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おもてなしパーティー料理
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致死率の高い伝染病の蔓延や、大規模な事故・火事・自然災害などが起こった場合は、死者の魂も大量発生する。
すると現場の近隣を管轄する天使達に魂が振り分けられ、それぞれのやり方で天上へ送り出すことになる。
だがこういう時、フレデリカのように「最後に食べたいものを聞き出して作ってあげる」というやり方は、非常に効率が悪い。
よって、臨機応変な対応が求められる。
「どうして僕がこんなことしなくちゃいけないんだよ」
ナイフを握ったルカが、不満そうに口を尖らせる。
「豪華客船が沈没して、フレデリカのところにも沢山の魂が振り分けられることになったからよ。文句はいいから、どんどん切ってちょうだい」
マチルダは返事をしながら野菜を洗い、水気を拭きとってからルカの手元に置いていく。
「手伝わせちゃってごめんなさいね」
フレデリカが申し訳なさそうに謝る。
大人数でやってくる死者の魂をもてなすため、フレデリカ達はパーティーの準備に追われていた。
「一人一人食べたいもののリクエストなんて聞いてられないから、立食パーティー形式にしましょう! たくさんの料理を大皿に並べて、それぞれ好き勝手に食べてもらえばいいのよ」
というマチルダの提案で、いくつもの料理を大量に作ることになったのである。
メニューのほとんどは、切って並べて味付けしたら、オーブンに入れたり冷やしたりするだけの簡単なものばかりだ。
くし切りにしたジャガイモとソーセージを耐熱皿に並べ、スライスしたニンニクを散らして塩コショウで味つけした後、オリーブオイルをからめてオーブンに入れる。
その間に、スライスしたトマトとモッツァレラチーズを交互に並べて皿に盛り、塩コショウ・オリーブオイルをかけて冷蔵庫で冷やす。
「野菜の下ごしらえは終わったわよ。次は何を手伝えばいい?」
マチルダに聞かれたフレデリカは、手を休めることなく答える。
「ありがとう。それじゃあ、ナッツとドライフルーツを刻んでおいてもらえる? あとでクリームチーズと混ぜ合わせて、クラッカーやパンにつけるディップを作りたいの」
指示を出しながら、フレデリカは別の料理に取りかかる。
塩コショウをすり込んだ鶏ムネ肉を耐熱皿に入れ、その上にカットしたアスパラガスを載せ、マヨネーズとバジルペーストを混ぜ合わせたソースをかける。
先程の料理が焼き上がり次第、こちらの料理もオーブンに入れる。
他にも、タレに漬け込んだスペアリブや、エビとアボカドのマリネ、白身魚とズッキーニのパン粉焼き、ガーリックトーストなどなど、次々と料理を作りあげていく。
「よし、これで準備は万端ね」
ようやく最後の料理を作り終え、あとは魂の来訪を待つばかりとなった。
だが、いつまで経っても誰一人やって来ない。
「どうしたのかしら。ちょっと様子を見てくるわね」
そう言って出て行ったマチルダと入れ替わるように、きらめく光を振りまきながら、儚げな雰囲気の天使が姿を現した。
「あ……あのっ、はじめまして。私は見習い天使のニーナと申します。カレン様からの伝言を預かって参りました」
カレンは大都市を管轄している天使で、「一度に多くの魂を天上へ送ることが出来る、素晴らしい歌声の持ち主だ」と聞いたことがある。
「伝言……私にですか?」
「はい。フレデリカ様に、とおっしゃっていました。えーとですね、『豪華客席の乗客達は身分の高い人間が多く、あなたの作る料理では満足しない可能性があります。また、多くの魂に料理を提供するのも大変でしょうから、こちらでまとめて引き受けることにします』とのことです」
「え……? では、ここには誰も来ないということですか?」
「その通りです」
ニーナの答えに、ルカが噛みつく。
「何だよそれ! だったらもっと早く言えよ! こっちは朝からバカみたいに大量の料理を作って準備してたんだぞ!」
怒鳴られたニーナは、頭を抱えてその場にうずくまる。
「ごめんなさい、ごめんなさい。怒らないで下さい。打たないで下さい。許して下さい」
その反応を見たフレデリカは、ニーナが普段どのような扱いをされているのかを察した。
「大丈夫ですよ。許すも何も、あなたのせいではありませんから。もし良かったら、料理を少し食べていってくれませんか? たくさん作ってしまって……冷凍庫や冷蔵庫に入れて何日かに分けて食べるとしても、もう少し減らさないと全部は入り切らないでしょうから」
フレデリカが困ったように笑うと、ニーナは首がもげそうな勢いで頷いた。
「食べます! お腹がはち切れるまで食べ尽くします!」
「いえ、あの……ほどほどで大丈夫です。お気持ちは十分、伝わってきましたから」
怯えを含んだニーナの瞳に向かって、フレデリカは心の中で呟く。
大丈夫。
私はあなたの味方よ。
微笑むフレデリカに、ニーナも笑顔を返す。
心が通じ合ったような気がして、フレデリカは親しみを込めた口調で語りかけた。
「ニーナ、もしよかったら私の友達になってくれない? たまに会って、いろんな話をしながら一緒に食事をしたり、お茶を飲んだりして過ごすの。そういう相手がいたら、ちょっと楽しそうだと思わない?」
「すっごく楽しそう!」
ニーナも、砕けた口調で答える。
そばで見ていたルカは、しらけた表情で舌打ちをした。
「バカバカしくて付き合ってられないよ。マチルダが戻ってきたら、先に帰ったって言っといてくれ!」
捨て台詞を吐きながら、ルカが姿を消す。
残されたニーナとフレデリカは、カウンターテーブルに並んだ料理を食べ始めた。
「とっても美味しい!」
ニーナの賛辞に、フレデリカは口元をほころばせる。
「私ね、自分の作った料理を食べてくれた相手が幸せそうな顔をすると、心が満たされていく気がするの。作って良かったな、頑張って良かったなって思うの。料理って、手間暇がかかる割には後に残らないし、虚しいといえば虚しい行為じゃない? でもね、食べてくれた相手の表情や言葉は、ずっと心に残る。だからね、あなたが今とても嬉しそうな顔で『美味しい』って言ってくれて、私はもの凄く幸せ」
話しながら、フレデリカは気が付いた。
自分が何故、最後の一皿を作るのかを。
ああ、そうか。
私はきっと、自分自身のために料理を作っていたのだ。
食べた相手が満ち足りた表情をすることで、自分の存在意義を確認していた。
相手に救いを与えているつもりで、その実、自分自身が救われていたのだ。
私には存在する意味がある。
少なくとも、目の前の相手が、自分の作った料理で喜んでくれているうちは。
そう、思えたから。
「どうしたの? 具合が悪い? どこか痛いの?」
ニーナに言われて、我に返る。
「大丈夫よ。ごめんなさい、ちょっと考え事をしていたの」
「でも、顔色が悪いわ。少し座ったら?」
ニーナはカウンターテーブルの前にある椅子を引いて、フレデリカを座らせた。
その時、勢いよく入り口の扉が開いた。そして、沢山の人々の魂が店内へとなだれ込んで来る。
「おい、見ろよ! すごいご馳走だ!」
「どれもこれも、うまそうじゃないか」
「早く食おう!」
「ちょと待てよ、これ本当に俺達が食べてもいいのか?」
そう言って顔を見合わせる彼らの背後から、マチルダの声が響く。
「どんどん食べてちょうだい。あなた達のために作ったんだから」
それを聞いて、その場にいた者達は我先にと料理へ群がった。
呆気に取られているフレデリカに、マチルダが語りかける。
「いけ好かない成金どもの魂は、カレンに押し付けてきたわ。その代わり、乗組員達の魂を連れてきたの」
「でも、ここには誰も来ないって、さっきニーナが……」
「だから、カレンと交渉してきたのよ。下っ端の乗組員達にとっては、カレンの歌声なんて退屈なだけだもの。彼らには、フレデリカの作ったご馳走の方が、よっぽど嬉しいんじゃないかなと思って」
どうしよう、泣きそうだ。
鼻の奥がツンとして、まぶたが熱くなる。
泣くもんか。絶対に泣くもんか。
だってきっと、私なんかよりもずっと泣きたい気分なのは、事故に巻き込まれて命を落とした、彼らの方だろうから。
「久しぶりに、うまい飯が食えるよ!」
「いくらでも食べられるな!」
「おい、あんた! 酒は無いのかい?」
乗組員の一人に声をかけられて、フレデリカは元気よく答える。
「葡萄酒で良ければあります! すぐにお持ちしますね!」
急いでカウンターテーブルの向こうにある棚に駆け寄ると、ニーナも付いてきた。
「私も手伝うわ」
お言葉に甘えて、葡萄酒を詰めた瓶を手渡す。
「ありがとう、助かるわ。その葡萄酒をカウンターテーブルに並べたら、グラスを出すのも手伝ってくれない?」
「もちろんよ!」
フレデリカとニーナは微笑みを交わし合うと、急いで葡萄酒の瓶とグラスを運んだ。
全ての料理を食べ尽くしてしまうのではないかという勢いで、乗組員達は料理を腹におさめていった。
彼らの表情は皆、笑顔で。屈託がなく。
それでいてどこか、哀愁を漂わせていた。
飲めや歌えやの喧騒の中、彼らの姿は徐々に透き通っていき、一人、また一人と姿を消していく。
彼らは天上へ昇るのだ。
またいつか、新たな人生が幕を開けるのだ。
喜ばしい出来事のはずなのに、どうして私の胸はこんなにも痛むのだろう。
どうして私の目からは、とめどなく涙がこぼれ落ちるのだろう。
「泣かないで、フレデリカ」
マチルダの手が、そっとフレデリカの涙を拭う。
ぼやけた視界の中で、ニーナも心配そうにこちらを見ている。
「大丈夫? あなたが泣いていると、私まで悲しい気持ちになるわ」
「ごめんなさい、もう大丈夫よ。さあ、残った料理を食べましょうか! たくさん食べてちょうだいね。その代わり、後片付けまで手伝ってもらうけど」
フレデリカは、沈んだ気持ちを吹き飛ばすように明るい声を出した。
皿とフォークを手渡すと、ニーナは嬉しそうにカウンターテーブルへ向かい、料理を選び始める。
「あの子、もしかして……カレンのところから来たニーナっていう見習い天使?」
マチルダに聞かれて、フレデリカは頷く。
「そうよ。ニーナから『ここへは誰も来ない』って聞いたから、料理が無駄になっちゃうって焦ったんだけど、マチルダが乗組員達の魂を連れて来てくれて助かったわ。本当にありがとう」
お礼を言ってマチルダの顔を見ると、険しい表情でニーナを睨みつけている。
「どうしたの?」
尋ねるフレデリカの声など耳に入らないようで、マチルダはツカツカとニーナに歩み寄り、手に持っていた皿を取り上げた。
「ちょっとあなた、どういうつもり? のんびり食事なんかしている暇があったら、さっさとカレンのところへ戻って謝罪したら? カレンは、『ニーナを使いに出したのは昨日の夜だ』って言ってたわよ。でも、あなたがここへ来たのは私がいなくなった後の昼過ぎよね。それまで、いったいどこで何をしていたのかしら?」
マチルダに追及されて、ニーナは真っ青になりながら許しを乞う。
「ごめんなさい、ごめんなさい。怒らないで下さい」
「怒ってなんかいないわ。優しく、丁寧に、事情を尋ねているだけよ」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「謝罪はいいから、早く質問に答えなさい」
マチルダの刺すような視線に震え上がりながら、ニーナは言い訳を口にする。
「あの……昨夜は久しぶりの外出で……。その……偶然にも劇場のそばを通りかかった時に、たまたま面白そうなお芝居が上演されていると知って……。それで、ほんの少しだけのつもりで観始めたんですけど……」
「ほんの少しのつもりが、あまりにも素晴らしくて、最後まで観ちゃったのね? それで、その後は?」
マチルダが穏やかな声で相槌を打つと、ニーナは少し緊張が解けたのか、やや打ち解けた様子で話を続けた。
「そうなんです。すごく面白いお芝居で、ストーリーはもちろんのこと、役者の演技も素晴らしくて……」
「お芝居の話はもういいから、早くその後のことを教えてくれる?」
「あ、すみません。えーと、観劇を終えた人間達のあとを何となくついて行ったら、うっかり大きな酒場に足を踏み入れてしまって……。せっかくだから私も一杯いただこうかなと思って、こっそり飲ませてもらったら、これがもう美味しくって!」
「で? その後は?」
「それがですね……不覚にも少々酔っ払ってしまったようで、猛烈な眠気に襲われてしまいまして……」
「なるほど。それで昼過ぎまで寝過ごし、目覚めた後に慌ててここへやって来たと。ふーん、ずいぶんと舐めた真似をしてくれるじゃない」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
「謝ればいいってもんじゃないのよ。今からカレンのところへ送り届けるから、しっかり怒られてきなさい」
マチルダがニーナの手首を掴む。
「助けて!」
ニーナの叫び声に反応して、フレデリカはすぐさま止めに入った。
「やめて! ニーナが道草を食っていたのは褒められたことじゃないけど、こんなに反省しているんだから、もういいじゃない。許してあげましょうよ」
「あのね、ニーナのサボり癖は今に始まったことじゃないのよ。カレンが言ってたわ。どうせサボるのは分かってるから『フレデリカに伝言を届けた後なら、一晩自由に過ごしてきていい』と伝えたって。それなのに、お使いそっちのけで遊び呆けていただなんて……こんなことを許していたら、ニーナはいつまで経っても見習いのままよ!」
「でも、ニーナは凄く怯えてるわ。カレンから酷い扱いを受けているのかもしれない……」
「酷い扱い? あのカレンが、そんなことをするはずないわ。そんなに心配なら、フレデリカも一緒に来なさい」
マチルダは、もう片方の手でフレデリカの手首を掴み、カレンの元へと向かった。
白い光に包まれた後、フレデリカ達は大きなホールの舞台に立っていた。
客席は空っぽで、周囲は静まり返っている。
そこへ、力強い低音の声が響き渡った。
「おや、ニーナを連れて来てくれたんだね。ありがとうマチルダ。迎えに行く手間が省けたよ」
声のした方に目をやると、先ほどまでは誰もいなかった客席の中央に、ふくよかな体型の天使が座っている。
「もう一人は初めて見る顔だね。名前は?」
尋ねられたフレデリカは、慌てて名乗る。
「フレデリカです。あの……このたびは色々とお気遣いいただいて、ありがとうございました。それで、あの……ニーナはとても反省していますので、あまり叱らないであげて欲しいんです」
初対面でこんなことを口にするのは不躾だと分かっていたが、言わずにはいられなかった。
カレンは少し考えた後
「それは出来ないね」
と言って大きく息を吸い込み、よく響く声でニーナを叱りつけた。
「ニーナ! 何度も言ってるでしょう! まずは自分の役割を果たしなさい! 要求を通すのはそれからよ! やるべきこともやらずに、好き勝手なことをするんじゃない!」
空気がビリビリと振動する。
あまりの迫力に、フレデリカは言葉を失って立ち尽くし、ニーナはしゃがみ込んで泣き出した。
「ごめんなさい、ごめんなさい。怒らないで、叱らないで、打たないで」
そこでハッとなり、フレデリカはニーナを庇うように前へと進み出る。
「もうやめて下さい。叱るべきことだとは思います。でも……暴力を振るうのはやり過ぎです」
格上の天使に逆らうのは怖かった。
でも、ニーナが酷い目に遭うと分かっていながら黙っているなんて、嫌だ。
「暴力を振るう……私が?」
首をかしげるカレンの仕草は、なんだかやけに可愛らしい。
「……あなた以外にいるとでも?」
「私、今まで一度も暴力なんて振るったことないけど?」
「でもニーナは……こんなに怯えているじゃないですか」
「それは、人間だった頃の影響よ。あまりにも強烈な体験だったから、心に焼き付いて消えないみたいね。天使になった今でも、叱りつけると必要以上に怯えてしまう。でもね、だからって甘やかすのは、かえって良くないと思うのよ。ダメなことはダメってちゃんと教えて、頑張った時はいっぱい褒める。それでいいんじゃないかって私は思うんだけど、どうかしら?」
カレンの口にした『人間だった頃』という言葉が気になって、後半の話はあまり頭に入ってこなかった。
「あの……『人間だった頃』って、どういうことですか? 天使になる前の私達って、人間だったんですか?」
カレンはフレデリカの質問には答えず、マチルダの方を向く。
「あなた、フレデリカに何も話していないの?」
「だって、その話をしたら後継者になってくれない気がするんだもの」
「だからって……」
「もういいでしょ。私達、片付けがあるから帰るわね」
マチルダは強引に話を終わらせると、フレデリカを連れてホールを後にした。
「もう、挨拶もせずに帰ってきてしまうなんて、相手に失礼じゃない!」
「カレンと私は長い付き合いだから、大丈夫よ。それより、早く残った料理を食べましょうよ」
マチルダは取り皿を手に持ち、端から順に料理をのせていく。
「ねぇ、さっきの話だけど……」
フレデリカが切り出すと、マチルダは話の続きを引き取った。
「天使が元は人間だったって話? そうよ。私達は元人間で、死んでから天使になった。ただ、それだけのことよ」
「どうして今まで話してくれなかったの?」
「別に、わざわざ伝えるようなことでもないからよ。はい、この話はこれでもうおしまい!」
キッパリ宣言すると、マチルダは皿に盛った料理を食べ出した。
これ以上は、教えてくれる気が無さそうだ。
それなら今度、ニーナをお茶会に誘った時にでも話を振って、知っていることを聞かせてもらおう。
そう考えながら、フレデリカは棚からレシピノートを取り出し、ニーナのために作るお菓子のレシピを探し始めた。
すると現場の近隣を管轄する天使達に魂が振り分けられ、それぞれのやり方で天上へ送り出すことになる。
だがこういう時、フレデリカのように「最後に食べたいものを聞き出して作ってあげる」というやり方は、非常に効率が悪い。
よって、臨機応変な対応が求められる。
「どうして僕がこんなことしなくちゃいけないんだよ」
ナイフを握ったルカが、不満そうに口を尖らせる。
「豪華客船が沈没して、フレデリカのところにも沢山の魂が振り分けられることになったからよ。文句はいいから、どんどん切ってちょうだい」
マチルダは返事をしながら野菜を洗い、水気を拭きとってからルカの手元に置いていく。
「手伝わせちゃってごめんなさいね」
フレデリカが申し訳なさそうに謝る。
大人数でやってくる死者の魂をもてなすため、フレデリカ達はパーティーの準備に追われていた。
「一人一人食べたいもののリクエストなんて聞いてられないから、立食パーティー形式にしましょう! たくさんの料理を大皿に並べて、それぞれ好き勝手に食べてもらえばいいのよ」
というマチルダの提案で、いくつもの料理を大量に作ることになったのである。
メニューのほとんどは、切って並べて味付けしたら、オーブンに入れたり冷やしたりするだけの簡単なものばかりだ。
くし切りにしたジャガイモとソーセージを耐熱皿に並べ、スライスしたニンニクを散らして塩コショウで味つけした後、オリーブオイルをからめてオーブンに入れる。
その間に、スライスしたトマトとモッツァレラチーズを交互に並べて皿に盛り、塩コショウ・オリーブオイルをかけて冷蔵庫で冷やす。
「野菜の下ごしらえは終わったわよ。次は何を手伝えばいい?」
マチルダに聞かれたフレデリカは、手を休めることなく答える。
「ありがとう。それじゃあ、ナッツとドライフルーツを刻んでおいてもらえる? あとでクリームチーズと混ぜ合わせて、クラッカーやパンにつけるディップを作りたいの」
指示を出しながら、フレデリカは別の料理に取りかかる。
塩コショウをすり込んだ鶏ムネ肉を耐熱皿に入れ、その上にカットしたアスパラガスを載せ、マヨネーズとバジルペーストを混ぜ合わせたソースをかける。
先程の料理が焼き上がり次第、こちらの料理もオーブンに入れる。
他にも、タレに漬け込んだスペアリブや、エビとアボカドのマリネ、白身魚とズッキーニのパン粉焼き、ガーリックトーストなどなど、次々と料理を作りあげていく。
「よし、これで準備は万端ね」
ようやく最後の料理を作り終え、あとは魂の来訪を待つばかりとなった。
だが、いつまで経っても誰一人やって来ない。
「どうしたのかしら。ちょっと様子を見てくるわね」
そう言って出て行ったマチルダと入れ替わるように、きらめく光を振りまきながら、儚げな雰囲気の天使が姿を現した。
「あ……あのっ、はじめまして。私は見習い天使のニーナと申します。カレン様からの伝言を預かって参りました」
カレンは大都市を管轄している天使で、「一度に多くの魂を天上へ送ることが出来る、素晴らしい歌声の持ち主だ」と聞いたことがある。
「伝言……私にですか?」
「はい。フレデリカ様に、とおっしゃっていました。えーとですね、『豪華客席の乗客達は身分の高い人間が多く、あなたの作る料理では満足しない可能性があります。また、多くの魂に料理を提供するのも大変でしょうから、こちらでまとめて引き受けることにします』とのことです」
「え……? では、ここには誰も来ないということですか?」
「その通りです」
ニーナの答えに、ルカが噛みつく。
「何だよそれ! だったらもっと早く言えよ! こっちは朝からバカみたいに大量の料理を作って準備してたんだぞ!」
怒鳴られたニーナは、頭を抱えてその場にうずくまる。
「ごめんなさい、ごめんなさい。怒らないで下さい。打たないで下さい。許して下さい」
その反応を見たフレデリカは、ニーナが普段どのような扱いをされているのかを察した。
「大丈夫ですよ。許すも何も、あなたのせいではありませんから。もし良かったら、料理を少し食べていってくれませんか? たくさん作ってしまって……冷凍庫や冷蔵庫に入れて何日かに分けて食べるとしても、もう少し減らさないと全部は入り切らないでしょうから」
フレデリカが困ったように笑うと、ニーナは首がもげそうな勢いで頷いた。
「食べます! お腹がはち切れるまで食べ尽くします!」
「いえ、あの……ほどほどで大丈夫です。お気持ちは十分、伝わってきましたから」
怯えを含んだニーナの瞳に向かって、フレデリカは心の中で呟く。
大丈夫。
私はあなたの味方よ。
微笑むフレデリカに、ニーナも笑顔を返す。
心が通じ合ったような気がして、フレデリカは親しみを込めた口調で語りかけた。
「ニーナ、もしよかったら私の友達になってくれない? たまに会って、いろんな話をしながら一緒に食事をしたり、お茶を飲んだりして過ごすの。そういう相手がいたら、ちょっと楽しそうだと思わない?」
「すっごく楽しそう!」
ニーナも、砕けた口調で答える。
そばで見ていたルカは、しらけた表情で舌打ちをした。
「バカバカしくて付き合ってられないよ。マチルダが戻ってきたら、先に帰ったって言っといてくれ!」
捨て台詞を吐きながら、ルカが姿を消す。
残されたニーナとフレデリカは、カウンターテーブルに並んだ料理を食べ始めた。
「とっても美味しい!」
ニーナの賛辞に、フレデリカは口元をほころばせる。
「私ね、自分の作った料理を食べてくれた相手が幸せそうな顔をすると、心が満たされていく気がするの。作って良かったな、頑張って良かったなって思うの。料理って、手間暇がかかる割には後に残らないし、虚しいといえば虚しい行為じゃない? でもね、食べてくれた相手の表情や言葉は、ずっと心に残る。だからね、あなたが今とても嬉しそうな顔で『美味しい』って言ってくれて、私はもの凄く幸せ」
話しながら、フレデリカは気が付いた。
自分が何故、最後の一皿を作るのかを。
ああ、そうか。
私はきっと、自分自身のために料理を作っていたのだ。
食べた相手が満ち足りた表情をすることで、自分の存在意義を確認していた。
相手に救いを与えているつもりで、その実、自分自身が救われていたのだ。
私には存在する意味がある。
少なくとも、目の前の相手が、自分の作った料理で喜んでくれているうちは。
そう、思えたから。
「どうしたの? 具合が悪い? どこか痛いの?」
ニーナに言われて、我に返る。
「大丈夫よ。ごめんなさい、ちょっと考え事をしていたの」
「でも、顔色が悪いわ。少し座ったら?」
ニーナはカウンターテーブルの前にある椅子を引いて、フレデリカを座らせた。
その時、勢いよく入り口の扉が開いた。そして、沢山の人々の魂が店内へとなだれ込んで来る。
「おい、見ろよ! すごいご馳走だ!」
「どれもこれも、うまそうじゃないか」
「早く食おう!」
「ちょと待てよ、これ本当に俺達が食べてもいいのか?」
そう言って顔を見合わせる彼らの背後から、マチルダの声が響く。
「どんどん食べてちょうだい。あなた達のために作ったんだから」
それを聞いて、その場にいた者達は我先にと料理へ群がった。
呆気に取られているフレデリカに、マチルダが語りかける。
「いけ好かない成金どもの魂は、カレンに押し付けてきたわ。その代わり、乗組員達の魂を連れてきたの」
「でも、ここには誰も来ないって、さっきニーナが……」
「だから、カレンと交渉してきたのよ。下っ端の乗組員達にとっては、カレンの歌声なんて退屈なだけだもの。彼らには、フレデリカの作ったご馳走の方が、よっぽど嬉しいんじゃないかなと思って」
どうしよう、泣きそうだ。
鼻の奥がツンとして、まぶたが熱くなる。
泣くもんか。絶対に泣くもんか。
だってきっと、私なんかよりもずっと泣きたい気分なのは、事故に巻き込まれて命を落とした、彼らの方だろうから。
「久しぶりに、うまい飯が食えるよ!」
「いくらでも食べられるな!」
「おい、あんた! 酒は無いのかい?」
乗組員の一人に声をかけられて、フレデリカは元気よく答える。
「葡萄酒で良ければあります! すぐにお持ちしますね!」
急いでカウンターテーブルの向こうにある棚に駆け寄ると、ニーナも付いてきた。
「私も手伝うわ」
お言葉に甘えて、葡萄酒を詰めた瓶を手渡す。
「ありがとう、助かるわ。その葡萄酒をカウンターテーブルに並べたら、グラスを出すのも手伝ってくれない?」
「もちろんよ!」
フレデリカとニーナは微笑みを交わし合うと、急いで葡萄酒の瓶とグラスを運んだ。
全ての料理を食べ尽くしてしまうのではないかという勢いで、乗組員達は料理を腹におさめていった。
彼らの表情は皆、笑顔で。屈託がなく。
それでいてどこか、哀愁を漂わせていた。
飲めや歌えやの喧騒の中、彼らの姿は徐々に透き通っていき、一人、また一人と姿を消していく。
彼らは天上へ昇るのだ。
またいつか、新たな人生が幕を開けるのだ。
喜ばしい出来事のはずなのに、どうして私の胸はこんなにも痛むのだろう。
どうして私の目からは、とめどなく涙がこぼれ落ちるのだろう。
「泣かないで、フレデリカ」
マチルダの手が、そっとフレデリカの涙を拭う。
ぼやけた視界の中で、ニーナも心配そうにこちらを見ている。
「大丈夫? あなたが泣いていると、私まで悲しい気持ちになるわ」
「ごめんなさい、もう大丈夫よ。さあ、残った料理を食べましょうか! たくさん食べてちょうだいね。その代わり、後片付けまで手伝ってもらうけど」
フレデリカは、沈んだ気持ちを吹き飛ばすように明るい声を出した。
皿とフォークを手渡すと、ニーナは嬉しそうにカウンターテーブルへ向かい、料理を選び始める。
「あの子、もしかして……カレンのところから来たニーナっていう見習い天使?」
マチルダに聞かれて、フレデリカは頷く。
「そうよ。ニーナから『ここへは誰も来ない』って聞いたから、料理が無駄になっちゃうって焦ったんだけど、マチルダが乗組員達の魂を連れて来てくれて助かったわ。本当にありがとう」
お礼を言ってマチルダの顔を見ると、険しい表情でニーナを睨みつけている。
「どうしたの?」
尋ねるフレデリカの声など耳に入らないようで、マチルダはツカツカとニーナに歩み寄り、手に持っていた皿を取り上げた。
「ちょっとあなた、どういうつもり? のんびり食事なんかしている暇があったら、さっさとカレンのところへ戻って謝罪したら? カレンは、『ニーナを使いに出したのは昨日の夜だ』って言ってたわよ。でも、あなたがここへ来たのは私がいなくなった後の昼過ぎよね。それまで、いったいどこで何をしていたのかしら?」
マチルダに追及されて、ニーナは真っ青になりながら許しを乞う。
「ごめんなさい、ごめんなさい。怒らないで下さい」
「怒ってなんかいないわ。優しく、丁寧に、事情を尋ねているだけよ」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「謝罪はいいから、早く質問に答えなさい」
マチルダの刺すような視線に震え上がりながら、ニーナは言い訳を口にする。
「あの……昨夜は久しぶりの外出で……。その……偶然にも劇場のそばを通りかかった時に、たまたま面白そうなお芝居が上演されていると知って……。それで、ほんの少しだけのつもりで観始めたんですけど……」
「ほんの少しのつもりが、あまりにも素晴らしくて、最後まで観ちゃったのね? それで、その後は?」
マチルダが穏やかな声で相槌を打つと、ニーナは少し緊張が解けたのか、やや打ち解けた様子で話を続けた。
「そうなんです。すごく面白いお芝居で、ストーリーはもちろんのこと、役者の演技も素晴らしくて……」
「お芝居の話はもういいから、早くその後のことを教えてくれる?」
「あ、すみません。えーと、観劇を終えた人間達のあとを何となくついて行ったら、うっかり大きな酒場に足を踏み入れてしまって……。せっかくだから私も一杯いただこうかなと思って、こっそり飲ませてもらったら、これがもう美味しくって!」
「で? その後は?」
「それがですね……不覚にも少々酔っ払ってしまったようで、猛烈な眠気に襲われてしまいまして……」
「なるほど。それで昼過ぎまで寝過ごし、目覚めた後に慌ててここへやって来たと。ふーん、ずいぶんと舐めた真似をしてくれるじゃない」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
「謝ればいいってもんじゃないのよ。今からカレンのところへ送り届けるから、しっかり怒られてきなさい」
マチルダがニーナの手首を掴む。
「助けて!」
ニーナの叫び声に反応して、フレデリカはすぐさま止めに入った。
「やめて! ニーナが道草を食っていたのは褒められたことじゃないけど、こんなに反省しているんだから、もういいじゃない。許してあげましょうよ」
「あのね、ニーナのサボり癖は今に始まったことじゃないのよ。カレンが言ってたわ。どうせサボるのは分かってるから『フレデリカに伝言を届けた後なら、一晩自由に過ごしてきていい』と伝えたって。それなのに、お使いそっちのけで遊び呆けていただなんて……こんなことを許していたら、ニーナはいつまで経っても見習いのままよ!」
「でも、ニーナは凄く怯えてるわ。カレンから酷い扱いを受けているのかもしれない……」
「酷い扱い? あのカレンが、そんなことをするはずないわ。そんなに心配なら、フレデリカも一緒に来なさい」
マチルダは、もう片方の手でフレデリカの手首を掴み、カレンの元へと向かった。
白い光に包まれた後、フレデリカ達は大きなホールの舞台に立っていた。
客席は空っぽで、周囲は静まり返っている。
そこへ、力強い低音の声が響き渡った。
「おや、ニーナを連れて来てくれたんだね。ありがとうマチルダ。迎えに行く手間が省けたよ」
声のした方に目をやると、先ほどまでは誰もいなかった客席の中央に、ふくよかな体型の天使が座っている。
「もう一人は初めて見る顔だね。名前は?」
尋ねられたフレデリカは、慌てて名乗る。
「フレデリカです。あの……このたびは色々とお気遣いいただいて、ありがとうございました。それで、あの……ニーナはとても反省していますので、あまり叱らないであげて欲しいんです」
初対面でこんなことを口にするのは不躾だと分かっていたが、言わずにはいられなかった。
カレンは少し考えた後
「それは出来ないね」
と言って大きく息を吸い込み、よく響く声でニーナを叱りつけた。
「ニーナ! 何度も言ってるでしょう! まずは自分の役割を果たしなさい! 要求を通すのはそれからよ! やるべきこともやらずに、好き勝手なことをするんじゃない!」
空気がビリビリと振動する。
あまりの迫力に、フレデリカは言葉を失って立ち尽くし、ニーナはしゃがみ込んで泣き出した。
「ごめんなさい、ごめんなさい。怒らないで、叱らないで、打たないで」
そこでハッとなり、フレデリカはニーナを庇うように前へと進み出る。
「もうやめて下さい。叱るべきことだとは思います。でも……暴力を振るうのはやり過ぎです」
格上の天使に逆らうのは怖かった。
でも、ニーナが酷い目に遭うと分かっていながら黙っているなんて、嫌だ。
「暴力を振るう……私が?」
首をかしげるカレンの仕草は、なんだかやけに可愛らしい。
「……あなた以外にいるとでも?」
「私、今まで一度も暴力なんて振るったことないけど?」
「でもニーナは……こんなに怯えているじゃないですか」
「それは、人間だった頃の影響よ。あまりにも強烈な体験だったから、心に焼き付いて消えないみたいね。天使になった今でも、叱りつけると必要以上に怯えてしまう。でもね、だからって甘やかすのは、かえって良くないと思うのよ。ダメなことはダメってちゃんと教えて、頑張った時はいっぱい褒める。それでいいんじゃないかって私は思うんだけど、どうかしら?」
カレンの口にした『人間だった頃』という言葉が気になって、後半の話はあまり頭に入ってこなかった。
「あの……『人間だった頃』って、どういうことですか? 天使になる前の私達って、人間だったんですか?」
カレンはフレデリカの質問には答えず、マチルダの方を向く。
「あなた、フレデリカに何も話していないの?」
「だって、その話をしたら後継者になってくれない気がするんだもの」
「だからって……」
「もういいでしょ。私達、片付けがあるから帰るわね」
マチルダは強引に話を終わらせると、フレデリカを連れてホールを後にした。
「もう、挨拶もせずに帰ってきてしまうなんて、相手に失礼じゃない!」
「カレンと私は長い付き合いだから、大丈夫よ。それより、早く残った料理を食べましょうよ」
マチルダは取り皿を手に持ち、端から順に料理をのせていく。
「ねぇ、さっきの話だけど……」
フレデリカが切り出すと、マチルダは話の続きを引き取った。
「天使が元は人間だったって話? そうよ。私達は元人間で、死んでから天使になった。ただ、それだけのことよ」
「どうして今まで話してくれなかったの?」
「別に、わざわざ伝えるようなことでもないからよ。はい、この話はこれでもうおしまい!」
キッパリ宣言すると、マチルダは皿に盛った料理を食べ出した。
これ以上は、教えてくれる気が無さそうだ。
それなら今度、ニーナをお茶会に誘った時にでも話を振って、知っていることを聞かせてもらおう。
そう考えながら、フレデリカは棚からレシピノートを取り出し、ニーナのために作るお菓子のレシピを探し始めた。
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