異世界召喚のジーンマジック

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全ての始まり

ご、ご、ご、ごごめんなさぁーい!!

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「あー、今日も学校か。まじめんどくせぇ学校無くなんない?」

 俺は目が覚めるとそう愚痴り携帯の時間を見ると、とっくの昔に学校の始業時間を過ぎてた。あー、一気に起きる気が失せた。最近ハマっている曲でも流して寝よう。

「とーや?燈夜? 起きてるの? 早くおりてきなさい! 高校三年生にもなって遅刻して!学校まで送ってあげるから。早く準備して! 」

 下の階から近所に聞こえるんじゃないかってぐらいのでかい声が響く。

「うるせーな。まだ寝てるから無理。」

 眠るのを邪魔された俺、鏑木燈夜かぶらぎとうやは苛立ちを隠さず。下の階に聞こえるように答える。だが、母親が子供を起こす気持ちも分からなくもないから渋々準備をする。俺はTシャツを脱ぐと姿鏡に向かいポージングをする。これは日課だ。高一から高二の終わりまでボクシング部に入ってて、辞めたあとも筋トレは欠かさずしてたおかげで身長167センチの体重75キロという筋肉質な体型だ。

 準備を終えてリビングに行くが母親の姿はなかった。

「あれ? どこいんの? 」

「今日の朝ごはんはウインナーかーって、これ安いやつじゃん! アル〇バイエルンとかシャウ〇ッセンとかがいいって言ってるのに。はぁー」

 朝ごはんに対して文句を言いつつウインナーを食べてると玄関が開いて母親に早く車に乗るよう怒られる。俺は中学の頃から遅刻を少しづつ始め、高校3年の今はほとんど毎日遅刻をしてる。

 登校しても授業は基本的に寝ている。起きていても携帯をいじっているか友達と駄弁っていているのに何故かテストは国語、社会、理科は赤点を取らない。

「ほら早く車に乗って。カバンの中のタッパーに朝ごはん詰めてるから早く食べて」

「これ3つあるけど、どっちが俺の? 」

「青色の蓋の方があんたのよ。他のはかなちゃんとお母さんのだから食べないでね」

 タッパーを開けるとご飯と俺の好きな冷凍食品のカルビハンバーグが4個、ウインナーが5個入っていた。

「お母さんウインナーさ、この安いのじゃなくてアル〇バイエルンとかがいいって言ってるじゃん。」

「嫌よ。なんで高いの買わないと行けないのよ。お金がもったいない。」

「美味しくないじゃん。そう言えばかなちゃんは? 」

「助手席で寝てるからちょっかいかけないでね。」

「えー嫌だ。どうせ保育園に着く前に起こすでしょ。」

 母親が言った通りに弟、かなたの頭を撫でたり目を開いたり、鼻と口を塞いだりして起こす。

「かなちゃん朝ですよー。早く起きないとカルビハンバーグ食べさせるよ。」

「まだねるの、ほいくえんについたらおきるの、」

「ご飯はどうするの? 食べないの? 」

「たべないの、もうにーにきらい、あっちいって、」

「だってさ。これ食べるよ? 」

「かなちゃんのだから食べるなってば」

 そうこうしてるうちに学校の裏門の近くに着いた。

「じゃー行ってるね。かなちゃんバイバイ」

「しっかり授業受けなさいよ。もう3年生なんだから」

「あーわかったー」

 適当に返事をして学校へと向かっていった。俺の通っている学校は正門の近くに生徒指導の先生と体育教師がよく集まって喋ってるからいつも裏門から登校している。

「今から教頭のところ行ってから担任か。今の時間だと担任は居ないから昼休みに行けばいいか」

 と、慣れた手つきて職員室で遅刻届けを書き教頭に印鑑を貰う。

「鏑木くんこうも遅刻が多いとね卒業に必要な単位が足りなくなるよ。」

「すいません気をつけます」

「そう言って4月から5月末で30回も遅刻してるでしょ?」

「すいませんでした」

「はぁー、担任の齋藤くんは今いないから授業に行きなさい」

「失礼しました」

 適当に答えて職員室を出て向かうのは屋上だ。いつも鍵が閉まっているが1年生の一学期に放課後、職員室の人が少ない時に失敬していた。

「はぁー、日差しがめっちゃあちーもうちょっと暑くなると死ぬ。」

 そう言いてカバンから7つの星の煙草を取り出して一服する。

「あっ!飲み物買うの忘れてわ。下まで戻るのめんど。」

 煙草を吸い終わり自販機に行こうとした時足元から凄まじい光の奔流が辺りを飲み込んでいく。

 俺が目を覚ますと辺り一面は白い世界だった。あまりにも突然のことに呆然としていると、後ろからとても美しい鈴音のような声が聞こえた。

「こんにちは。鏑木燈夜さん」

 突然声がして驚いたのか、本能なのか、俺は声の主から距離を取った。振り向くとそこには、絶世の美少女と言うにふさわしい少女が立っていた。

「そんな風に反応されては悲しいです。私はあなたに危害を加えないので安心してください」

 少しうつむき、透き通るようなプラチナブロンドの髪の毛をいじる姿に少し見とれてしまう。

「ーーッ!あ、あんたは誰だ?ここはどーこーーなんだこれ体に力が入らないどうなってんだ」

「えっ?何が?へ?えっー!!なんでっ?どうしてっ?ご、ご、ご、ごごめんなさぁーい!!」

「これヤバイかも。意識が、気が遠くなって来る、助け、て、く、、」

「ちょっ、ちょっと待っててください。直ぐに体を直しますから」

「早く、し、、」

「えっ!嘘、体の崩壊が早い!こんなに早いと直せない。どうしよう。そうだ!新しい体を作れば。少し待っててください」

 そう言うと少女は一瞬にして消えてしまった

「ひとり、に、、しな、い、、て、、、」

 徐々に俺の体は砂のように少しづつ崩れている。あと5分もすれば完全に体が砂になって死ぬのが何となく分かった。

 あーー、もうダメだ。何も考えられなくなってきたもう終わりか。短い人生だったな、こんな最後ならもっとやりたいことやってけば良かったな。と、後悔していると先程の少女が帰ってくる。

「戻りました。燈夜さん、まだ意識はありますか?直ぐに助けます。」

 少女は大量の道具や物を取りに行ってきたようだ。その道具たちは今までに見たことがない色の石や植物、不思議な形のフラスコ、綺麗なビー玉など色々なものだ。少女が取りに行ったものを下に下ろすとひとりでに動き始める。

「て、を、、に、ぎ、、て、」

 そう言うと俺は意識を失った

「はい!もう少し頑張ってください必ず助けます。だから諦めないでください」

 しばらくすると少女の持ってきた道具が光り始める。光が収まるとそこには7色に変化する玉が浮かんでいた。

「出来た。あとは燈夜さんの生体情報を入れば。」

 そう言いながら少女は俺の髪の毛を引き抜き、7色に変化する玉に髪の毛を入れる。すると玉は黒色に光りながら人の形に変わっていく。

 穏やかな心地いい、お湯の中を漂う感覚に飲み込まれていく中とても美しい音色が囁いているのに気づく。意識が薄れていくのを我慢し耳を傾けるとかろうじて人の声だと分かった。

「ーーやーーとーーとうー、」

 ゆっくり目を開くとぼんやりと女の子が泣いているのが分かる。慰めようとするが声も体も動かすことが出来ない。すると少女は抱き締めてきた。

「燈夜さん!! 燈夜さん!!よがっだよぉ、だずげられだよぉ。もう間に合わないがと思っだよぉー!!」

 抱き締められなながら少女から香るとてもいい匂い、柔らかくもしっかりと押し返してくる胸に、このまま死ぬのもいいかもとも思いながら意識を手放した。
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