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心の動き
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それからの数日はばたばたと忙しかった。けど、今は大分落ち着いてきた。村の人の大部分が回復したからだ。村に活気が戻り始め私は嬉しくなった。
状況がよくなり、色々と回りを見る余裕も出来た。
それで村の家々を回っていた時に気が付いたのだがこの村には女性が少ない。数人位しか見掛けなかった。もしかして、男女比がおかしいのかもしれないな。
あと、これも気付いたことだが、異様に美形が多い。というか、不細工な人が全くいない。
美幼児から美老人まで美形ぞろいで、吃驚した。まあ、アルトさんがその中で一番カッコいいと私は思うが。
あれから、アルトさんとはうまくやれていると思う。同じ家に住むことになり、頭を撫でてくれたり、手を握られたり、妙にボディタッチが多い気もするが不快では全くないので受け入れている。
そして、アルトさんに弟がいることも知った。
今も、その弟ーーカイトくんと今日の夕御飯のお手伝いをしている。何か手伝えることはないかと頼み込んだらなんとか貰えた仕事がこれだった。
最初の数日間はカイトくんには嫌がられたが段々慣れてきたようだ。
「あげはさん、そっちの皮剥きを頼める?」
「はーい。了解!」
といってもまだまだ分からないことはだらけなので大したお手伝いは出来てないけど。
じゃがいものような野菜の皮を剥いていく。 台所の別の場所ではカイトくんも別の野菜を切っている。
「……あげはさんって、少し不思議な人だね?普通はさ、身の回りの世話は数人の夫にやらせるのに。……ほんとへんなの」
「……う、うーん。記憶がないから普通がわからないのよね」
あははと苦笑いをして誤魔化す。
この世界では女性が少ないのは感じていた。が、一妻多夫だとは流石に思わなかった。回復した村長に遠回しに村の男性達をおすすめされた時はドン引きした。
アルトさんに相談してそう言うことは考えてないと伝えて貰った。私は人間だからこの世界の人族に会ってみたいしね。そんなことを考えながら皮剥きをしている私に、ぽそっと、
「……記憶がないから、アルトにいちゃんにも優しいの?」
と聞いてきた。うーん。
「どうだろう?優しいかな、私。普通だと思うんだけどなあ。」
「……この村の女達はアルトにいちゃんに凄く冷たくするか、あとは無視するかだから。」
「そ、そうなんだ」
「だから、あげはさんは、ずっと僕たちの家に居ればいいよ。でね、アルトにいちゃんと僕のお嫁さんになってよ!」
私が吃驚しているといつの間にか近くにいて私の手から包丁とじゃがいものを取り上げて、私の瞳を近い距離で覗きこみ、
「ね?いいでしょ?」
と甘い誘惑するような声色で言われた。私には断じて少年趣味はない。ないが、アルトさんの弟だけあって結構な美少年であるのだ。
私はどぎまぎしながら、
「アルトさんだってカイトくんだって、人族よりも同じ狼獣人の方がいいでしょ?」
「いつか、いいお嫁さんが来てくれるよ」
「……ちぇ」
カイトくんはふて腐れたかような表情をして料理仕度に戻っていった。
や、やばかった。なにがやばいか自分でもわからないけどヤバかった。
まだ、ドキドキしている心臓を落ち着かせて私も料理のお手伝いを再開した。
でも、アルトさんのお嫁さんかあ。アルトさんと結婚した一つは幸せだろうな。大事な宝物のように扱われて大切にされる毎日。
ちりっと想像しただけなのに、別の誰かを大事にするアルトさんの相手に胸を焦がした。
状況がよくなり、色々と回りを見る余裕も出来た。
それで村の家々を回っていた時に気が付いたのだがこの村には女性が少ない。数人位しか見掛けなかった。もしかして、男女比がおかしいのかもしれないな。
あと、これも気付いたことだが、異様に美形が多い。というか、不細工な人が全くいない。
美幼児から美老人まで美形ぞろいで、吃驚した。まあ、アルトさんがその中で一番カッコいいと私は思うが。
あれから、アルトさんとはうまくやれていると思う。同じ家に住むことになり、頭を撫でてくれたり、手を握られたり、妙にボディタッチが多い気もするが不快では全くないので受け入れている。
そして、アルトさんに弟がいることも知った。
今も、その弟ーーカイトくんと今日の夕御飯のお手伝いをしている。何か手伝えることはないかと頼み込んだらなんとか貰えた仕事がこれだった。
最初の数日間はカイトくんには嫌がられたが段々慣れてきたようだ。
「あげはさん、そっちの皮剥きを頼める?」
「はーい。了解!」
といってもまだまだ分からないことはだらけなので大したお手伝いは出来てないけど。
じゃがいものような野菜の皮を剥いていく。 台所の別の場所ではカイトくんも別の野菜を切っている。
「……あげはさんって、少し不思議な人だね?普通はさ、身の回りの世話は数人の夫にやらせるのに。……ほんとへんなの」
「……う、うーん。記憶がないから普通がわからないのよね」
あははと苦笑いをして誤魔化す。
この世界では女性が少ないのは感じていた。が、一妻多夫だとは流石に思わなかった。回復した村長に遠回しに村の男性達をおすすめされた時はドン引きした。
アルトさんに相談してそう言うことは考えてないと伝えて貰った。私は人間だからこの世界の人族に会ってみたいしね。そんなことを考えながら皮剥きをしている私に、ぽそっと、
「……記憶がないから、アルトにいちゃんにも優しいの?」
と聞いてきた。うーん。
「どうだろう?優しいかな、私。普通だと思うんだけどなあ。」
「……この村の女達はアルトにいちゃんに凄く冷たくするか、あとは無視するかだから。」
「そ、そうなんだ」
「だから、あげはさんは、ずっと僕たちの家に居ればいいよ。でね、アルトにいちゃんと僕のお嫁さんになってよ!」
私が吃驚しているといつの間にか近くにいて私の手から包丁とじゃがいものを取り上げて、私の瞳を近い距離で覗きこみ、
「ね?いいでしょ?」
と甘い誘惑するような声色で言われた。私には断じて少年趣味はない。ないが、アルトさんの弟だけあって結構な美少年であるのだ。
私はどぎまぎしながら、
「アルトさんだってカイトくんだって、人族よりも同じ狼獣人の方がいいでしょ?」
「いつか、いいお嫁さんが来てくれるよ」
「……ちぇ」
カイトくんはふて腐れたかような表情をして料理仕度に戻っていった。
や、やばかった。なにがやばいか自分でもわからないけどヤバかった。
まだ、ドキドキしている心臓を落ち着かせて私も料理のお手伝いを再開した。
でも、アルトさんのお嫁さんかあ。アルトさんと結婚した一つは幸せだろうな。大事な宝物のように扱われて大切にされる毎日。
ちりっと想像しただけなのに、別の誰かを大事にするアルトさんの相手に胸を焦がした。
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