勇者ですか? いいえ……バグキャラです! 〜廃ゲーマーの異世界奮闘記! デバッグスキルで人生がバグッた仲間と世界をぶっ壊せ!〜

空クジラ

文字の大きさ
上 下
124 / 226
第12章 勇者とエクソダス編

第124話 廃神女神の人生勉強!

しおりを挟む
「馬鹿な……ワシが……ワシが破れるいうのか?」

「ふん、お主は……少し生き急ぎ過ぎなのじゃよ」

 憂いた目で老婆が老人を諭す。

「なんだと?」

「お主がやろうとしている事は善なのだろうさ。だがな、やり方が間違っておるのじゃ……その善なる願いを急ぐあまり、悪となっていては本末転倒じゃよ!」

 老婆は呆れながら、老人に言い放った。

「馬鹿な! ワシは皆のため、世界をより良くするために……もうワシには時間がないのだよ! 世界はひとつにならねばならん! それには絶対の強さが必要なのだ!」

 老人は自分以外の人が、幸せに生きられる世界を夢見ていた。

「じゃから、お主はソレを作ったのか?」

「そうだ。あらゆる武芸、武術の達人の技と経験をコピーした、このヒューマノイドマシーン『デュアル』……誰も逆らえない強さを持つこのデュアルの元で、人は管理運営されてこそ、未来永劫幸せな時を過ごせるのに……なぜ、それが分からんアキコ!」

 猛る老人に、アキコは憐みの目を向けた。

「だがその人形も、人の想いの前に破れ去ったようじゃな」

 デュアルを倒すため、犠牲になった仲間たち(平均年齢65歳)の亡骸を、老婆は哀しみの目で見ていた。

「アキコ、お前さえ、お前さえいなければ!」

「ジーさん。お主の想いは分からなくはない。じゃがな……自分の幸せが他人の幸せとは言えんのじゃよ。幸せとは千差万別、100の人が居れば100の幸せがあって然るべきなのじゃ」

 ハンマーで殴られたかのような衝撃が、ジーさんを襲う。

「ワシが……ワシが間違っていたと言うのか?」

「人生とは何を成したかではない、どうして成そうとしたかじゃよ」

「……フッフッフッ、アキコよ。60を過ぎて教えられたよ。生き急いでいたか……確かに死を前にしてワシは焦ってしまっていたのかもしれん」

 何か吹っ切れたジーさん……その顔は清々しかった。

「じーさん……人生は長い。まだいくらでも、やり直しはできるはずじゃ」

 アキコはジーさんの目を見て、その手を差し出す。和解の握手……だがジーさんはその手を取るのを躊躇ちゅうちょしていた。

「アキコ……ワシはまだ、やり直せるのだろうか?」

 自信なさげなジーさんの問いに、アキコは満遍の笑みで、その手を握り言い放つ!

「まだ60の若造が何を言っておる。そんな言葉を吐くのは……10年早いんじゃよ!」

 
「アキコさん最高です!」

「すごいアキコさん!」

 そこは天界にある女神セレスのプライベートルーム。部屋の中でクッションに座り、モニター画面に向かって拍手喝采する女神たちの姿がそこにあった。

 ゲーム廃神と化しつつある神界の実質トップ、大地の女神セレス。

 最近セレスのそば付きとして抜擢された、見習い女神のニーナ。

 二人の女神がモニターの前で、釘付けになっていた。
  
「ばーちゃんファイター、コレは神です! 戦いの中に哲学を盛り込んだ神ゲーです!」

「アキコさん、カッコいい! 私こんな老婆になりたいです!」

 二人が狂喜乱舞して讃えるのは、サガパターンが誇る3D対戦格闘ゲームの元祖、『ばーちゃんファイター』だった!
 
 
 ばーちゃんファイター……世界初の3D対戦格闘ゲームとして、2D対戦格闘ゲームが主流の時代に、忽然と現れた巨星である。

 当初は地味なグラフィックと1Pry\200が災いし、人気は低迷していたが……その奥深いシステムに魅了されたゲーマー達の間で、ジワリジワリと人気を上げ、その名を格闘ゲームの歴史に残す程にまで至った伝説である!

 八極拳の使い手アキコさん(62歳)を主人公に、最強の座を目指し戦うこのゲーム最大の特徴は、ポリゴンによる3Dで表現されたリアルな動きだった。既存の2D対戦型格闘ゲームとは異なる操作性と演出で一世を風靡ふうびしたのだ。
 
 名機ギガドライブの後継機、サガパターンのキラータイトルとして発売されたこのゲーム……コアな信者を有するSAGAファンの絶大な支持を得て売れに売れた!

 数定販売本数71万本、続くグラフィックが大幅に向上したばーちゃんファイター2は、130万本と破竹の勢いで対戦型格闘ゲーム業界を席巻した。

 派手な技が売りの2D対戦格闘ゲームに比べ、ばーちゃんファイターはパッと見、地味な見た目だったが、それはリアルな動きを追求した結果だった。

 3Dを生かした位置関係やパースの正確さ、モーションの動きで魅力を引き出し、既存の2D対戦格闘ゲームとの差別化を計る事に成功したのだ。

 ゲームシステムは6個ボタンが主流だった格闘ゲーム業界において、パンチ、キック、ガードという3個ボタンを採用することで、打撃・投げ・ガードのシンプルな三すくみの攻防が確立され……戦いの駆け引きとシンプルでありながら、より深い戦略が立てられる玄人好みのゲームへと仕上がっている。
 
 主人公であるアキコさん(62歳)の決め台詞、『10年早いんじゃよ!』は、あまりにも有名であり、格闘ゲームをやった事がない人でも、一度は聞いたことがあるだろう。62年と言う歳月がもたらした言葉の重みに、誰もが納得の決め台詞である。

 60歳を超える高齢キャラクター達が織りなす、人生を賭けた戦い……3D対戦格闘ゲームの元祖、それが『ばーちゃんファイター』だ!


「アキコさん……長い時を生きたからこそ言える、その言葉の重み、勉強になります」

「セレス様、私アキコさんみたいな女神になれるよう、頑張ります!」

「それは良いです。私もアキコさんを見習わなければいけませんね。何を成したかではない、どうして成そうとしたか……この言葉は深いです!」

「セレス様、早く対戦モードで遊びましょう! 私も早くやりたいです!」

「分かっています。ちょうど今、もう1台のばーちゃんスティックの作成が終わりましたから、一緒に遊びましょう!」

 セレスが両手を上に向けて目を閉じると、手の上に、光る魔法陣が描かれ、その中からジョイスティックが浮かび上がる。

 横幅738mm、縦幅230mmと、かなり巨大なジョイスティックが現れ、セレスはあまりの大きさに取り落としそうになる。

「ヒャア! あ、危なかったです。せっかく作ったジョイスティックを落として壊すとこでした!」

「セレス様、お気を付けてください。神気も節約せねばですから」

「分かっています。ようやくニューハードの作成に目処めどがついたのですから……できるだけ節約して、まだ見ぬゲームソフトの作成も急がねばなりません」

 セレスはなんと、ヒロのために作る予定だったギガドライブを作らずに、次なるニューハードの作成に着手していた。
 足りない神気を、ニーナの神器を作るために溜め込んだ……莫大な神気を使って!

 『世界のため』、その一言を免罪符に、セレスは廃神女神の道を突っ走っていた!
 止まらない加速に快感すら覚え、アクセル全開のセレスは、今日もゲーマーの道を爆走する。

「早く、他のソフトで遊びたいです。ところで、このジョイスティック大きいですね」

「はい。ヒロ様の記憶にある風景から再現しましたが、ヒロ様はコレを一人で操って、対人戦の修行をしていました。元々は二人で遊ぶ拡張機器で、『ばーちゃんスティクPRO』と言うらしいです」


 ばーちゃんスティクPRO……ゲームセンターに置いてあるばーちゃんファイターと、同じ環境を自宅で再現できる夢の拡張機器である。

 特出すべきはその大きさである……横に並んで2プレイ対戦するため、ジョイスティックとボタンが二つずつ並んでいるのだ。

 ゲームセンターと同じ感覚で遊べるばーちゃんスティクPROは、コアなゲーマーを中心に売れた!

 当時のサガパターンの販売価格が\44800に対して、ばーちゃんスティクPROは\24800……サガ信者達の信仰度を試される拡張機器、それが『ばーちゃんスティクPRO』だ!


「セレス様、これを一人で……どうやってですか?」

「寝っ転がって、両手と両足で2プレイしていました……」

 ヒロの名誉のために補足しておく! 決して友達が居ないわけでも、遊ぶ相手が居ないわけではない!
 真のゲーマーとは孤高……人知れず鍛錬に励む姿こそが、美徳なのだ!

「勇者様って器用なんですね!」

「ええ、動きが若干気持ち悪かったですが、器用に一人で対戦してました。さあ! 私たちも対戦しましょう!」

「はい! 私アキコさんを使いたいです!」

「いいですよ。じゃあ私はこっちの忍者なる格好のシャドー丸を使いますよ」

 和気あいあいと、ばーちゃんスティクPROのコネクターをサガパターンに差し込むセレス。

 サガパターン……株式会社サガエンタープライズが世に解き放った次世代32bitゲーム機である。

 3Dポリゴン機能を持つが、最強の2D機能を有するモンスターマシン、それがサガパターンだった。

 サガパターンは、高性能のCPUと2Dスプライト機能により、格闘ゲームやシューティングゲームといったジャンルを得意とする本体ハードだった。

 とくに業務用ゲーム筐体からの移植に強いサガパターンは、ゲームセンターにたむろするゲーマー達を取り込み、コアな信者を抱えるサガ信者に合流させる事で、さらなる勢力拡大に成功した話は有名である。
 
 だが、このサガパターンの発売が、株式会社サガ崩壊の引き金を引く事になろうとは……当時の関係者は誰も想像がつかなかったのである。
 
 ライバル機とシノギを削るハードウエア戦争で、サガパターンは構成パーツの多さから、思うように価格が下がらず……逆に構造が安易なライバル機は、大量生産によるプライスダウンに踏みきられ、大きく水を開けられてしまった。
 
 下がり続けるライバル機の価格に、赤字覚悟の価格対抗で迎え撃つサガパターン……それがトドメとなった。

 売れば売るほど赤字が計上され利益が出せない。
 価格を下げたにもかかわらず、ライバル機のさらなるプライスダウンに販売台数が伸び悩んだ。

 当然、ハードが売れなければソフトも売れない……ゲーム制作会社もソフト開発を考えねばならず、数多くの会社がサガパターンでのゲーム発売を諦めねばならなかった。

 日本国内では販売台数580万台、世界合計で900万台と予想を下回る販売台数に関係者は頭を抱えた。旧ハードであるキガドライブが、全世界3075万台売り上げた事を考えれば。察する人も多いだろう。

 ハードが売れない原因……それはギガドライブで大人気だったゾニッグ・ザ・ホッドドックの続編を出さなかった事も起因している。

 ギガドライブのキラータイトルが、後継機のサガパターンで発売されないなんて、だれが予想しただろうか……しかも、海外でもっとも人気が高いゾニッグがである!

 日本では売れたサガパターンは、このせいで海外ではサッパリ売れず、散々な結果を出すことになる。

 そしてこれが、株式会社サガの転落へとつながるのであった。

 最強の2D性能を持ちながら価格競争に敗れた不遇のハード……それが『サガパターン』だ!
 

「しかしヒロ様のために、もう1台ギガドライブを作ろうとしましたが、サガパターンを作って正解でした」

「セレス様、こっちのが対戦出来るゲームが多くて、二人で遊ぶには最適ですね。英断でした」

 ニーナ褒められ、ドヤ顔のセレス!

「ニーナ、あなたの神気は無駄にはしません! 世界を救うため、大事に使わせてもらます」

「はい! 私の神気がガイヤを救う手立てになるなら、本望です」

「良くぞ言ってくれましたニーナ……あなたの献身を私は絶対に忘れませんよ。ありがとう」

 ニーナの肩に優しく手を置き、礼を述べるセレス。

(この子の莫大な神気があれば、まだ見ぬハードを開発できます。フッフッフッフッ。ニーナ、あなたの神気……全てハード開発のために搾り取らせてもらいますよ)

「どうしましたかセレス様?」

 黒い感情がセレスの心に闇を落とし、その顔を一瞬暗くする。
 だがニーナの声にすぐに笑顔を作り、その本心を悟らせぬよう取り繕っていた。

「な、なんでもありませんよ。さあニーナ、ばーちゃんファイターやりましょう。今夜も徹夜です!」

「はい、セレス様! 五徹でも六徹でも世界のため、お付き合い致します」

 公務の仕事以外は、全てをゲームに捧げるセレス……ゲームに出会ってからというもの、徹夜が続きすでに7日も寝ていない。
 女神故、寝なくてもどうとでもなるが、目の下にできた深いクマは、セレスの美貌に影を落とし始めていた。

「さあ! 朝までに300戦はしますからね♪」

「お供します。セレス様!」

 二人の女神は、いつ終わるともしれない戦いのロンドへと、その身を投じるのであった。

 だがこの時、女神セレスは思いもしなかった……自分の行いが、株式会社サガと同じような運命を辿ることになろうとは、夢にも思わないのだった。
 


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「…………な、なんだこれは!」

 オーク討伐隊指揮官、ドワルドがそれを見た時、驚愕で言葉を失っていた。

「どう言う事? こんな砦を作るくらいオーク達の知能は高いというの? ありないわ!」

 それ見たナターシャも、その異質な光景に驚きを隠せないでいた。

 アルム町の南に広がる豊かな森、町から遠く離れたその場所に、突如として砦が現れたのである。

 高い岩壁と水が満たされた幅広の堀り。およそこんな深い森の中には似つかわしくない……堅牢な砦がオーク討伐隊の前に現れたのである!

〈希望のやらかしが、オーク討伐隊に絶望を植え付けた!〉
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~

月見酒
ファンタジー
高校に入ってから距離を置いていた幼馴染4人と3年ぶりに下校することになった主人公、朝霧和也たち5人は、突然異世界へと転移してしまった。 目が覚め、目の前に立つ王女が泣きながら頼み込んできた。 「どうか、この世界を救ってください、勇者様!」 突然のことに混乱するなか、正義感の強い和也の幼馴染4人は勇者として魔王を倒すことに。 和也も言い返せないまま、勇者として頑張ることに。 訓練でゴブリン討伐していた勇者たちだったがアクシデントが起き幼馴染をかばった和也は命を落としてしまう。 「俺の人生も……これで終わり……か。せめて……エルフとダークエルフに会ってみたかったな……」 だが気がつけば、和也は転生していた。元いた世界で大人気だったゲームのアバターの姿で!? ================================================ 一巻発売中です。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...