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round❺(ディオネ視点)
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お父様の部屋から退出した後、ラーツ様に連れられて、陛下に面会した。
「おぉ。待っていたぞ。ラーツ。久しぶりだなディオネ嬢。元気であったか?ラーツのしつこさに呆れてはいないかな?ハッハッハ。」
陽気にそう述べられた陛下はとても楽しそうだった。
一方でラーツ様は、嫌そうな顔をしていた。
「父上。ディオネを気安く呼ばないでください。そして、私はしつこくは、ありません。父上こそ母上にしつこくして嫌われませんよう、お気をつけくださいね?」
辛辣な言葉を陛下に投げつけるラーツ様を見て驚いた。
「ラ、ラーツ様?私は、大丈夫ですよ?陛下に名前を呼んでいただけて、光栄ですわ。陛下。お久しぶりでございます。ラーツ様のおかげで毎日楽しく過ごさせていだいてます。」
「はは、息子は辛辣だな。心の狭い男はきらわれるぞ?ラーツ。」
「それでは、失礼致します父上。」
無視をすることにしたラーツ様は、私を連れてさっさと退出しようとした。
「ディオネ。行こうか。」
「いいんですの?」
「ああ。早く話もしたいからね。ディオネも気になるだろう?」
そう笑顔で言われると、頷くしかなくなってしまう。
「ええ。では、陛下失礼致します。」
「ああ。これから長く一緒に過ごすことになるのだから、気にするな。ラーツ。ディオネ嬢を大切にな。」
「さぁ行こうかディオネ。」
最後まで陛下を無視したラーツ様でした。
そして、陛下が言った言葉を深く考えなかった私をあとで後悔する羽目になるとは、思ってもいなかった。
パタン…ガチャ。
ラーツ様の自室に入ると何故かラーツ様は、部屋に鍵をかけた。
「ラーツ様、どうして鍵をかけますの?」
「ん?あぁ他には聞かれたくないし、メイドに邪魔されたくないからね。」
何か不安のようなものが小さく私の中で芽生えた。
何か…見落としているような…。
「ディオネこっちおいで。いいものを見せよう。」
そう言って連れてこられたのが、ラーツ様の部屋につながっている1つの部屋だった。
「ここは…?とても可愛らしくていい部屋ですね。私とても好きです。」
振り返るとラーツ様があの怪しい笑みを浮かべていた。
「ふふ。それはね。ディオネ、君の部屋だよ。」
「……え?私の……部屋、ですか?」
その瞬間全てが繋がった。そして同時に自分の危機を悟った。
鳥籠の中に今まさに…私は入っている。
「その部屋はね、私が監修して1から作ったんだ。ディオネが、好きそうな内装にしたんだが、気に入ったかな?」
「え、ええ。とても素敵ですわ。」
私は、内心冷や汗をかきながらそう答えた。
「実はね、この部屋は、私の部屋を通らないと外に出られないし、入って来れない仕組みなんだ。他のものが安易に入ってこられないように、対策したんだ。」
いいように言ってはいるが、簡単に言えば、私に逃げ場はなく、外に行こうとすれば、自動的にラーツ様に伝わるということだ。ということは、つまり……
「そう。私の話というのは、ディオネと今日から共に王城で住むことになったということだよ。もう陛下にも、ディオネの父上にも許可を得ているし、君の荷物もベラに運んでもらってもう部屋にあると思うよ?」
まずい…知らない間に外堀を完璧に埋められて、しかも私の生活用品まで、運び込まれているとは…。ベラも共犯だとは思いもよらなかった。はしたないとは分かっているものの心の中で舌打ちをしたくなった私は悪くないはず…。
「ず、随分急ですのね。もっとはやくいってくださればよかったのに。」
「ディオネを驚かせたくてね。そんなにうれしそうではないみたいだね。もしかして、私と共に住みたいというのは嘘だったのかい?」
悲しそうな顔をして見つめられた私は焦ってしまった。
「そ、そうでは無いのです。驚いてしまって…。とても嬉しいですわ。ありがとうございます、ラーツ様。」
輝くような笑顔になったラーツ様は、上機嫌に色々と部屋のせつめいをしてくださった。その間私は、どうここを切り抜けるかで頭がいっぱいだった。このままだと、あの騎士たちが言っていた通り、監禁に近い状態になってしまうだろうと。
「ディオネ?聞いてるかい?」
「え?ええ聞いてますわ。ところでどうして私の部屋にベットがないんですの?」
「ああ。それは、私と共に寝るからだよ。父上にもそうしろと言われてね。」
「え!?ですが、私たちはまだ婚約中ですよ?」
驚きを隠せなかった。婚約中は、普通寝室は別であり、一緒に寝るなど私は、考えたことなどなかった。そもそも恥ずかしくて無理だ。
「んー?でも君の父上は、許可してくれたよ?それに、私はディオネを離す気なんてないから、多少順序が違っても結局は、同じだよ?」
ラーツ様に言われるとそうかと思ってしまうのが、恐ろしい。このままだと全て流されそうになる。
「で、ですが、さすがに一緒に寝るのは恥ずかしいですわ。結婚するまで寝室は別にしませんか?」
必死にラーツ様に訴えると、少し残念そうな顔をして譲歩してくれた。
「しょうがないなぁ。慣れるまで寝室は別にしようか。あとでベットを運ばせるよ。そんなうぶな所もすきだけどね。いずれは全て私が貰うのだしね。」
怪しい笑みを浮かべて最後に呟いた一言は私には聞こえなかった。
私が、ほっとしたのもつかの間。重大なミスに気がついた。寝室が同じことに気を取られて、一緒に住むこと自体を許してしまっていたことに。もはや、逃れるすべはない。
「さぁディオネ。これから楽しみだね?あー、君といられない日は辛かったよ。これからは、ずっと一緒だ。頑張った甲斐があったよ。」
「おぉ。待っていたぞ。ラーツ。久しぶりだなディオネ嬢。元気であったか?ラーツのしつこさに呆れてはいないかな?ハッハッハ。」
陽気にそう述べられた陛下はとても楽しそうだった。
一方でラーツ様は、嫌そうな顔をしていた。
「父上。ディオネを気安く呼ばないでください。そして、私はしつこくは、ありません。父上こそ母上にしつこくして嫌われませんよう、お気をつけくださいね?」
辛辣な言葉を陛下に投げつけるラーツ様を見て驚いた。
「ラ、ラーツ様?私は、大丈夫ですよ?陛下に名前を呼んでいただけて、光栄ですわ。陛下。お久しぶりでございます。ラーツ様のおかげで毎日楽しく過ごさせていだいてます。」
「はは、息子は辛辣だな。心の狭い男はきらわれるぞ?ラーツ。」
「それでは、失礼致します父上。」
無視をすることにしたラーツ様は、私を連れてさっさと退出しようとした。
「ディオネ。行こうか。」
「いいんですの?」
「ああ。早く話もしたいからね。ディオネも気になるだろう?」
そう笑顔で言われると、頷くしかなくなってしまう。
「ええ。では、陛下失礼致します。」
「ああ。これから長く一緒に過ごすことになるのだから、気にするな。ラーツ。ディオネ嬢を大切にな。」
「さぁ行こうかディオネ。」
最後まで陛下を無視したラーツ様でした。
そして、陛下が言った言葉を深く考えなかった私をあとで後悔する羽目になるとは、思ってもいなかった。
パタン…ガチャ。
ラーツ様の自室に入ると何故かラーツ様は、部屋に鍵をかけた。
「ラーツ様、どうして鍵をかけますの?」
「ん?あぁ他には聞かれたくないし、メイドに邪魔されたくないからね。」
何か不安のようなものが小さく私の中で芽生えた。
何か…見落としているような…。
「ディオネこっちおいで。いいものを見せよう。」
そう言って連れてこられたのが、ラーツ様の部屋につながっている1つの部屋だった。
「ここは…?とても可愛らしくていい部屋ですね。私とても好きです。」
振り返るとラーツ様があの怪しい笑みを浮かべていた。
「ふふ。それはね。ディオネ、君の部屋だよ。」
「……え?私の……部屋、ですか?」
その瞬間全てが繋がった。そして同時に自分の危機を悟った。
鳥籠の中に今まさに…私は入っている。
「その部屋はね、私が監修して1から作ったんだ。ディオネが、好きそうな内装にしたんだが、気に入ったかな?」
「え、ええ。とても素敵ですわ。」
私は、内心冷や汗をかきながらそう答えた。
「実はね、この部屋は、私の部屋を通らないと外に出られないし、入って来れない仕組みなんだ。他のものが安易に入ってこられないように、対策したんだ。」
いいように言ってはいるが、簡単に言えば、私に逃げ場はなく、外に行こうとすれば、自動的にラーツ様に伝わるということだ。ということは、つまり……
「そう。私の話というのは、ディオネと今日から共に王城で住むことになったということだよ。もう陛下にも、ディオネの父上にも許可を得ているし、君の荷物もベラに運んでもらってもう部屋にあると思うよ?」
まずい…知らない間に外堀を完璧に埋められて、しかも私の生活用品まで、運び込まれているとは…。ベラも共犯だとは思いもよらなかった。はしたないとは分かっているものの心の中で舌打ちをしたくなった私は悪くないはず…。
「ず、随分急ですのね。もっとはやくいってくださればよかったのに。」
「ディオネを驚かせたくてね。そんなにうれしそうではないみたいだね。もしかして、私と共に住みたいというのは嘘だったのかい?」
悲しそうな顔をして見つめられた私は焦ってしまった。
「そ、そうでは無いのです。驚いてしまって…。とても嬉しいですわ。ありがとうございます、ラーツ様。」
輝くような笑顔になったラーツ様は、上機嫌に色々と部屋のせつめいをしてくださった。その間私は、どうここを切り抜けるかで頭がいっぱいだった。このままだと、あの騎士たちが言っていた通り、監禁に近い状態になってしまうだろうと。
「ディオネ?聞いてるかい?」
「え?ええ聞いてますわ。ところでどうして私の部屋にベットがないんですの?」
「ああ。それは、私と共に寝るからだよ。父上にもそうしろと言われてね。」
「え!?ですが、私たちはまだ婚約中ですよ?」
驚きを隠せなかった。婚約中は、普通寝室は別であり、一緒に寝るなど私は、考えたことなどなかった。そもそも恥ずかしくて無理だ。
「んー?でも君の父上は、許可してくれたよ?それに、私はディオネを離す気なんてないから、多少順序が違っても結局は、同じだよ?」
ラーツ様に言われるとそうかと思ってしまうのが、恐ろしい。このままだと全て流されそうになる。
「で、ですが、さすがに一緒に寝るのは恥ずかしいですわ。結婚するまで寝室は別にしませんか?」
必死にラーツ様に訴えると、少し残念そうな顔をして譲歩してくれた。
「しょうがないなぁ。慣れるまで寝室は別にしようか。あとでベットを運ばせるよ。そんなうぶな所もすきだけどね。いずれは全て私が貰うのだしね。」
怪しい笑みを浮かべて最後に呟いた一言は私には聞こえなかった。
私が、ほっとしたのもつかの間。重大なミスに気がついた。寝室が同じことに気を取られて、一緒に住むこと自体を許してしまっていたことに。もはや、逃れるすべはない。
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