭和と呼ばれる初期の時代に随筆で確認され、その後、小説や時代劇などの大衆娯楽を通じて、土下座は『畏敬の念』から、『謝罪』や『お願い(許しを請う)』の意味を表す言葉に変わったといわれ、一説には大人気テレビドラマ『水戸黒門』の影響により、一気に土下座が浸透したともいわれている。
土下座とは自らが犯した罪を認め、誠意を持って謝罪やお願いをする行為であり、ある種の色が見えるものだが憤怒の土下座はあまりにも透明過ぎた。
(あれだけ怯えた土下座なのに、憤怒の土下座には色がなさすぎて何か企んでいるのがバレバレだった)
(色?)
(ああ、色というか……魂かな? 心からの謝罪なら必ず込められているはずの魂が僕には全く感じられなかった。普通なら分からないだろうが……命賭けの土下座で幾度となく窮地を脱してきた僕を相手に、偽りの土下座なんか通用しない!)
(命賭けの土下座って……どんだけ謝ってきたんだよ?)
自信満々に言い放つヒロに、エルビスが呆れていた。
(まあ、おかげで憤怒の坊やの真意を暴き出せたから良しとするか……おっと、逃がすか)
左足の膝から下をなくした憤怒が、四つん這いになりながら逃げようと背中を見せた瞬間、エルビスが再び手刀を振るいオーラを飛ばす。
憤怒にオーラが撃ち込まれると激痛がその背に走り、そのまま地べたをのたうち回る。
「グアァァァッ! な、なぜだ! なぜ我の【絶対防御】が⁈」
(絶対防御? 神が作った理がある限り、この世に絶対なんて存在する訳がないのに……馬鹿だな~)
(神が作った理?)
(そそ、このガイヤの世界では、心の強さが現実に反映されるのさ。こうありたい、こうしたいと心に描いたイメージが世界に認められれば、それが現実になるってわけ)
(イメージが現実に……そんな事が誰にでもできるのか?)
(いいや、普通の奴には無理だぞ。誰にでも出来たりしたら、世界がメチャクチャになっちまう。最低限として、S領域にアクセスできる者か……もしくは果てしなく純真なバカな奴かだな)
そう語るエルビスの声は心なしか寂しげだった。
(エルビス?)
(まあ、ようはこのガイヤではイメージを具現化できる程の強い意志と、その思いを信じて疑わない強固なイメージがオーラとなって世界に作用すると思えばいい。いくら憤怒の坊やが絶対防御とかいって無敵を気取っても、オレがガキの考えた幼稚な技と思い描きながら坊やの思いを上回った結果……世界の理が上書きされて、絶対でなくなったわけだ)
(理の上書き……)
(【絶対防御】スキルなんて、ビビりの坊やらしいスキルだろ? オーラが使えない格下相手になら、たしかに無敵だろう……だが、オレには意味はないぞ!)
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ! 止めてくれぇぇ!」
エルビスが次々と手刀を振るう度に、体を形作る触手が切り削られボロボロにされていく憤怒……止まらない攻撃とその痛みから、半狂乱になり叫び出していた。
(ちょっと待て、エルビスやり過ぎだ。憤怒の中には依り代にされたオークがいるんだ)
(わかってるって……S領域でヒロの記憶を見た時に大体の事情は把握している。ヒロが坊やを倒したあとにやろうとしていることも全部な……だから依り代にされたアリアってオークの体にも傷ひとつ付けてないぞ)
(そうなのか……助かる)
(な~に、これから憤怒の坊やが驚愕して悔しがる姿が見られると思えばお安い御用さ。そらそら! まずは触手を丸刈りにしてやる)
止まらないエルビスの攻撃を憤怒はなす術もなく受け続け、体を覆う触手が次々と削り飛ばされていく。
「止め……てくれ……」
攻撃の度に走る激痛に、憤怒はついに声すら上げる事が出来なくなり無言で触手を削られ続ける……ついに体を形作る触手が全て消滅すると、その下からオークヒーローの妻、アリアの姿が現れた。
「……」
(こんなもんかな? 触手はあらかた削り飛ばした。再生できないようにしたから、もう手も足も出せないはずだ。さて、じゃあ仕上げといこうか……さぞ、坊やは悔しがることだろうよ。クックックックッ)
そう、エルビスが愉快そうに笑っていた時だった。
【システムを再起動しました。対象者、本上 英雄……ブレイブシステムからのデータ書き換え中のエラーを確認。これにより現在ステータスバグが発生中……最終バックアップからの復元を実行します。……復元終了までの時間、残り30秒……】
(え? ……システムが再起動? ステータスバグの復元を開始?)
(マズイ!)
突如、ヒロの頭の中に無機質なシステムの音声が響き渡ると……。
【システムより警告、対象者 本上 英雄のステータスバグ修復中に異なる魂の存在を確認……現状確認のため、ステータススキャン並びにソウルスキャンを実行】
名榊燕縲?譛ャ神翫??雄ア
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職業?プロー繝ゥ繝槭?
レャ繝吶Ν縲???3
?ィPー??80/400??220?
Mュ?ー??00/350??220?
筋力??06 ??220?
菴灘鴨??26 ??220?
謨乗差??06 ??220?
知幢シ?26 ??220?
器用?16 ??220?
蟷ク運シ?91 ??220?
蝗コ有スュ繝ォ デ?ヰッ?け LV 2
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B縲?す繝・ LV 5
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オート繝医?繝ピン繧ー LV 2
繝イブ、繝 LV 1
繧ウ繝ウ繝医ローラー LV 2
不死魑のョ鬲
ラプラスの魔眼 LV 1
ハイパースレッディング LV 1
デコイ LV 1 New
所ュスキ縲 螂ウ逾の絆 LV2
女神の?逾晉ヲ 縲呪い縺??銑V 10
霄ォ菴操作 LV 5
剣」陦 LV 4
投擲憧陦 LV 3
豌鈴?察知 LV 3
空間髢?捺 LV 3
隕句?り LV 3
回樣∩ LV 3
【個体識別コード『絶望』のロストスキル【魔眼ラプラス】と未知のスキルを確認……警告、一個体の中に二つの異なる魂の存在を確認。消去許可をメインシステムに申請……】
(ヤバい! ヒロの中にオレがいるのがシステムにバレた⁈)
(それって、何か問題があるのか?)
(このガイヤでは、ひとつの肉体にはひとつの魂が原則なんだ。ソウルスキャンなんて滅多にされないから、大丈夫だとタカを括っていたけど……マズイ! このままだとオレの魂が消去される)
エルビスの切迫した声に、ヒロはかなりマズイ状況にあると感じていた。
(消去をやり過ごす手はないのか⁈)
(ん~、無いこともないが……)
(手があるのか?)
(ああ、一時的にオレの魂をS領域に退避させて、システムの消去をやり過ごせれば……)
(なら、急いで魂を退避しろよ)
(だけどそれをしたら、ヒロ……お前は一人で憤怒と戦う事になるんだぞ? オーラで無理やり体を支えて、やっと立ち上がっている状態なのに……オレがいなくなったら、どうやって憤怒と戦うんだ?)
【メインシステムより、消去許可を確認。消去を実行します。実行まで開始まで、10、9……】
(僕に構うな、憤怒はこっちでなんとかする、行けエルビス!)
(……マーカーをヒロの魂に打ち込んでおく。これで次にS領域に来れば、すぐに出会えるようになる。ヒロ生き延びてくれよ。お前が死んじまったら、また俺様はS領域で一人ぼっちになっちまうからさ、だから死ぬなよ)
(ああ、僕は死ぬつもりなんかない)
(その意気だ。じゃあまた会おう。コマンド実行『シフト』!)
エルビスの声が頭の中に大きく響くと……次の瞬間、心の中にポッカリと穴が空いたような消失感を覚えると、体を覆っていたエルビスのオーラもまた消え去っていた。
急に体の支えを失い、その場に片膝をつくと動けなくなってしまうヒロ……エルビスのオーラにより、傷付いた体は幾分か回復はしていたが、まだ満足に戦えるまでに回復はしていなかった。
【……消去終了。再度ソウルスキャンを実行……対象者 本上 英雄以外の魂の存在は認められません。ステータスの復元が完了しました。ステータスチェック……】
名前 本上 英雄
性別 男
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職業 プログラマー
レベル :23
HP: 90/400(+220)
MP:100/350(+220)
筋力:306 (+220)
体力:326 (+220)
敏捷:306 (+220)
知力:326 (+220)
器用:316 (+220)
幸運:291 (+220)
固有スキル デバック LV 2
言語習得 LV 2
Bダッシュ LV 5
2段ジャンプ LV 4
溜め攻撃 LV 5
オートマッピング LV 2
ブレイブ LV 1
コントローラー LV 2
不死鳥の魂
ラプラスの魔眼
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所持スキル 女神の絆 LV 2
女神の祝福 【呪い】LV 10
災厄の縁 ★ New
身体操作 LV 5
剣術 LV 4
投擲術 LV 3
気配察知 LV 3
空間把握 LV 3
見切り LV 3
回避 LV 3
【……ステータスに問題なし。通常モードに移行します】
システム音声が、問題なくステータスの書き換えが終了したことを告げる。
ヒロが傷付いた体をすぐにでも立たせようとするが……力が思うように入らない。
「クソ! やはりまだ体がまともに動かない。この状態で戦えるのか⁈」
体に鞭打ち、無理やりにでも体を立たそうとするヒロだったが……。
「フッハッハッハッハッ! 消えた……エルビスのオーラが消えた! なぜかわからんが奴の気配も……ならば、もうお前なぞ恐れる必要はない。お前の仲間と同様にあの世に送ってやる!」
憤怒の声にヒロが顔を上げると……いつの間にか小柄な体のオークが目の前に立ち、勝ち誇った表情を浮かべてヒロを見下ろしていた。
〈希望が潰えた時、ヒロの命もまた……潰えようとしていた!〉
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とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
凡人がおまけ召喚されてしまった件
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勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
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無能なので辞めさせていただきます!
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