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第12章 勇者とエクソダス編
第123話 輝け勇者!
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『僕とリーシアはオーク村のどこかにある洞窟に閉じ込められています。見張りのオークの姿が見当たりません。さっきまでオーク同士の争う声が聞こえていましたが、今は不気味なぐらい静かです。はやく助けを!』
「こんなところですかね」
「1、2、3、4、あっ! ヒロ、メールはできましたか?」
「はい! バッチリです」
ヒロがケイトに出すメールを作成中、手持ち無沙汰なリーシアは鼻歌を歌いながらラジオ体操をしていた。
基本、体を動かす事が好きなリーシアは、ヒロの記憶の中で、スマホから流れていたラジオ体操の曲と声を完璧に覚えており、リズムに乗って体を動かしていた。
格闘においてリズム感は重要な要素であり、拳聖ゼスにリーシアは徹底的にリズム感を叩き込まれた結果、彼女は一度聞いたリズムを本能的に体が覚えてしまう変な特技を会得していた。
ヒロの言葉にリーシアがラジオ体操を止め、ヒロの元へと向かう。
「そうなると、これでオーク達と話すのも最後になりますね」
「そうですね。カイザー……最後の時が来ました」
ヒロ達の横で、岩肌に腕を組み寄り掛かっていたカイザーが目を開き、真っすぐに立つ。
「そうか、ついに時が来たか……ギリギリだが間に合ったな。ヒロよ、世話になった」
「こちらこそ、お世話になりました。あとは、手はず通りにお願いします」
「ああ、分かっている。できるだけ砦で釘付けにしよう。引きつければ引きつける程、アリアやシーザー達が逃げる時間が稼げるからな」
「はい。そして僕たちが……あなたを必ず殺して見せます」
「期待しているぞ。全力を持って我に挑んで来い! 我も手を抜かん! 戦士として悔いのない戦いを!」
カイザーが右手をヒロの前に差し出すと、ヒロもすぐに立ち上がり、同じ右手を差し出す。
殺す覚悟と殺される覚悟、二つの異なる覚悟だが、同じ目的のために、ふたりの漢が手を握り約束を交わす。
「ヒロよ……お前たちがいなければ、我はこの忌わしい憤怒の紋章に意識を乗っ取られ、オーク族全員が狂化し、死ぬまで人族を襲う獣に成り下がるところだった。一族を代表して礼をいう。本当にありがとう」
「いいえ……ですが、砦に残る皆さんの命を救うことは出来ませんでした」
ヒロは自分の策では、オーク達全員を救う事が叶わないと悔いたが、カイザーはそれを否定する。
「いうな、お前は何も悪くはない。むしろ人族でありながら、我らに手を差し伸べてくれた、お前たちの勇気に我らは感謝している」
オークヒーローの目は、出会った頃の殺意の篭った目ではなく、優しさに包まれた瞳でヒロを見ていた。
「戦士ヒロ……いや、勇気ある者よ。胸を張れ。お前の行いは我らにとって救いだったのだ」
「勇気ある者?」
「そうだ。ただ滅びるのを待つだけの我らに、お前は生きる道を与えてくれた。オークではなく、人であるお前がな……殺し合い、憎み合うこの世界で、お前の差し出してくれた手を……その勇気を我らは決して忘れん」
「カイザー……」
「ヒロよ、我らはオーク族には古来より語られる称号がある」
「称号ですか?」
「そうだ。力が強いだけでも、頭が良いだけでも、その称号で呼ばれる事はない。そもそも自分で名乗るものではないからな。その称号に相応しい者が現れた時、自ずと皆が呼ぶ称号だと教えられた……そんな者いやしないと、我も今の今まで忘れていたよ、はっ、はっ、はっ、はっ!」
カイザーがヒロの顔を見ながら豪快に笑うと、真剣な顔でヒロの顔を見る。
「だがいま確信した。この称号はお前にこそ相応しいとな。ヒロよ、いや勇気ある者……勇者よ! 我らオーク族はお前を勇者と認めよう! これからは勇者ヒロと呼ばせてくれ!」
顔の表情が固まるヒロ……そしてキレた!
「ふざけるなああああ! 勇者《エロ》ヒロって……人族なら勇者ヒーロー、オーク語だと勇者ヒーローだぞ! この世界はヒーローの名前に、なにか恨みでもあるのか! 痛ネームならぬ痛称号だと? いい加減にしろよ!」
「え? え? ヒ、ヒロ、ど、どうしたんですか⁈」
「ど、どうした! 勇者ヒロ⁉︎」
突然キレ出したヒロに、戸惑うリーシアとカイザー……珍しく激昂するヒロに、リーシアが追い討ちを掛ける!
「ロ、ロリコン? どう言う事ですか⁉︎ まさか変態だけでなく……まさかヒロは小さい子しか……それだけはダメです! いくらヒロが変態でエロでも、それは腹パンチでは済みませんよ! ハッ! まさか私に手を出さず、孤児院に近づいたのも……ヒロ! アルムの町に戻ったら、孤児院から出て行ってください!」
リーシアの中で、ヒロの株価が勝手にストップ安まで下がってしまう!
「リーシア! 僕はロリコンじゃありませんから! なんで僕との距離を空けているんですか⁉︎」
「何が気に入らんのだ? 勇者とは古来より伝わる称号なのだがな?」
「気に入る入らない以前の問題ですから! そんな称号伝えないでください!」
これ以上、不名誉な名前を付けられては堪らないと、必死にヒロは否定するが……。
「だが、オーク族の皆はお前を勇者と認めてしまったからな……勇者ヒロの名は、永劫に我らオーク族に語り継がれるぞ?」
その言葉を聞いたヒロは、虚な目で腰のショートソードを抜いた!
「フッフッフッフッ……」
不気味な顔で、乾いた笑いを上げるヒロの体に、とんでもない量の闘気がまとわりつく。
「なっ! ヒ、ヒロ、落ち着いてください! ロリコンは病気ですから治せます! 私と一緒に治しましょう!」
「な、ばかな! この闘気……我が動きを封じられるだと? 昨日までの勇者とは違う!」
ヒロが放つ闘気が気勢となって牢屋内に濃密に放たれると、カイザーが動きを封じられる。
カイザーはすぐに闘気をまとい、ヒロの気勢に拮抗する。
「クッ、これが勇者の力か? 我と同等の闘気だと⁉︎ 一体何が!」
「もう、殺すしかありません……勇者ヒロとしてオーク族に語り継がれるくらいなら、オークは絶滅させるしかありません! 逃げた者もひとり残らず抹殺します!」
「ヒロ、落ち着いてください!」
「本気か貴様!」
「クックックックックッ、愚かなオーク達よ……お前たちが僕を目覚めさせてしまったのだ! 後悔しながら滅びるがいい!」
「ヒ、ヒロ、完全に敵側のセリフですよソレ! 目を覚ましてください!」
「クッ、怒りが奴を変えたと言うのか? なぜだ? 勇者のどこがいけない?」
「僕を勇者と呼ぶなあああぁぁぁぁぁぁ!」
ヒロの中に眠る勇者の力が膨れ上がり爆発する!
怒りで我を忘れ闘気を撒き散らすヒロ……拮抗していた力が崩れ、カイザーが圧倒されてしまう!
「これ程の力を秘めていたと言うのか……なんて奴だ。う、動けん!」
完全にカイザーの動きを気勢で止めるヒロが、カイザーに近づき手に持ったショートソードを振り被ると、剣にまとう莫大な闘気が収束し力が解放される
「さらばです! カイザー! 家族共々、あの世に送ってあげます! 滅びよオーク族!」
「なぜだヒロ! なぜだぁぁぁぁぁぁぁ!」
カイザーの叫びも虚しく、ヒロの剣が振り下ろされたその時!
「とう!」
横にいたリーシアの爆発的な震脚からの、痛烈な肘打ちがヒロの脇腹に打ち込まれていた!
「グハッ!」
突き上げるような肘が決まり、肺に溜まった空気を吐き出しながらヒロは吹き飛んだ!
「そこまでですヒロ! いえ……ヒーロー!」
激突のダメージで動きを止めたヒロ……気勢が霧散しカイザーが拘束から解放される。
「クッ! なぜだ! リーシアも動きを封じていたはず! 邪魔をするなリーシア! あと僕はヒーローじゃない!」
ダメージが残る体を無理やりに動かし、起き上がるヒロ……だがリーシアは止まらない!
体勢を立て直そうとするヒロに、地面を滑るような歩法でリーシアが近づく! 苦し紛れにヒロが手にした剣を水平に振るうが、リーシアは空中に飛び回避していた。
ヒロの頭上を飛び越えながら前方前周り半捻りでヒロの背後に見事な着地を決めるリーシア!
見るものが見れば、華麗な空中回転に10.0点の最高点を叩き出す見事なジャンプだった。
一瞬にしてヒロの背後を取るリーシアの腕が、ヒロの首にガッチリとはまる。
完全に決まってしまったスリーパーホールドが、ヒロの意識を狩り取りにいく!
首に巻きつけた腕に力を入れるリーシア……頸動脈を絞め上げられ、意識が遠のくヒロ。
「ヒロ、どうやらあなたと一緒にいる内に、ヒロの闘気になれてしまったみたいです! オークヒーローの動きは封じられても、私は封じられないようですね」
天敵……自然界には、絶対に敵わない相手と言うものが存在する。
昆虫に対する鳥、蛙に対する蛇、そしてヒロに対するリーシア……対人能力に秀でたリーシアにヒロは手も足も出せず、ヒロの闘気はリーシアに、もはや何の意味も成さなかった。
まさにヒロにとって、彼女は天敵となり得る存在へ変貌していた。
ヒロが苦しさからリーシアの腕をタップするが、その細腕はさらにヒロの首を絞め上げた!
時間にして十数秒の短い時間でヒロの意識が落ちてゆく。糸の切れた人形みたいに手足をダランとしたヒロが、白目を剥いて失神してしまった。
「ふ~、ヒロ……接近戦で私に勝つには十年早いです!」
ヒロは夢の中で、『ばーちゃんファイター』の主人公、アキコさんの決め台詞を聞くのだった。
〈新たなる称号が輝きを放つ時、希望の秘めたる勇者の力が解放された〉
「こんなところですかね」
「1、2、3、4、あっ! ヒロ、メールはできましたか?」
「はい! バッチリです」
ヒロがケイトに出すメールを作成中、手持ち無沙汰なリーシアは鼻歌を歌いながらラジオ体操をしていた。
基本、体を動かす事が好きなリーシアは、ヒロの記憶の中で、スマホから流れていたラジオ体操の曲と声を完璧に覚えており、リズムに乗って体を動かしていた。
格闘においてリズム感は重要な要素であり、拳聖ゼスにリーシアは徹底的にリズム感を叩き込まれた結果、彼女は一度聞いたリズムを本能的に体が覚えてしまう変な特技を会得していた。
ヒロの言葉にリーシアがラジオ体操を止め、ヒロの元へと向かう。
「そうなると、これでオーク達と話すのも最後になりますね」
「そうですね。カイザー……最後の時が来ました」
ヒロ達の横で、岩肌に腕を組み寄り掛かっていたカイザーが目を開き、真っすぐに立つ。
「そうか、ついに時が来たか……ギリギリだが間に合ったな。ヒロよ、世話になった」
「こちらこそ、お世話になりました。あとは、手はず通りにお願いします」
「ああ、分かっている。できるだけ砦で釘付けにしよう。引きつければ引きつける程、アリアやシーザー達が逃げる時間が稼げるからな」
「はい。そして僕たちが……あなたを必ず殺して見せます」
「期待しているぞ。全力を持って我に挑んで来い! 我も手を抜かん! 戦士として悔いのない戦いを!」
カイザーが右手をヒロの前に差し出すと、ヒロもすぐに立ち上がり、同じ右手を差し出す。
殺す覚悟と殺される覚悟、二つの異なる覚悟だが、同じ目的のために、ふたりの漢が手を握り約束を交わす。
「ヒロよ……お前たちがいなければ、我はこの忌わしい憤怒の紋章に意識を乗っ取られ、オーク族全員が狂化し、死ぬまで人族を襲う獣に成り下がるところだった。一族を代表して礼をいう。本当にありがとう」
「いいえ……ですが、砦に残る皆さんの命を救うことは出来ませんでした」
ヒロは自分の策では、オーク達全員を救う事が叶わないと悔いたが、カイザーはそれを否定する。
「いうな、お前は何も悪くはない。むしろ人族でありながら、我らに手を差し伸べてくれた、お前たちの勇気に我らは感謝している」
オークヒーローの目は、出会った頃の殺意の篭った目ではなく、優しさに包まれた瞳でヒロを見ていた。
「戦士ヒロ……いや、勇気ある者よ。胸を張れ。お前の行いは我らにとって救いだったのだ」
「勇気ある者?」
「そうだ。ただ滅びるのを待つだけの我らに、お前は生きる道を与えてくれた。オークではなく、人であるお前がな……殺し合い、憎み合うこの世界で、お前の差し出してくれた手を……その勇気を我らは決して忘れん」
「カイザー……」
「ヒロよ、我らはオーク族には古来より語られる称号がある」
「称号ですか?」
「そうだ。力が強いだけでも、頭が良いだけでも、その称号で呼ばれる事はない。そもそも自分で名乗るものではないからな。その称号に相応しい者が現れた時、自ずと皆が呼ぶ称号だと教えられた……そんな者いやしないと、我も今の今まで忘れていたよ、はっ、はっ、はっ、はっ!」
カイザーがヒロの顔を見ながら豪快に笑うと、真剣な顔でヒロの顔を見る。
「だがいま確信した。この称号はお前にこそ相応しいとな。ヒロよ、いや勇気ある者……勇者よ! 我らオーク族はお前を勇者と認めよう! これからは勇者ヒロと呼ばせてくれ!」
顔の表情が固まるヒロ……そしてキレた!
「ふざけるなああああ! 勇者《エロ》ヒロって……人族なら勇者ヒーロー、オーク語だと勇者ヒーローだぞ! この世界はヒーローの名前に、なにか恨みでもあるのか! 痛ネームならぬ痛称号だと? いい加減にしろよ!」
「え? え? ヒ、ヒロ、ど、どうしたんですか⁈」
「ど、どうした! 勇者ヒロ⁉︎」
突然キレ出したヒロに、戸惑うリーシアとカイザー……珍しく激昂するヒロに、リーシアが追い討ちを掛ける!
「ロ、ロリコン? どう言う事ですか⁉︎ まさか変態だけでなく……まさかヒロは小さい子しか……それだけはダメです! いくらヒロが変態でエロでも、それは腹パンチでは済みませんよ! ハッ! まさか私に手を出さず、孤児院に近づいたのも……ヒロ! アルムの町に戻ったら、孤児院から出て行ってください!」
リーシアの中で、ヒロの株価が勝手にストップ安まで下がってしまう!
「リーシア! 僕はロリコンじゃありませんから! なんで僕との距離を空けているんですか⁉︎」
「何が気に入らんのだ? 勇者とは古来より伝わる称号なのだがな?」
「気に入る入らない以前の問題ですから! そんな称号伝えないでください!」
これ以上、不名誉な名前を付けられては堪らないと、必死にヒロは否定するが……。
「だが、オーク族の皆はお前を勇者と認めてしまったからな……勇者ヒロの名は、永劫に我らオーク族に語り継がれるぞ?」
その言葉を聞いたヒロは、虚な目で腰のショートソードを抜いた!
「フッフッフッフッ……」
不気味な顔で、乾いた笑いを上げるヒロの体に、とんでもない量の闘気がまとわりつく。
「なっ! ヒ、ヒロ、落ち着いてください! ロリコンは病気ですから治せます! 私と一緒に治しましょう!」
「な、ばかな! この闘気……我が動きを封じられるだと? 昨日までの勇者とは違う!」
ヒロが放つ闘気が気勢となって牢屋内に濃密に放たれると、カイザーが動きを封じられる。
カイザーはすぐに闘気をまとい、ヒロの気勢に拮抗する。
「クッ、これが勇者の力か? 我と同等の闘気だと⁉︎ 一体何が!」
「もう、殺すしかありません……勇者ヒロとしてオーク族に語り継がれるくらいなら、オークは絶滅させるしかありません! 逃げた者もひとり残らず抹殺します!」
「ヒロ、落ち着いてください!」
「本気か貴様!」
「クックックックックッ、愚かなオーク達よ……お前たちが僕を目覚めさせてしまったのだ! 後悔しながら滅びるがいい!」
「ヒ、ヒロ、完全に敵側のセリフですよソレ! 目を覚ましてください!」
「クッ、怒りが奴を変えたと言うのか? なぜだ? 勇者のどこがいけない?」
「僕を勇者と呼ぶなあああぁぁぁぁぁぁ!」
ヒロの中に眠る勇者の力が膨れ上がり爆発する!
怒りで我を忘れ闘気を撒き散らすヒロ……拮抗していた力が崩れ、カイザーが圧倒されてしまう!
「これ程の力を秘めていたと言うのか……なんて奴だ。う、動けん!」
完全にカイザーの動きを気勢で止めるヒロが、カイザーに近づき手に持ったショートソードを振り被ると、剣にまとう莫大な闘気が収束し力が解放される
「さらばです! カイザー! 家族共々、あの世に送ってあげます! 滅びよオーク族!」
「なぜだヒロ! なぜだぁぁぁぁぁぁぁ!」
カイザーの叫びも虚しく、ヒロの剣が振り下ろされたその時!
「とう!」
横にいたリーシアの爆発的な震脚からの、痛烈な肘打ちがヒロの脇腹に打ち込まれていた!
「グハッ!」
突き上げるような肘が決まり、肺に溜まった空気を吐き出しながらヒロは吹き飛んだ!
「そこまでですヒロ! いえ……ヒーロー!」
激突のダメージで動きを止めたヒロ……気勢が霧散しカイザーが拘束から解放される。
「クッ! なぜだ! リーシアも動きを封じていたはず! 邪魔をするなリーシア! あと僕はヒーローじゃない!」
ダメージが残る体を無理やりに動かし、起き上がるヒロ……だがリーシアは止まらない!
体勢を立て直そうとするヒロに、地面を滑るような歩法でリーシアが近づく! 苦し紛れにヒロが手にした剣を水平に振るうが、リーシアは空中に飛び回避していた。
ヒロの頭上を飛び越えながら前方前周り半捻りでヒロの背後に見事な着地を決めるリーシア!
見るものが見れば、華麗な空中回転に10.0点の最高点を叩き出す見事なジャンプだった。
一瞬にしてヒロの背後を取るリーシアの腕が、ヒロの首にガッチリとはまる。
完全に決まってしまったスリーパーホールドが、ヒロの意識を狩り取りにいく!
首に巻きつけた腕に力を入れるリーシア……頸動脈を絞め上げられ、意識が遠のくヒロ。
「ヒロ、どうやらあなたと一緒にいる内に、ヒロの闘気になれてしまったみたいです! オークヒーローの動きは封じられても、私は封じられないようですね」
天敵……自然界には、絶対に敵わない相手と言うものが存在する。
昆虫に対する鳥、蛙に対する蛇、そしてヒロに対するリーシア……対人能力に秀でたリーシアにヒロは手も足も出せず、ヒロの闘気はリーシアに、もはや何の意味も成さなかった。
まさにヒロにとって、彼女は天敵となり得る存在へ変貌していた。
ヒロが苦しさからリーシアの腕をタップするが、その細腕はさらにヒロの首を絞め上げた!
時間にして十数秒の短い時間でヒロの意識が落ちてゆく。糸の切れた人形みたいに手足をダランとしたヒロが、白目を剥いて失神してしまった。
「ふ~、ヒロ……接近戦で私に勝つには十年早いです!」
ヒロは夢の中で、『ばーちゃんファイター』の主人公、アキコさんの決め台詞を聞くのだった。
〈新たなる称号が輝きを放つ時、希望の秘めたる勇者の力が解放された〉
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