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第11章 勇者とオーク編
第106話 オークのオークによるオークのためのオーク大量虐殺作戦!
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オークヒーローが、ヒロとリーシアに向かって突進する。
一足飛びで最高スピードに乗るオークヒーロー……その足に込められた力は筋力だけではなく、闘気をまとわせた結果、通常ではありえない加速と速度を与えていた。
さらに、場に解き放たれたオークヒーローの闘気が重圧となり、ヒロとリーシアの動きを封じてくる。
以前のヒロ達なら、このままオークヒーローに跳ね飛ばされ、重傷を負っていただろう。
ヒロはオークヒーローを引きつけると、多少のぎこちなさが残るが、横にサイドステップしながら体の向きを変え、ギリギリで突進を回避する。
丁度ヒロの目の前を、オークヒーローが横切る形で通り抜けて行く。
避けられたオークヒーローは、ヒロの後ろで同じく横に飛んで回避運動に入ろうとしていたリーシアに狙いを定め、突進によるスピードを急制動により無理やり殺すと体を屈め、リーシアの視界からその巨体を消し去る。
リーシアは攻撃の変化にいち早く気づき、しゃがみ込みながら低空の蹴りを繰り出すオークヒーローを、冷静に見定めて上へ飛ぶ!
オークヒーローの頭上を飛び越えて、前回り前転の要領で転がるとリーシアはすぐに立ち上がる。
「チッ!」
オークヒーローは攻撃を回避された事に舌打ちし、体勢を立て直すと、ヒロとリーシアの前で再び構えて立ち上がる。
「多少は、闘気が使えるようにはなったか」
オークヒーロー、カイザーの口から言葉が漏れた。
ヒロとリーシアが闘気覚えるため、カイザーと特訓を続けて、早1週間……特訓当初は、指一本動かすのも困難を極めたが、今では多少なりとも動ける様になっていた。
「まだまだですね。気勢を張られた状態で動けるようにはなりましたが、未だ闘気をまとった感覚が分かりません。リーシアはどうですか?」
「私もよく分かりませんね……闘気がどんなものかはサッパリです」
「うむ。まあ我の闘気を浴びて動けるなら、闘気を無意識に体にまとっているのは確かだ。あと闘気を認識してコントロールすれば、今みたいに瞬間的な力を増大させる事もできるであろう。だが……もう時間がない」
オークヒーローが困った表情でヒロ達に告げる。
「憤怒の紋章の力が強くなってきている。このままではとおからず、我の意識は紋章に飲み込まれ狂化してしまう……現に今も紋章が人を滅ぼせとうるさく囁き、油断すると意識を乗っ取られそうなのだ」
「あとどのくらい、耐えられそうですか?」
「持って五日というところだ」
「急がなければなりません」
ヒロはあと5日の言葉に、計画の前倒しを余儀無くされてしまった。
ヒロは一週間前に話した、オークと人が限りなくハッピーエンドで迎えられるエンディング…… オーク族大量移住計画を思い出していた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
人とオークが手を取り合い、ヒロと友好の握手を交わしたカイザーは、早速ヒロの計画に耳を傾けていた。
「では、オークと人を救う計画を話しましょう。僕の立てた計画とは……オーク達の大量移住です!」
「エクソダス? どう言う意味だ?」
「新天地を目指して、この地を皆で離れます」
「移住か?」
「そうです。この地に留まっても、村の場所がバレている以上、この地にいるオークが殲滅されない限り、人族は永遠に討伐を続けるでしょう」
「ふん! 人など恐れるまでまでもやい! 何人来ようが我らオークの戦士は負けん!」
「無理ですよ……この村のオークは多く見ても見て600匹程度です。対して人族の総数は万を超えています。数の上で勝てる訳がないんです」
「我は負けんぞ! たとえ万の数がいようとな!」
確かにカイザーが1人居れば、万の軍勢でも渡り合えそうではあるが……。
「僕に殺された後、どうやって戦うんですか?」
「むう……」
「カイザーと言う切り札がない以上、オーク達が生き延びるには、オーク全員が死ぬ必要があります」
「お前は何を言っている? 守るべきオーク全員に死ねというのか?」
「はい。正確には死んだ事にするんです。偽装ですね」
「むう? 偽装?」
「人族は、オークの数が増えるのを嫌います。逆に数が居なければ、なんの関心も持ちません。だからまず、この地に住むオークが全て死んだ事にして、脅威を取り払います」
「ヒロ? それだとオークの死体がそこら中に転がってないと、誰も信じないですよ?」
「はい。だからオーク大量虐殺なんです。オークの民は、悪魔の紋章の力で狂化したオークヒーローに殺される。またはオークが同士打ちして全滅……そして僕が姑息に全ての死体を、お金欲しさに片っ端から全て回収した事にします」
「ヒロ……そんな事して、もしアイテム袋の中身を見せろと言われたら?」
「意地汚く演技でもしてお断りします。あとは難癖をつけて、アルムの町以外にオークの死体を全て持ち込むとでも言って、町を去れば死体を見せる必要はなくなります」
「それだとヒロは……街の人達に恨みを買ってしまうかも知れませんよ?」
「構いません。もともと旅の途中でしたので、恨みを買っても他の街に逃げてしまえば問題はないですよ」
リーシアは寂しそうな顔でヒロな話を聞いていた。それではヒロ一人が悪者になってしまう。だがリーシアはそれを言葉にはしなかった。ともに歩むと決めたから……どこまでも一緒にと。
「そして討伐隊の前でオークヒーローを勇者である僕が倒し、このアイテム袋の中に、カイザー……アナタの死体を入れます」
「我をか……」
「アナタを倒し、アイテム袋を持っている事を証明する事で、討伐隊には六百匹全てのオークを僕がアイテム袋に収納したと信じ込ませる事ができます」
「なるほど……勇者とオークヒーロー、アイテム袋の事は、人族なら誰でも知っている物語です。実際にオークヒーローを皆の前で倒し、アイテム袋に死体を収納して見せれば……オークの死体が六百匹分入っていると信じる人は多いはずですね」
「オーク族の者を死んだ事するのは良い。だが、その後はどうするのだ?」
「ここより西にある獣王国側の森へ逃げ込みます。リーシア、獣王国は人族と仲が悪かったですよね?」
「はい。昔から犬猿の仲ですよ。獣王国の成り立ちが人に奴隷とされた獣人達が蜂起して作られた国ですから……メチャクチャ仲が悪いです。年がら年中国境付近ではイザコザが絶えません」
「幸い、南の森を西に行けば陸続きで国境を抜けられます。
獣人国に入ってしまえば人族は追って来られないでしょう」
「だが人族から逃れたとして、その先はどうする? 獣人国に行ったとしてもまたオークとして狩られるだけではないか……」
カイザーが、自分がいなくなった後の事を心配する。
「そこなのですが……リーシア? 獣人国には亜人と呼ばれる人たちがいると、ギルドで聞きました」
「亜人ですか? 私も聞いただけですが、言葉は喋れないけど部族単位で暮らす種族がいて、それが魔物ではなく亜人と呼ばれていると……まさか?」
「はい。逃げ延びたオーク族には、獣王国で亜人として暮らしてもらいます」
「ですが、オークは獣人国でも魔物として扱われてますから……下手したら討伐されちゃいますよ?」
「なので、オーク族には種族を変えてもらいたいのです。たとえばポーク族とかに!」
「ポーク族?」
「リーシア、魔物の定義ってなんですか?」
「魔物ですか? 人を見境なく襲うとか、自分たちに害を成す存在ですかね?」
「そう! 相手にとって脅威になりえるかの話です。僕とリーシアは、言葉が分かるからこうして殺し合った仲でも、協力してオーク族を守ろうとしています」
「うむ。確かにお前の言葉が分かるからこそ、こうして話し合える」
「だから、話せることが相手に伝われば……」
「でもヒロ以外、誰もオークの言葉なんて分かりませんよ?」
「ええ、発声器官の関係上、僕以外でオーク族と話のは難しいでしょう。でも、文字ならどうですか?」
「あっ! たしかに文字が書けるなら、意思の疎通はできます」
「文字を覚えられれば良いですが、時間がありませんから……最悪、簡単な挨拶や会話の文を、あらかじめ書いておき、それを相手に見せるだけでも良いかもしれません」
「その文字とやらを使えば、他の者と会話が出来るのか?」
「リーシアの知っている文字で、獣人族と話はできますか?」
「ん~、女神教で習った文字は大陸の公用文字ですから、女神に入信しているか、文字を習った獣人がいれば、多分できますね」
「決まりですね。僕が通訳はしますから、リーシアは、文字に興味があるオークに書き方を教えてあげてください。カイザーは文字に興味がありそうなオークを探してください」
「ヒロ、任せてください」
「分かった。早急に探そう」
リーシアとカイザーが承諾し、リーシア先生によるガイヤ公用文字講座の開催が決定した。
「さて、あとは人族がいつ、どう動くかですが……これは僕たちにアドバンテージがありますから、有利に動けます」
「どう言う事だ?」
「情報を制する者が勝者になれると言う事です。僕たちはメールでケイトさん達を通して、人族の動きを知る事ができます。逆にこちらが有利になる情報を流せば、人族より優位に立てます。……ケイトさん達には悪いですが、こちらの思惑通りに動いてもらいましょう。フッフッフッフッ」
ヒロの瞳が怪しく光り、黒い顔で不敵に笑う。それを見たリーシアは……危ないと注意の声を上げていた。
「ヒロ、悪い顔していますよ……真っ黒です!」
「リーシア、人聞きが悪いですよ。相手の動きがある程度コントロールできるだけですから、そこまで黒くはないですからね」
「ふむ、その辺はよく分からん。お前達に任せよう。我ら側がやる事としては、何をすれば良い?」
「一番は皆の説得ですね。生きるためとはいえ、この地を離れなければなりませんから……オークによってはこの地に残りたい者や、守りたいと言う者がいるかもしれません。あとは食料の準備。文字の書ける者への学習と言った所ですね」
「それと、闘気習得の特訓だな」
カイザーの言葉にヒロが頷き、神妙な顔付きで話を続ける。
「人族はすぐに、オーク村に討伐隊を差し向けて来ません。大人数を動かすには準備が要りますから……最短でも二週間は掛かるはずです」
「二週間か……時間がないな……急がねばなるまい。希望を残すために!」
「はい。やりましょう。必ずアナタを殺し、オーク族を救ってみせます」
ヒロ達のオーク族大量移住計画が発動するのだった。
〈オークのオークによるオークのための オーク大量移住作戦が発動した!〉
一足飛びで最高スピードに乗るオークヒーロー……その足に込められた力は筋力だけではなく、闘気をまとわせた結果、通常ではありえない加速と速度を与えていた。
さらに、場に解き放たれたオークヒーローの闘気が重圧となり、ヒロとリーシアの動きを封じてくる。
以前のヒロ達なら、このままオークヒーローに跳ね飛ばされ、重傷を負っていただろう。
ヒロはオークヒーローを引きつけると、多少のぎこちなさが残るが、横にサイドステップしながら体の向きを変え、ギリギリで突進を回避する。
丁度ヒロの目の前を、オークヒーローが横切る形で通り抜けて行く。
避けられたオークヒーローは、ヒロの後ろで同じく横に飛んで回避運動に入ろうとしていたリーシアに狙いを定め、突進によるスピードを急制動により無理やり殺すと体を屈め、リーシアの視界からその巨体を消し去る。
リーシアは攻撃の変化にいち早く気づき、しゃがみ込みながら低空の蹴りを繰り出すオークヒーローを、冷静に見定めて上へ飛ぶ!
オークヒーローの頭上を飛び越えて、前回り前転の要領で転がるとリーシアはすぐに立ち上がる。
「チッ!」
オークヒーローは攻撃を回避された事に舌打ちし、体勢を立て直すと、ヒロとリーシアの前で再び構えて立ち上がる。
「多少は、闘気が使えるようにはなったか」
オークヒーロー、カイザーの口から言葉が漏れた。
ヒロとリーシアが闘気覚えるため、カイザーと特訓を続けて、早1週間……特訓当初は、指一本動かすのも困難を極めたが、今では多少なりとも動ける様になっていた。
「まだまだですね。気勢を張られた状態で動けるようにはなりましたが、未だ闘気をまとった感覚が分かりません。リーシアはどうですか?」
「私もよく分かりませんね……闘気がどんなものかはサッパリです」
「うむ。まあ我の闘気を浴びて動けるなら、闘気を無意識に体にまとっているのは確かだ。あと闘気を認識してコントロールすれば、今みたいに瞬間的な力を増大させる事もできるであろう。だが……もう時間がない」
オークヒーローが困った表情でヒロ達に告げる。
「憤怒の紋章の力が強くなってきている。このままではとおからず、我の意識は紋章に飲み込まれ狂化してしまう……現に今も紋章が人を滅ぼせとうるさく囁き、油断すると意識を乗っ取られそうなのだ」
「あとどのくらい、耐えられそうですか?」
「持って五日というところだ」
「急がなければなりません」
ヒロはあと5日の言葉に、計画の前倒しを余儀無くされてしまった。
ヒロは一週間前に話した、オークと人が限りなくハッピーエンドで迎えられるエンディング…… オーク族大量移住計画を思い出していた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
人とオークが手を取り合い、ヒロと友好の握手を交わしたカイザーは、早速ヒロの計画に耳を傾けていた。
「では、オークと人を救う計画を話しましょう。僕の立てた計画とは……オーク達の大量移住です!」
「エクソダス? どう言う意味だ?」
「新天地を目指して、この地を皆で離れます」
「移住か?」
「そうです。この地に留まっても、村の場所がバレている以上、この地にいるオークが殲滅されない限り、人族は永遠に討伐を続けるでしょう」
「ふん! 人など恐れるまでまでもやい! 何人来ようが我らオークの戦士は負けん!」
「無理ですよ……この村のオークは多く見ても見て600匹程度です。対して人族の総数は万を超えています。数の上で勝てる訳がないんです」
「我は負けんぞ! たとえ万の数がいようとな!」
確かにカイザーが1人居れば、万の軍勢でも渡り合えそうではあるが……。
「僕に殺された後、どうやって戦うんですか?」
「むう……」
「カイザーと言う切り札がない以上、オーク達が生き延びるには、オーク全員が死ぬ必要があります」
「お前は何を言っている? 守るべきオーク全員に死ねというのか?」
「はい。正確には死んだ事にするんです。偽装ですね」
「むう? 偽装?」
「人族は、オークの数が増えるのを嫌います。逆に数が居なければ、なんの関心も持ちません。だからまず、この地に住むオークが全て死んだ事にして、脅威を取り払います」
「ヒロ? それだとオークの死体がそこら中に転がってないと、誰も信じないですよ?」
「はい。だからオーク大量虐殺なんです。オークの民は、悪魔の紋章の力で狂化したオークヒーローに殺される。またはオークが同士打ちして全滅……そして僕が姑息に全ての死体を、お金欲しさに片っ端から全て回収した事にします」
「ヒロ……そんな事して、もしアイテム袋の中身を見せろと言われたら?」
「意地汚く演技でもしてお断りします。あとは難癖をつけて、アルムの町以外にオークの死体を全て持ち込むとでも言って、町を去れば死体を見せる必要はなくなります」
「それだとヒロは……街の人達に恨みを買ってしまうかも知れませんよ?」
「構いません。もともと旅の途中でしたので、恨みを買っても他の街に逃げてしまえば問題はないですよ」
リーシアは寂しそうな顔でヒロな話を聞いていた。それではヒロ一人が悪者になってしまう。だがリーシアはそれを言葉にはしなかった。ともに歩むと決めたから……どこまでも一緒にと。
「そして討伐隊の前でオークヒーローを勇者である僕が倒し、このアイテム袋の中に、カイザー……アナタの死体を入れます」
「我をか……」
「アナタを倒し、アイテム袋を持っている事を証明する事で、討伐隊には六百匹全てのオークを僕がアイテム袋に収納したと信じ込ませる事ができます」
「なるほど……勇者とオークヒーロー、アイテム袋の事は、人族なら誰でも知っている物語です。実際にオークヒーローを皆の前で倒し、アイテム袋に死体を収納して見せれば……オークの死体が六百匹分入っていると信じる人は多いはずですね」
「オーク族の者を死んだ事するのは良い。だが、その後はどうするのだ?」
「ここより西にある獣王国側の森へ逃げ込みます。リーシア、獣王国は人族と仲が悪かったですよね?」
「はい。昔から犬猿の仲ですよ。獣王国の成り立ちが人に奴隷とされた獣人達が蜂起して作られた国ですから……メチャクチャ仲が悪いです。年がら年中国境付近ではイザコザが絶えません」
「幸い、南の森を西に行けば陸続きで国境を抜けられます。
獣人国に入ってしまえば人族は追って来られないでしょう」
「だが人族から逃れたとして、その先はどうする? 獣人国に行ったとしてもまたオークとして狩られるだけではないか……」
カイザーが、自分がいなくなった後の事を心配する。
「そこなのですが……リーシア? 獣人国には亜人と呼ばれる人たちがいると、ギルドで聞きました」
「亜人ですか? 私も聞いただけですが、言葉は喋れないけど部族単位で暮らす種族がいて、それが魔物ではなく亜人と呼ばれていると……まさか?」
「はい。逃げ延びたオーク族には、獣王国で亜人として暮らしてもらいます」
「ですが、オークは獣人国でも魔物として扱われてますから……下手したら討伐されちゃいますよ?」
「なので、オーク族には種族を変えてもらいたいのです。たとえばポーク族とかに!」
「ポーク族?」
「リーシア、魔物の定義ってなんですか?」
「魔物ですか? 人を見境なく襲うとか、自分たちに害を成す存在ですかね?」
「そう! 相手にとって脅威になりえるかの話です。僕とリーシアは、言葉が分かるからこうして殺し合った仲でも、協力してオーク族を守ろうとしています」
「うむ。確かにお前の言葉が分かるからこそ、こうして話し合える」
「だから、話せることが相手に伝われば……」
「でもヒロ以外、誰もオークの言葉なんて分かりませんよ?」
「ええ、発声器官の関係上、僕以外でオーク族と話のは難しいでしょう。でも、文字ならどうですか?」
「あっ! たしかに文字が書けるなら、意思の疎通はできます」
「文字を覚えられれば良いですが、時間がありませんから……最悪、簡単な挨拶や会話の文を、あらかじめ書いておき、それを相手に見せるだけでも良いかもしれません」
「その文字とやらを使えば、他の者と会話が出来るのか?」
「リーシアの知っている文字で、獣人族と話はできますか?」
「ん~、女神教で習った文字は大陸の公用文字ですから、女神に入信しているか、文字を習った獣人がいれば、多分できますね」
「決まりですね。僕が通訳はしますから、リーシアは、文字に興味があるオークに書き方を教えてあげてください。カイザーは文字に興味がありそうなオークを探してください」
「ヒロ、任せてください」
「分かった。早急に探そう」
リーシアとカイザーが承諾し、リーシア先生によるガイヤ公用文字講座の開催が決定した。
「さて、あとは人族がいつ、どう動くかですが……これは僕たちにアドバンテージがありますから、有利に動けます」
「どう言う事だ?」
「情報を制する者が勝者になれると言う事です。僕たちはメールでケイトさん達を通して、人族の動きを知る事ができます。逆にこちらが有利になる情報を流せば、人族より優位に立てます。……ケイトさん達には悪いですが、こちらの思惑通りに動いてもらいましょう。フッフッフッフッ」
ヒロの瞳が怪しく光り、黒い顔で不敵に笑う。それを見たリーシアは……危ないと注意の声を上げていた。
「ヒロ、悪い顔していますよ……真っ黒です!」
「リーシア、人聞きが悪いですよ。相手の動きがある程度コントロールできるだけですから、そこまで黒くはないですからね」
「ふむ、その辺はよく分からん。お前達に任せよう。我ら側がやる事としては、何をすれば良い?」
「一番は皆の説得ですね。生きるためとはいえ、この地を離れなければなりませんから……オークによってはこの地に残りたい者や、守りたいと言う者がいるかもしれません。あとは食料の準備。文字の書ける者への学習と言った所ですね」
「それと、闘気習得の特訓だな」
カイザーの言葉にヒロが頷き、神妙な顔付きで話を続ける。
「人族はすぐに、オーク村に討伐隊を差し向けて来ません。大人数を動かすには準備が要りますから……最短でも二週間は掛かるはずです」
「二週間か……時間がないな……急がねばなるまい。希望を残すために!」
「はい。やりましょう。必ずアナタを殺し、オーク族を救ってみせます」
ヒロ達のオーク族大量移住計画が発動するのだった。
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