勇者ですか? いいえ……バグキャラです! 〜廃ゲーマーの異世界奮闘記! デバッグスキルで人生がバグッた仲間と世界をぶっ壊せ!〜

空クジラ

文字の大きさ
上 下
159 / 226
第14章 勇者と魔王降臨編

第159話 勇者と諦めない心

しおりを挟む
 「リーシア……」

「……」

 コントローラースキルのタイムリミットが過ぎ、合体が解けてしまったヒロとリーシア……最終奥義【神威滅却】を放つため、HPと体力を使い果たしてしまい、コントローラーコネクトが解けることで、残りHPと体力が分割され二人は瀕死の状態になっていた。
 
 フラフラの状態で立ち上がったヒロが、返事のないリーシアを見ると、そこには聖女モード時に受けた憤怒の攻撃で脇腹を刺し貫かれ、血を流し倒れた少女の姿があった。

 辛うじて意識があるヒロは、リーシアの傷を押さえながら、腰に差した回復ポーションを傷口に振り掛ける。

「グゥッ!」

 回復の痛みに声を上げるリーシア……一本目のポーションを傷口に流し込むと、リーシアが痛みで意識が覚醒する。

「ヒロ……イツツ……脇腹が痛いです。我ながら無茶をしました」

「リーシア、ポーションを飲んでください」

 すぐに二本目を取り出したヒロは、瓶の蓋を開けて手渡そうとするが、リーシアは指一本動かすことができず、受け取れなかった。

「すみません。体が思うように動かせなくて、飲ませてもらえると助かります」

「……分かりました」

 ヒロがリーシア頭を優しく抱き少し頭を上げてポーションが飲ませやすい姿勢にする。

 リーシアはポーション瓶の口を、自分の口につけて飲ませてくれるのだと想像して待っていると、ヒロがおもむろにポーション瓶の中身を自分の口に含み……。

「ちょっ! ヒロ!」

 そのまま口づけを交わし、ポーションをリーシアに飲ませていく。

 コクンコクンと目をつぶり、ポーションを飲むリーシア……ポーションを飲み終わっても二人はしばらく口を離せないでいた。
  
 そしてどちらからと知れず唇を離すと、二人は見つめ合っていた。

「ヒロ……ポーションを飲ますのに口移しはどうかと」

「え? だ、だめでしたか?」

「え~と、意識がない相手なら仕方がないですが、相手の意識があるのに、確認せずにやったら犯罪ですよ?」

「ええ! す、すみません。リーシアが心配で……嫌でしたか?」

「……嫌じゃありませんよ。フフ♪」

 リーシアが嬉しそうに笑い、ヒロに笑顔を向けていた。

 先にリーシアへポーションを飲ませたヒロは、自らも回復すべく三本目のポーションを飲みながら、二人とは離れた場所に、うずくまる小さなオークの子供を見ていた。

 距離があるため、生きているのか……はたまた死んでいるのかの判別がつかない。
 
 肩から生やしていた触手の姿は見えず、ピクリとも動かない……少なくとも覇神六王流最終奥義『神威滅却』を受けている以上、無傷ではないようだ。

 ヒロはふと、オートマッピングスキルの簡易マップ画面を覗くと、青と赤……自分のすぐ近くで表示される、二つの光点の輝きを見た。
 青は当然隣で横たわるリーシア。そして赤い光点……それは憤怒がまだ生きており、シーザーに取り憑いている事を物語っていた。

「ヒロ……憤怒は?」

「生きてますね。僕の簡易マップの光点が赤く光ったままです。距離があるので気絶しているのか……それとも回復するために気絶したフリをしているのかもしれません」

 簡易マップをチラ見しながら、倒れた憤怒の様子をヒロが見ていると、森の方から新たなる青い光点が二つ現れた。

「ん? 森の方から誰か来ます」

「ナターシャさん達ですか?」

「青い光点だから、おそらく会ったことがある味方のはずですが……」

 ヒロが視界に映る簡易MAPに指で触れ、メニュー画面から現れた光点が誰なのかを確かめてみると……。

「これは、アリアさんとムラクさんです!」

「え? なんで二人が……まさかシーザー君を追って⁈」

 シーザーの母アリアと影の薄い若手No.1戦士ムラク……二人がすぐそばにまでシーザーを追って来ていた。

「おそらくは……これは想定外です。二人がここに到着するまでに決着をつけなくては」

「ヒロ、急ぎましょう! 痛っ……」

 リーシアが動かない体に力を入れ無理に立ち上がろうとするが、脇腹に開けられた穴の痛みに顔を歪め、動きを止めていた。

「リーシアはそのままで、憤怒は僕がやります」

 ヒロはフラつきながらも立ち上がり、背中に背負うミスリルロングソードを引き抜くと、傍に横たわるリーシアの顔を覗く。

「リーシア、そこに居てください」

 ヒロが決意の顔で女を見つめ、リーシアも男に全てを託しうなずいていた。

「ヒロ……気をつけて」

 動かぬ体で少女がヒロを見送ると、ヒロは闘気を体にまとい、ゆっくりとした足取りで憤怒に向かって歩き出した。

(さて、ここまでは多少段取りが狂いましたが、ほぼ計画通りです。あとは最後の仕上げですが……アリアさんとムラクさんの登場が、僕の描いたシナリオにどう絡んで来るかが気掛かりです。下手をしたらバッドエンドへまっしぐらの可能性もあります)

 腰に刺した最後のダガーに溜めチャージを行い、ゆっくりと警戒しながらヒロが憤怒に近づく。

(二人がここに到着する前までに全てを終わらせなくては……自分の息子が死ぬ姿を母親に見せるわけにはいきません)

 ピクリとも動かない憤怒……顔を伏せて倒れているため、表情も読み取れない。ヒロはさらに警戒を高めジリジリと距離を詰める……そしてあと2メートルの位置にまで近づいた途端、ガバッと立ち上がり憤怒がヒロに飛び掛かろうとした!

 予想通りの展開に、ヒロは冷静に腰に置いていた手で素早くダガーを抜くと、銀光が飛びあがろうとした憤怒の軌道に投げ込まれ、一条の光が草原にきらめいた!

 だが……一瞬の動きに反応した憤怒は、ヒロに跳び掛かるのをめ、横に跳び転がりギリギリのタイミングで銀光を避ける。
 
 地面に銀光が突き刺さり、ヒロの攻撃が空振りに終わる。

「やはり気絶したフリをしていましたか」

「クソッ! 人如きがぁぁぁぁ!」

 シーザーの体を乗っ取った憤怒がヨタヨタと立ち上がり、目の前にいる者を忌々しい瞳で睨みつけていた。

「憤怒、お得意の触手で攻撃して来ないとこを見ると、どうやら、もう力を使い果たしたようですね」

 ヒロが弓を引くが如く左足を前に出し半身で剣を構える。右手で切先に近い峰を持ち左手を剣の柄に添えると、そのまま顔の横にまで手を上げる。
 そして顔の横から伸びた剣身が、まっすぐに憤怒へと向けられる。

 剣を突き出すのに特化させた構え……ヒロの世界で言うならば、霞の構えと呼ばれるものに近く、相手の喉元を突くか、半身を返して切り込むのに適した構えだった

 再び溜めチャージを始めたヒロが、構えを崩さずに憤怒を見下ろす。

「邪魔をするな! 貴様ら人は滅ばなければならない。お前たちの存在が母を苦しめる!」

「母? 人がお前の母親に何かしたと言うことですか?」

「黙れ! 人が母を思うことすら許せん! 滅びよ! 人は全てこの大地から滅び去れ! お前らは滅びねばならぬ! 一人残らず滅びるがいい!」

 怒りに瞳を赤く染め上げる憤怒が、全てを憎む苦しみの表情でヒロを睨んでいた。
 そして憤怒の怒りに燃える瞳から一筋の涙が流れた。

「憤怒……おまえは……そこまでして母親を」

「死ね!」

 ヒロが憤怒の流した涙に躊躇ちゅうちょを見せた時、その隙を突いて肩から触手を一瞬で生やした憤怒が跳び掛かってきた。

 最後の力を振り絞り、ヒロを殺そうと憎しみに染め上げた一撃がヒロを襲う!

「それも予想通りです!」

 その言葉と共に、ヒロはあらかじめ練り上げていた闘気を流し込む。ヒロの手首から伸びる……細く見えない魔力の糸でつながった地面に突き刺さり、溜めチャージが終了したダガーへと!

「なにっ!」

 巻き起こる大爆発! 

 憤怒に向かって近づく前から、すでにヒロの策は練り終わっていた。

 投擲したダガーが避けられるのを想定し、魔力の糸を予めダガーとつなげておいた。そして憤怒に悟られぬよう、話し掛けながら溜めチャージを行い、爆発の機会をうかがっていたのだ。
 
 後ろで突如巻き起こった爆発に押し出され、憤怒がバランスを崩しながら前方へと吹き飛ばされる……霞の構えを取るヒロの方へと!

「これで終わりです!」

 突き出されるミスリルロングソード!

 だが……想定よりも早い速度で迫る憤怒に、ヒロの攻撃が一瞬遅れてしまった。突き出した剣がシーザーの小さな体を貫けず、脇腹を掠めて浅い傷を作る。

 痛恨のミス……経験の浅いヒロは、爆発により憤怒に隙を作ったが、爆風による加速が計算に入っていなかった。
 そして憤怒の攻撃が、ヒロを狙ったものではなかったことも……イレギュラーな要素が重なり攻撃を外してしまう。

 攻撃が避けられ、憤怒がヒロの横を通り抜けた時、その顔が笑っていたのをヒロは見逃さなかった。

「まさか! 待て!」

 突き出した剣を水平に振るうが、後ろに跳び去る憤怒を捉えられず、剣は虚しく空を切る。

 攻撃を回避した憤怒は、着地と同時に走り出していた。
 後ろにいるヒロなど振り返らず、憎い人を一人でも殺すために……悔しがり悲しみの表情を浮かべるヒロの顔を見るために……体を動かせないまま横たわるリーシアに向かって憤怒は走っていた。

「な! リーシア!」

「こ、これはちょっとまずいです。体が……ヒロ!」

 今だ回復できず、体が動かせないリーシアに憤怒の迫る!

 ヒロが脳内のスイッチを入れ、スローモーションの世界に入り込み思考する。

(奴の狙いは最初からリーシアだったのか! クソッ! 今、リーシアは自力で動けない。僕が何とかしないと! Bダッシュではもう追いつけない。投擲武器ならギリギリ間に合いそうだが、ダガーはさっき使い切った。よしんばあったとしても、溜めチャージがされていなければ憤怒は止められない)

「死ぬがいい! そして後悔の念に苦しめ!」

 憤怒が肩から生やした触手を振り被る。

(何かないのか⁈ 何か憤怒を止められる攻撃は! 何でもいい! 何でも! 投擲武器があれば、投擲武器が……武器? ……そうか! あるじゃないか! 投擲スキルは別に投擲武器がなければ使えないスキルじゃない!)

「させるか! パワースロー!」

 ヒロが手に持つ剣を振りかぶると、渾身の力を持って憤怒の投げつけた! 

 投擲スキルが発動し、命中率、威力、射程を上げたミスリルロングソードが憤怒の背中に放たれる! 凄まじい勢いで放たれた剣は、さながら回転する電動丸ノコのように新円を描き、憤怒の背中に猛烈な勢いで襲い掛かる。

 憤怒が背中から迫り来る攻撃を察知すると、リーシアに振り下ろす触手を、剣に振り下ろしていた!
 
 次の瞬間、触手と剣が宙を舞った!
 
 触手を切り裂くことには成功したが、剣の勢いはそこで終わり、触手と剣が地面に落ちて行く。
 間一髪、憤怒の攻撃を退けたと安堵するヒロ……だがそれは早計だった。

 触手を切り落とされた憤怒が、リーシアの体を素手で差し貫こうと、貫手で振り被る。
 右腕の紋章から凶々しいオーラが噴き出し、憤怒の体を覆っていた。
 人の体など、簡単に差し貫く凶々しいオーラに包まれた貫手がリーシアに放たれる。

「ヒロ!」

「Bダッシュ!」

「滅びよ!」

 もはや間に合わない……無駄だと分かっていてもヒロは動いていた。今、Bダッシュを使っても、憤怒の攻撃は確実にリーシアの体を貫く。体が動かないリーシアでは攻撃を避ける事もできない。

 もはや打つ手なしの状況において、ヒロは足掻いていた……最後の一瞬までも諦めない。どんなむずゲーも諦めずクリアーしてきたゲーマーの矜持プライドが、彼を突き動かす。

 この世にクリアーできないゲームなどない。だから諦めるなと……ゲームオーバーの文字は諦めた者の心に表示されるものだと! 彼の心が叫んでいた! 僕の魂にゲームオーバーの文字はなんてない!

「諦めてたまるかあぁぁっ!」

 ヒロの叫びが草原に響いた時、どこからともなく闘気をまとった槍が憤怒に向かって投げられた!

【シークレットスキルのロック条件が解除されました。ユニークスキル『ブレイブ』を発動します】

〈希望の諦めない心が、奇跡と勇気を呼び起こす!〉
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~

月見酒
ファンタジー
高校に入ってから距離を置いていた幼馴染4人と3年ぶりに下校することになった主人公、朝霧和也たち5人は、突然異世界へと転移してしまった。 目が覚め、目の前に立つ王女が泣きながら頼み込んできた。 「どうか、この世界を救ってください、勇者様!」 突然のことに混乱するなか、正義感の強い和也の幼馴染4人は勇者として魔王を倒すことに。 和也も言い返せないまま、勇者として頑張ることに。 訓練でゴブリン討伐していた勇者たちだったがアクシデントが起き幼馴染をかばった和也は命を落としてしまう。 「俺の人生も……これで終わり……か。せめて……エルフとダークエルフに会ってみたかったな……」 だが気がつけば、和也は転生していた。元いた世界で大人気だったゲームのアバターの姿で!? ================================================ 一巻発売中です。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...